みなさん、クリスマスはどのような過ごし方をしますか?
日本では、子供のいる家庭では家族で過ごし、大人にとってはむしろ『恋人同士のイベント』という感じですよね。この時期に恋人がいないと、なんだか虚しい気持ちすらします。
レストランで『クリスマスディナー』たる特別なメニューに舌鼓を打ち、少々奮発したプレゼントを交換し、イルミネーションの奇麗な街を散策する……。
そんな素敵な時を過ごすカップルも多いのではないでしょうか。
子供と過ごす両親は、お決まりのケンタッキーフライドチキンのファミリーパックを買い、クリスマス当日は枕元にプレゼントを置く……。
フランスのクリスマスはと言うと、家族が集結する、年に一度のビッグイベントなのです。
日本はお正月に家族や親戚が集まってお祝いしますが、フランスは逆なのです。クリスマスを家族と過ごし、お正月は友達などと過ごすのが普通です。
ここでは、フランス人家族とクリスマスを過ごした私の体験談をもとに、フランスのクリスマスをご紹介していきます。
フランスでのクリスマス前の様子、準備
11月の様子
11月になると、フランス人はそわそわし出します。クリスマスの準備が始まるからです。
お店の中には少しずつクリスマス商品が並べられます。クリスマスカードや、プレゼントをラッピングするための商品なども大変多く見かけます。スーパーではパーティー用の食品がメインに配置されたりします。
この時期から、12月24日と25日のメニューを考え出す人もいるようです。
11月に入ると、義父に「クリスマスはどうするか決めたか?」と聞かれました。まだそんな1ヶ月以上も先のこと決めていない…と驚いたのですが、それだけフランス人はクリスマスに気合いを入れています。
私はクリスチャンでもないですし、夫婦二人なので、どちらかというとクリスマスはやらなくても良いタイプです。だから「特にまだ何も決めてないですよ。」と答えると、「予定がないなら一緒に過ごそう。」と提案されるのがお決まりになってきました。
12月の様子
12月に入ると、街中がクリスマスムード一色になります。大きなサンタクロースのモニュメントが現れ、クリスマスマーケットが立ち並び、夜はイルミネーションで街中が輝きます。
ちなみに南仏ニースでは、街の中心に大きな観覧車が出現します。
一般家庭では、クリスマスデコレーションが始まります。部屋にクリスマスツリーを飾り、壁にキラキラしたモールをかけてみたり、窓に雪のようなスプレーをしてみたり。
感心するのが、民家の屋外のイルミネーション。これが本格的で、ピカピカ光るライトを壁中に巡らせ、サンタクロースを吊したり、とにかく派手に飾り付けをしている家庭が多いです。
私の近所の家では、毎年12月1日になると、待っていましたとばかりにベランダの装飾が始まります。我が家で食事をしながら、窓越しにそのイルミネーションを見ることができるので、この時期になると少し得した気分になります。
デパートや玩具屋、大型スーパーなどは、プレゼントやデコレーショングッズを求める人でごった返します。
スーパーは通常日曜日は定休日ですが、この時ばかりは営業しています。大きいカートに山の様に食材を積んでいる人が多く見られます。
クリスマスツリー
外では特設の『クリスマスツリー売り場』が設けられ、本物のモミの木が売られます。ちなみにですが、このモミの木は、クリスマスイベントが終了する1月6日以降に一斉に廃棄されます。
昨年のクリスマスは、義父がオマール海老のアメリケーヌソース煮を作ると、3週間前くらいから準備をし始めました。
クリスマスの1週間程前に、「味見をするから食べに来なさい。」と言われました。
クリスマス当日の楽しみにした方がいいのでは…と思いましたが、その時は「あともう少しだね。クリスマスにはちょうどいい味になるね。」などと言いながら、みんなで試食しました。
クリスマスマーケット
クリスマスの時期にヨーロッパに来た方は、あちこちでクリスマスマーケットを目にするのではないでしょうか。これを目的に来られる方もいらっしゃいますよね。フランスでは『Marché de Noël(マルシェ ド ノエル)』と言います。
地方によって規模など異なりますが、私の住んでいる南仏ニースは比較的小さく、2013年にオープンしたPromenade du Paillons(プロムナード ドゥ パイヨン)という大きい公園の一角で開かれます。
以前は出入り自由でしたが、2016年にベルリンのクリスマスマーケットで発生したテロ事件の影響で、マルシェを囲む大きな壁ができ、入口で厳戒なチェックがありました。
ここでは屋台がたくさん出て、クリスマスならではの食品やグッズ、地元の特産品などを買うことができます。また、クリエイターの作ったアクセサリーやランプなどの雑貨もたくさんあるので、プレゼントを選ぶのにも良いかもしれません。
よく見かけるのが、クリスマスの食卓に欠かせないフォアグラやパテ、キャビアなどの食品。また、炒った栗もよく見かけます。日本の甘栗のような香ばしい匂いを放ちます。
地方の特産品と言えば、サントン人形(プロヴァンス地方発祥の土人形)が有名です。もともとクリスマスにサントン人形を飾るのは南仏の伝統だったそうですが、今ではフランス全土に広まり、コレクションしている人も多いようです。
ニースのマルシェでは、シャンパーニュと生牡蠣をスタンドでサービスしているところもありました。
私のおすすめは、Vin chaud(ヴァン ショ)というホットワインです。マルシェは屋外ですので、冷えた体を温めてくれます。飲みながら散策するのも楽しいですよ。
フランスで食べるクリスマス料理
いよいよクリスマスイブです。食卓には豪勢な料理が並びます。
地方にもよりますが、フランスで食べる代表的な料理を下記に挙げてみます。
生牡蠣
クリスマスに街中で見かけるのが、魚介類が山ほど乗った大きなお皿を持って歩いている人。これは『Plateau de fruits de mer(プラトー ドゥ フルイ ドゥ メール)』と言って、牡蠣を中心とした海鮮の盛り合わせです。
盛り合わせまでとはいかなくても、生牡蠣を食べる家庭は大変多いです。
この盛り合わせは、すぐに食べられるように牡蠣の殻が開けられた状態で売っていますが、通常魚屋で売られている牡蠣は殻付きなので、自分で開けなくてはなりません。
各家庭には、たいてい牡蠣を開ける特別なナイフがあるのも面白いところです。日本だとなかなか殻付きの牡蠣を家庭で食べることはないですよね。
ただ、ものすごく固いので女性には難しいでしょう。私も一度挑戦してみましたが、あまりの固さに手を突き刺しそうで怖かったので断念しました…。
フォアグラ
フォアグラはスーパーなど至る所で買えます。クリスマス時期でなくても年中買えますが、この時期は詰め合わせなど、普段お目にかかれないようなフォアグラを買うことができます。
私はフォアグラは苦手なので、買ったことはありませんが…。
アペリティフで、グリルしたパンに付けて食べることが多いです。
スモークサーモン
スーパーに行くと、スモークサーモンの種類の多さに驚くでしょう。
普段はサーモンの薄切り2〜6枚入りのパッケージが多いですが、クリスマス時期になると、40cmくらいの特大サイズのものが並びます。
食べ方は、そのままレモンやライムをかけていただくことが多いです。
七面鳥
フランスの肉屋は、鳥やウサギなどが皮を剥いだ状態で丸ごとショーケースに並べられており、その光景に衝撃を受ける人もいるのではないでしょうか。私もその一人です。
七面鳥も丸ごとグリルします。伝統的なのは、パンの身や栗を七面鳥の中に詰めて焼くファルシー、Dinde farcie aux marrons(ダンド ファルシー オウ マロン)です。
また七面鳥ではなく、ローストビーフやホロホロ鳥を食べる家庭もあります。
デザート
クリスマスのケーキと言ったら、切り株の形をしたBûche de Noël(ビュッシュドノエル)はみなさんもご存知ですよね。
このケーキはクリスマスの時期に多く出回りますが、これは個人の好みで、他の種類のケーキを食べる家庭ももちろんあります。
シャンパーニュ
フランスと言ったらやはりシャンパーニュですよね。まずはシャンパーニュで乾杯をします。
スーパーで安いものだと、なんと12ユーロ(約1500円)くらいから買うことができます。クリスマスの時期には、シャンパーニュの特設コーナーもできるくらいです。生牡蠣との相性も抜群なので、クリスマスには欠かせません。
プレゼント
大人になっても、基本的に親から子供へプレゼントするのが普通です。ちなみに私は、ニースのオペラ座のチケットをもらい、家族でバレエ「ドンキホーテ」を観に行きました。
小さい子供のいる家庭は、25日にプレゼントが贈られます。
日本と違うところは、25日の朝起きると、子供達は一目散にクリスマスツリーに駆け寄ります。クリスマスツリーの下にプレゼントが置いてあるからです。
日本と同じところは、子供たちはサンタの存在を信じています。これは世界共通ですね。
余談ですが、クリスマスプレゼント用のラッピングをしてくれるお店は少ないです。もともと日本が過剰包装だと言われていますが、フランスでは自分で包装紙やリボンを買ってラッピングすることが多いです。
大型スーパーに行くと、包装紙の自動販売機なるものがあり、1メートル単位で買うことができます。
教会
フランスの宗教で最も多くを占めるのがキリスト教カトリックです。大きい街では、大聖堂やたくさんの教会があります。ごく小さい村でも、必ず一つは教会があります。
地方や場所によって時間は異なるようですが、12月24日の夜、ミサが行われるので信者は教会に集まります。
クリスマスの時期、大聖堂や教会の中には『Crèche(クレッシュ)』と呼ばれる、イエス・キリスト誕生の場面を再現した人形が飾られます。
25日前までは、キリストは産まれていないので人形は見当たりません。私は行ったことはないのですが、話によると午前12時にキリストの人形が置かれるそうです。
まとめ
クリスマスの準備に情熱をかけ、大いに楽しむフランス人。クリスマス休暇で会社は休業となり、クリスマスを家族と過ごすために実家に帰省するフランス人。家族との幸せな時間をとても大切にしているイメージを受けました。
クリスマス前に、アパートの管理人からのクリスマスカードがポストに入っていました。他人に対しても、良いクリスマスを願う習慣があります。
日本の新年を祝う年賀状の習慣と似ていますよね。
一方で、お正月を盛大に祝う日本、クリスマスを一大行事とするフランス、文化と宗教の違いを感じます。フランスに住んだら、現地ならではのクリスマスを楽しんでみてください。
海外求人
あなたの挑戦を待っている!あこがれの海外企業へ就職しよう(海外求人)
フランスで働くには?フランスでの就職方法や仕事・求人の探し方
あわせて読みたい
クリスマスにはビーチへGo!オーストラリア流真夏のクリスマスの過ごし方