中国で働くには?中国で就職したい日本人向けの仕事と求人の探し方

中国就職 海外転職ノウハウ

世界最大の人口を誇り、IT企業の急伸など経済面でも存在感の大きい中国。

そんな中国で働きたい!と思った場合、まずはどんな仕事があるのか、今までの仕事の経験は生かせるのか、ビザは?給料は?生活費は?など、とても気になるところですよね。

ここでは、中国での日本人の就職事情や待遇、働き方などを見ていきます。現地で働いている、あるいは働いていた日本人による記事もあわせてご紹介しているので、リンクから気になる記事を読み、彼らの生の声を把握して就職のチャンスにつなげてください。

中国就職の5つのポイント

  • 中国の就職状況・特徴を知る
  • 中国語や英語などを勉強し幅を広げる
  • 中国で働く自分をイメージする
  • 専門知識を身につけ中華系企業も狙ってみる
  • 転職サイトを利用する

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中国における日本人の雇用・就職状況

ビル

近年の中国における製造関連企業の技術の伸びは凄まじいものがあります。今までであれば、日本から技術を学び、製品を作り……だったものが、中国企業独自の技術でも生産することが可能になりました。

また、売価の面でも日系企業と中国企業とでは差が大きく、さらに人件費も高騰しています。

そのような状況の中、外資企業に対しての税務上の優遇措置が廃止されたために中国での生産自体にうまみがなくなってきており、中国に進出していた日系企業は規模の縮小や撤退などの動きを見せています。

日系企業の中国での存在自体が危ぶまれているため、日本人に対しての募集枠も縮小しているのが現状です。

中国で働くことを選ぶ理由

中国就職を目指す日本人にとっては厳しい状況ですが、それでも中国での仕事を勝ち取ることは可能です。日本人が中国で働く理由にはどのようなものがあるのでしょうか。

日系企業の存在が危ぶまれてきているといっても、外務省の統計によると中国は世界の中でもっとも日系企業進出数が多い国です(2022年現在)。このことは、海外の中でも中国を選ぶ理由として大きなものになるでしょう。

また、地理的に日本からの距離が近いため、何かあったときにすぐに飛行機で帰れることも魅力の一つです。

さらに、英語圏の国ではないので、英語が話せなくても仕事があるという理由を挙げる人もいます。

中国で働く日本人の多い地域(上海、北京、深センなど)

中国に滞在している日本人の数は、外務省の海外在留邦人数調査統計によると全土で約12万人。海外ではもっとも日本人在住者の多いアメリカに次ぐ2番目の数となっています(2017年現在)。

中でも日系企業・日本人が多い地域は、上海、北京、深セン、蘇州、広州、大連などです。

各地域の特徴

上海エリア(上海、蘇州、杭州)

中国でもっとも多くの日本人在住者がいるのが上海です。2017年現在、約5万6000人の日本人が在住しています。日本企業の進出も多く、日本語のみでも生活することが可能です。

地下鉄、ショッピングモールも発展しており、日本と変わらない生活をすることができます。

北京

首都である北京には、日本人は8,000人ほど滞在しています。

例えば、ビジネス、文化、教育、医療、科学技術、その他の分野で働く日本人が多くいます。また、北京には多くの外資系企業があり、外資系企業での就職や転職も可能です。

一方で、北京は中国本土の中でも賃金が高く、生活費も高めです。そのため、北京に住む日本人は、通常、専門的なスキルや経験を持ったプロフェッショナルであることが多いです。

そのほか、日本語のフリーペーパーや日本人会、サークル活動などがあり、日本人同士の交流も盛んです。

広州・深セン

広州には約2万人を超える日本人が在住しています。

また深センは、中国の代表的なIT企業であるテンセント、ファーウェイをはじめとする情報系企業が集まり、アジアのシリコンバレーと呼ばれるほど急成長している地域です。香港にも近く、人、企業の交流が盛んです。

天津

中国の中心的都市の一つ。2000人ほどの日本人が滞在しています。北京から約30分〜1時間の距離にあり、日系企業の進出も進んでいます。

サークルや日系のフリーペーパーがあり、日本語で情報を得ることができます。

大連

4,800人ほどの日本人が滞在しています。中国の中でも親日地域として知られ、数多くの日系企業が進出しています。

日本語のみの求人なども見つかるので、はじめての就職先に大連を選ぶ方も多いです。

瀋陽

約1,500人の日本人が滞在。大連の北に位置し、日系企業の進出も進んでいます。

大連から新幹線で行くことができるため、大連から瀋陽へ、瀋陽から大連への交流も盛んです。

青島

2,400人ほどの日本人が滞在しています。繊維系日系企業の進出が盛んです。

日本人会、日本語の情報誌、サークル活動、日本食レストランも数多くあり、中国語が得意でなくても生活可能です。

重慶

約900人の日本人が滞在しています。日本クラブがあり、三井物産、日本通運など日本の大手企業が参加しています。

日本人向けサービスは縮小傾向

このような日本人が多い地域では、これまでサービスを提供する会社、例えば以下のような企業なども付随して進出していました。

  • 日本人向けに部屋を仲介する不動産業者
  • 日系企業を対象にしたコンサルタント会社
  • ビザ取得会社
  • 物流(引っ越し関連含む)
  • カルチャー(資格取得)の学校
  • 子ども向けの塾
  • 美容院
  • メディア・情報誌

しかし、その市場も規模が縮小しているか、あるいは中国人向けに特化していく傾向にあります。

とはいえ、日本人向けの求人はあるので、中国で働くチャンスはまだまだあります

中国内陸部にビジネスの場が移動

武漢

中国政府は2012年の第18回党大会において、「2020年までに中国国民の所得を倍増させる」という「所得倍増計画」を発表しています。

これにより中国では人件費が毎年高騰しており、主に沿岸部で工場などを建設・運営していた企業は、安い人件費を求めて武漢などの内陸部へ移転しています。

内陸部での日本人向け求人が増加中

中国において大都市といわれる地域は、これまで東側沿岸部に多くありました。しかし現在、内陸部でも大都市化している場所がたくさんあります。

人件費がもともと低いため沿岸部よりも安く雇用できるとあって、多くの企業が内陸部へ移転し、それに伴って募集がかかる地域も内陸部へと移動しています。

今後、中国内陸部でも人件費は当然、高騰していくでしょう。

また、日系企業を含む海外資本の企業については、中国を「安く生産するための工場」から「販売先」に転換する内販拡大型の企業が生き残っていくと考えられます。

沿岸部にこだわらず柔軟に

中国で働くなら都会がいい!と漠然と考えて沿岸部(上海など)にこだわっていると、なかなか思うように決まらないという声もよく聞きます。中国で働く意味をしっかりと考え、沿岸部にこだわらず内陸部へも目を向けることが大切です。

上海での就職が不可能かといえば、そうではありません。ただし、一地域にこだわりすぎず柔軟に地域を選択していくことが中国就職の実現につながっていくのです。

中国で多い日本人向け求人の業種・職種

仕事

後述しますが、中国では外国人に対する就労ビザが下りにくくなっています。

しかし、それでも中国でやっていくと決めた日系企業はまだまだあり、その大規模な市場を念頭に「中国で売れる製品を作る!」「中国で受け入れられるサービスを提供する!」と頑張っている企業があります。

では、具体的にどんな業種や職種の求人があるのでしょうか。

日本人向けに多い業種

以前より数は減少していますが、技術関連(自動車、ゴム、プラスチック成型、金属・プレス、電子機器)などの企業の求人は引き続きあります。

また、建設、不動産、IT関連、日系企業や日本と取り引きを持つ中国系の企業などで募集が出ています。特に、専門知識を持った人材は中国でも重宝されます。

日本人向けに多い職種

営業職

次に職種ですが、最も多いのが営業職です。会社の顔として、外に出て日系企業、または中国系企業にアピールする営業職はどの会社でも必要とされています。

売り上げを上げるための窓口となる営業職はやはり日本人で、という判断からでしょう。

事務的なポジションはどんどん中国人に移行する傾向ですが、営業職はまだまだ日本人を求める企業が多いのです。

ただ、以前は若くて、バイタリティーがあって、日本語さえできればといった条件での営業職の募集も見られましたが、現在ではやはりある程度のコミュニケーションが取れる語学力が求められています

生産関連の技術者(品質管理・生産管理)

自社で生産している製品についての技術を持つ人や、実際の現場を監督するポジション、工員に技術を指導するポジション、品質管理・生産管理などの求人があります。

購買・物流担当

工場勤務経験のある文系の方であれば、購買・物流担当なども募集が出ています。

建設現場監督・施工管理者

建設関連であれば、現場監督、施工管理者など、現場作業員をまとめるポジションなどの求人があります。

日本語のみで働ける、中国語不要の仕事

中国語が苦手、でも中国で働きたいという場合、どのような選択肢があるのでしょうか。もちろん企業により異なりますが、中国でも日本語のみで働ける仕事はあります。

  • 日系企業への営業
  • エンジニア
  • デザイナー
  • 不動産仲介会社の日本人部門
  • 日系クリニックの受付
  • 日本人学校の先生
  • 日本語教師
  • コールセンタースタッフ

日本語のみで働きたいなら、これらの仕事に絞って探してみると見つけやすくなります。

ただし、中国には日本語が流ちょうな人がたくさんいるため、日本語ネイティブであるというだけで優位に立つのは厳しいのが現状です。日本人ならではの高い品質や、相手の立場に立ったサービスが求められていると考えるとよいでしょう。

営業職

営業職では中国語を求められない場合も多くあります。日系企業向けの営業、日本人向けのサービスを行なっている企業では、日本語のみで働くことが可能です。

中国に6年ほどいましたが、現地採用であっても中国語が話せない人を結構見てきました。

コールセンター 

コールセンターの仕事では、語学不問が多いです。特に、電話の相手は日本人であるため丁寧な日本語を話せることが大切です。

また、コールセンターではたくさんの日本人が働いていますので、日本のような雰囲気になっています。

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中国で働く方法

現地採用として働く

中国で働く日本人で最も一般的なものとして、現地採用として働く方法があります。中国に進出している日系企業や現地法人と直接契約し就職する方法です。

日系企業向けの営業や貿易など幅広い分野で仕事を探すことも可能。中国に留学しそのまま現地で就職する人も多いです。

WEBサイトやフリーペーパー、知り合いのツテで探したりと意外に仕事が見つかります。

日系企業の海外駐在員として働く

中国に進出する日系企業の多さから、中国駐在員の募集も多く出ています。例えば、現地子会社の社長(総経理)、副社長(副総経理)、マネージャー、工場長、エンジニアなどの求人が多いです。

特に海外駐在員は、給料や待遇が現地採用社員よりも高くなります。自分の力を試してみたいという方はこちらを狙いましょう。

中国で駐在員として働くための方法は2つです。

  • 中国に子会社・関連会社のある企業に就職する
  • 中国駐在員を募集している求人に応募する

中国というだけで良くないイメージを持つ人が多いため、中国駐在員は比較的狙い目です。スキル、業務経験、中国語を身につけて駐在員を目指しましょう。

新卒で中国で働く

2019年現在、中国で新卒で就職するのは非常に厳しい状況になっています。

上述したように外国人就労者に対してのランク付けがあるため、最低でも何年かの就労経験が必要です。就労経験がない場合、何かしらの高度な専門知識が求められます。

どうしても新卒で中国で働きたい場合は、中国だけに絞らず日本国内で中国と関係のある企業を探すなど、複数の選択肢を持つようにしましょう。

中華系企業で働く

中国の有名な企業としては、

  • 家電のハイアール
  • 電子機器のレノボ、ファーウェイ、シャオミ
  • インターネット関連ではテンセント、百度(バイドゥ)、アリババ
  • 金融では中国工商銀行、中国建設銀行
  • 通信のチャイナ・モバイル
  • 石油の中国石油
  • 航空会社の中国国際航空、中国南方航空、中国東方航空

などがあります。

中国の上場企業を業種別に分類すると、多い方から金融業が22.7%、工業が15.4%、非日常消費財産業が14.0%を占めています。

中華系で働くには、エンジニアや開発者が圧倒的に有利です。スマホの開発、家電開発、重機開発など中国が世界と凌ぎを削る分野では日本人向けの求人が多々あり、また、待遇が良いことも多いです。

以前は年収4,000万円という求人もいくつかありました。

条件として、「指定の一部上場企業に勤めていること」など業種を制限して求人が行われます。

中国で働いた場合の給料相場

中国元

働く上で気になるのがお給料。どのくらいの額がもらえるのか、相場を知っておきたいですよね。

中国においては地域によってかなりの差があります

地域ごとの給料額目安

まずは筆者が働いていた華南地域を例に取ってみます。

華南地域の目安の給与額(1カ月)

  • 営業職の若手レベル:1万2000〜1万6000元(約20万4000〜27万2000円)
  • 熟練営業マン:2万元(約34万円)〜
  • 技術職(専門職):2万〜3万元(約34万〜51万円)

を提示している企業が多いです。

持っている技術がその企業の製品に合致しているかどうかで決まってくるので、3万元(約51万円)まで検討と提示されていても、まずは2万元(約34万円)ぐらいからで様子を見たいといったことも多々あります。

購買や物流担当だと1万5000〜2万元(約25万5000〜34万円)の提示が比較的多いように感じます。

大連の目安の給与額(1カ月)

  • 管理・品質管理・技術指導:1万〜3万元(約17万〜51万円)
  • エンジニア、技術者:1万〜2万5000元(約17万〜42万5000円)
  • 営業(セールス):7000〜2万5000元(約11万9000〜42万5000円)
  • カスタマーサポート・コールセンター:6000〜2万元(約10万2000〜34万円)

これらの金額はあくまでも目安であり、経験によって提示額よりも下回る可能性もあることを頭に入れておいてください。

中国で求人応募から働くまでの流れ

基本的な就職活動の流れは日本と同じです。

  1. 転職サイトに登録する
  2. 応募する
  3. 面接する
  4. 渡航する

上記のようになります。

転職サイトに登録する

中国の求人は、ますは日系大手の転職エージェントへの登録から始めましょう。

理由は最初の就職活動で、ビザの出ないブラック企業を避けるためです。

リクルートエージェントやJAC Recruitmentなど大手の転職エージェントであれば、失敗する確率を下げることができます。まずはどのような求人があるのか探してみましょう。

そして、給料や待遇、勤務地などを見比べながら自分の希望に合うものをピックアップしていきます。

転職エージェントのサポートを受ける

リクルートエージェントやJAC Recruitmentを利用すると無料のサポートが受けられます。転職エージェント独自の非公開求人も多いため、希望の求人が見つからない場合は積極的にメールにて聞いてみましょう。

エージェントは求人の提案、給料交渉、履歴書作成、日程の調整などを行ってくれるので、日本で働きながらでも転職活動を行うことが可能です。

面接

希望の求人が見つかり、書類選考が終わったらいよいよ面接です。中国へ渡航できない求職者のためにオンラインでの面接を行なっている企業も多く、面接しやすい環境にあります。

また、日本に本社がある場合は、日本で面接を受けることが可能です。

渡航

採用が決まったら渡航です。渡航費用は企業側が出してくれることが多いので相談してみましょう。

また、雇用契約書をしっかりとチェックし、「そんな話聞いてないよ」ということがないように確認することも大切です。

中国向けおすすめ転職サイトとは

未経験から中国への就職を成功させるなら:リクルートエージェント

  • おすすめ度:★★★★★
  • どんな人向け?:20代、30代、未経験、広い選択肢から中国の求人を探したい
  • ポイント:業界最大手。登録すると全体の80%を占める非公開求人を見られる
  • 組み合わせ:+LHH転職エージェント

中国の求人を探すならリクルートエージェントがおすすめです。中国人数が一般の転職サイトよりも多くあります

以下のような求人が公開されており、年収としては450万円〜600万円が多く非公開求人も多数あるため登録しておいて損はしないでしょう。

  • 海外営業
  • 運営管理
  • 通訳
  • 貿易

日本でも最大手のエージェントであり、頼れるアドバイザーが在籍しています。登録は3分程度、全て無料で利用できます。

 

中国駐在員(海外駐在員)を狙うなら:JAC Recruitment

jacリクルートメント

  • おすすめ度:★★★★★
  • どんな人向け?:語学力がある、大卒以上、30代以上、年収600万円以上
  • ポイント:駐在員案件・外資系企業案件に強く、中国就職を目指すなら登録必須
  • 組み合わせ:+ビズリーチ(職務経歴書まで入力してオファーを待つ)

中国駐在員を目指すなら外すことができないのがJAC Recruitment。海外にも拠点がある大手の転職エージェントです。

比較的ハイレベルな求人が多く、「30代以上で語学力がある」方におすすめです。

  • 営業職
  • 現地社長
  • 工場長

などの求人があり、「社宅付き」「通訳付き」「外資系企業の案件」まで幅広い求人が掲載されています。

レスポンスも良く安心して転職活動を任せられます。登録は3分程度、全て無料で利用できます。

 

中国の就労ビザを取得するには

外国人就業証

基本的な条件

Zビザを取得する上で以下の条件があることが望まれます。

  • 大学卒業以上かつ就労経験2年以上
  • 60歳以下
  • 健康であること
  • 犯罪歴がないこと
  • パスポートの残存有効期間が6ヵ月以上あること

外国人就労者のランク付け

中国政府は昨年(2016年)、2017年4月以降に外国人就労者をA、B、Cとランク付けし管理していくことを発表しました。

このランク付けの意義は、優秀な人材の流入を促進する一方、ハイレベルではない人材を抑制し、中国国内の一般労働者の雇用を守ることにあります。

ランク付けの主な基準

  • Aランク:中国政府から選ばれた人、国際的に認められた資格などを保有する人、優秀と認められた若者、ポイント制(後述)で85点以上の人など
  • Bランク:中国の大学で修士以上の学力を持つ人、世界の大学ランキング100位以内の大学で学位を取得した人、外国語の教員、ポイント制で60点以上85点未満の人など
  • Cランク:行政機関からの許可により雇用された人、中国と外国政府との協議に基づいて雇用された人、インターン生、季節労働者など

ポイント制とは

中国の就職先で支給される年俸の額、教育の程度(博士、修士、学士)や卒業した大学のレベル、勤務時間、中国語のレベル、年齢など決められた項目にそれぞれポイントが設定されており、その合計点で判断されます。

各レベルの条件をあらためて見てみると、ポイントの合計が85点以上であればA、60以上85点未満であればB、60点未満であればCとなるようです。

ビザ取得がより困難になる可能性

これまでであれば、技術を持った人やバイタリティーを持った若者など会社が必要と判断した人材であれば、ビザの取得もそれほど困難ではありませんでした。

しかし、外国人に対する就労ビザの発行は年々厳しくなっているのが現状です。特に北京では近年審査が厳しく、大学学部卒以上の学歴と、2年以上の関連職歴が必須であるといわれています。

さらに今後、このランク付けが厳密に行われると、技術を持っているが高校までしか出ていない、若いけれど語学力が高くないといった人のビザの取得に影響が出てくることが懸念されています。

就労ビザ取得の流れ

中国の就労ビザを取得する手順は以下のようになります。

  1. 中国を訪問し、必要書類を申請・取得
  2. 書類を持ち日本へ帰国
  3. 日本で申請後、必要書類を持って中国へ行き就労ビザを取得

地方によって手続きに差異があるので、詳しい情報は専門機関に問い合わせてください。

中国就職後の生活費

お給料について紹介しましたが、中国で生活するとなると生活費はどのくらいかかるのでしょうか。

一般に、安全が確保できる範囲で住居にかかる費用を下げ、さらに自炊することで全体の生活費を少なくすることができます。また、最初から社宅付きの求人を選ぶと家賃などを抑えることが可能です。

ここでは、北京と大連に住む日本人の例をご紹介します。詳細や内訳は各項目の下にある記事をお読みください(円換算額はそれぞれ記事より抜粋)。

北京

  • 夫婦で北西部のローカルマンション群に住んだ場合:1カ月の生活費は約8575元(約13万7200円)

家賃が出費の大半を占める一方で光熱費、通信費、交通費、食費(自炊メイン)は安く抑えられるそうです。

大連

  • 1人でかなり節約して生活した場合:1カ月の生活費は約4000元(約6万380円)
  • 1人でよく外食や買い物をする場合:1カ月の生活費は約6000元(約9万580円)

これは1人で住む場合の最低限の費用です。下の記事では、大連での家族3人暮らしの生活費が紹介されています。

中国で就職した日本人の体験談

中国系エンジニアリング会社勤務、Sさん(20代、男性)

Sさんは大学卒業後、日本の大手商社に勤めていました。

当時から中国には強い憧れを持っていて、いつか中国で働きたいと考え、社内でも中国関連案件を担当したいという希望を出し続けていましたが、3年が経つ頃、希望する中国関連部署への異動は難しい状況になっていました。

チャンスがないなら自らチャンスを作りに行くとの思いで、Sさんは退職を決意。中国に移住し、語学学校に通いながら直接現地で仕事探しを始めます

1年間言葉を勉強する一方で、大学の同窓会や異業種間勉強会、同業者交流会などに積極的に顔を出しては人脈や情報集めに取り組んだSさん。その結果、日本留学帰りの中国人社長と知り合い、意気投合して彼の会社で働くことになりました

日系コンサル会社勤務、Tさん(20代、男性)

Tさんは大学で中国語を学び、卒業後は中国語を使って仕事をしたいと考えていました。

学部卒業後の進路を決める時期になると、中国語で仕事をするためには中国語力をより高め、現地のことを理解しておかなければいけないとの考えに至り、中国への留学を決意。

1年間の語学留学のつもりでしたが、中国政府奨学金に応募したところ運よく合格。北京の大学院へ進学する機会を得て、さらに3年間修士課程で学び論文を書くことになります。

論文がきっかけで中国就職が実現

卒業後の進路については、せっかくの現地経験を活かして仕事をしたいとの思いから現地での就職を検討していました。

そんなとき、論文執筆のためヒアリングで訪問した会社でインターンシップに誘われ、論文執筆のかたわら現場での経験を積むことに。卒業後はその会社で正社員として働いています。

大学教員、Mさん(30代、女性)

Mさんは幼少より書に親しみ、大学でも書道を専攻していました。

その専門性から中国との関わりは深く、修士課程在学中に中国留学を経験。そのまま中国の大学院で博士号を取得した後、誘われる形で就職し、現地の大学で教師として活躍しています。

特殊技能を持つ外国人専門家という位置づけ

先にご紹介した2名とは異なり、大学教員であるMさんには「外国人専門家」として「就業証」とは別の「専家証」が発行され、Mさんはこの証書に基づいてビザ・居留許可証を取得しています。

このように、特殊技能(特に学術・芸術関係)がある場合、専門家として中国で働くことが可能です。

日本語教師、Kさん(30代、女性)

Kさんはもともと、中国はおろか外国への興味関心がそれほど高くなく、大学卒業まで中国との接点はほとんどありませんでした。

そんなKさんが中国に興味を持つことになったきっかけは就職。Kさんが入社した貿易会社は中国とも深い結びつきがあり、中国国籍の人も正社員として多く働いていました。

中国で働きたいという思いが芽生える

それまでKさんは中国に対してあまり良い印象がなかったそうですが、同僚の中国人と触れ合うにつれ、徐々に見方が変化してきたそうです。そんな折、中国に出張で出向く機会があり、1週間ほどの滞在ですっかり魅了されてしまいました

帰国後、中国の支店に転勤することはできないか上司に尋ねましたが、Kさんのキャリアでは難しいと言われてしまいます。確かに、当時のKさんは中国語も「こんにちは」と「ありがとう」の2つの言葉が言えるだけでした。

それでもあきらめられなかったKさんは、中国語が話せなくてもできる仕事はないかとリサーチを始め、たどり着いたのが日本語教師という選択肢でした。

現地に移住し就職先を見つける

家族には反対されたそうですが会社を辞め、中国の大学が実施する外国人向けの中国語コースを受講するために、中国に移り住むことにしました。1年間そこで学んだ後、就職活動を始め、現地企業が経営する中国人向けの語学学校で日本語教師として働くようになりました。

日本語を教える以外にも、事務作業やパソコンでの作業があるので、前職の経験も役に立っているそうです。

中国のビジネス文化

真面目で残業もこなす人が多い日本に比べ、中国での働き方はどのようなものなのでしょうか。

中国人は合理的で、残業をしない、求められること以上の仕事はしないという考え方が一般的です。また、納期が遅れがちなこと、トラブルを隠す面があることなども知っておいた方がよさそうですね。

詳しい解説は以下の記事をご覧ください。

中国人の反日感情とは

日本で何かしらの政治的な動きがあると、その都度起こる反日感情。実際、2012年に尖閣諸島が国有化された時は華南地区でも毎週大きなデモが行われ、「外で日本語は話すな」とか「日本食屋には行かない方がいい」など、日本人の間でも話題になりました。

確かに、日本人だと分かると暴力こそ振るわれないものの、個人的に言葉による嫌がらせを受けるようなこともありました。

具体的には、タクシー運転手から「日本人を乗せたら料金を上乗せでもらえと会社から言われている。だから乗車料金にプラスして50元(約850円)くれ」とういようなことを言われたのです。

国ではなく人との関係を築く

そんなことがあった一方で、日常生活においては、私の周りの中国人は「国と国、人と人の関係はまた別問題」としっかり分けて考えている人がほとんどでした。

反日感情に囚われることなく、人対人の関係性を築いていくことが大切だと思います。

まとめ〜実力をつけて中国に挑戦しよう

現在、中国における日本人の就職は以前ほど簡単にはいかない状況になっています。一昔前であれば、仕事があれば何でもいい、何とかなるだろうで、実際に何とかなっていました。

しかし、中国も今では技術、市場の規模、購買力などで日本に追いつくどころか追い越した感さえあり、働く人も、実力をつけた上で中国市場で勝負するというようになってきていると感じています。

中国で働く意味や目的を自分の中で明確にし、そのために必要な準備をしっかりとして中国に臨んでください。※この記事の内容は2017年10月現在を基準にしたものです。

中国就職・中国転職するには

中国の求人状況は日々変化しています。中国で働きたいと考えている人は、まず転職サイトでどのような求人が出ているのか見てみましょう。

求人を見れば、職種や給料、待遇の傾向がつかめてきます。そうすると中国で働くあなたのイメージが具体的になるので、転職の成功率がぐっと高まりますよ!

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