フランスで生活する中でスーパーで買い物をするのと同じ様に頻繁に利用する、生活に密着している施設として郵便局が挙げられます。
生活に密着していてどうしても必要なのに、そのサービスに不満を抱く頻度が一番高いのもまた郵便局だと言っても過言ではないと思います。
フランスの郵政局は「La Poste(ラ・ポスト)」と言うのですが、先進国フランスの郵便局がこれで良いのかとビックリするほどのいい加減さで、日本の行き届いたサービスに慣れていると本当にビックリしてしまうことが多々あります。
そんな郵便局でも「郵便物を送る」ためには利用しないわけにいきません。フランス国内に郵便物を出したり受け取ったり、日本に手紙や荷物を送ったり受け取ったりするのもフランスでは全部郵便局の仕事です。
今回は、フランスの郵便事情の劣悪さと、注意点をお伝えしたいと思います。
フランスの郵便事情
まず最初に覚えておいて頂きたいのは、日本とフランスでは郵便配達事情に大きな違いがあるということです。
日本では当たり前に届く郵便物も、ここフランスではただ待っているだけでは届かない、と思って頂いた方が良いのではないかと思います。
大事な郵便は必ず書留で
手紙などの普通郵便が紛失することはあまりありませんが、届かないことが良くあることを逆手にとって受け取り側に「受け取ってない」と言い切られてしまうこともあります。
少しでも大事な郵便物は必ず「書留( Lettre recommandée avec Avis de Réception)」で送ることをおすすめします。
では一体どのようなトラブルが起こり得るのでしょうか。私だけではなく周りの友人の体験も参考に、しょっちゅう起こるトラブルの例を3つほど挙げさせて頂きます。
送ったはずの郵便物が戻って来る
送り先の住所も間違っていないのに、普通に送った手紙が戻って来る、これはもう驚かなくなってしまったぐらい良くある話です。
封筒の表に相手の名前と住所、さらには受取人、という名称まで記載しているのに、封筒の裏に小さく記載した自分の住所に送り返されてしまうことがよくあるのです。
しっかりと確認しない配達人
私は封筒の表に「相手の名前」だけではなくさらにその人が受け取り人であることをわかるように「受け取り人:相手の名前」というように書いています。
それでもこうやって送り返されてしまうということは、ただ単に配達人が封筒の宛先をしっかり確認せず適当に配達しているだけ、ということなのですが……。これはもう怒ったりせず諦めてもう1度出し直すしかないという残念な事態です。
ちなみに正式な封書の宛名書きは、表の真ん中に相手先の名前と住所、左上に自分の住所と氏名を書くのですが、それでも自分に戻ってきてしまうことが多いので、郵便局の人に「封筒の表に名前が2つあると配達員が間違えやすい。」と アドバイスをもらって以来、差出人である自分の名前と住所は裏に書くようにしています。
それでだいぶ間違いが減りました。
不在届けが入っておらず荷物到着がわからない
圧倒的に多いのがこのパターンだと思います。特に日本からの荷物に対して良く起こる現象なのですが、その日は1日家にいたのに郵便配達人が訪ねてくることもなく玄関を確認しても不在票すらありません。
不在票がなければ当然荷物が届いたことには気づけないのですが、私の場合、日本からの荷物はだいたい実家の家族からなので「送ったよ。」という報告とEMSの追跡番号をもらっています。
日本からEMSで荷物を送る場合、だいたい5日~10日ほどで荷物が到着するのでサイト上で確認していると、いつの間にか「不在のため持ち帰り、郵便局に置かれています。」という表示に切り替わるのです。
自分で郵便局へ取りに行く
そこで、追跡番号と身分証明書を持って郵便局に行き「おそらく自分の荷物がここにあると思う。」と伝えるとパソコン上で調べてくれて奥の倉庫に取りに行ってくれます。もちろん不在届けはないのですが問題なし!
なぜかというと郵便局の人も慣れたもので「あ~、また不在届けがなかったのね。」という感じだからです。こちらが文句をどんなに言ってもそこは「私達の管轄じゃないから。」と言われてしまいおしまいです。
郵便の不届けも「管轄じゃない」と言い切る
なぜ「私達の管轄じゃないから。」と言い切ってしまうのか?
日本からEMSで送った荷物は、フランスに到着すると郵政局(La Poste)の子会社であるクロノポスト(Chronopost)という会社が配送を担当することになるのですが、このクロノポスト社が本当に本当にいい加減で家まで荷物を届けに来ないことが当たり前になってしまっているからです。
郵便局員(郵政局)とも連携が図れていないし自分たちは別会社だと思っているので郵便局員も「知らない。自分(達)の責任ではない。」という姿勢を貫き通します。
万が一荷物が送られて来ている事実を知らず郵便局に取りに行かなかった場合は、もちろん親切に郵便局から問い合わせの電話がかかってくるなどということもありません。
保管期限をすぎると日本へ送り返される
保管期間である15日間を過ぎると荷物は何の通達もなく日本に送り返されてしまいます。その場合の送料は日本の差出人持ち。往復の送料を払わされた上に、相手に荷物は届かないわけですから、本当に最悪ですよね。
ちなみに私が以前住んでいた所は建物の1階がカフェになっていたのですが、なんの不在票やメモもなく私宛の荷物がカフェに預けられていたことがよくありました。
適当に荷物を置いていく
幸いにもカフェの人が親切でいつも声をかけてくれたので無事に荷物を受け取ることができましたが、無断で適当な場所に置き去りにする、なんていうのも彼らの常套手段なのです。
なぜ配達人は家まで荷物を配達しないのか?フランスは古い建物が多くエレベーター無しの建物で7階建なんていうのも当たり前。
重い荷物を持って階段で7階まで上がるなんて大変ことはしたくない、だったら郵便局に置いてしまおう、隣のカフェに預けてしまおうという、配達人の怠慢以外に理由はありません。
荷物が家まで届かない、不在届けがないのはもちろんクロノポスト社に限らずラ・ポストにも言えることなのですが、比率としては圧倒的にクロノポスト社の方が多いです。(私に関してはほぼ毎回同じパターンです……)
荷物の中身がなくなっている(郵便局員による盗難)
これは決してあってはならないことなのですが、たまに起こってしまうと怒りを抑えきれないハプニングです。フランスでの配達荷物の盗難・紛失率は10%とまで言われているほど。
この場合、たいていの場合は荷物自体が届きません。ごく希に荷物は届いたものの中身だけ抜かれている、なんていう手の込んだ場合もありますが。
では誰が盗むのか?やはり圧倒的に多いのは残念ながら、郵便配達人だと言えるでしょう。
受取証のサインも自分で適当に書いてしまうのか、どんなに確認しても「配達済み」になっているようで郵便局に問い合わせても「配達済みになっているのでこちらではこれ以上何もできない。」の一点張り。
郵便局とクロノポスト社が別会社といえど、郵便局の不親切な対応を見るとあなた方もやっぱりグルなのでは?!と疑いたい気持ちになってしまいます。
クリスマスシーズンは特に注意
特に気をつけたいのがクリスマスシーズンです。この国の人達はクリスマスシーズンになると、家族に、友人にとたくさんのクリスマスプレゼントを贈り合います。
ですのでこの時期になると普段の配達人だけでは人が足りなくなり、臨時でバイトさんを増やしたりするので、さらに配達人の質が下がってしまうのです。
実際に「家族に送ったはずのクリスマスプレゼントが届かない。」「一部箱が破れて中身が盗まれていた。」などフランス人の友人からも聞いたことがあるので、この盗難・紛失の被害は日本からの荷物に限ったことではないようです。
郵便トラブルを防ぐためにはどのようにしたらよいか
では、上記に挙げたようなトラブルを避けるためにはどのようにしたら良いでしょうか。正直に申し上げて、大半がフランスの郵便局側の怠慢・不手際ですので、こちらでできることは限られていると言わざるを得ないでしょう。
唯一これだけは絶対にしておいた方が良いと言えるのは「日本から送って貰う荷物の住所に必ずフランスの建物のドアコード番号と何階に住んでいるかなど細かい情報を記載してもらう。」ということです。
フランスの住宅の多くは建物内へアクセスするためのドアにコード番号が設定されています。そのドアコードをその地域の郵政局の郵便配達人は把握しているのですが、クロノポスト社の配達人は知らされていそうです。
そしてドアから入った内側に郵便受けがある構造になっているのが主流ですので、ドアコードがわからず建物内に入れなかった場合、当然不在届けをポストに入れることはできないということになります。
とはいえ、私は何度もドアコードと何階かをしっかり書いて荷物を送ってもらっていますが、それでも不在届けが入っていたことはほぼありません。
そのために気をつけたいのは荷物を送ってもらう際には必ず追跡番号をもらい、自分でインターネット上で調べて追跡するということでしょうか。
根本的な解決策にはなっていませんが、荷物が届いたことに気づかず15日間の保管期間が過ぎて日本へ送り返されてしまうよりは断然良いですよね。
郵便の48時間以内配送オプションは本当?
余談ではありますが、ここフランスでもネットショッピングはだいぶ主流になってきました。
ネットショップで買い物をする際、有料オプションで「48時間以内にお届け」なんていう方法を選べることがあります。しかし、実際には48時間はただの目安でしかないようです。
誰も48時間以内なんて信じていないのですが「普通よりちょっと早めに届いたらラッキー」ぐらいの気持ちで付けるオプションだと思って頂ければと思います。
配送料安めの配送方法を選ぶと「あなたの家から一番近い(それでもけっこう遠かったりする)お店にお届けします。」というものがあり、結局わざわざそのお店まで荷物を取りに行かなければならないなんてことも。
とにかくフランスの郵便配達事情はまるで整っていないのです。
まとめ
こうして見ると、日本の郵便局の行き届いたサービスは世界最高水準だと言えるかもしれないですね。
そして日本では当たり前だと思って受けている数々のサービスは、ここフランスでは夢のように素晴らしい「恩恵」に値するのだと再確認させられます。
早い話フランスのラ・ポストやクロノポストは責任感、やる気、プロ意識、すべてにおいてゼロの会社なのです。毎回毎回本当に見事に期待を裏切る素晴らしく適当な仕事をしています。
慣れるまでは大変だと思いますがフランスに住んでいる限り避けられないことのひとつなので、広い心を持ち、自分なりの方法でラ・ポスト社と向き合っていくことをおすすめ致します。
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