フランスで自分の実力を試してみたい。でもどこから手を付けたらよいのか?言語は?スキルは何が必要なのか?就労ビザはどうやって取るの?そんな転職の悩みは尽きないと思います。
私はフランスでクリエイターとして働いて、もう18年になります。こちらで自分も経験し、また周囲の知人の転職活動を見てきて考えた、まさに現地直送の「フランスへの転職の進め方」のポイントについて、簡単に段階を追って説明したいと思います。
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フランスで働いている日本人はどんな仕事をしている?
転職方法
フランスで働くためには、大きく分けて2種類の転職方法があると思います。現地企業(または日本企業)がその地で募集する現地採用か、日本企業からの海外転勤(駐在)です。
私はフランスでデザイン学校を卒業し、そのままフランス人経営のデザイン事務所へ就職しました。ですから現地採用組です。
パリという街では、私のようにクリエイト系の仕事に従事している日本人に出会う事が多いです。フランスで働いている日本人とは、どんな職種の人なのでしょうか?
アーティストの住む街、パリ
私の周りでは、
- 料理、パティスリー、ソムリエなど、食に関する職業
- グラフィックデザイン、インテリアなどのデザイン系
- ファッション、美容、ヘアメイクなど
といったクリエイト系の仕事で働いている方が数多くいます。もちろん、IT関連や、政府機関、研究者などアート関連でない方もたくさんいらっしゃいます。
日系企業からの駐在の方も多くいらっしゃいますが、ドイツやイギリスに比べるとやはり少な目だと思います。
パリは昔から画家やアーティストを惹きつけてきた街です。それは今でも変わらないのかもしれませんね。
また、フランスにはアーティストが自立しやすい制度も多くあり、アーティストとして滞在ビザを申請することもできます。そういった事情もあり、多くの方がチャンスをつかんでフランスでお仕事をされているのだと思います。
失業率の高いフランス
フランスの完全失業率は9.1%(2018年12月)。日本は2.5%程度ですから、どれだけ失業者が多いのかお判りになると思います。
そんな中でフランスへ転職するとなると、よほどの特殊技能か、その企業にメリットがある人材でないと難しいといえるでしょう。
でもそれは、特殊な技術やスキルを持った人だけではなく、感性があるということも「メリットのある人材」として認識してもらえるため、クリエイト系の人が数多く転職できているのだと思います。
ステップ1: 留学、またはスキルを磨く
では、今日本にいて「フランスで働きたい!」と思ったら、具体的に何から始めたらよいでしょうか?
留学も視野に
例えばヘアメイクだと、フランスにはCAP(Certificat d’Aptitude Professionnelle)という認定試験があります。
もちろん、この認定を受けていなくても、日系のサロンなら就職できます。必須の資格、と言う訳ではないのですが……。でもせっかくなら、まずフランスで学ぶことを考えるのもいいと思いませんか?
すでに日本で仕事をされている方には、遠回りのように感じるでしょう。でも、たとえ数か月でも「学ぶ期間」を考慮することは、同じ職種を選ぶフランス人に触れる機会でもあり、またその業界を良く知るチャンスにもなります。
なぜならフランスの学校は必ずインターン制度があり、学校に通いながら仕事を得るチャンスにもつながるからです。
クリエイター系の仕事は、現地採用の場合が多く、やはりフランス語は必須になってきます。その為にも留学という期間を置くことはいい事だと思います。
留学の利点
また、本格的にフランス転職を考える前に、現地の雰囲気を知ることもできますね。
パリ・シンドロームという言葉がありますが、「思っていたのと違う」と、フランスに住んでみて初めて分かることは多いです。留学中なら合わないと思えばすぐ帰れますが、仕事を始めるとそうもいきません。
それに、就労ビザよりも学生ビザの方が取得しやすいという利点もあります。インターンシップで働いた会社に採用されることも多々あるので、時間と余裕のある方なら得るものは大きいと思います。
スキルを磨く
例えばITやCG関連のお仕事でフランスに行きたいと思うなら、日本からオンライン講座などでスキルを磨く+認定を取るなどで準備するのもいいでしょう。これなら日本にいながら世界的に通用するスキルを得ることができます。
フランスでは学歴、卒業証の有無を意外と大事にします。履歴書に明記できる認定証を得ることは、将来の就職へのチャンスにつながります。
ステップ2: 求職は転職エージェントがおすすめ
転職する心の準備ができたら、仕事を探しましょう。日本に住んでいる方、言葉に自信のない方は、日系の転職エージェントに登録されるのもいいと思います。
やはり日系の転職エージェントは日本企業や日本語が必要とされる職場への求人を多く持っています。そのためビザの申請がスムーズに行えたりとメリットはあると思います。
フランスの転職エージェントはAgence d’intérim(アジョンス・ダンテリム)といいます。すでに現地入りされてる方(留学などで)なら登録されることをおすすめします。短期の契約のお仕事が多いですが、経験を積むためにはとてもいいと思います。
ネットで求人広告を探すなら、日本でいうハローワークにあたるPôleEmploiのサイト(https://www.pole-emploi.fr/accueil/)を検索するか、自分の希望する職種に特化した求職サイトを探してみましょう。
例えば私のような空間デザインのクリエイターの場合、イベント会社の産業団体が運営するサイト(https://leads-france.com/)をみて求人を探すのが効率的でしょう。
SNSで探すのも効果的
LinkedIn(www.linkedin.com)やViadeo(www.viadeo.com)のようなSNSサイトを利用するのも効果的だと思います。SNSサイトだと、その職種のコミュニティもあり、情報収集がしやすいです。
ステップ3: ビザについて
フランスで就労できるビザは、会社員、フリーランスや自営業、アーティストなど仕事の形態によって種類が違います。
フランスでは、就労ビザの取得は年々難しくなってきているのが現実です。そしてビザの申請は、外国人を雇おうとする企業にも、大変負担がかかる作業になります。
そういう意味では、フランスの日系企業は申請慣れしているのでビザの取得には有利と言えるでしょう。
ただ私の友人のなかには、フリーランスやアーティストとして就労ビザを取得し、フランス企業で働いている人もいます。
正社員の道を考えるだけでなく、そういった別の道を探る条件で企業と交渉するのもありだと思いますよ。
就労ビザについては、フランス転職のステップの中で、残念ですが個人の希望や情熱だけではどうにもならない部分です。でもフランスにはいくつかの種類のビザがあることを知って、どうか諦めずに自分に適応するビザを探してみてください。
ビザについて詳しくは、フランス政府のサイト(https://www.service-public.fr/)にてご参照ください。
フランスへ転職が決まったら気を付けること
CDDとCDI
さて、幸運にもフランスで転職が決まった場合です。フランスでは就労契約が2種類あり、3~6か月の短期のもの(CDD)と無期限のもの(CDI)とに分別されています。
無期限(CDI)がいわゆる正社員ですが、近年は長期の人を希望していても、まずは短期の契約を結ぶ企業も多いです。そのため、CDDだからと言ってすぐ契約が終わってしまうとは限りません。
また、どちらの契約でも1~2か月の試用期間があります。(CDDの場合、この試用期間は契約期間に含まれます。)大体の場合、試用期間が終わる1週間ほど前に上部との面談があり、継続の意思確認や、条件などが話し合われます。
とくにCDI(無期限)の場合はこの試用期間が終わると晴れて正社員ということもあり、フランス人は職場にちょっとしたお菓子を持っていったりしてお祝いします。
国民保険と任意保険
フランス企業に勤める場合はフランスの国民保険への加入が必須となります。
私が学生の頃は、外国人学生の加入はできなかったため(現在は加入が必須)、就職したときに初めて加入しました。会社の経理の方がすべての書類を送ってくれましたが、3か月以上かかったのを覚えています。
保険番号を取得したのち、自宅近くの保険センターで保険証を申請します。日本とは違い、どの過程も思うよりもずっと時間がかかりますので、注意してください。
また数年前より、任意保険への加入(会社からの補助あり)が義務になりました。つまり会社が指定した任意保険へ加入しなければなりません。ですが、会社が半額負担するため個人の負担は少なく済みます。
これはフランスの国民保険が歯科医療や視覚矯正をカバーしておらず、ほぼ自己負担になることに配慮して作られたものです。
まとめ
フランス就職は、初めの一歩が一番難しいですよね。日本で培ってきた経験を、相手企業がそのまま理解してくれるとは限りません。ビザの問題や、初期の渡航費用など、悩むことはいっぱいあると思います。
ですがフランスで働くということは、そんな苦労を忘れてしまうくらいのメリットがあると思います。人や文化との出会いに日本では感じられない刺激を受けるでしょう。
また、フランスはライフ・ワーク・バランスがとてもよい国です。仕事を楽しみ、余暇も楽しむ。そんな経験をフランスでしてみませんか?
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