デザイナーという特殊な職種。フランスではどのように職を探せばいいのでしょうか?
私はフランスで3回転職しています。時代の流れとともに、少しずつ求職の仕方や、面接も変わってきています。
フランスでのクリエーター系就職活動について、大事な要点をまとめてみました。日本とは少し違う履歴書の書き方、作品集の準備から、求人の探し方、面接で気をつける点などについて説明したいと思います。
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フランスで現地企業に就職するには
準備すれば難しくない
海外でクリエーター系の職に就く。夢のように思うかもしれませんが、きちんと準備すれば、それ程難しいことではないです。
特に「日本」の芸術は世界でとても評価されています。そのため日本人であることは、クリエイト系の仕事ではむしろ優遇されていると実感します。
フランス人のなかには驚くほど日本文化に精通している人がいるので、面接などの際に突然、浮世絵について詳しく聞かれたり…こちらも少し準備が必要かも知れませんね。
デザイナーなら不利にならない
基本的に、この分野では外国人であることが不利に働くことはないと思います。勿論、ある程度フランス語は習得していないと現地企業で働くのは難しいですが、ハードルはそれだけ。後は自分の能力次第で仕事に就けるチャンスは多々あります。
私の就職活動
私は、今年でフランス在住23年になります。そして、フランスで仕事に就いて18年。現在は空間デザイナーとして、フランス現地企業に勤めています。
主にコンピューターを使って3DCGを起こしたり、CADというアプリケーションを使って図面を引いたりするお仕事ですが、イベント関連のお仕事なので、現場に出ることもしばしば。業者さんや職人さんたちとのコミュニケーションも密に取ります。
現在勤めているデザイン事務所は、とても規模の小さい会社です。こちらに入って8年目になりますが、ほぼ家族のようなアットホームな職場の雰囲気です。
実は子供が産まれたときに、この会社へ転職しました。小さな会社は個々の状況がよく見えるため、融通が利きやすいという利点があると思います。
意外に学歴社会なフランス
あとで詳しく説明していきますが、フランスで就職活動をする際に必要な「三種の神器」は、
- 履歴書(CV)
- 志望動機書(La lettre de motivation)
- 作品集(Book)
です。
学校のブランド力
おもしろいのは、すでに職業経験のある中堅デザイナーの転職でも、履歴書の学歴欄はしっかり確認されています。「実力の世界」のようでいて、学校のブランド力が反映されている例を何度か見てきました。
ただ、単純に国立の有名美術学校>技術養成コースという訳でもなく、即戦力になりやすい有名な養成コース出身者の方を好む人もいます。
ただし、これはフランス国内で勉強した場合の話であり、海外での学歴に関しては作品集(実力)の方をより評価しているように思います。
履歴書(CV)の書き方
CVとは
CVとはCurriculum vitaeの略で、フランス語で履歴書のことです。この書類には、まず個人情報(名前、住所、連絡先と本人の写真)、学歴、職歴、スキル(アプリケーション、言語など)と、その他趣味や仕事以外で活動していることなどを載せます。
書式
日本のように指定の用紙はなく、自分でレイアウトして人の目に留まるようなCVを作ります。強調したい部分を大きくしたり、図にして分かりやすく説明したり……自由に作って大丈夫です。
学歴・職歴は、なるべく具体的に「何をどこでやった」のか詳しく書きましょう。学生時に参加したコンクールや、在職中に担当したクライアント名を入れるのもいいです。
サイズ
全体のボリュームはA4用紙の両面程度で収まるように考慮します。2ページ以上になると、読まれにくくなったり、半分紛失されたりと不慮の事故の元になります。
ソーシャルネットワーク
最近ではやはり、SNSでの求人も多くなっています。企業側が応募者のSNSをチェックすることもしばしば。個人と求職活動用のアカウントはきっちり分けておく方が無難だと思います。
フランスでの求職活動でよく使われるSNSは、Viadeoというサイト(www.viadeo.com)かLinkedIn(www.linkedin.com)です。Viadeoはフランス発のSNSで求人もよく出ています。
ですが今はやはりLinkedInの方が主流だと思います。この二つのサイトでアカウントを持ち、職歴等をまとめておくと企業の目に留まりやすいです。
志望動機書(La lettre de motivation)を書く
志望動機書とは
志望動機書(La lettre de motivation)とは、その名の通り、なぜその求人に興味を持ち、応募するのかを明確に書く手紙方式の書類です。
手書きで書く
フランスではとても重要視されていて、そして伝統的には「手書き」が基本です。字で人となりを見るのは日本だけではないんですね。
この手紙では、その仕事に自分がどれだけ興味があるのか、自分のスキルがどのように発揮できると思っているのか、しっかりアピールしましょう。遠慮せず、多少盛り気味くらいの方がフランスではちょうど良いです。
ちなみに、サイトからの応募の場合は添付メッセージになるので手書きである必要はありません。ただ、面接の際にはキチンと手書きのものを用意していく方が印象が良いでしょう。
作品集が一番大事
作品集
最後に必要なのは、Bookと呼ばれる、自分の作品集です。学生の方なら学校で作った作品類。すでにデザイナーとしての経験がある方は、過去の作品をポートフォリオと呼ばれる少し上質なファイルにまとめます。
今なら、きちんと編集してフォトブックを印刷してしまうのも良いかも知れません。そのうえで、フォトストック系のサイトで、オンライン用の作品集も用意することをおすすめします。もしくは自身のサイトを作ってしまうのもいいと思います。
今の時代、ネットで求人をして応募もサイトからというパターンが多いでしょう。応募の際にURLを付けておけば、最初から自分の実力を見てもらえます。その方が面接に結び付く可能性は高いです。
デザイナー求人の探し方
SNSサイト
先ほど紹介したSNSサイトなどで求人を探します。自分の職種にあった求人が提示されるので、とても便利です。あとは、職種ごとに求人サイトがあります。
クリエイター系で有名なのはGraphic-Jobs(www.graphic-jobs.com)。特にグラフィックデザイナーや、印刷系技術者への求人が豊富にあります。建築・インテリアデザイン系だとArchiBat(www.archibat.com)をおすすめします。
口コミ
けれど、一番確実なのは……「口コミ」です!仕事を探しているというのを、常に周囲にアピールしておきましょう。「誰々さんの知り合い」として求人に応募するのが、フランスでは一番の近道と言えるでしょう。
面接で注意する点
落ち着いて
私は初めての面接で、何を話したか分からないくらい緊張したのを覚えています。ここでアドバイスできることといえば、ずばり「緊張しないこと」です。
フランスの面接はとてもフレンドリーな雰囲気です。ざっくばらんにナチュラルなあなたを見せることが、面接者を安心させることに繋がります。相手が知りたいのは、あなたの実力、そして希望する給料額です。
給料交渉をする
ここで初めて給料交渉に入ります。フランスでは求人に目安としての給料帯が提示されていますが、「この金額で雇ってください」と交渉するのは、あなたです。
そのためには、市場を鑑みて、自分の能力がどの程度に位置しているのかを把握しておかないといけません。最初は難しいと思いますが、仕事をしているとだんだん見えてきますよ。
注意点
気を付けなければいけないのは、フランスでは社会保障費天引き前の給与額(Salaire brut)で交渉しますが、実際に支払われるのは、天引き後の給与額(Salaire net)です。
ブリュット、ネットと呼ばれていますが、23%程度引かれるので、ご注意ください。
まとめ
色々と日本の就職活動とは違う点があるかもしれません。フランス企業に就職するには、とにかく自分をアピールすること。
私は自宅からとても遠い会社の面接の際に、「遠いので週一日テレワークにしてください!」と交渉したことがあります。
その会社にとっては初めてのテレワーク勤務でしたが、なんと通りました!後からそれを知った同僚にずいぶんうらやましがられたのを覚えています。
今はオンラインでできることが増えてきて、日本から直接仕事を探すことだって不可能ではありません。いろいろな可能性を探して、頑張ってみてください。
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