自分の家に人を招くのも、人の家に遊びに行くのも大好きなフランス人。といっても、日本のように「お呼ばれした」という堅苦しい感じはなく、非常にカジュアルです。
私は南フランスのニースに留学していたのですが、友達の家やはたまた誰かの実家など、わりと頻繁に人の家にお邪魔していた気がします。
とはいえ、初めて誰かの家に行く場合はどうしたら良いのか、戸惑うこともありますよね。
ニース流、フランスの家に招かれた場合のコツをお伝えします!
フランスでは家に呼ばれることはよくある!
友達同士で集まる場合、日本だと家にお邪魔するのはかなり親しい友人間の場合で、基本的にはどこかのお店で飲み会をしたり、皆でカラオケに行くという場合が多いのではないでしょうか。
フランスはホームパーティーが頻繁に行われる文化。家に招くのも招かれることも、日本と比べ非常に敷居が低いです。
しかも、ある友達と遊ぼうと思って声をかけたら、「今日はXXの家でホームパーティーがあるから、一緒に行こうよ」と言われ、自分と行き先の家主は初対面……ということもしばしば。
それほどカジュアルに家同士の行き来が行われているのは、外食は値が張る、夜のバーなどはセキュリティ面で気を張らねばならずリラックスできない、というような事情もあります。
日本のように「お呼ばれしたのだから失礼のないようにしないと!」という緊張感は必要ないものの、フランス人の家に招かれた時のコツはいくつかあります。
フランスで訪問前の準備
「今日は家でホームパーティーをするから、良かったらどう?」と友達に誘われた場合、事前に場所や集合時間など、気にしておくことはありますよね。
その他、誰かの家に行く場合に気になるのが手土産。呼ばれた先のお宅は何人家族か、食べ物の好みは、賞味期限は……など、気にし始めたらきりがありません。
しかし、手土産持参で行く場合も、何も持たずにフラッと行く場合も両方あるのがニース流。
例えば「ホームパーティーだから何か持ってきて!」と言われている場合、食べ物や飲み物を持っていくのがベター。
料理好きなフランスの人は、キッシュなどの簡単なオーブン料理を持っていくこともあれば、ポテトチップスなどの袋菓子やお酒などを持っていくケースもあります。
手ぶらで行ったからといって「なんて失礼な人!」と思われることはまずありませんし、私も突然呼ばれて手ぶらで行ったことも多々あります。
では、手土産には何を持っていったら喜ばれるのでしょうか。
訪問じの手土産選びのコツ
友達同士が集まる場合は、その場で消費できるものが良いでしょう。
お店で買うなら、ワインやシャンパンなどの飲み物や、ポテトチップスやナッツのような乾きもの、チーズ、もしくは集まりの人数が多そうであればバゲットを複数本買って持っていくと喜ばれる場合も。
お持たせ用の包装も不要。ワインやシャンパンを持ってくる人は、むき出しで持ってきます。
ワインのボトルを片手に友達の家に行く、というのは何ともフランスらしい光景ですよね。
また、日本らしいものにしたいというのであれば、例えばおせんべいなどのお菓子や日本酒、料理が好きなのであればから揚げやちらし寿司など、皆で分けられるものを持っていくと受けが良いです。
そろそろ約束の時間!どうしたら良い?
さて、事前の準備も整い、いよいよ約束の時間が迫ってきました。
時間に正確といわれる日本人としては、約束の時間よりも少し早めに到着……と思いたいところですが、それはやめておきましょう!
時間には遅れていくべし!
例えば「18時から家でパーティーね」と言われた場合、日本人としては時間ぴったりに行きたくなりますよね。
しかし約束の時間ぴったりに行くと、家主以外誰もいない……という状況になったり、ヘタをすれば「もう来たの?」と主催者に驚かれてしまうことも。
それもそのはずで、約束の時間を過ぎてからじわじわと人が集まり始めます。10分遅れで来た人は早い方、30分遅れ位で普通、という状況。
かといって誰も気にしませんし、ある程度人が集まった時点で何となくパーティー開始となります。 「XXが来るって言ってたのに、まだ来ない」とイライラされることもなく、来られる時間に来たらいいというスタンスです。
「主催者への連絡もなしに、長時間遅れるなんて!」と日本人なら思ってしまいがちですが、そこはフランス流ということで理解をしておきましょう。
しかしこれは「友達の家のホームパーティーに行く」という場合なので、例えば目上の人の家や誰かの実家のディナーに呼ばれたという場合は、ある程度時間は守り、大きく遅れる場合は連絡を入れておいた方が良いかもしれません。
家の中のツアーが始まっても驚かない!
私がフランス留学中に驚いたことの一つですが、フランスの人は初めての訪問者に家の中を案内します。
といっても、「お手洗いは右の扉ね」というものではなく、全ての部屋を開けて懇切丁寧に案内してくれます。
家の中を全て見せることで、初めてその家に来た人への信頼を表すことに加え、「自分の家だと思って過ごしてね」という意味合いが含まれているようですが、寝室などのプライベート空間のみならず、キッチンで冷蔵庫の中まで開けて見せられた時には、さすがに驚きを隠せませんでした。
お呼ばれ先での過ごし方
さて、人もだんだんと集まり始め、ホームパーティーが始まりました。
それぞれが飲み物や食べ物を片手におしゃべりに興じていますが、どう過ごすのが良いのでしょうか?
自分の家のように、リラックス!
日本でも誰かの家に招かれると、「自分の家だと思ってリラックスしてね」と言われますよね。とはいえ、そうリラックスできるものでもありません。
ソファや椅子があるけれど勝手に座っていいものか、お手洗いを借りたいから一声かけなければ、飲み物のおかわりが欲しいけれど主催者が忙しそうだから後にしよう……など、色々と気を使ってしまうもの。
しかし、フランスの友達の家ではそんな気遣いは不要というのは、周りのフランス人を見ていれば自ずとわかります。
だからといって、勝手に何でもしていいわけではありませんし、最低限のマナーはあるもの。
フランス人から「あの人何してるの?」と思われるのは、例えば「断りもなくシャワーを使い始めた」「いきなり家主のベッドで寝始めた」「一言もなくその家の棚をあさり始めた」というような、日本だと出入り禁止になりそうなレベルのもの。
飲み物や食べ物が無くなれば、それぞれ勝手にキッチンに行って冷蔵庫を探しますし、お手洗いは誰に断るでもなく普通に使います。
食器が足りないからキッチンから勝手に持ってきた、というのも良くある話です。
逆に言うと、「呼ばれた側だから」と遠慮して飲み物が空になっているのに声をかけられるのを待っている、出された食べ物の味があまり好きじゃないけれど残すのは失礼なので頑張って食べる、というような遠慮をしていると、周りから奇異な目で見られてしまいます。
欲しいものは欲しい、不要なものや苦手なものはきっぱり断っても、「何なのこの人」と思われることはありませんし、遠慮して黙っている方がマイナスイメージになってしまうので、安心してリラックスしましょう。
壁の花にならない!
おしゃべりが大好きなフランス人。
友達同士が集まったホームパーティーでは、いくら喋っても止まらないほどのマシンガントークが繰り広げられます。
そんな時、話の輪に入らずに壁の花になってしまうことだけはやめておきましょう。
フランス語を勉強しているのであれば、フランスの人の生きた言葉を学ぶ絶好の機会ですし、人脈を拡げるのにも持って来いの場だからです。
そのうえ、黙って静かに過ごしていると、「つまらないのかな」と思われてしまうことも。
本当に楽しくない場合はまだしも、自分としては楽しんでいるのに周りから「楽しんでなさそう」と思われてしまうのはイヤですよね。
「そんなこと言ってもフランス語に自信がないし……」という場合、つたないフランス語でも勇気を持って話しかけましょう。
日本人で、フランス語を勉強しているというのであれば、そこから話題も拡がりますし、相手も簡単な言葉で話しかけてくれます。
また、よくあるのが「あの人に話しかけてみたいけれど、友達同士で盛り上がってるから話の腰を折ったら悪いな」と遠慮してしまう場面。
そんな時も、何も気にせずに話しかけて大丈夫です。
例えその場の全員が初対面だったとしても自己紹介から始めればいいですし、話が合わないなと思ったらすっと抜けてしまえばいいのです。
とにかく余計な遠慮や恥ずかしさはかなぐり捨て、全力でその場を楽しみましょう。
帰るのも自分のタイミングで
決まった時間から始まったホームパーティーですが、お開きの時間が決まっているわけではありません。
何となく人が減っていき、残り数人になった頃に「そろそろ終わりにしようか」という場合が多いです。
では、自分はどのタイミングで帰ったらいいのでしょうか。最後までいるべき?それとも途中でお暇する方が良いのでしょうか。
答えは、「自分の帰りたい時間に帰る」が正解です。
まだ誰も帰っていないからもう少しいよう、などと考えず、自分の帰りたいタイミングでその場を後にしましょう。
また、短時間しか居られなくても、予めそのことを伝えておけば「顔だけ出しに来たけど、もう帰るね」といっても失礼にはなりません。
いざ帰る、という場合には、主催者に一言お礼を言って帰りましょう。
しかしこの時、さよならを言ってから実際に家を辞するまで、ある程度時間の余裕を見ておいてください。
帰るという場合、大抵はその場にいる人とのお別れの挨拶が始まるからです。
頬に2回チュッとビズ(キス)をして「今日は帰るね」と伝えるのですが、少人数ならまだしも大規模なホームパーティーの場合、その場にいる人全員とそれをするとなると、かなりの時間がいります。
しかも、別れの挨拶の途中にマシンガントークが始まることも。
本当に時間がない時には、全員に向かって大きな声で「今日はありがとうね~!ビズビズ~!」と言い、投げキッスをして帰るという手もあるものの、基本的には「帰るね」と言ってからすぐその場を離れられるわけではないと思っておきましょう。
まとめ
留学をしている場合、フランス人の家に招かれるというのは、語学の勉強の面でも、その国の文化を知る上でも非常に貴重な機会といえます。
フランス人はしょっちゅう誰かの家に集まりますから、呼ばれたらとりあえず行ってみることをおすすめします。
そもそも「フランス人と交流するぞ!」と向学心を持って臨まなくとも、ホームパーティーはとても楽しいもの。
もちろん日本と異なる点は多々ありますが、それは「郷に入ったら郷に従え」の精神で、違いも何も全てひっくるめて楽しんでしまいましょう!
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