中国でインターネットを使う、と聞くとどんな印象をお持ちでしょうか。いろいろ制限があって不便なのでは?と心配もあるかもしれません。
実際に自宅へネットをひきたい場合、どうしたらよいのでしょうか。今や生活には欠かせないネットですので、中国に行っても上手に使いこなせるといいですね。
今回は中国でインターネットの契約方法からネットを使う上で知っておくとよい情報をご紹介します。
中国のインターネットは費用は安くて使い放題
中国に来て結構うれしいことの1つが、プロバイダの接続料の安さです。
私の住む地方都市では、1年840元(14,000円)位で、光ファイバー使い放題といった具合です。ちなみに、使い放題以外の契約はあまり聞いたことがありません。
値段が比較的安いこともあってか、ネットがある家は多いですし、中国人は普段からよくネットを利用しています。
個人商店には、テレビが無くてもパソコンはあることが多いです。もちろん商売にも使えるので便利でしょうし、暇な時間にはドラマや動画を見ているようです。
大きな商業施設、飛行場、またレストランなどに無料Wifiがあることも多いので、利用することができます。
中国でのインターネット契約方法
自分の家にネットを引きたい場合はどうしたらよいでしょうか?
広告を見てそこにある番号に電話するか、街にあるそれぞれのプロバイダの店に行って聞いてみましょう。
電話や店の人とのコミュニケーションに自信がなければ、大家さんに相談するのも手かもしれません。頼めば大家さんの名前で手続きをしてくれる場合もあります。もちろん費用はこちらが出すことになります。
手続きに必要なもの
手続きに必要なものは身分証明書(私たち外国人の場合はパスポート)と現金です。自分の家の正確な住所も確認しておくとよいでしょう。連絡用に携帯番号も聞かれることになるでしょう。
なお、ルーター「路由器(ルーヨウチー)」はパソコン関連機器の店に自分で行って、準備しておかなければなりません。
契約して日時を約束すると、工事のために業者の人が来ます。契約者のパソコンでネットがつながるのを確認して終了です。
順調につながれば良いのですが、私の場合なかなかうまくつながらないこともありました。パソコンが日本語表記なので、業者の人にパソコンに表示される言葉や文を一生懸命翻訳することになり、一苦労しました。
インターネット契約に関して
プロバイダとしては、「联通(リエントン)」「电信(ディエンシン)」が長くやっていて有名です。電話会社として有名な「移动(イートン)」も最近ネット事業に進出していますし、他にも色々な小さな会社があります。
契約は1月毎でもできますが、年間で契約したほうが、値段はずっとお得になる場合が多いです。
市内での引越しだと、引越し先でもそのままネットが使えますので、その都市にしばらく住む場合は年間契約を考えてもよいでしょう。ただし、引越し先のマンション・アパートがそのプロバイダの管轄外の場合は、残念ながら使えないことになります。
自分の今後の都合に合わせて、契約しましょう。
契約をする時や工事のために業者の人が来た時に、聞き慣れない言葉があると困ることがあります。
それで、知っておくと役立ちそうな言葉を以下にまとめてご紹介したいと思います。
- 无线网(ウーシエンワン):無線LAN
- 宽带(クワンタイ):ブロードバンド
- 光纤(グアンシエン):光ファイバー
- 猫(マオ):モデム
- 路由器(ルーヨウチー):ルーター
- 网速(ワンスー):ネット速度
- 兆(ジャオ):メガ 例えばネット速度が16メガの場合、「16兆」と言います。
ネット速度は遅めでやや不便
ネットの回線速度は日本に比べるとどうしても遅いです。
動画などをダウンロードしようとすると、かなり遅く感じます。
私の家のネットは工事して光ファイバーに切り替わったはずですが、以前とそれ程スピードに変わりはなく、本当に光になった?と疑いたくなるほどです。
先程計ってみたところ、アップロードの速度は4Mbpsほどでしたが、ダウンロードは1Mbps前後でした。
使っていて感じるのは、中国国内のサイトだと開くのが速めで、日本など外国のサイトを開こうとすると重くなるようだということです。
日本のサイトなどで、動画などが入って凝ったタイプのものは、まともに開かないこともあって困ってしまいます。
また時間帯も関係するようで、ネットを利用する人の多い時間帯、例えば夜8~10時などは遅くなることがあります。
中国のネットには制限がある
中国に行くと多少不便に感じるのが、ネット規制があることです。
特にGoogle(中国名「谷歌(グーグァー)」)が使えないのは不便です。
Google検索で分からない言葉を調べることも、不慣れな土地でGoogle mapを使うこともできません。Googleのメールのアカウントがある場合、中国ではメールをチェックできなくなります。
その他Googleに関連したあらゆるサービスが、中国では利用できないのです。
また、LINEやFacebookも利用できないので、普段利用している人は要注意です。
Googleに関しては、2006年に中国に一度は参入したものの、2010年に検閲などに関して折り合いがつかずに撤退したという経緯があります。
LINEやFacebookについては、はっきりとした理由は分かりませんが、治安をおびやかすような活動や過激的内容のものが、LINEやFacebookを通して拡散されるのを警戒しているのかもしれません。
もちろん、国内だけでもそういったものがやりとりされる可能性はあります。ただ、海外からそういったものが入ると一層問題が大きくなりがちなので、海外でも利用されているSNSを制限しようという方針になったのかもしれません。
もっとも、こういったネットに関連した規制はキューバ、北朝鮮、ベトナム、ミャンマー、ロシア、イスラム諸国など他の国にもあります。中国より規制がずっと厳しい国もあり、中国だけが特別というわけではないようです。
中国のネットサービス・アプリ
中国に旅行したり移住したりする場合、使えないものの代わりになるものを知っておくと助かるでしょう。以下にいくつか挙げておきます。
- Google検索→「百度(バイドゥ)」。中国最大、世界でも2位を誇る検索エンジン。
- Google map→「百度地图(バイドゥディートゥー)」は使い勝手もなかなかのものです。移住者はもちろん、旅行者の方もぜひ出かける前にインストールしておくのがおすすめです。
- Googleメール→その他のメールアカウントを作りましょう。カード会社や銀行、親しい人の連絡先としてGoogleメールを利用している人は、中国に行く前に連絡先を変更しておくとよいでしょう。
- LINE→「微信(ウェイシン)」(日本名We Chat)は中国で今大人気です。LINEとほとんど同じ機能ですが、日本に在住している日本人はほとんど使っていないのがネックと言えるでしょう。中国で知り合った友達とのやりとりに使うか、日本在住の人にWe Chatをダウンロードしてもらうしかないでしょう。
- Facebook→代わりに「人人网(レンレンワン)」というものがあるようですが、私の周りでやっているという声は聞かないような気がします。「微信(ウェイシン)」が圧倒的人気です。
関連記事:中国ではFacebookが使えない!中国版Webサービスの紹介
実際中国に住んでみて感じること
このように書くと、中国はネット事情がとても悪いように感じられますが、慣れてくれば何とかなるものです。
ちなみに現地の人はというと、代わりになるものがあってみんながそれを使っているので、特に不便そうにしている様子はありません。海外に家族や友達がいていつも連絡を取りたいという人はごく少数なので、大多数の人はあまり困ることも無いのでしょう。
多くの中国の人にしたら「代わりのもの」という意識もそれほど無く、普段自分たちが使っているもののほうが「みんなが使っている普通のもの」になっているような印象を受けます。
何かを調べたい時は「百度」が一般的ですし、LINEに至っては存在を知らない人のほうが多いです。「微信」のアカウントが無いなどと言おうものなら、何でこんな便利なものを使わないのかと不思議がられます。
ところ変われば、常識も変わるわけです。外国人の立場からすると、確かに不便に感じることもありますが、これも異文化体験の一つだと思ってしまえばよいかもしれません。
VPNの活用
それでも、仕事上どうしてもGoogleを利用しなければならない、などの事情がある人もいることでしょう。
たとえば、日本の会社とのやりとりで必要に迫られることもありえます。そういう場合にはVPNを使うことも1つの方法かもしれません。
VPNというのは違うサーバーを通して、ネット回線につなげるというものです。値段やサービスを比較して選んでみることができます。
VPNには無料のもありますが、うまくつながらないことも多いようです。
有料のものは月1000円弱からあるようですので、仕事などでコンスタントに使う必要がある場合は、考えてみてもいいかもしれません。
ただし、2017年からVPNへの規制が強まるという報道もあります。
情報がやや不確かで、実際どのようなことになるのか今のところはっきりしませんが、そのあたりの事情も考慮した上で、VPN を使うかどうかを判断したほうが良さそうです。
まとめ
中国のネットを使う時のポイントを、大まかに理解していただけたでしょうか。日本とは勝手が違う面もありますが、対処の仕方を知っていれば、何とかなるようです。
中国人の生活でも、欠かせないものとなっているインターネット。中国で暮らす外国人にとっても、やはり無くてはならないものと言えるでしょう。ネットを上手に利用して、中国生活をより快適なものにしていきたいものですね。
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