ヨーロッパの冬は長くて寒い、という話を聞いたことはありませんか。確かに北部ヨーロッパでは日照時間が短く、日本では考えられないほど長く寒い冬が続くのも事実です。
最近では、北欧で長い冬を心豊かに過ごすための知恵として、「ヒュッゲ」が紹介されたりしていますよね。
私が留学時に住んでいたのは、南フランスのニース。北部ヨーロッパとは違い、冬でも燦燦と太陽が射す、温暖な地域でした。
雪と氷に閉じ込められるというイメージとは程遠いニースですが、それでも冬はあり、地元の人は「寒い寒い」と言っていることもしばしば。
そんな南フランスでは、寒い冬をどのように過ごしているのでしょうか。
南仏ニースの冬ってどんな感じ?
ニースを含む地中海沿岸の地域は地中海性気候に属し、一年中温暖なエリアと言われています。
夏は乾燥した晴天が続き、冬の間も暖かく安定した気候であるため、北部ヨーロッパやロシアの人々には避寒地として人気があるほどです。
ニースの冬は一般的に12月、1月、2月で、例えば12月の平均気温は最高15度、最低が7度ほど、雨はほとんど降りません。
朝晩や曇りの日はさすがに冷えるのですが、晴天の日の昼間は、日向にいればTシャツになっても寒くないほどの日差しが降り注ぎます。
そして雪が降るのはごく稀。少しでも雪が降ろうものなら、街中大騒ぎで、翌日の地元新聞の一面トップになるほど。
もちろん地元の人はそれなりに寒がって厚いコートを着ているのに対し、北国から来た観光客はTシャツに半ズボンで歩くなど、シュールな光景が見られるのもニースの冬の一面だったりします。
そんな冬の間、地元の人はどのように過ごしているのでしょうか。
ひとりで、もしくは家族で過ごす
オンとオフの切り分けがしっかりしているフランス人。仕事が終わればしっかりプライベートの時間を取ります。
料理
意外と思う人もいるかもしれませんが、フランスは農業国。冬でも街中に市場が立ち、その時期の旬の野菜や美味しい畜産物が並びます。
そしてフランスの冬の料理といえば煮込み料理。イメージ的には手間がかかりそうな煮込み料理ですが、実は準備さえしてしまえば、時間はかかるものの後は放っておくだけ。
そのため、寒い冬は家でのんびり煮込み料理を作ることもしばしば。
野菜がたっぷり入ったポトフや、ブフ・ブルギニヨン(牛肉の赤ワイン煮)を、一人でもしくはカップルで一緒に作ることもあります。
DIY
フランスでは、賃貸住居であっても内部に手を加えることができます。
退去時に元の通りに戻せば、部屋の模様替えをしても、新しい作り付けの家具をおいても、壁の色を塗り替えてもOK。
また、例えばドアの建てつけが良くない、水道の調子が微妙、といった家の中の不調は、自分で直してしまう人も多くいます。
外が寒くて出かけたくない代わりに家の中をさらに居心地よくするべく、DIYに時間を使うこともしばしばあります。
友達同士でわいわい
フランス人といえば、自宅で行うフェット(ホームパーティー)! 夏の間は海にいったりピクニックをしていたとしても、冬の間はそうはいきません。
となると、寒い季節は家に集まる絶好の機会となります。
ゲーム
友人同士で集まって、ワイワイとゲームをするのは日本人もフランス人も変わりません。
最新の家庭用ゲーム機などで、対戦ゲームやスポーツゲームに興じる姿も良く見られます。
しかしそれだけではなく、ボードゲームも大好きなのがフランス人。
日本でボードゲームというとすごろくなどが思い浮かびますが、その種類はRPGや戦略ゲームなど多岐にわたります。
短時間で終わるものから、大がかりなRPGになると、1ゲームの決着がつくまで4~5時間かかるものまで。
しかもお互いにコミュニケーションを取っていかないと進まないのがボードゲームなのですが、話が尽きることもなく余裕で数時間プレイしています。
友達同士でごはん会
冬の日本でホームパーティーというと、鍋が思い浮かびますよね。準備も片付けも簡単、バリエーションもあり、冬のごはん会の主役です。
フランスにも、友達同士でやる鍋のような、ホームパーティー向きの料理があります。それが、「フォンデュ・ブルギニヨン」と「ラクレット」。
「フォンデュ・ブルギニョン」は、日本ではオイルフォンデュとも呼ばれていますが、熱したフォンデュ用オイルの中に赤身牛肉を入れ、好みのソースを付けて食べるというもの。
ソースといっても、瓶入りのマスタードや岩塩、バーベキューソースなどをテーブルに用意しておけばそれだけで準備完了。
あとはオイルと肉を用意するだけなので、非常に簡単です。
「ラクレット」は最近は日本でも提供するお店が増えたように思いますが、元々はお店よりも家で食べるものというイメージ。
日本の家には大抵カセットコンロと鍋があるように、フランスではラクレット用の機械が家庭に置いてあります。
その機械には一人分のチーズが溶かせるトレイがついており、各々チーズを溶かしてハムやジャガイモにかけて食べます。
ヨーロッパで一つの鍋を囲むというと思い浮かぶのは「チーズ・フォンデュ」ですが、南フランスではあまり食べないのか、はたまた私の周りが偶然そうだったのかはわかりませんが、チーズを使った料理といえば断然「ラクレット」でした。
冬もアクティブに!外で何をする?
寒い冬とはいえ、外に遊びに行くことだってあります。
フランスと言えば有名なのがカフェ文化。
冬でも外のテラス席は満員というのはよくある話ですが、室内が完全禁煙だからという理由のほかに、室内の籠った空気より外の新鮮な空気を好むからという説もあります。
といっても、テラス席には強力な暖房が設置されているため、見た目ほど寒くないのも事実。
その他、ショッピングやバーに飲みにいく、クラブで夜遊びするなどの選択肢もあります。しかし、冬ならではの過ごし方もあります。
スキーやスケート
冬、特にクリスマスやカーニバルなどのイベント時期には、街中の広場にはスケートリンクが設置され、老若男女問わず、街中でスケートを楽しむ姿が見られます。
また南フランスとイメージが結びつかないかもしれませんが、スキー場だってあります。
ニースは海の街と思われるかもしれませんが、少し車で走ればアルプス山脈があるため、冬にはスキー場がオープンします。
さすがにバスで山道を1時間以上走る必要がありますが、地中海沿岸の街を起点にスキー場にも行けるなんて、驚きですよね。
クリスマスマーケットやカーニバル
ヨーロッパの冬の醍醐味といえば、12月のクリスマスマーケットに2月のカーニバル! 街中が華やかに飾りつけられるうえ、様々な出店が立ち並ぶため、その時期には屋台で売られているホットワインをすすりながらそぞろ歩く人が多く見られます。
ホットワインは単にワインを温めただけではなく、砂糖やスパイス、果物が入っており、冬のヨーロッパで外歩きをする場合にはおすすめの非常に体があたたまる飲み物です。
まとめ
北部ヨーロッパやロシアに比べ、冬がそこまで厳しくないニース。それでも地元の人々は、寒い季節に合わせてゆったりと過ごしています。
寒くて外に出たくない!と思うのは日本もヨーロッパも共通のことかもしれませんが、外に出ても出なくても、楽しく過ごしたいですよね。
日本も夏が終われば秋になり、あっという間に冬が来ます。次の冬は、フランス人の冬の過ごし方をちょっとだけ参考にしてみるのはいかがでしょうか。
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