海外移住を始めるには、生活の土台となる自分の家や部屋が必要です。たとえ慣れない土地での生活でも、自分の部屋だけは落ち着く、癒しの場所になるはずです。つまり部屋探しは、とても大事なことです。
クアラルンプールには住居の種類がいくつかあります。
一軒家、リンクハウス(長屋のようなスタイルでお隣同士がくっついている物件)、コンドミニアム……。ここではもっとも日本人滞在者に適していると思われる、マレーシアのコンドミニアム(マンションのようなもの)の借り方を主にご説明します。※1リンギット=約28円
コンドミニアムとは
日本では聞き慣れないコンドミニアム。コンドミニアムとは、元はアメリカなどで使われる言葉で分譲マンションのことを言います。
ほどんどのコンドミニアムは家具付きなので、入居者はベッドやテーブル、テレビ、洗濯機などの大物家具・家電を買わずにすみ、少ない荷物で生活が始められるメリットがあります。
家具の有無
このように大抵の家具が備わっている物件をFully Furnished(家具がフルで備わっている部屋)と呼び、家具が一部のみの物件は Partially Furnished(家具が一部備わっている部屋)と呼びます。
ただし、Fully Furnishedといってもレンジやオーブンが付いてないものもあれば、レンジやオーブンに加えて湯沸かし器や炊飯器まで置いてある部屋もあり、さまざまですので、そのつど確認が必要です。
間取り
間取りですが、こちらでは日本でいうワンルームをStudioと呼び、それ以上の間取りはベッドルームの数で表していきます。
例えば1Bedroomは、リビング・キッチン・1ベッドルーム(日本でいう1DKもしくは2K)。2Bedroomは、リビング・キッチン・2ベッドルーム(2DKもしくは3K)となります。
大きい間取りになると、お風呂とトイレの数が2つ以上付いている場合もあります。
部屋ごとに異なるオーナー
また分譲マンションですので、部屋ごとにオーナーが違うため、同じコンドミニアムの、同じ間取りの部屋でも内装が全く異なります。
これにはオーナーのセンスや趣味が強く反映されており、スッキリとシンプルにまとめられている部屋もあれば、赤を基調にした華人オーナーらしい部屋、ホテルのようなインテリアにこだわったオシャレな部屋などオーナーによって全く違う印象になります。
マレーシアのコンドミニアムには、たいてい24時間セキュリティ、共有ジム、プールが付いており、場所によってはキッズルーム、コンビニ、カフェ、ビリヤードなどのプレイルーム、テニスコートなども完備しています。
ちなみに、コンドミニアムを省略して「コンド」と呼ぶことがあります。
クアラルンプールで日本人におすすめのエリア
さて、いざ部屋探しをするためには、どこのエリアにするかだいたい決める必要があります。日本人におすすめのエリアをいくつかご紹介します。
KLCC(ケイエルシーシー)・Bukit Bintang(ブキッビンタン)周辺
このエリアは、クアラルンプールの中心部です。東京でいうと新宿・渋谷・銀座のような場所で、企業や飲食店、ショップなどが集まるところです。
KLCCにはクアラルンプールの象徴であるツインタワーがあり、この中にも日系企業はじめ多くの企業が入っています。
このあたりは、バスや電車も通っており、交通の便が良く、この周辺で働く方には特におすすめのエリアです。実は私自身もこのエリアに住んでいます。マレーシアは車社会といわれていますが、ここに住むと車を持つ必要性はほぼ感じません。
周辺に大きなショッピングモールがいくつかありますし、KLCCには伊勢丹が入っているので、日本の食材を簡単に購入できるのも嬉しいところです。
他の地域に行く際には電車やバスもありますし、遠出をする場合はGrab(配車サービス)を使っています。
ただし、この地域は比較的家賃が高く、単身者向けの小さい部屋・Studio(日本でいうワンルーム)が多いのが特徴です。
Mont Kiara(モントキアラ)・ Desa Sri Hatamas(デサスリハタマス)周辺
クアラルンプール北西部に位置するエリアです。モントキアラは外国人駐在者のために開発されたエリアで、日本人が大変多く住んでいます。
そのため日系の飲食店が数多くあり、日系クリニックもあるため、日本人には住みやすいエリアといえます。ただ家賃は高めで、ファミリー向け物件が多いです。
ここ数年は韓国人も増えていて、韓国料理のお店やコリアンマート(韓国食材店)もたくさんあります。
マレーシアはイスラム教国家のため、スーパーでも豚肉はノンハラルコーナーに置いてあり、スーパーによっては豚肉を取り扱っていないところもあります。そんな中、コリアンマートには豚肉が比較的安く置いてあるため重宝します。
デサスリハタマスはモントキアラに隣接していて、歩いていける距離にあります。ローカルの飲食店もさることながら、この数年は日系飲食店も増え、私たち日本人にとっても大変住みやすいエリアです。単身者向けの物件も増えています。
Bangser(バンサー・バングサ)・Mid Valley(ミッドバレー)・Taman Desa(タマンデサ)周辺
クアラルンプール南西に位置するエリアです。バンサー(バングサとも言う)はオシャレな飲食店も多く、西洋人も多く住んでおり、高級住宅地といわれています。
バンサービレッジ、バンサービレッジ2はバンサーにあるショッピングモールで、この中やこの周辺にスーパー、飲食店、クリニック、薬局、衣料品店などが集まっています。
バンサー
バンサーは広域で、このバンサービレッジ周辺以外にBangser South(バンサーサウス)というバンサー南部に位置するエリアもあります。
ここは最近開発され始めた地域で、LRT Kelena Jaya Line(ケラナジャヤ・ライン)という電車沿線にあるUniversiti(ユニバーシティ)駅から歩いてすぐの場所なので、交通の便も良く注目のエリアです。
ミッドバレー
ミッドバレーは、ミッドバレーメガモールやガーデンズといった大型ショッピングモールがあり、日本人会も近く、日本人の多いエリアです。
ミッドバレーメガモールにはイオンが入っており、ガーデンズには伊勢丹が入っているので、日本食材などを購入するのにも便利です。ただし、この辺りは通勤時間帯の渋滞がひどいので注意が必要です。
タマンデサ
タマンデサは、ミッドバレーの南に位置しており、買い物に便利なミッドバレーに近いにもかかわらず、比較的お手頃な値段で部屋を借りられるエリアのため、住んでいる日本人の数も増えています。
One Utama(ワンウタマ)・TTDI(ティティディアイ)・Kota Damansara(コタダマンサラ)周辺
ここはクアラルンプール西部に位置しています。最近電車も開通し、クアラルンプール中心部などにもアクセスが良くなったので、おすすめです。ワンウタマには複数の大型ショッピングモールやIKEAなどがあり、日本人にも人気のエリアです。
またワンウタマの右手に隣接するTTDIは、在馬日本人に有名なTTDI Wet Marketというマーケットがあります。ここの地下には豚肉の卸業者があり、美味しい豚肉を購入することができます。
しかも「Shabu-Shabu」や「Tonkatsu」、「Shogayaki」などの日本語でオーダーすることができてしまうんです。
上の階には魚屋や地鶏、スパイス、野菜などがあり、一通りなんでもそろいます。周辺にはオシャレなカフェや美味しいご飯屋さんが増えています。
コタダマンサラは、ワンウタマのさらに西にありますが、日本人に人気のワンウタマからほど近いので便利なのに、かつリーズナブルな価格のコンドミニアムがあるため、注目です。
クアラルンプールでの部屋探しの方法
ではいよいよ実際にお部屋探しの方法を見ていきましょう。
検索サイト
日本でも部屋探しの際に、もっとも一般的なのはSUUMO、Home’s、いい部屋ネットなどの検索サイトではないでしょうか。
マレーシアにも同じような検索サイト(アプリを持っているサイトもあります)があり、部屋探しには一般的な方法です。
- iProperty https://www.iproperty.com.my/
- Property Guru https://www.propertyguru.com.my/
- Mudah.my https://www.mudah.my/
- ibilik http://www.ibilik.my (ルームシェア、ショートステイ用)
こういったサイトで、以下のような条件を選択し、検索をかけます。
- 希望のエリア(Area)
- 価格帯(Price Minimum-Maximum)
- 家具の有無(Fully Furnished, Partially Furnished)
- 広さ(Built-up Size)
- ベッドルームの数(Bedrooms)
- 風呂トイレの数(Bathrooms)
- 駐車場の有無(Carpark)
ヒットした物件の中で気にいるものがあれば、それを取り扱っているエージェントに連絡を取り、内覧のお願いをします。
掲示板
在マレーシア日本人向けの掲示板があり、そこで部屋の借主を募集している場合もあります。ただ物件数はとても少ないので、タイミングよく気になる物件の入居募集がされていたらラッキーかもしれません。
また数カ月などの期間限定である場合も多いので、ショートステイの人向けかと思います。
日系不動産
日本語が通じることから、言葉に不安があり、クアラルンプールでの部屋探しが初めての方に何より安心なのは日系業者です。しかし、他のローカル業者と比べて価格が高めで、また仲介手数料も支払う必要があります。
- ナカノプロパティ http://nakanopropertymalaysia.com/
- コスモスプラン http://totalmalaysiafudosan.jp/property/
- グリーンフィールド・プロパティズ http://malaysia.abest.jp
- スターツクアラルンプール https://kaigai.starts.co.jp/
友人知人からの紹介
もし、すでにクアラルンプールに友人知人がいる場合は、エージェントを紹介してもうらう方法もあります。
検索サイトに物件を掲載しているエージェントは、実際どういう人かわかりませんので、紹介であれば安心して頼ることができると思います。
初期契約に必要なもの
- デポジット:家賃2カ月分
- 光熱費デポジット:家賃半月分
- 前家賃:1カ月分
- 印紙代
- 契約者のパスポート原本とコピー
- Visaページのコピー(エージェントや物件にもよりますが、基本的に長期滞在ビザが必要です)
通常、契約時には家賃4カ月分を準備していれば足りると言われています。ただし、日系のエージェントを通した場合はここに手数料が追加されますのでプラスαが必要になります。
また1年もしくは2年(1+1ともいう)契約がほとんどで、更新の際の更新料などは通常かかりません。
チェックポイントと注意点
クアラルンプールで賃貸する際に気をつけておきたい点、契約する前に確認すべき点をご紹介します。
契約書の内容をよくチェックする
マレーシアでの賃貸は契約書ベースになるので、重要事項は注意深くチェックする必要があります。
特に、入居中の修理費は誰が負担するのか、退去時の条件(いつまでに連絡するのか、デポジット返金の条件)はしっかりと確認し、納得いかなければオーナーと交渉する必要があります。サインする前に行いましょう。
周辺地域の環境
住んでみないと分からないことが多いですが、コンドミニアムの周辺環境がどのようなものであるか、できる限りチェックしておいた方が安心です。
例えば昼間に内覧に行ったのであれば、夜はどのような雰囲気なのか、人通りが少なく夜道を歩くのが不安でないか、騒音はどうか。
最寄りのスーパーはどこか、クリニックや病院はどこかなど、最低限でも確認しておくと入居後のトラブルを避けることができます。
10F以上がおすすめ
一般的に10F以上がおすすめだと言われています。というのも、マレーシアにはデング熱など蚊を媒体とした病気が多いにもかかわらず、窓には網戸がない場合がほとんどなのです。
ですので、高層階にすることでその危険をなるべく回避しましょう。私はこれまで20F以上の部屋のみに住んでいるおかげか、蚊のトラブルは少ないです。
破損している設備はないか
入居前にエージェント(オーナーも立ち会うことも)とともに物件に備わっている設備をチェックすると思います。
もしエージェントがする気配がなければ、自らエージェントに頼んで設備チェックをしてもらった方が良いです。退居時のトラブルの元になりますので。
その際、破損がないか修理が必要ではないかなどをチェックし、あれば入居前から破損していたことを確認してもらってください。そして必要であれば修理してもらいましょう。
水回り
古いコンドミニアムには特に多いですが、水漏れや排水が悪い、茶色い水が出るなどのトラブルをよく聞きます。
正直、住んでみないと分からない部分でもあるのですが、契約前に蛇口をひねってチェックをし、修理が必要であればオーナー負担で直してもらいましょう。
また、バスタブをご要望の方も多いと思いますが、シャワーのみの物件の方が圧倒的に多いです。またバスタブが付いていても熱いお湯が継続的に出ない場合もあり、溜めている間に冷めてしまうなど、実際には使い物にならない物件もあります。
換気扇の罠
ガス台やIHの上部には換気扇が設置されていますが、この換気扇、なんと外のダクトに繋がっていない物件があります。いえ、マレーシアではそれがデフォルトだとも言われています。
初めて借りた部屋は、まさにこれでした。換気扇はついているのですが、ある日ふと「あれ?換気扇の上の棚、まるまる物が置けるな……っていうかあるはずのダクトがないじゃん!!」と気付いたのです。
内覧時にはもちろんチェックしておらず、発見したときはかなりの衝撃を受けました。がしかし、これがデフォルトらしいです。
幸い、いま私が住んでいる物件の換気扇はきちんとダクトがついており、吸い取った煙や匂いは外に吐き出されています。
ただこれはレアな物件だそうなので、ダクトが付いていなくとも許容するしかないかもしれません。もしくは、オーナーにダクト工事ができるか聞いてみましょう。
家賃交渉もしくは設備交渉
家賃の交渉も可能です。大きな額は難しいでしょうが、交渉してみる価値はあります。もしくは家賃の値下げが難しければ、設備を追加してもうらうという交渉も可能です。
私もマレーシアに来て最初に借りた物件は、水道料込みの家賃にしてもらいました。
と言っても、実際住み始めて分かったのですが、水道料はとても安くひと月20リンギット(約560円)にも満たない金額なので、エージェントのうまいようにやられたな!という感じでした。
その後、借りた物件では家賃を150リンギット(約4,200円)ほど値下げしてもらいました。
この物件は他にも数組の人たちが興味があるという人気だったのですが、即決すること(デポジットをすぐ払う)と日本人であること(日本人は部屋を綺麗に使う、家賃の滞納が少ないためポイントが高い)で、値下げ交渉に成功した上で契約へと進みました。
wifiとテレビ
wifiがすでに付いているかを確認し、もし付いていなければエージェントに何社か提案してもらいましょう。
マレーシアのwifiサービス企業はケーブルテレビ事業も行なっていることが多いので、ケーブルテレビを繋げたい方は各社のプランを確認して、wifiとともに契約することをおすすめします。ちなみに、wifi設置完了まで1週間ほどかかります。
マレーシアのローカル番組は、アンテナケーブルを繋げば観ることができますが、番組数が少ない上、画質が悪いのでおすすめはしません。
テレビを楽しみたい方は世界各国のニュース番組やスポーツ番組、映画、ドラマ、料理番組などを観ることができるケーブルテレビを契約した方が良いと思います。
メジャーなwifiサービスは、Astro(アストロ)、Unifi(ユニファイ)、TIME(タイム)の3社です。ただしTIMEはケーブルテレビは観ることができませんので、wifiのみの契約となります。
また「楽々テレビ」や「K Box Malaysia」という日本の番組を海外でも見れるサービスを提供している企業もあります。
もし日本の番組をたくさん見たい方はwifiだけをAstroやUnifi、TIMEで契約し、別途日本のテレビ番組提供サービスを契約するという手もあります。
デポジットをキャッシュで支払う場合
いよいよ物件を決め、デポジットを支払う場合、小切手や銀行振込、キャッシュなどの方法があります。
マレーシアに来て長い方は銀行口座も持っていて、小切手の発行の仕方もわかると思います。しかし初めてマレーシアで部屋を借りる人は、まだ銀行口座もないので、キャッシュで支払うしかないという場合があるでしょう。
キャッシュの持ち歩きには、もちろん十分気をつけていただきたいのですが、キャッシュで支払いをした場合には、必ずその場で支払った金額、内容、日付、受取りの名前とサインを書いてもらいましょう。
それがないと何も手元に証拠が残りませんので、後から「もらってない」と言われても反論できません。
まとめ
マレーシアのコンドミニアムのほとんどはプールやジム、セキュリティーが付いているので、生活のクオリティは高いと思います。
同じクオリティの生活を日本でしようと思ったらいくらかかるでしょうか。クアラルンプールの場合は、エリアや間取りにもよりますが、40,000円から150,000円程度の家賃で住むことができます。
海外での賃貸は、日本の習慣とは違い戸惑うこともありますが、契約書の内容を確認すること、わからないことは臆することなくエージェントやオーナーに聞くことがとても大切です。
これを読んでお分かりかと思いますが、何事もオーナーとのやりとりありきなので、もし契約前にオーナーに会う機会があれば、どのような人柄かを見ておいた方が良いかもしれません。
あとは縁!みなさんが良いエージェントと良いオーナー、良い物件に出会えますように。
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