台湾で働く資格を得るためには、
- ワーキングホリデービザを取る
- 台湾人と結婚して配偶者ビザを取る
- 台湾の企業に雇用してもらい就労ビザを取る
などの方法があります。
2の配偶者ビザが取れれば仕事をしていなくても台湾で暮らせます。転職活動などもしやすくとても便利なのですが、自分の力だけでどうにかなるものではありません。
そこで今回は、私が経験した1. ワーキングホリデービザ取得と、3. 日本語教師としての就労ビザ取得及びワーホリビザからの切り替えを中心にご紹介します。
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台湾の就労ビザと日本人ができる仕事
台湾で仕事をするためには、冒頭でご紹介したようにワーキングホリデービザや配偶者ビザなどを持っている場合を除き、就労ビザを取得しなければなりません。どのような立場か、有償かどうかなどは関係ありません。
就労ビザを持たずに働くと不法就労となり、罰金及び域外退去の罰則が科せられます。
詳しくは後述しますが、就労ビザの取得を含め、台湾で働く権利を得るまでの大まかな流れは
- 労働許可を台湾労働部に申請
- 就労ビザを台湾外交部に申請
- 居留証を移民署に申請
- (必要に応じて)ワーホリビザを就労ビザへ切り替え
となります。
外国人が就ける職業には制限あり
海外では、日本と同じように自由に仕事を選べるわけではありません。どの国でも自国民の就業が優先です。
台湾でも、外国人が就ける業種や職種は以下のものに制限されています。つまり、これらの仕事をする場合にしか就労ビザは発行されないということです(ボランティア活動など例外あり)。
1. 専門性または技術性を有する職業
2. 政府の認可を受けて出資または設立する事業の主管者
3. 次の学校の教師(以下「外国人教師」)
a. 公立または公認の私立短期大学以上の学校または外国人学校の教師
b. 公立または公認の私立高等学校以下の学校の外国語教師の免許をもつ教師
c. 公立または公認の私立実験高等学校のバイリンガル部またはバイリンガル学校の学科教師
4. 補習教育法に基づく公認の短期補習クラスの専任教師
5. スポーツコーチおよび選手
6. 宗教、芸術、および演芸に関する職業
7. 商船、作業船およびその他交通部から特別許可を得た船舶の船員
8. 海洋漁労の労働
9. 家政および看護の労働
10. 台湾の重大建設プロジェクトや経済社会の発展に必要であり、中央主管機関が指定する職業
11. その他特殊な性質により、外国人の雇用が必要であり、中央主管機関の個別許可を得た者
- 参考・引用:JETRO(日本貿易振興機構)「台湾 外国人就業規制・在留許可、現地人の雇用」
https://www.jetro.go.jp/world/asia/tw/invest_05.html
台湾ワーキングホリデービザの取得について
私の台湾への移住は、ワーキングホリデービザを利用したことが始まりでした。このビザを申請したときには1年で帰国するつもりでいましたが、台湾で仕事を見つけることができたためそのまま台湾に住み続けています。
ワーキングホリデービザの取得は台湾で就職活動をするために有効な手段なので、簡単に触れておきます。
ワーホリ申請条件
- 日本在住の日本国民であること
- 申請時に18歳以上30歳以下(31歳の誕生日の直前まで)であること
- 過去に台湾のワーキングホリデービザの発給を受けていないこと
最低限クリアしなければならない条件は以上の3つです。その他細かい条件はありますが申請書類に関連するものなので、下記の項目に記載します。
私は31歳の誕生日の10日前くらいにビザを申請し、半年くらい準備をしてから出発しました。俗にいうギリホリです。
ワーホリビザ申請に必要な書類
- ワーキングホリデービザ専用申請書(台北駐日経済文化代表処のホームページから必要項目をすべて入力した後、A4の紙にプリントアウトして提出)
- 残存期間6カ月以上のパスポートおよびコピー
- 半年以内に撮影した4×5cmの写真2枚
- 履歴書
- 台湾に移住した後の活動概要(台北駐日経済文化代表処のホームページにフォーマットあり。ダウンロードして内容を記載したのちA4の紙にプリントアウトして提出)
- 1年以上の海外旅行保険の保険証とそのコピー
- 銀行などの残高30万円(帰りの飛行機のチケットをすでに購入している場合は20万円)以上の財力証明書
- 帰国のための航空券(購入済みの場合)
ちなみに、一番最後の項目の航空券は、財力証明の要件が満たされていれば予約する必要はありませんでした。
詳しくは「台北駐日経済文化代表処」のホームページに記載があるので、そちらを参照ください。
- 台北駐日経済文化代表処「ワ―キングホリデ―査証」:https://www.roc-taiwan.org/jp_ja/cat/28.html
書類を揃えたら、申請者本人が駐日経済文化代表処へ行って申請者手続きを行う必要があります。申請料は要りません。
有効期間は最長1年
ワーキングホリデービザの有効期間は180日間で、日本を出国した日から起算されます。滞在期限の15日前から更新の申請ができ、さらに180日間の滞在期間が付与されます。
滞在可能期間は最初に出国した日から最大で360日です。一時帰国したからといってワーキングホリデーの期限が延びるわけではないので、注意が必要です。
「台北駐日経済文化代表処」基本情報
- 住所:東京都港区白金台5-20-2
- アクセス:JR東日本山手線、東京急行電鉄目黒線、東京メトロ南北線、都営地下鉄三田線の目黒駅より徒歩11分。東京メトロ南北線、都営三田線白金台駅より徒歩7分
- 営業時間:9:00~11:30、13:00~17:00
- 電話番号:03-3280-7811
- 公式サイト:https://www.roc-taiwan.org/jp_ja/index.html
台湾の就労ビザ取得前の手続き:労働許可を申請
ワーキングホリデービザの期間を利用するなどして仕事が見つかった場合、働く許可を得るために就労ビザを申請します。
就労ビザを取得するためにはまず、台湾の労働部という機関から労働するための許可をもらう必要があります。
なお、一般企業に勤める場合と日本語教師として勤務する場合では条件や方法が異なります。両パターンについてできる限り詳しく記載していますが、私が実際に経験したのは日本語教師のビザの取得のみです。
労働許可の申請条件
労働許可は個人が申請するものではなく、雇用主である企業が労働部に対して行うものです。申請するためには、下記条件のうちいずれかを満たしている必要があります。
労働許可申請条件(一般企業に雇用される場合)
- 4年制大学を卒業しており、合計で2年間以上の就業経験がある
- 短大・専門学校・高校を卒業しており、合計で5年以上の就業経験がある
- 台湾国内の4年制大学を卒業しているか、日本で修士号または博士号を取得している(就業経験不要)
就業経験については、台湾での仕事と関係がある仕事であることを求められるようです。また、就業経験は学校を卒業した後から起算されるとのことです。
ただし、日本語教師の仕事に就く場合は上記とは条件が異なります。
労働許可申請条件(日本語教師の場合)
- 4年制大学を卒業している、または専門学校を卒業しかつ日本語教育に関する訓練を受け、その課程をすべて修了している
- 日本の国籍を持っており、パスポートを有している
- 満20歳以上である
その他労働時間に関する規定などがありますが、被雇用者として最低限満たしている必要があるのは上記3つです。
ただし、上記はあくまで最低条件のようです。職場によっては4年制の大学を卒業しており、かつ日本語教師養成講座420時間を修了しているか、日本語教育能力検定試験に合格しているか、大学で専門的に日本語教育を学んでいるか、などを雇用条件として審査する場合もあります。
日本語教師になりたいという人は、状況に応じた就職活動をする必要がありそうです。
労働許可の申請に必要な書類
労働許可を申請するためには、いくつか用意しなければならない書類があります。
自分で用意しなければならない書類(一般企業に雇用される場合)
- 残存期間6カ月以上のパスポートのコピー(旅券番号が記載してあるページをコピーする)
- 最終学歴を確認することができる書類とその書類の内容を中国語に翻訳した文書
- 在職証明書や、専門的な技術を有していることを証明する書類とその書類の内容を中国語に翻訳した文書
- その他、職種などによって個々に提出を要求される書類とその書類の内容を中国語に翻訳した文書
中国語への訳文は自分で作成する必要があります。これらの書類と、雇用者側にあたる会社で用意した書類をあわせて労働部に提出します。
書類提出後、1~2週間程度で労働部から労働許可に関する通知がきます。
一方、日本語教師の仕事に就く人は提出しなければならない書類が異なります。その書類は以下の通りです。
自分で用意しなければならない書類(日本語教師の場合)
- 残存期限6カ月以上のパスポートのコピー(旅券番号が記載してあるページをコピーする)
- 最終学歴を確認することができる書類とその書類の内容を中国語に翻訳した文書
- 短大・専門学校卒業者は日本語の専門的な訓練を受けたことを証明できる書類とその書類の内容を中国語に翻訳した文書
- 犯罪経歴証明書とその書類の内容を中国語に翻訳した文書
- 3カ月以内に受けた健康診断書
こちらも同様に、雇用者側で用意した書類とあわせて労働部へ提出します。中国語への訳文についても自分で作成する必要があります。
では、日本語教師の場合に必要な「犯罪経歴証明書」と「健康診断書」について詳しくご説明します。
犯罪経歴証明書
日本語教師として雇用される場合、2017年7月より犯罪経歴証明書の提出が必要になりました。台湾では「無犯罪証明書」などと呼ばれている書類で、要は罪を犯した経歴がないことを証明する書類です。
これは、自分が住民登録している日本の都道府県警や警視庁などに行って申請するか、台湾からなら日本台湾交流協会を通じて申請する必要があります。
日本にいる間の取得がおすすめ
日本国内で申請すれば2週間程度で書類を手に入れることができるのに比べ、台湾から請求すると2カ月ほどかかる上に、正当な書類申請の理由(所定の機関から提出を要求されたなど)と、それを証明する法律の条文等(日本語への翻訳が必要)がなければ申請を受け付けてもらうことができません。
日本国内にいてすでに台湾で日本語教師になることが決まっている場合は、あらかじめ取得してしまいましょう。
健康診断書
私は台湾の指定病院で健康診断を受けました。日本にも受診できる病院があるようですが、どこの病院なのか明確なリストは存在しないようです。
日本で健康診断を受けたい場合は、下記の台北駐日経済文化代表処ホームページから健康診断書をダウンロードし、健康診断を受けられそうな病院にメールで送って内容を確認してもらいましょう。問い合わせの際には、台湾の居留証申請に必要な健康診断を受けられるかどうか聞いてみてください。
- 台北駐日経済文化代表処「申請書ダウンロード」:https://www.roc-taiwan.org/jp_ja/cat/30.html
台湾で健康診断を受けたい場合は、衛生福利部疾病管制署のホームページに健康診断を受けることができる病院の一覧が記載されているページがあるので、そちらをご覧ください。台湾で受けた場合の受診料は1,500元(約6,000円)程度です。
書式に注意
台湾で検査を受ける場合、健康診断の書式は2種類です。ひとつは台湾で勉強や仕事をするため居留証を取得する人のための書式、もうひとつは台湾人と結婚する人のための書式です。
私は一度、結婚する人のための書式で診断書を作成されてしまい、労働部に書類の受け取りをしてもらえなかったことがあります。
健康診断を受けるときには、医師にはっきりと居留証を取得する目的を伝えて診断書を作ってもらいましょう。必要でない書類を作成された上、なんとなく落ち込んだ気持ちになるのを防ぐことができますよ。
台湾の就労ビザを申請する
労働部から労働許可を受け取ることができたら、いよいよ外交部(日本国内にいる場合は台北駐日経済文化代表処などの駐在機関)へ行って、就労ビザを申請します。
就労ビザ申請に必要な書類
- 就労ビザの申請書(所定のフォームにて必要項目をすべて入力した後、A4の紙にプリントアウトして提出)
- 労働許可とそのコピー
- 労働許可を申請した時に提出したすべての書類
- 残存期間6カ月以上のパスポートおよびコピー
- 証明写真2枚(外交部に証明写真機あり)
- その他提出を要求された書類
これらの書類に雇用者側で用意してもらった書類をあわせ、外交部ないし駐在機関に提出します。また、申請時にはパスポートも一緒に預けなければならないので、忘れないようにしましょう。
就労ビザ申請料
外交部に提出・申請する場合は、申請に必要な手数料2,400元(約9,600円、ビザ代1,600元+手続き代800元)を支払い、申請は完了します。
申請から就労ビザの取得までは2週間程度です。
台湾の就労ビザ取得後の手続き:居留証を申請
就労ビザを取得することができたら終わりというわけではありません。その後すぐに移民署へ行き、居留証を取得しなければなりません。ここでも提出しなければならない書類があるので、忘れないように持って行きましょう。
居留証取得のための書類
- 申請書(移民署にあるのでその場で記入)
- パスポートおよび写し(移民署にコピー機あり)
- 証明写真1枚(就労ビザの申請時に提出したものと同じで可)
- 労働許可とそのコピー
- 就労ビザとそのコピー
- 在職証明書(会社側が用意)
- 現住所の契約書など(現住所が証明できるもの)
以上の書類を提出し、申請料4,200元(約16,800円、1年分)を支払ってすべての手続きは終了です。
居留証は1週間ほどで出来上がります。自分で取りに行くか郵送してもらいましょう。郵送の場合は移民署の地下の郵便局で切手を購入し、居留証申請の窓口に持って行きます。
最終的に手にすることができるのは、中華民国居留証と書いてある名刺サイズのカードです。このカードを手にすることができてやっと、就労ビザと居留証の手続きが完了します。ここまで本当にお疲れ様でした。
台湾の健康保険に加入できる
台湾の居留証を取得すると、同時に台湾の健康保険に加入することができます。台湾の健康保険に加入すると、毎月給与から給与額に応じて保険料が引かれる代わりに、台湾の高水準の医療を安価に受けることができるようになります。
保険料については、衛生福利部中央健康保險署の全民健康保険ハンドブック(日本語版:衛生福利部中央健康保險署の全民健康保険ハンドブックPDF)に「保険料額表」があります。
保険加入は就職した会社が申請し、申請のときに証明写真を2枚提出する必要があります。
台湾ワーホリビザから就労ビザへの切り替え
ワーキングホリデービザから就労ビザに切り替える場合、特に手続きが必要になることはありません。台湾で就労ビザを申請すれば自動的に就労ビザへと切り替わる形になります。
ただし、就労ビザはすぐに取得できるわけではないので、ワーホリビザの期限が迫っている場合は注意が必要です。
準備には時間がかかることを忘れずに
私の場合は台湾に移住してから日本語学校に勤めることが決まったので、犯罪経歴証明書などは準備がありませんでした。
前述のように、台湾から日本の機関に犯罪経歴証明書を申請する場合は2カ月程度かかります。また、健康診断書も一度書き間違えられてしまったため、1週間余分に時間がかかりました。
学位記などはアルバイト探しの時に役立つかと準備していたので幸いでしたが、それでも就職の準備を始めてから居留証を取得するまで3カ月以上かかりました。
ビザの期限を確認し、余裕を持って準備するといいでしょう。
台湾での外国人就職に新たな道(2018年法改正)
台湾では2018年2月に外国人の雇用に関する法律が改正されました。特定の技術を持つ外国人には自由に転職ができる就業ゴールドカード、台湾での就職を目指す人には求職者のためのビザが発行されるようになりました。
この求職ビザは、台湾の教育部が定める世界ランキングで500位以内に入る大学の卒業者は、卒業1年以内であれば就業経験がなくても申請できるなどの特徴があります。日本ならどの大学なのか、こちらのサイトを参照してください。
世界大學排名(世界大学ランキング)と記載されている3つのランキングサイトのうち、1つだけでも自分の卒業した大学が500位以内に入っていれば申請ができるようです。
まとめ~余裕を持って準備すれば意外にスムーズ
ここまで読まれた方は、台湾で就労ビザを取得するのは大変なように思われるかもしれません。でも、自分が勤める会社にきちんと確認して必要な書類を揃えていけば、そんなに大変ものではないんですよ。
ただ、とにかく早めに準備することが大切です。正確な情報を集め、余裕を持って行動すれば、よほどのことがない限りひどい目にあったりはしないでしょう。
自分に合った制度を利用しながら、台湾での就職をぜひ成功させてくださいね。
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