ドイツに3カ月以上滞在する場合、ワーキングホリデービザなど一部を除き現地に着いてからビザの取得が必要です。しかし、慣れないドイツ生活、知らないと何をするにも時間がかかります。
私はドイツでの永住権を得るまでハイデルベルクとハンブルクという2つの都市で合計5種類のビザを取得し、仕事としても多くの日本人の労働ビザ取得の手続きをしてきました。
ドイツでは州によって、また担当者によってもビザの取りやすさが違うという特徴があります。これまでの経験を通じて知った、ドイツ全体で有効なビザ手続きのポイントをいくつかご紹介します。
2つのビザの種類とそれぞれの管轄事務所の存在
ドイツのビザの違い
ドイツのビザの種類はさまざまありますが、大まかに分けると2つです。1つは「滞在のみ可・労働不可」のビザ、もう1つは「滞在・労働どちらも可」のビザです。
ビザの管轄の違い
どちらであるかによって管轄の役所も違います。「滞在許可」の管轄役所は「外国人局」、「労働許可」の管轄は「労働局」です。
語学学校ビザ・学生ビザ
労働できない語学学校ビザ・学生ビザでドイツに滞在する場合は、労働局の許可が必要なく外国人局単独の判断によって許可が下ります。
労働を伴う社会人ビザ
一方、労働を伴う社会人ビザでドイツに滞在する場合は、労働局・外国人局両方の許可が必要です。申請を受け付けるのは外国人局ですが、書類は労働局に転送されて労働局が判断を行い、その結果を受けて外国人局が滞在の許可を出します。
学生ビザはすぐ出るのに、労働許可が必要なビザの申請に時間がかかるのはそのためです。
ビザ申請書類は確実に伝わるよう文書で提出
必要事項は明記する
ビザ申請許可は一人の手で行われるわけではなく、申請書は多くの担当者の手に渡ります。申請の数も膨大で、すべてがルーチン作業になります。
担当者は自分の担当を処理したらそのまま書類を次の人に送るだけ、特に引継ぎ作業が行われるわけではありません。
担当者は書類に書かれてあることしか見ません。つまり、申請時に口頭で伝えた情報には意味がありません。もし、特別な事情や考慮してほしいことがあるのであれば、必ず申請書類に明記しておきましょう。
とにかくビザの申請してみる
申請書類
ビザを申請するときは、まず外国人局にある申請書類に記入し、その他の必要書類をそろえます。
自分が住んでいる地域の外国人局のウェブサイトから、または直接外国人局の受付に行けば、申請書類と必要書類の一般情報を入手できます。
個別の質問には答えてくれない
しかし、ビザ申請者はさまざまな国・背景を持っています。外国人局の受付でもらえる情報は万人向けのもので、実際に申請するときにどのような書類が必要になるのか迷う場合もあります。
そのような場合、問い合わせしても自分の場合に特化した返答はもらえません。窓口の担当者は、受付で渡す万人向けの情報以外のことを知らず、どの書類なら充分なのか判断する権限も持っていません。
用意した書類がビザの申請に充分かそうでないか判断されるのは、実際に申請書を提出した後です。提出した書類が担当者の手に渡り、そこで初めてあなた個人のケースが審査されるのです。
完ぺきにしようと考えないことが大切
「それじゃあ、どの書類を提出すればいいのかわからない」と思うかもしれません。わからないときは、とりあえず自分でこれだと思う書類を揃えて申請します。
申請後、もし提出書類が不十分であれば連絡がきます。たとえ書類に不備があったとしても、申請すれば一歩前進です。申請さえしておけば、結果が下りるまではドイツに滞在できます。
注意点
一番やってはいけないのは、完ぺきな書類を揃えてから申請しようと問い合わせの返事を待ったあげく、ノービザで滞在できる3か月の間に申請しないことです。この場合は一回ドイツから出国しないといけません。
ビザ申請中は滞在期限が延長される
前章の話とも関連しますが、ビザの申請をして審査中に滞在期限が切れたとしても、結果が出るまでドイツに滞在することが許されています。
たとえ書類が完ぺきかどうか自信がなくても、申請だけはしておいたほうがいい、というのはそういう理由です。
もちろん完ぺきに揃っているに越したことはありませんが、たとえ一度不備があったとしても、役所からの手紙にはどの書類が欠けているか、どの点を修正すればビザが下りるのかが具体的に書かれています。
自分だけに向けられた明確な指示
この手紙に書いてある内容は、最初の万人向けの情報とは違って、それぞれがビザを取得するための具体的な指示になっています。
つまり、指定された期限までに書かれている条件をクリアすればあなたのビザが下りますよ、と言われているのと同じです。そのため、2度目の申請は対処がしやすいのです。ただ、書類は必ず指定の期日までに書留で提出しましょう。
仮ビザFiktionsbescheinigungを発行してもらう
「ビザ申請中は滞在期限が延長される」と述べましたが、実際に期限が切れてしまい、いざ誰かに証明することが必要になったとき、口頭で説明しても誰も信じてくれません。
役所関係や会社関係などに目に見える形で証明できるよう、ビザの申請を行った時は必ず外国人局で「Fiktionsbescheinigung」という仮ビザの発行をお願いしましょう。
ビザを待つ間の精神的安定にも有効
特に最近の滞在許可・労働許可は、昔と違ってパスポートにシールを貼る形ではなく、チップ入りのカード型が主流です。
審査の許可がおりれば即日発行してもらえるシールタイプと違って、カードは許可が下りてから実際カードが手元に届くまでに約2週間という時間がかかり、そこに審査期間も加わります。
その間、切れそうな期限を考えてハラハラしながら待つより、申請時に仮ビザを発行してもらった方が精神的に楽になります。
ただし仮ビザは、こちらから申し出ないと出してもらえません。必ずFiktionsbescheinigungをください、とお願いしましょう。その際約20ユーロの手数料が必要と考えてください。
その場ですぐに発行してもらえ、これが手元にあるだけで安心感が違います。
まとめ
外国人にとってビザの有無は死活問題ですが、ドイツの役所にとってはただのルーチンワークにすぎません。
一人一人の事情を考慮できるわけもなく、申請者が大勢いれば滞在期限が切れるまでに結論が出ないこともあります。その間、待っている方のストレスは大変なものです。
不充分かもしれなくても申請書を出すこと、申請の結果が出るまでは滞在期限が延長されること、Fiktionsbescheinigungの存在など、これらの情報が少しでもストレス軽減に役立てば嬉しいです。
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