私の住んでいる地域(ニューヨーク州北部)はとても田舎なのでほとんど白人しかいません。
最近は慣れてきましたが、スーパーで買い物をしているとどんなものを買っているかジロジロみられたり、ダウンタウンをただ歩いていても視線を感じたりします。
差別とまでは個人的に思ったことはありませんが、自分がマイノリティーなのだと感じる事は日常的にあります。地方都市にだけこういった人種を意識させられる傾向があるのかと思っていました。
しかし、実はそうでもないようです。
今回はThe Economist※というこちらの政治経済誌に取り上げられていた人種と大学入試についての興味深い記事を見つけたのでご紹介したいと思います。
The Economist※)アメリカや英国で愛読されている政治経済紙。政治経済だけでなく科学技術・芸術・書評等の文化的な記事も充実している週間紙です。時事ネタと同時に英語の勉強もできるのでおすすめです。
アメリカのアイビーリーグとは
アイビーリーグ(IVY League)ってよくスポーツや洋画が好きな方は聞く単語ですよね。これはアメリカの名門私立大学8校の連盟のことをいいます。
“ivy”とは植物の「ツタ」のことなのですが、伝統的な大学は校舎にも歴史がありツタで覆われていることが多いのでこういった呼び方をされてきたという一説があります。
アイビリーグはこの大学だ
- Brown University ブラウン大学 1764年創立
- Columbia University コロンビア大学 1754年創立
- Cornell University コーネル大学 1865年創立
- Dartmouth College ダートマス大学 1769年創立
- Harvard University ハーバード大学 1636年創立(全米最古)
- Princeton University プリンストン大学 1746年創立(村上春樹もかつて客員研究員でした。)
- The University of Pennsylvaniaペンシルベニア大学 1755年創立
- Yale University イエール大学 1701年創立
以上8校のことをIVY Leagueいいます。私たちでも名前を聞いた事がある大学ばかりですね。
ちなみに「アイビーリーグ・ファション」という日本で流行したファッションはこれらの大学の学生ファションの模倣からきています。
アジア人は優秀、アメリカの難関高校でも圧倒的存在感
全米の人口の5.6%がアジア系アメリカ人です。
全米総人口のうち約28%がbachelor’s degree (大学卒業)を取得しているのですが、アジア系アメリカ人単独でみるとその取得率は49%にも上ります。
またニューヨークで最も競争率が高い公立難関高校とされているStuyvesant High School とBronx High School of Scienceのアジア系生徒率はそれぞれ75%、60%と異常に高い割合だそうです。
ニューヨーク市の人口のわずか13%がアジア系ということを考慮すると、どれだけアジア系アメリカ人の生徒が優秀かということが分かります。
アジア系は生まれつき優秀?アメリカでの評価Aはアジアでの評価F
6000人の白人系アメリカ人とアジア系アメリカ人の子ども達を対象にミシガン大学が行なった研究によると
「アジア人が生まれつき優秀というわけではない」
という結果でした。
優秀な理由は、勤勉であるからという結論です。
当然ですよね。私たちアジア人は生まれつき勉強が他の人種よりできるわけではないです。努力したその結果、勉強の成績がよいのは当たり前で、周りから評価させるべきことです。
「アメリカでの評価Aはアジアでの評価F」と揶揄されるほど、アジア人は他の人種と比較して勉強に対して勤勉で真剣に向き合う傾向があるようです。
小学生のうちから塾に通うアメリカ人はほとんどいない
これは賛否が分かれるところですが、小学校のうちから塾に通う子ども達って日本には多くいますよね。
アメリカでは塾通いの小学生に未だ出会ったことがありません。
アメリカ版センター試験「SAT」
このアイビーリーグ(IVY League)に入る時にその点数が評価される「SAT」という全米統一試験があります。
この「SAT (Scholastic Assessment Test)」はアメリカの大学に出願する高校生のための学力テストです。
日本のセンター試験のように一発勝負というわけではなく、年間7回行なわれます。
アジア人が優秀すぎるゆえの不平等
前述したSATの試験結果を重視してアイビーリーグの各大学も学生を選考します。
しかし、正当に成績だけで入試の合格者を選抜してしまうと大学がアジア人だらけになってしまう事を懸念し、なんと人種によって合格ボーダー点数の設定を変えているのです。
人種によって合格点が違うなんて信じられませんが、事実なのです。
プリンストン大学のトーマス・エスペンシェード氏とアレキザンドリア・ワルトン・ラッドフォード氏らの調査によると、
白人に求められる合格点を基準とするとアジア系アメリカ人はこれより140点高く、黒人は310点低く設定している。(1600満点中)
こうすることで大学側は学内の人種バランスを保つ努力をしています。なんとも私たちアジア人からすると納得いかないシステムですよね。
成績がいいアジア人は、逆に大学に入学できない
アジア人は優秀すぎるが故、アイビーリーグに入れないこともあるようです。
たとえばこんな優秀な学生もアイビーリーグに入るのに苦労するのです。
マイケル・ワンさんはカリフォルニア在住のアジア系アメリカ人のティーンエイジャー。
- 高校で学年1002名のうち2位の成績
- ACTスコア(英語・数学・リーディング・科学の全国統一試験)は満点の36点
- 国際ピアノコンテストで3位
- 全米数学コンテストでトップ150人入り
- 数々の全米ディベートコンテストで入賞
と輝かしい評価を受けている、非のうちようがない優秀な高校生です。
しかし、大学入試でアイビーリーグ7校を受験したうち、1校しか合格できなかったそうです。
アジア人の大学合格最低点が高いため、このような結果になってしまいました。
まとめ
いかがでしたか?
今回のことを踏まえると、今後大学のキャンパスでアジア系アメリカ人を見る目が変わりそうです。相当努力して入ったのだと。
様々な人種がいるアメリカでこその大学入学システムですよね。
なんとかアジア人ということを隠して入学試験を受けられないものなのでしょうか……。アジア人である私たちからすると不平等で納得いきませんよね。
納得がいかないと同時に、どこまでを「アジア系アメリカ人」と定義しているのか疑問です。大学側はそういった人種に関するデリケートな内容は公表しない事が多いので詳細を知るのは難しそうです。
今回はThe Economist October3rd-9th 2015の記事の内容の一部を参考に筆者の考察を加えました。
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