私は2012年にドイツに渡り、パン職人として現地企業で働いていました。ドイツでは、労働者が法律でしっかり守られているため、定められた休日や有休日数などもきっちりと守られています。
5年間のドイツ滞在中に転職して他のドイツ企業でも働きましたが、転職先は業界も職種も同じだったので、条件などはあまり変わりませんでした。
ここでは、ドイツのパン職人としての勤務時間や休暇事情をご紹介します。
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ドイツのパン職人の勤務時間はポジションにより異なる
焼き場にいるパン職人の勤務時間は店によって異なりますが、ほとんどが深夜12時からの勤務になります。勤務終了は朝9時頃が平均的です。
同じ焼き場勤務でも出勤時間が遅いのは、粉砂糖をかけたりする仕上げのポジションです。また、店舗でのトラブルや特別受注に対応する管理職、配送業者に指示を出す仕分けのポジションも遅出です。
仕上げ
パンが冷めてからチョコレートやアイシングで表面をコーティングするため、ある程度焼き上がった後に出勤します。時間は朝方5時頃なので始発に乗って出勤できる時間帯です。
管理職
夜中の焼き場の管理もする必要があるため、私の職場では3人がこの管理職のポジションで勤務していました。職人と同じ夜中12時から、つづいて朝方5時から、そして店舗が閉まるまで勤務する午前10時からのシフト制になっていました。
仕分け
焼き上がったパンを市内に複数ある店舗ごとに個数を数えて割り振るポジションです。朝すべてを一斉に配送すると配送先店舗に置く余裕がないため、3回に分けて配送します。追加注文にも対応できるよう、朝方3時頃からの勤務でした。
ドイツのパン職人、土日祝日の勤務状況
土曜は基本的に毎週出勤でしたが、焼く量が少なく設定されていたため、8時間ではなく6時間の勤務でした。
日曜とカレンダーの祝日は原則休みでしたが、パン屋は毎日開いているので、ベテランのみ交代で月1回の勤務がありました。日曜に勤務した場合は、翌日の月曜が振り替えで休みとなります。
休みは日曜を合わせて月6日と、シフトによって個人の休日は違いました。
ドイツのパン職人の有給休暇は年6週間
入社1~3年目は一律で年30日の有休があります。1週間の連続休みで有休を5日間消費する計算なので、30日だと年間6週間の有休が取れるということになります。
ちなみに、30年勤務していた同僚は年38日もらっていたそうです。
希望日に休めるかどうかは早い者勝ち
年30日とはいえ、オクトーバーフェストやイースター、クリスマスなどの繁忙期に有休を取ることに対してはあまりいい顔をされないため、こうした時期は避けて年間の休暇希望日を提出します。
希望届けはいつでも出せますが早い者勝ちのことが多く、バッティングした場合、遅く提出したスタッフが再提出を求められます。
その休暇希望を踏まえた上で仕事がまわるように最低人数を確保しながらシフトが組まれ、新しい年が始まるとパソコンで管理された全従業員の有休スケジュールが張り出されていました。
ドイツ人の休暇の過ごし方
家でのんびりすることが好きなドイツ人。1週間の有休を取った場合は日帰り旅行に行くくらいで、あとは親戚を訪ねたり、友人を家に招待したりと、ゆっくりと休みを満喫します。
3週間の長期休暇を取った場合も、真ん中の週の1週間は旅行に行きますが、前後1週間ずつは準備をしたり旅の疲れを癒したりしているようです。また旅先も街中ではなく、プーケットやモナコなどビーチやリゾート地でバカンスを楽しむのが大人気です。
旅行に費やす休みは休みではない?
長期休暇は6週間まとめて取ることも可能ですが、1年間の有休が一気になくなってしまうので、そういった取り方をする同僚はいませんでした。
私の場合は1年に1度、3週間の長期休暇を取って日本に帰国、残りの3週間は1週間ごとに3回取得し、せっかくドイツにいるんだからと、旅好きなこともあって近隣のヨーロッパ諸国へ毎回旅行に出かけていました。
しかし、同僚には「それは休暇ではないし、体を休ませていない!」といつも教えられていました。
まとめ〜ドイツではメリハリのある働き方ができる
同じパン職人でも、働くポジションによって勤務時間の融通は利くため、女性にも働きやすい環境です。
ドイツで実際に働いてみて、国の制度や同僚から、次の休みのために今働くという考え方が強く伝わってきました。
日本では有休を取得できない状況が続いているため、過労死などの問題があったり、仕事中心の生活になってしまったりするのだと感じます。企業に任せるのではなく国の制度として休みを奨励するような世の中になってほしいです。
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