フレンチデザインに憧れて1996年に渡仏しました。まず語学留学で渡仏し、フランスのデザイン学校にてインテリアデザインを学び無事卒業。
卒業後、就職活動をフランス人と同じように行い、現地でブースデザイナーとして就職しました。転職後の現在もフランス企業で働いています。
フランスのデザイン学校ってどんな感じ?デザイナーの就職活動はどうすればいい?ブースデザインって何?そんな疑問にお答えしたいと思います。
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フランスのデザインが好きだった
「デザインの国」と言われたら、皆さんはどこの国をイメージされますか?イタリアやアメリカ、または北欧の国々を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
日本の美術大学で学んでいた頃、私が好きだったのはフランスのデザインでした。華やかでポップなイタリアンデザインに似ているようですが、そこはかとなく上品さが隠れていて、フランスという国の伝統を感じるデザイン。
当時日本でも話題になっていたスタルクというフランス人デザイナーの作品が大好きだった私は、フランスという国に興味を持ち始めていました。
きっかけは言語
日本の大学で物足りなさを感じていた私は、海外留学に強い憧れを持っていました。元々の楽観的な性格のせいか、言葉の壁に関してはあまり心配していませんでした(笑)。
それに中学、高校と続いた英語の授業の難解さに辟易していたので「英語圏じゃない国に行きたいなぁ」と考えていました。
どちらにせよ、英語の成績が下の下だった私にとって、新言語を学ぶのも、英語を学び直すのも、同じくらい時間がかかるだろうと思ったのです。それなら、大好きなデザインのあるフランスへ行こう!と決心。
フランス語は全くできなかったのですが、友人の助けを借りてフランスの地方の語学留学をまず申請。無事渡航ビザが下り、デザイン学校は現地に行ってから探そうと考えていました。最低でも3年はいる覚悟で渡仏しました。
渡仏、そしてデザイン学校へ入学
語学学校の寮生活から、私のフランス生活は始まりました。ほとんどフランス語は理解できない状態でしたが、適度に日本人がいたおかげで、ストレスを感じずにすみました。
また「24時間、寮仲間と過ごす」環境の中で、私のフランス語はメキメキ上達していきました。
よく日本人同士で一緒にいては語学が伸びないと言いますが、私の経験では、慣れない海外生活、ホッとする時間も必要です。お互いに語学を学びに来ている者同士。度を守れば、得難い親友になることも多いです。
地方からパリへ
半年程過ぎた頃から、デザイン学校への編入を意識し準備開始。国立学校、私立学校共に願書を送って試験を受けたり、面接に挑んだりしました。
結果パリに行くことが多くなり、地方の語学学校から、パリの語学学校へと移りました(これで寮生活ともさようなら)。
どうにか、ひとつの小さな私立学校から入学許可が下り、とうとうパリでインテリアデザインを学ぶことになりました。
インターンシップで仕事場の雰囲気を学ぶ
フランスのデザイン学校は、とても実用的。教師陣もアカデミックな人ばかりでなく、現役でデザイナーとして活躍している人がどんどん教鞭をとります。
フランスのデザイン学校で重視されるのは、何をおいてもプレゼンテーション能力です。「作りたいものを言葉で表現する」ことの重要さをみっちり教え込まれました。
日本のように上手に絵が描ける、模型が完璧に作れるだけでは評価は高くないのです。
どんな拙いプロトタイプでも、コンセプトをうまく説明できることの方が重要。ここで私のフランス語はかなり揉まれ、上達したと思います(笑)。
いよいよインターンシップへ
基礎がついたら「Stage」と呼ばれるインターン制度を使ってどんどん企業で学んで来い!と後押しされます。
確かに学校で学ぶのも大事です。しかし実際に現場に入ると、シビアな現実が見えてきます。
その中で自分の創造力を発揮するすべを身に着けたり、職場の雰囲気を感じることができたのは、後々就職活動をするにあたって、とても役に立ったと思います。
フランスで就職活動
インターンシップ
私の通っていた学校のカリキュラムは、最終学年になると学校半分・研修半分の時間配分で進められました。つまり週の半分は企業で研修。
私は、デザインした家具を伝統的な職人さんを使って一つ一つ制作しているデザイナー事務所で1年間お世話になりました。残りの時間は友達と泊まり込んで卒業制作にかかりきりです。そんな一年間が過ぎ、なんとか学校を卒業しました。
渡仏した当初は、「フランスで学びたい」が目標でしたが、就学していた4年間と研修経験から、「やっぱりフランスで仕事がしてみたい!」と思うようになりました。
インターネットのない時代の就職活動
当時から失業率の高かったフランス……外国人の私が、デザインの仕事に就くことはできるのでしょうか?
とりあえずやってみるしかないと思い、フランス語で履歴書を作成して志望動機を書き、イエローページで見つけたデザイン会社20社程に郵送。着いた頃を見計らって電話をしてみました。インターネットがない時代の就職活動は、そんな感じでした。
なんとか3社と面接をし、ブースデザイン会社から採用の返事をもらいました。20社送って、面接に漕ぎつけたのはたったの3社。それでもフランスでの就職活動としては、まだいい方だと言われたのを覚えています。
ブースデザインとは
私が就職した会社は、見本市・サロンのブースをデザインする会社でした。車のモーターショウや、チョコレートのサロン等で、企業の顔となるのがブース(小間)です。その空間をデザインするのが、私の仕事。
完全にフランスの企業ですが、大きな会社で、世界各地の見本市でフランス企業のブース施工を請け負っていました。そのため、外国人の雇用に対して敷居が低かったのでは?と思います。実際、営業課の人は外国人が多数でした。
具体的にどんなデザインなのか?
ブースとは、華やかで機能的な空間。商品をみせるショールーム的な部分と、商談をゆったりと行えるミーティングルームを上手に融和させてデザインします。
企業の色やイメージも大切に作りこんでいきますが、短期間で作り、使用し、撤去するもの。造作のシンプルさも求められます。ちょっと特殊な空間デザインと言えるのではないでしょうか。
フランス企業で働く
会社に入った当初は、仕事を覚えるのが本当に大変でした。「新卒」の概念がないフランスでは、たとえ学校を出たばかりでも、かなりの即戦力を求められます。
もちろん慣れるまでの時間はくれますが、デザイナーとしては、新卒の私も隣のデザイナーさんも同じ立場なのです。技術的にまだ即戦力となり得なくても、自分のデザインをキチンと提案できるよう指導されます。
またインターン制度が普及しているため、学生でも企業で働くマナーを身に着けていて当然と思われています。
ちょっと長めのお昼休み
仕事とは関係ありませんが、フランス企業はお昼休みが長い(笑)。食事がとても大事なフランスです。きちんとレストランで食事する人も多いので、長いところで1時間半、短くても1時間でした。
しっかり食べすぎて、午後は満腹でボーっとしている人もいました。
まとめ
ブースデザインの世界に入り、何度か転職はしたものの、今年で18年目になります。
「フランスで働く」ということは、何よりも「自己主張をする」ことが大切だと思います。上下関係が薄いフランスの会社では、誰にでも言いたいことを言って物事を改善していきます。我慢をしていても誰も気づいてくれないからです。
給料交渉も個人個人で行うので、同じ役職でも交渉次第でかなり差が出たりします。
「試してみない者は何も手に入らない Qui ne tente rien n’a rien」ということわざをフランス人はよく使います。それは、私がフランスで働くまでの過程を言い得ていると、いつも思うのです。
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