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フランス・パリで賃貸アパートを探すには?探し方のヒントとよくあるトラブル

家の窓と猫

近年、不動産価格が高騰を続けているパリ。歴史的な街並みは美しいですが、反対に新しい建物の建設が難しく、住宅はいつも不足しています。

選ぶ住居によって生活満足度はかなり変わるので、せっかく憧れの都市に住んで思い通りの仕事ができるようになったとしても、思い描いていた生活が手に入らないこともあります。

今回は、就職活動のように大変だったフランス・パリでの家探しから、住んだ後のトラブル話、なかなか満足する賃貸物件にたどりつけなかった私の経験とパリの賃貸アパート事情をご紹介します。※1ユーロ=129円

目次

フランス・パリの賃貸アパート事情

パリの風景

パリ市内は、山手線の内側ほどの面積しかありません。しかし、国際都市として海外から多くの人が押し寄せ、近年では不動産が高騰しすぎているロンドンからパリへ海外資本が流入し、パリ市内の不動産価格はここ20年で約4倍に上昇しています。

パリ自体も古い街なので新しく建築することが難しく、増える需要に応えられるだけの供給ができません。

そんなパリでは、賃貸物件を探すのも容易ではありません。良い物件などは掲載されたその日の数時間で数十本の電話がかかり、内覧の予約さえ取れないこともざらにあります。

こういった事情から、パリは常に売り手・貸し手にとって有利な街になっています。

フランス・パリの賃貸アパートの探し方

パリの街並み

私はどのアパートを探す時も、決まるまで3ヶ月程度かかりました。毎日ネットやチラシなどでチェックして希望に合う物件をピックアップし、10件ほどメールや電話でコンタクトをとります。

その中で内覧までたどり着けるのは1戸程度で、1週間で4〜5戸のアパートを内覧しました。この3ヶ月間は就職活動のように大変でした。

以下、パリでアパートを探す際の代表的な方法・サイトを挙げてみます。

フランスの不動産会社サイト

物件も多く、中には魅力的で手頃な価格の賃貸物件も多いです。ただし、求められる条件や必要な書類が多く、住み始めたばかりの外国人にとっては不利なことも多いです。

フランスの不動産情報サイト

フランス国内の、不動産を通さず個人間で賃貸ができるサイトで探す方法です。交渉にフランス語が必要ですが、不動産手数料もかからず物件も豊富です。

ただしこちらも人気物件となると人が殺到するので、掲載されてすぐにコンタクトを取る必要があります。

日本人向けのコミュニティーサイト

日本人コミュニティーのサイトで、日本人向けに不動産を賃貸しています。個人間のやりとりになるので条件面も柔軟で、パリに来たばかり、という人も交渉次第で借りることができます。オーナーが日本人の場合は日本語でやりとりもできます。

日本人向け不動産会社サイト

こちらも日本人向けに不動産を取り扱っているので、フランスの不動産会社経由で借りるよりも条件はゆるいです。ただし、手数料などが他の方法に比べて高額になる場合が多いようです。

フランス・パリの賃貸アパートを借りる条件

パリの街並み

フランスの不動産会社で借りる場合

フランスでは基本的に、賃金取得者は給料明細書を提出し、世帯所得の3分の1以下の家賃の物件しか借りられません。学生の場合は、保証人が2人必要です。

賃貸物件を探すときに提出を求められる書類は以下の通り。

  • 3ヶ月分の給料明細+就労契約書
  • 納税証明書
  • 3ヶ月分の家賃支払い証明書
  • 3ヶ月分の電気・ガスなどの公共料金の支払い明細
  • 保証人の3ヶ月分の給料明細+就労契約書

不動産会社によって提出する書類は変わることがあるものの、たいていの場合はものすごい量の書類を提出することになります。

フランスの不動産会社以外の方法で借りる場合

日本の不動産会社やフランスの個人サイトなどで直接借りる場合は、求められる書類は少なくてもよい場合が多いです。

パリに引っ越したばかりという人は、書類も条件も圧倒的に足りないので、やはりフランスの不動産会社以外で探すことになる方が多くなります。

フランス・パリの賃貸アパートでよくあるトラブル

パリ

パリは古い街で、建物が老朽化しているのを建て替えずに修繕しながら使っている物件がほとんどです。なので、家に関するトラブルは日常茶飯事。その中でも、実際よくあるトラブルを挙げてみました。

水漏れ

どこかの水道管が壊れていたり、浴槽の繋ぎ目にヒビが入っていたりが原因で、水漏れがしょっちゅうおこります。近隣、特に下の階の部屋の天井や壁に浸水したりするので、お互いの家で水漏れ箇所をチェックして修理します。

大抵の家では保険に加入しているので、保険料で賄われ家主、借主共に費用は発生しないことがほとんどですが、水が一時的に使えなくなったりと不便なことが多いです。

カビ

乾燥しているフランスですが、寒さや暑さを遮断する為に窓が2重窓になっているアパートも多いです。2重窓になっていると冬の間も暖房の熱を逃さず、夏の暑さも遮断するので冷房のないアパートでも夏も涼しく過ごせます。

けれど同時に、密室性が高いので家の中の湿気も逃げずにカビが大量に発生します。このカビに悩まされている友人も多く、日本から除湿グッズを大量に取り寄せているという友人もいます。

私も今まで住んだ家のすべてでカビが発生して、カビ対策が大変でした。

騒音

若い人が多いアパートではホームパーティーなどの騒音、家族が多いアパートでは子供の声や足音などの騒音が問題になります。

私も子供が生まれるまでは無縁でしたが、子供が生まれて歩くようになってから、下の階の人とトラブルが起こるようになりました。

特に、壁が厚く天井の高いオスマン建築ではない古い建物、または、60〜80年代に建てられたアパートなどは天井や壁が薄く、小さい物音でも近隣に聞こえてしまうようです。

音が気になる方や、反対に子育て中の方、ホームパーティーをよくする方は引っ越しをする時に注意した方が良いです。

私もトラブルの中で1番悩まされているのがこれで、子供が生まれてから下の階の人と衝突が絶えません。

フランスでは壁、または天井を叩いて騒音元の家に知らせるという方法がとられるようです。

私は1番最初これが何を意味するのか全くわかりませんでした。どこからかトントン、という音が聞こえてくるので誰か来たのかと思い玄関に出てみても誰もいない。

数回繰り返され、どうやら子供が騒いでいるときにトントン、という振動を床下から感じることがあるということに気づき、下の人からの騒音に対する苦情だったということが分かりました。

もちろん騒音がひどい場合は、直接家に苦情を言いにくることもあります。

対策は、子供が小さい場合はなかなか難しいですが、カーペットやマットレスを敷く、苦情を言われにくい場所(家の場合はベッドの上やお風呂場など)で子供が騒ぐ時は遊ばせる、などをしています。

私が住んだパリの賃貸アパート3戸

雑貨

マレ地区ワンルーム

ローマから引っ越して初めてパリで住んだアパートです。マレ地区の真ん中にあり、ロフト式のワンルームで広さは25平米くらいでした。

光熱費込みで家賃1,000ユーロ(約130,000円)。家具付き(家具付きだと家賃は少々高くなりますが、引っ越しがとても楽になるので短期滞在や引っ越しが多い人は家具付きの物件を選ぶのが便利です)。

夫と2人で住むにはかなり狭かったのですが、とにかく便利な立地だったので満足していました。

オーナーがとてもインテリアに凝る方で、家具も全てアンティーク、内装もとても綺麗で雑誌に出てくるようなアパートでした。

そのせいか、家賃を払う時にオーナーが家に上がり込み、部屋が散らかっている、掃除の仕方が違うなどといろいろ口を出されたので、そういう点では住みにくかったです。

このアパートは妊娠したため手狭になり、引っ越しをしました。

モンマルトル 1LDK

モンマルトルに近いアパートで、広いサロンに寝室がある物件でした。広さは40平米。こちらも家具付き。家賃は光熱費別で900ユーロ(約116,000円

アパートの部屋は快適だったのですが、周辺地域の治安が悪く赤ちゃんとベビーカーで出歩くのが怖い感じでした。ゴミ捨て場などの共用スペースもいつも汚く、事前に部屋以外でもチェックすべきだったと思わされました。

アパートの近隣の住人も単身者が多く、ホームパーティーがよく行われていて夜遅くまで音楽が聞こえていたりしました。

住んでいたアパートの棟もワンルームで単身者が多く、1度上の階の男性が夫のいない夜に「仕事先に財布を忘れたからお金を貸して欲しい」と、家を訪ねてきました。

突然で、赤ちゃんと2人で怖かったのもあり、5ユーロしかないと言ってそれだけ渡しましたが、次の日から廊下であっても挨拶を返されることはありませんでした(もちろん5ユーロが戻ってくることはありませんでした)。

部屋の内部だけではなく、周辺の治安やアパートの共用部分を、ざっくりとでも、どんな人が住んでいるかもしっかり見ないといけないと思わされた物件でした。

結局半年後に、家主からアパートを売りたいので出ていって欲しいと言われ、また引っ越しすることになりました。

パリ郊外 2DK

パリに隣接している郊外で、2DKで45平米、光熱費別で970ユーロ(約125,000円)。家具付き。

2DKといってもサロンを2つに分けただけで、別の部屋へ行くにはもう1つの部屋を通過しなければいけない、という住みにくいアパートでした。

周辺地域の環境は良く、公園もスーパーも近く、交通もパリ中心まで急行鉄道で10分というアクセスの良さでした。

こちらはアパートの住人もしっかりした人が多そうでしたが、逆に細かいことも多かったです。

ゴミ捨てで夫が分別を間違えてしまったのを、部屋まで管理人代わりの下の階の人が訪ねてきて「このゴミを捨てたのはきっとあなたたちだ、あなたたちが引っ越してくるまで分別はきちんと行われていた」と言われました。

もちろん間違えた私たちが悪いのですが、ゴミひとつまで見張られているようで居心地が悪かったです。

その他にも、階段で少し娘がぐずって泣くとすぐに誰かが家から出てきて注意されたり、子供の足音がうるさいと騒音問題が起こったのもこのアパートでした。

共用部分もとても綺麗で、住んでいる人もちゃんとしたアパートでしたが、子育て中の私にとっては神経質が過ぎると感じることが多く、気疲れしてしまいました。

前のアパートは治安も悪く共有部分も汚かったのですが、子供の泣き声や足音などの騒音にも寛容で、こちらも細かいことを気にする必要がありませんでした。

そう思うと、近隣住民とのちょうど良い距離感と住み心地というのも、また難しい問題だとここに住んで考えさせられました。

フランス・パリで理想の賃貸アパートを探すには

パリに住む場合は、とにかく家探しが大変で、理想の物件と環境の両方を手に入れることはとても難しいと感じました。現在私はフランス地方に住んでいますが、ここと比べてもパリは突出してアパート探しが難しかったです。

それでも、パリに住んで得られる仕事やパリの街の歴史的遺産などは他の街では得られないものがあると思います。時間がかかるかもしれませんが、いつか理想のアパートに出会えるよう頑張りましょう!

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この記事を書いた人

2004年よりイタリア・フランス在住。
イタリアソムリエ協会認定ソムリエ。パティシエール。
ローマ・フィレンツェ・パリ・ボルドーに在住経験あり。
お菓子レシピサイトChicca Foodを運営しています。

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