多くの人があこがれるフランス。日本のみならず、世界中から多くの人が訪れる観光地でもあります。
しかし、誰もができる旅行とは違い、フランスで仕事を見つけることは簡単ではありません。
私は、フランスで日本語を教える仕事などをしています。フランスが好きで、フランスで働きたいと思っている方のために、しておくべきことや心構えを私の経験をもとにご紹介します。
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フランス就職の心構え1. 渡仏前にフランス語やフランス文化を学ぶ
フランスで仕事をしたいと思っていても、いったい何から手をつけたらよいのかわからないという方が多いと思います。渡仏前にまず日本でしておきたいことは、やはりフランス語の勉強です。
生活するなら言葉は必須
今のあなたのフランス語はどれぐらいのレベルですか?
私は学生時代に初めて語学留学したのですが、本当に役に立たない自分のフランス語に嫌気がさして、「次は絶対に日本でもっとがんばってから来よう!」と思いました。
日本語で仕事をするつもりでも、やはりフランスに住むなら少しでも出発前にフランス語を学んでから渡航することをおすすめします。生活の質がグッとアップします。
すでに少しフランス語の知識があるなら、絶対にブラッシュアップしておいた方が色々と便利です。
フランス語ができない人には厳しい環境
日本人には厳しいことですが、フランス人の対応は、フランス語が全くできない人に対してはかなり冷たいものだということも知っておいてください。
また、もう一つ大事なこととして、フランスではあまり英語が通じません。英語で何とかならない場合もあることを覚えておきましょう。
日本語が使える日本人向けのサービスを利用することも可能ですが、その分、出費が増えることを覚悟しておいてください。さらに、地方都市だとそういったサービス自体がないこともあるので気をつけましょう。
思わぬトラブルの際にも苦労する
トラブルが起きて言葉が通じないと、本当に大変です。
水が出ない、電気が止まったなどで生活できないとなると、仕事に行くどころではありません。そして、こういったトラブルは残念ながらフランスでは頻繁に起こるのです。
また、治安も日本ほどよくないため、事故や盗難や暴力事件に巻き込まれることもあるかもしれません。
言葉ができてもトラブルは精神的負担になります。できなければなおさらです。
これは私の実体験に基づいた話なのですが、訳あってドイツ語の知識がゼロの状態でドイツに引っ越したことがあり、非常に苦労しました。
やはり、国にかかわらず最低限の生活ができる程度のレベルの語学力は身につけてから引っ越した方が絶対にいいと思います。
余裕がある間にできることはやっておく
また、フランスの文化や習慣に関する最低限の知識もあった方が絶対に暮らしやすいです。文化や習慣の違いから、隣人やアパルトマンの大家さんとトラブルになる可能性もあります。
実際に住んでみて慣れればいいやと思っていても、日本とは異なる環境でバタバタしてしまうもの。思うように時間が取れずあわてるよりも、言葉の通じる日本にいる間に準備しておくことをおすすめします。
自分の身を守ることができるのは自分だけ。現地での安全と安心のためにも、是非最低限のことを学んでからフランスに出発したいものです。
フランス就職の心構え2. 積極的にフランス語に触れる機会を持つ
日本語のみで仕事をするなら、高いレベルのフランス語力はひとまず必要ありません。
すでに就職先が決まっていて就労ビザで入国する場合にも、語学力にかかわらず労働許可が下りていれば働けます。つまり、日系企業など日本語をメインとする職場で採用されているなら、フランス語力を上げるために語学学校に行かなくてもすぐに仕事が始まるのです。
でも現実は、慣れない職場環境、慣れない国で、ストレスのたまる生活。しかも、フランス語ができなければ友達を作るのも簡単ではありません。
せっかくフランスに来ているのに、日本人と一緒にいるばかりではフランスにいる意味がないと思いませんか?
語学学校で世界を広げる
職場によっては最初の1~2か月、語学学校に通うことを推奨される場合もあるようです。また、そうでなくてもフランスでは仕事が定時に終わることが多いので、少し余裕が出てきたら仕事帰りに語学学校に通うことも可能です。
せっかくのフランス生活を、職場と家の往復だけで終わらせてしまうのはとてももったいないこと。充実した休日や休暇を過ごすためにも、是非本場のフランス語に触れる機会を作ってみてください。
現地の語学学校に通うことは、フランス語だけでなくフランス文化に触れるよい機会です。また、世界各国から集まったクラスメート達と学ぶことによって、ものの見方も多角的になるでしょう。
そうした経験は、人間として大きく成長できるチャンスになると思います。フランス語以外のことも身につけられる貴重なチャレンジをしてみましょう。
フランス就職の心構え3. 学んだことを生かす
フランスでは一般に、学業が直接仕事につながります。
例えば、私の日本での就職のように、大学でフランス語を学んだのにフランス語を全く使わない一般企業に入るということはあり得ないわけです。
もしもあなたが今、日本にいて「フランスで仕事をしたい!」と思っているなら、大学などで学んだ専門分野と一致する仕事、もしくは日本での業務と同系列・同分野の仕事ならできる可能性はあります。
それ以外の場合は、私のように別の分野での資格を取る必要があります。
身につけた知識が今の仕事に役立つ
ちなみに、私のいた語学学校では、将来の方向性を決める準備の一つとして選択授業がありました。私は、日本語とフランス語の翻訳の授業を選択しました。
実際の就職に際し、すぐに翻訳家を目指したわけではありませんでしたが、結果としてその翻訳経験が仕事に役立っています。
渡仏後すぐに仕事がなくて語学留学から始める場合や、学部または大学院留学の場合は、将来自分の就きたい仕事に役立つ授業が選択肢としてあるかどうかということも、学校・大学選びの重要なポイントとなります。
フランス就職の心構え4. 日本で働いた経験もプラスに変える
フランスでは、経験がないと仕事が見つかりません。そのため、フランスの若者たちはインターンシップ制度「スタージュ(stage)」を使い、職業経験を積みます。そうでないと、経験ゼロではどこも雇ってくれるところはないのです。
大学でインターンシップ先を紹介してくれる場合もありますが、自分で探さないといけないことも多いようです。フランス人も、ありとあらゆるコネを使い必死に探します。
ボランティア経験もアピール材料
私の場合、ちょっと特殊なので、あまり参考になるかどうかわかりません。
ただ、日本語を教えることに関していえば、語学と専門の資格を取得したのち、ボランティアやフリーランスとして教える経験を積んだ結果、大学で教える仕事が見つかった、という流れでしょうか。
そのため、日本でアルバイトや仕事をしたことがある方はその経験を是非アピールしてください。ボランティア活動でもかまいません。とにかく、仕事に役立ちそうな経験ならとりあえずアピールしてみましょう。
「こんなことを言ったらバカにされるかな?」と思う必要はありません。役に立つ経験かどうかを決めるのは採用する側なのですから。専門性がある仕事の場合、経験が長ければ採用になるチャンスが高まります。
人脈も大事な要素
また、知り合いに声をかけておくと仕事を紹介してくれることがあるかもしれません。私は実際に、色々な人から様々な職種で声をかけてもらいました。
資格と経験と人脈、この3点がフランスでの就職のカギです。
とにかく、フランスでは受け身でいては何も動きません。ありとあらゆる手段を使いアクティブに情報収集しながら就職活動を進めましょう。
フランス就職の心構え5. 本当にしたいことを見つける
私は運よく、自分の本当にやりたい仕事が見つかり、それに向けて進むことができました。
あなたは、フランスに行きたいということ以外に、フランスで何がしたいと思っていますか?
日本の大学などで学んだことと関係のあることですか?それとも、今のお仕事と関係のあることですか?そうではなくて、何か全く違うことを始めようと思っているのですか?なぜ、フランスでないといけないのですか?
これらは面接でもよく聞かれる質問ですが、とても大切なことです。
強い気持ちが必要
失業率の高いフランスで仕事を見つけるのは簡単ではありません。フランス人と互角に就職活動することは、かなり難易度が高いです。
同じレベルの仕事ができる人が2人いて、1人はフランス人、もう1人は外国人だったら、まちがいなくフランス人が選ばれます。
それでも、「どうしてもフランスでこの仕事がしたい!」「フランス人にも負けない!」と思えるものがあるなら、絶対に大丈夫です。どんなに辛いことがあっても頑張れるはずです。
まとめ~自分の「本気度」をしっかり確かめよう
フランスで働きたい理由が、単に今の仕事を辞めたいから、今の生活が不満だからという現実逃避なら、考え直した方がいいかもしれません。
仕事以外に、言葉や文化・習慣の違う日々の暮らし自体がストレスになり得るからです。
また、いくらあこがれの国であっても、暮らしてみれば嫌な面も見えてきます。イメージの中のフランスではなく本当のフランス、つまりマイナス面も含めた等身大の姿を受け入れられるかどうかも問われます。
自分の気持ちをもう一度確かめた上で、本気でフランス就職を目指すなら前進あるのみ。しっかり準備して、一つずつハードルを乗り越えていってください。
Bon courage !
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