日本と共通点も多い台湾ですが、台湾での就職活動は日本のそれと違う点が多くあります。台湾では、日本と同じような感覚で就活に臨むと失敗しかねません。
台湾企業を狙う場合はなおのこと、たとえ日系企業へ応募するとしても、日本とはまったく異なる就活だと考えておいた方がよいです。
私は台湾の中小企業の海外進出支援や人材紹介、Web制作会社での営業の仕事をしていました。ここでは、日系・台湾企業両方への就職活動を通じて日本と違うと思った点や、大変だと感じたことをご紹介します。
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台湾の求人情報は少なく、求められる中国語レベルは高い
台湾就職・台湾転職しようとする際に最初にぶち当たる壁が求人情報の少なさだと思います。中国を含むアジア圏の転職サイトはありますが、大半を占めるのは中国やシンガポール、マレーシアなどの求人で、台湾の求人は数が限られます。
また、仮に見つけることができても、ビジネスレベルの中国語力がない場合は応募すらできないか、応募しても面接にたどり着けないことが多いです。
台湾に支社のある人材紹介会社に登録してもほぼ同様で、語学力や特別なスキルがない限りはほぼ面接の機会すらもらえないと考えた方がよいと思います。
語学力をアップさせながらチャンスを狙う
私は、語学力がゼロに近い状態で仕事を探すという無謀な挑戦をし、面接の機会すらほぼもらえませんでした。
まれにモチベーション採用もありますが、それは若い求職者に対してのみです。一定の年齢に達していて語学力がまったくない場合は、ほぼ可能性はないと考えた方が無難です。
まずは語学学校に通うなどして語学力を磨きつつ、求職情報を小まめにチェックしてチャンスを狙いましょう。
台湾の就職活動は選考スピードが速い
日本の就職活動では、書類選考、一次〜三次や対役員まで複数回の面接があり、選考期間には1カ月くらいを要するのが一般的だと思います。
しかし、台湾の場合は日系企業・台湾企業問わず、全体的に選考のスピードが速いです。現在の仕事をしながら転職活動をするなら、急に台湾で面接となる可能性もあることを考えて心の準備をしておいた方がいいでしょう。
一次面接くらいまでならSkype面接で対応してくれる企業もありますが、最終面接は必ず台湾現地です。特に、小さな会社の場合はいきなり社長面接という展開も。気に入られたら即採用となることもあります。
複数回の選考がある場合でも選考の間隔が非常に短く、すぐに回答しないとチャンスを逃してしまいます。
スピーディな進行を前提にスケジュールを
滑り止め的に複数の企業に応募する場合も注意してください。それらの企業の選考がトントン拍子に進んでしまい、気づいたら本命ではない企業から内定が出て採用確定になっていたという状況にもなりかねません。
応募する際は自分の希望をしっかりと確認した上で、選考が想定外に速く進んだ場合も考えて転職スケジュールを組んでおきましょう。
台湾就職では給料と待遇は交渉次第
日本では、応募要項が詳細に記載され、採用時の条件もほぼ応募要項に沿うことが通例です。一方、台湾では、日系企業であれ台湾企業であれ、月給と待遇は面接時の交渉で決まることがあります。
面接時に最低希望条件はクリアできるように交渉していかないと、会社側に提示された、会社にとって都合の良い条件や待遇を飲まなければならなくなることも少なからずあります。
交渉が苦手であったり、押しに弱く主張ができなかったりすると条件面で不利になることもあるため、注意が必要です。
経験が少なくても臆する必要なし
私は面接時に、規定されている外国人の給料を上回る給料がほしいと交渉したところ、外国人の最低限賃金規定なんてあるのかと、うやむやにされかけたことがあります。
また、まだ経験が少ないから最初はミニマムからスタートしますなんて言うと、規定の外国人賃金を下回る額面を提示されることもあります。
台湾や海外での仕事経験が少ないからと下手に出る必要はまったくありません。法律で決められている最低ラインは自分できちんと調べ、労働者としての権利をしっかり主張しましょう!
台湾就活での面接で注意すべきこと
応募していないのに面接依頼?
日本では、求人サイトに登録し応募すると、自動返信メールやスカウトメールなどの形で反応があるのが一般的です。そこからメールで連絡を取り合って条件をすり合わせしたり、面接の日時を決定したりという流れだと思います。
一方、台湾では「台湾系の求人サイト」に登録すると、知らない企業からいきなり面接依頼の電話がかかってくることも多いです。しかも、プロフィールの語学レベルを仮に初級と登録していてもおかまいなしに、いきなり電話で中国語でまくし立てられることもよくあります。
面接前に条件がマッチしているか確認を
こちらのプロフィールをよく確認しないまま面接の依頼をしてくるケースも多く、いざ張り切って面接に行くと中国語しか話せない選考者が……。困りながらもジェスチャーを交えてコミュニケーションした経験があります。
結局、業務でビジネスレベルの中国語が必要だからもっと勉強した方がいいと親切にアドバイスされ、なぜかコーヒーをごちそうになって帰ってきました。
台湾人の親切さを感じたいい思い出にはなりましたが、急ぎの就職活動ではこういった面接が増えてしまうと時間がもったいないです。面接依頼があったら、求められている語学レベルをしっかり確認しましょう。
採用条件は細かくチェック
給料と待遇が交渉次第であることは先に述べましたが、台湾企業との面接では待遇をはじめ、語学レベルを含む条件、勤務開始までの流れ、ビザ取得など重要なポイントは全てこと細かく慎重に確認することをおすすめします。
私は台湾企業から一度内定をもらいましたが、その後、一方的に妥当な理由もなく取り消された経験があります。親切な台湾人ではありますが、いろいろな企業がありいろいろな人がいるので、慎重に臨んだ方がよいです。
日系企業との面接掛け持ちは避けた方が無難
補足として日系企業と面接する場合の注意点ですが、社長や上長とのフィーリングが合えば採用してもらえる可能性が高いだけに、働きたいと思える企業への応募面接に絞り込んだ方がいいです。
台湾の日本人社会は狭いので、応募を掛け持ちしてあちこちにいい顔をすると評判が悪くなる可能性もあるので、注意が必要です。
台湾就活では応募先企業の評判を知ることが難しい
海外就職全般にいえることですが、そこに住んだ経験がなく、就活する時になくて困るのが、応募しようとしている企業の評判です。
日本なら、ネットで情報収集したり知り合いに聞いたりすれば、その企業の評判をある程度知ることができます。しかし、土地鑑のない台湾では、どんな人がトップなのか、社長はどんな人柄なのかなど、就活で気になる情報を調べる手立てがほとんどないことが多いです。
エージェントや知人から情報収集
そんな時には、台湾の人材登録会社(転職エージェント)を利用するのがおすすめです。また、台湾に知り合いがいる場合は直接その会社の評判を聞いてみましょう。
応募しようとする会社についての情報を収集しておくことは、採用されて実際に勤務した時に起こるイメージとのギャップを抑えることにつながります。
海外就職では、その国で働くあこがれや期待が先行しがちです。その国で働けるならどんな企業でも構わないと就職してしまうと、後悔につながる可能性が高くなります。希望に近い企業を見つける努力をすることが大事だと思います。
台湾で外資系企業を狙うなら推薦人の確保が必要
希望する企業に応募し、希望にかなう条件が提示され、内定が目の前という時に、こう依頼されることがあります。
「あなたのことを推薦してくれる人を3人あげてください」
これは、台湾の外資系企業での就職においては一般的だそうです。日本の就職活動で求められることはほとんどないので、私も困った経験があります。
普段から意識して準備を
現在の勤務先の社長や同僚にはもちろん頼めないので、それ以外にビジネスで関わったことのある、あなたを推薦してくれる人を選ばなければなりません。
普段から意識して準備しておかないと、なかなか急には対応ができません。台湾就職、特に外資系企業を狙うなら用意しておいた方がよい事項です。
また台湾では、応募者の現職・前職の職場に応募先の企業が電話し、応募者の人柄や評判を聞くこともあります。いずれにしても、普段からの勤務態度や姿勢をしっかりしておくことが重要となります。
まとめ〜入念な準備と熱意、そして語学力が求められる
台湾での就職活動には日本とは違うルールやスピード感があり、応募できる機会も限られているので、入念な事前準備と数少ないチャンスを必ずものにする意気込みが必要です。
また、自分がどんな経験をしてきたのか、どんな人物なのか、これから台湾で何をしたいのか、言葉できちんと説明できることが大事です。自分の考えをしっかり持っていてやりたいことが明確であれば、乗り越えることができると思います。
ただ、語学だけは積み重ねあるのみです。毎日地道に頑張りましょう。
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