マカオは人口が年々増えており、人口密度は世界一です。一戸建てに住める人はほとんどいませんが、部屋は必ずしも狭小ではありません。
わたしはマカオ在住10年で、これまでに2回引っ越しました。仕事の関係もあり、これまでずっと世界遺産のある旧市街地であるマカオ半島に暮らしています。マカオの住宅が日本と違う部分や、マカオならではの注意点をご紹介します。
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昔からマカオ人が多く住むエリアで暮らす
わたしはマカオ半島にあるギアの丘のふもとにあるマンションの一室で、夫と幼稚園に通う子ども1人の3人暮らしをしています。昔からマカオに住んでいる地元の人が多い地域で、建物も古いものが多いです。
ツテをフル活用
前の家を出てくれと言われたときに、警備員に同じマンション内で誰か退去する人がいないか紹介を頼み、運よく今の家に巡り合いました。今回は不動産会社を通さずに、部屋のオーナー個人と直接賃貸契約を結びました。
間取りと家賃
前の家と今の家は同じタイプの部屋ですが、間取りや家賃が異なります。
- 築35年
- 3LDK+ユニットバス3つ
- 広さ120平米ほど
- 14階/18階建て
- 家賃毎月10,000HKD(約144,000円)
- 共有エリアの清掃スタッフと24時間常駐の警備員
新しく建築されるマンションは単身用も増えましたが、古い家は2部屋以上あるところが多いです。高級マンションは建物内にプールやジムがついていることがあります。
第一条件は職場から近いこと
通勤に便利な立地
夫の希望で彼の職場から徒歩10分の場所に住んでいます。観光地とローカルエリアの中間地点です。わが家は車を持っていないので、まずは徒歩圏内という条件で探しました。
世界遺産などの観光地まではバスで5分、歩いても10分ほどです。また、地元の人が多く暮らす地域にあるマカオ人の夫の実家まで徒歩10分です。
バス停が近く交通至便
マカオの公共交通機関はバスとタクシーの2つです。普段はバスを利用します。家から徒歩5分圏内にバス停が6か所あり、どこに行くにもどこから帰るにも便利です。
わたしはツアーガイドの仕事をしているため、毎朝出勤地が変わります。近くにバス停がいくつもあるおかげで通勤が楽です。
マカオは人口密度が大変高く、朝と夕方のラッシュアワーはバスもとても混みます。満員のバスに長時間乗るのは体力気力ともに削られますから、交通の便が良い場所に住んでとても助かっています。
環境が良く子育てに便利
通学に便利
子どもの学校からは徒歩5分の距離で、通学に便利です。家の周辺には徒歩圏内に
- 幼稚園が5校
- 小学校が4校
- 中学校と高校が5校
あります。マカオは中高一貫教育で、中学校に6年通います。家の近くだけでも選択肢が多く、恵まれています。
公共施設も身近
市営プールや図書館が徒歩5分以内の距離にあります。子どもが図書館を好きなので、土日や学校帰りに立ち寄って本を読んだりDVDを借りたりします。
マカオの夏は蒸し暑く直射日光が厳しいので、冷房が効いていて日差しを避けられる図書館は真夏のオアシスです。
公園が多い
家から徒歩10分圏内に公園が7か所あり、お休みの日や学校帰りによく子どもを連れていきます。子どもが喜んで楽しそうに遊ぶ様子がほほえましいです。
たくさん運動しておくと、しっかりお腹が空いてご飯もたくさん食べますし、夜もよく眠るので助かっています。
病院が近く安心・便利
近所にある4軒の医療施設を使い分けています。
- 公立の大きな病院が徒歩3分
- 公立の保健センターが徒歩5分
- 小さな診療所が徒歩5分、10分の距離に1軒ずつ
公立病院は早朝に利用
マカオの公立病院は24時間土日も診てくれます。12歳以下の子どもは診察代、薬代全て無料です。
家から近く、子どもが高熱を出したり急病のとき、すぐ病院に行けるので安心です。混み始める前の早朝に診察を受けます。
小さな診療所は待ち時間短め
大病院は混むので予約なしで午後に行けば3時間は待ちます。仕事や学校帰りに診察を受けたいときは、あまり混まない診療所を利用します。
近くの診療所は政府のスポンサーがついていて安上がりです。子どもが風邪を引いたときは、診察代と3日分の薬代を合わせて7MOP(約98円)の支払いでした。
健診や予防注射もラクラク
乳児健診や妊婦健診、予防接種は保健センターで受けます。家から近いので子連れや身重でも通いやすく助かりました。
生活しやすく快適
買い物も便利
- ローカルスーパーが徒歩10分圏内に12店舗
- 青空市場の街市が自宅から徒歩5分圏内に1か所、バス10分圏内に1か所
マカオ半島は小さいですから、たいていの買い物は歩いて行けます。來來や新苗、利豊、宏基、パークンショップといったローカルスーパーが近くにたくさんあるので、日用品の買い出しや食材の調達に便利です。
市場も近いため、いつでも新鮮な食材を手に入れることができます。
ジョギングで森林浴
ギアの丘には警察官や学生をはじめ、多くの地元の人が利用する人気のジョギング用トラックがあります。
家から徒歩で2~3分と近いので、ちょっと運動したいとき気軽に通えます。空気のきれいな山の中を走って汗を流すのは気持ちがいいです。
防犯対策はしっかりと
マカオは治安がいいと言われていますが、身近な場所に泥棒が現れることもあります。日本よりも強い防犯意識を持って生活することが大切です。
ときに泥棒の被害も
明るい時間帯は自宅マンションや付近の5つ星ホテルなどをよく警察官が見回りしているのですが、同じ階の部屋が夜中空き巣に入られたことがあります。
最上階に住んでいたとき、隣近所が数軒泥棒に入られました。幸いわが家は被害にあいませんでしたが、それ以降は一晩中電気をつけておくなど、防犯に気を配るようになりました。
頑丈な二重扉の家が多い
今までに住んだ3軒の家は、全て玄関が二重扉です。オートロックで閉まる扉がついている部屋も多かったです。うっかり締め出されないよう気をつけています。
ベランダには鉄格子
ベランダには泥棒よけのしっかりとした鉄格子がついている家が多いです。フェンスのデザインは部屋ごとに様々で、ヨーロッパ風のおしゃれなものもあります。
家具家電付きがスタンダード
マカオの賃貸は、家具や家電が備え付けの場合が多いです。今の家は
- ベッド
- デスク
- 椅子
- テレビ台
- ソファー
- 飾り棚
- 洗濯機
- 冷蔵庫
- クローゼット
が備え付けでした。洗濯機と冷蔵庫とベッドのマットレスは自分のものを持ち込んで使っています。オーナーのものは処分できないものもあり、備え付けの方の洗濯機と冷蔵庫は使わずに置いています。
今の家のソファーが座り心地がいいので、前の家で使っていたソファーは自分で買ったものなのですが、そのまま置いてきました。
内装や設備はオーナー次第
マカオはマンションの部屋ごとにオーナーが異なるため、同じマンション内でも洗面台やトイレ、バスルームの仕様や収納などはオーナーによって違います。
前の家は物置が1部屋ありましたが、今の家にはそれがありません。その分キッチンが広く、バスルームが1つ多いです。物置はありませんが、収納が大きくて助かっている部分もあります。
バスタブがないことも
気候と考え方の違い
日本人にとって、お風呂に入って一日の疲れをゆっくり癒すのは至福です。しかしマカオでは冬はあまり寒くならず夏は蒸し暑いので、シャワーで済ませて湯船につからない人も多いです。
中には「湯船につかるなんて、お湯と時間のムダ遣いだ」と考える人もいます。部屋にバスタブがついている確率は50%以下で、もしあればラッキーです。
バスタブが恋しい!
最初の部屋は浴槽がありませんでした。日本から移住したばかりでバスタブが恋しくてたまりませんでした。次の部屋はバスルームが2つあり1つに浴槽がついていたので、即「ここに住みたい!」と決めました。
今の部屋はバスルームが3つありますが、浴槽はありません。わが家では簡易バスタブを購入して利用しています。
3つのバスルームはこう使っています
バスルームが3つありますが、お風呂として利用しているのは1つです。1つはトイレ、1つは洗濯物を干す空間として使っています。
トラブルが起きる前に知っておきたいこと
トラブル対応に中国語は必須
トラブルが起きた際、特にわたしのようなローカルエリアに住んでいると、北京語か広東語の中国語が話せないと大変です。オーナーは英語を話す人も多いですが、修理業者が英語を話すことはほとんどありません。
わたしが最初に住んでいた部屋は、仕事仲間の日本人女性とルームシェアでした。彼女が中国語ペラペラだったのですごく助けられました。
彼女が部屋を出てからはマカオ人の夫と住んでいるので、トラブル対応は全て任せています。
老朽化問題
マカオは地震が来ませんから、古い建物がしっかり残っています。前の家は同じマンションの最上階で、6年間住みましたが数々のトラブルに見舞われました。古い家だと老朽化の問題は避けては通れません。
小さなトラブルは自力で解決!
害虫が出没
前の家はゴキブリとアリがよく出ていました。ヤモリは年に数回見かけました。今の家に移ってからは、虫はほとんど出ません。マカオにはねずみもおり、町で数回見かけました。
また蚊にはどこに住んでいても悩まされます。公園で遊ぶだけでも蚊に刺されますので、虫よけと虫刺されの薬はそろえておきたいです。
水回りは自分で修理
水が詰まったり漏れたりのトラブルも数多くあり、水回りはいつも夫が自分で修理しました。トラブルの起きた主な場所はトイレとキッチンです。
トイレの水が気持ちよく流れないストレスは地味につらいです。
またキッチンに洗濯機置き場があり、排水がうまくいかず床が水浸しになったことが何度もありました。キッチンの床はタイルなので掃除しやすいのですが、水の詰まりにはほとほと困りました。
大きなトラブルはオーナーに連絡!
トラブルはそれだけではありません。雨漏りや家に備えつけの設備が壊れたとき、オーナーが修理代全部を肩代わりしてくれました。
雨漏りから大工事に
前の家は最上階で、雨漏りトラブルが起きました。不動産価値に影響が及べば、オーナーも困ります。すぐに連絡して現状を確認してもらいました。
その後マンションの自治会を開き、屋上の修繕をすることが決定しました。工事費はすべての部屋のオーナーが専有面積に応じて負担し、店子は支払いませんでした。
部屋の真上で工事をするため数か月間騒音に悩まされましたが、オーナーが家賃を相場よりもかなり安くしてくれました。
設備の故障はオーナーに相談
エアコンもたびたび壊れ、そのたびに専門の修理業者を呼びました。最終的に壊れて使えなくなってしまったので、オーナーに交渉して新品を取り付けました。代金はオーナーが全て負担してくれました。
冠水に注意!
写真は台風で大規模な断水の被害に見舞われ、水を求めて非常用水栓に並ぶ市民です。
またマカオでは毎年台風による冠水の被害を受けます。マカオに住む場合は海抜が低い土地かどうかも頭に入れておくといいでしょう。
超大型台風上陸
マカオは2017年ハト、2018年マンゴスチンという大きな台風に見舞われました。特に2017年の台風ハトでは大潮の時間と台風最接近の時間が重なり、52年ぶりと言われる大きな被害が出ました。
2mほど冠水する地域も
マカオは海に囲まれています。埋め立て地も多く、海抜が低い地域が多いです。都市部は水はけも悪く、海のそばの地域では2mほど冠水することがあります。
2017年はマカオ全域で停電と断水が起こりました。埋め立て地のコタイ地区にある大型リゾートホテルでは、数日間冷房がきかない状態を余儀なくされました。
高層マンションほど停電や断水になるとつらいですが、わが家は高台にあるおかげか電気も水道も止まることなく利用できました。
まとめ
今の家は住環境が良く、できればずっと住みたいと思うようなところです。しかしマカオでは、日本では考えられないようなトラブルが起こります。
広さ、新しさ、家賃、安全、利便性などに優先順位をつけて、どう取捨選択するかが部屋探しのポイントです。
もし時間が許すなら、じっくり部屋探しをするのがおすすめです。マカオ人は優しい人が多いので、困ったときは会社の人たちに相談してみると親身になって力を貸してくれるでしょう。
※1HKD(香港ドル)=14.4円、1MOP(マカオ・パタカ)=14円
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