バンコクの西側に、ワット・サケットという寺院があります。黄金の丘としても知られる、タイ人にも観光客にも人気のスポットです。平地のバンコクにある唯一の人工の丘で、頂上に建つ金色の仏塔がとても美しい寺院として知られています。
先週、このワット・サケットに行く用事ができました。ワット・サケットは地下鉄やスカイトレインの駅から離れていて、最寄の駅からでもタクシーを使わなくては行けません。
荒い運転やぼったくりのイメージが強いバンコクのタクシー、私はとても苦手です。そこで、もうひとつの交通手段を選ぶことにしました。バンコクの細い運河を走る、センセープ運河のボートです。
バンコクに7年住む私も初挑戦の、難易度が高いとされるセンセープ運河のボート。どんな交通手段なのか、なぜ難易度が高いのか、実際に乗った感想をレポートします。
バンコクのセンセープ運河とは
タイにはいろいろな交通手段があります。地下鉄、スカイトレイン、バス、タクシー、そしてチャオプラヤー川を行き交う船。
これらの交通手段は私たち日本人も頻繁に使います。ですが長年タイに住んでいても滅多に使わないのが、センセープ運河のボートです。
タイ人にとっては大切な交通手段のセンセープ運河のボート
センセープ運河の一部は、スカイトレインから少し離れた場所を平行に走っています。デパートなどで賑わうエリアではなく、静かな住宅地にある細い運河です。
私たち日本人がよく行くレストランやデパートはスカイトレインの駅周辺に集まっているので、日常生活でセンセープ運河のボートを使うことはありません。
それでも何故か、「センセープ運河のボートに乗る時は落ちないように気をつけなくてはいけない」ということだけは知っています。
渋滞知らずの貴重な移動手段
そんなデンジャラスなイメージのあるセンセープ運河のボートですが、バンコクに住むタイ人にとっては大切な交通手段です。タイ人の友人も、毎日通勤に使っています。
渋滞のひどいバンコクでは、渋滞知らずのこのボートは貴重な乗り物です。ワット・サケットに行くのにセンセープ運河を選んだのは、タクシーが苦手だからということもありますが、渋滞を回避したいということもありました。
ボートのプラットホームにて
路線図と地図を見比べた結果、バンコクの中心地セントラルワールド近くの船着場から乗ることにしました。目的地はワット・サケットの最寄の船着場です。
船着場は独特の雰囲気
船着場のプラットホームに下りたところで、早くも私はセンセープ運河の危険を察知します。とても臭いのです。
ホームにある食堂が臭いのか、運河の水が臭いのかはわかりません。とにかく臭いのです。
とにかく落ちないこと
運河の水は茶色く濁り、水面にはゴミが浮いています。こんな水が目や口に入ったら、絶対に菌にやられてしまうでしょう。もちろん、落ちた時のことなんて考えたくありません。
そんなことを考えているうち、向こうから船がやってきました。縦に細長い、屋根のついた船です。下船客が降りきったら、いよいよ乗船です。
ボートに乗船
船の横幅は、5人座れる程度です。私はどの位置に座ればいいのか迷いました。
一番端では水しぶきが飛んでくるだろうし、真ん中に座ろうと思った時です。後から乗り込んでくる人に流され、端に座ることになってしまいました。
ですが、ここで新たな発見が。
水しぶきを避ける
船の縁には、水しぶきを避けるためのビニールシートが付いています。屋根から下がっている電車のつり革のようなものを引っ張れば、船の縁からビニールシートが引き上げられるという仕組みです。
私は水しぶき対策にマスクとサングラスを装着し、手にはつり革をしっかりと握りました。さあ、船は船着場を出発します。
噂の真実
船の縁を上手に歩いてくる係員にお金を払います。10バーツを払ってもおつりがきたので、きっと7バーツくらいだったのでしょう。
船着場を出てしばらくはゆっくりと進み、まるで東京の目黒川の桜クルーズのようでした。臭くて汚い川ではあるけれど、のんびりとした川下りを楽しめそうな気持ちにさえなりました。
危険な噂はウソだった、心配するほどの乗り物ではない、そう思い始めた時です。船は急にスピードを上げ、ザンザンと水しぶきを飛ばして走り始めます。私は握っていたつり革を引っ張り、ビニールシートをマックスまで引き上げました。
それでも汚い水しぶきは顔に飛んできます。マスクとサングラスをしていなければ、目や口に入っていたことでしょう。
ボートはかなり揺れる
それに、左右にかなり揺れます。この程度の揺れでは船が転覆することはないのでしょうが、汚い水に落ちたらと思うと気が気ではありません。
途中にあるローカルな船着場で降りるタイ人もいました。ですが利用客の少ない船着場では、船は徐行はするものの止まったりはしません。川に落ちないように乗り降りしなくてはいけないという危険な噂は、本当だったのです。
本当は写真を撮って友人に見せたかったのですが、そんな余裕はありませんでした。私の両手は、水しぶきを避けるビニールシートを引き上げるのに必死だったのです。揺れと水しぶきに耐え、目的の船着場に着いた時はホッとしました。
さすがにワット・サケットという観光スポットが近いだけあって、下船客も多い船着場です。船もきちんと止まってくれたので、飛び移るような降り方をすることはありませんでした。
まとめ
初めてのセンセープ運河のボート、噂どおりデンジャラスな雰囲気たっぷりの乗り物でした。ですが渋滞にはまることもなく、便利な乗り物であるということにも納得です。
もしまたワット・サケットに行くようなことがあれば、タクシーよりもセンセープ運河を選ぶでしょう。
あなたもタイで働いたら、センセープ運河で通勤することになるかもしれませんよ。是非一度、話の種に乗ってみてください。
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