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イギリスでの家の賃貸や購入はどうやるの?イギリスの住まい解説

イギリスのテラハウス

イギリスの家というと、煙突のある赤いレンガの建物を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。まさにその通りで、私たち家族が住む家のまわりにも趣のあるレンガの家がたくさんあります。

100年前に建築された家なんて当たり前、今も健在なので、「三匹の子豚の家」よろしく、レンガの家は本当にしっかりしているのだと思います。

ただ、この家をめぐるイギリスの文化はとても特有で不思議なことばかり。これからイギリスへいらっしゃる方にむけて、イギリスの家事情をご紹介しましょう。

※ポンド=約139.80円(2017年5月)

目次

イギリスの住宅の種類

セミデタッチ

http://www.geograph.org.uk/より

日本の住居は一戸建て、マンション、アパートと分けられますが、イギリスではもうちょっと種類があります。以下に挙げてみます。

  • Detached House:デタッチ
    「切り離された」という意味の英語は一戸建てを指します。

  • Semi-detached House:セミデタッチ
    「半分切り離された」というこれまた面白い意味の英語は、双子のように同じ家が2軒くっついている家を指します。上の写真がこれです。

  • Terraced House:テラス
    これは日本語で長屋と言うのが一番いいかもしれません。2軒から10軒またはそれ以上の家が並んでつながって立っているタイプを指します。

  • Flat:フラット
    日本で言うマンションやアパートのようなタイプですが、規模はさまざまです。また、もともとフラットとして建設されたものもあれば、大きな一軒家を改装してフラットにしたものもあります。かつては教会だったなんてフラットもあるんですよ。

なお、イギリスの住宅の大きさはベッド数が目安になります。One bed house, Two bed house, Three bed house(寝室一部屋、二部屋、三部屋)……と表現し、家の大きさを表します。

イギリスでは賃貸がいい?それとも持ち家?

イギリスの家

日本では家の購入は一生に一度の大きな買い物ですが、イギリスでは若い独身の人も家を買うんです。それは、中古物件でも数年経つと価値が上がるからです。

5年から10年住んで売り、その利益を頭金にしてさらに大きな家を買う、そんなふうにどんどん住むところを大きくしていくのがここ数十年のスタイルです。

買った方が安上がり

クレジットカードやローンなどの信用サービス業界の情報サイトTottallyMoney.comによると、家は借りるより買った方が16%も安上がりとのこと。

根拠は、3ベッドハウス(寝室が3部屋ある家)は、持ち家では月にかかる費用が621ポンド(約86,800円)であるのに対して、賃貸では741ポンド(約103,600円)。持ち家の方が1年当たり1,440ポンド(約201,300円)安く済むそうです。

賃貸は質がよくない

私もイギリスに住み始めて最初の7年は賃貸で生活しました。もちろん賃貸にも住むことができます。しかし、イギリスの賃貸住宅はあまり質が高くない、というのが私の印象です。

日本の賃貸はとてもきれいで清潔。私の父も日本でアパートを貸していましたが、住人が変わるたびにプロの清掃を入れて壁紙を交換したりしていたので、新しく入るとまっさらで新品同様に輝いています。

でも、こちらではそれは常識にはなりません。

レイアウトがおかしい(ドアを開けると何かにぶつかって完全に開かないなど)、住み始めてトイレのドアノブがはずれても大家が修理をしてくれない、というのはざらにある話。

これが嫌になったら、自分で買うしかないのです。

イギリスの住宅の価格帯(エリア別・種類別)

イギリスの家

2016年12月現在で、イギリス国内住宅価格の平均は219,544ポンド(約3069万2300円)とのこと。では、エリア毎・住居の種類毎ではどうなのでしょうか。

イギリスを代表する大手不動産情報サイトRightmoveが、前年(2016年)の販売実績価格をまとめた数字をサイトに紹介していたので、簡単にまとめてみました。

London(ロンドン)

  • 平均:581,825ポンド(約8133万9100円)
  • フラット:502,040ポンド(約7018万5200円)
  • テラス:643,652ポンド(約8998万2500円)
  • セミ:631,667ポンド(約8830万7050円)

住宅の種類でいうとフラットが最も売れたということです。

South East(南東部)

  • 平均:373,915ポンド(約5227万3300円)
  • フラット:249,758ポンド(約3491万6200円)
  • テラス: 327,474ポンド(約4578万900円)
  • セミ:374,249ポンド(約5232万円)

一番売れたのはテラスハウス(長屋)。

East of England(イングランド東部)

  • 平均:308,761ポンド(約4316万4800円) 
  • テラス:267,356ポンド(約3737万6400円)
  • セミ: 303,579ポンド(約4244万300円)
  • デタッチ:431,716ポンド(約6035万3900円)

南東部と同じようにテラスハウスが最もよく売れました。

East Midlands(中東部)

  • 平均:191,692ポンド(約2679万8500円)
  • テラス: 138,018ポンド(約1929万4900円)
  • デタッチ:269,178ポンド(約3763万1100円 

私たちが住むこの地域はイングランドの中でも最も平均価格が安くなっています。そのためか、一番売れたのが一戸建てのデタッチでした。

Central London(ロンドン中心部)

  • 平均:1,459,408ポンド(約2億402万5200円)

観光客にも人気のロンドン中心地ではこの価格!都心の住宅は飛びぬけて高いことが分かります。

イギリスでの賃貸住宅の探し方・借り方

書類

イギリスで住むところを借りたいとお考えの方に、その手順をご紹介します。

1. ウェブサイトで部屋を探す

一戸建てでもフラットでも住むところを探したいときは、以下のウェブサイトがとても便利です。

不動産屋を探す前に、まずこれらのサイトから条件を指定して物件を検索してみてください。

地元の不動産屋はこういうサイトに情報を載せているので、ここから検索することで地元の不動産屋にどんな物件があるかもよくわかります。

また、イギリスの場合、個人事業者のような形で不動産をいくつか保有・賃貸してビジネスをしている人もいます。そういうタイプの物件はローカル紙やgumtreeに広告が載っています。

2. 下見する

気に入った物件が見つかったら、Viewing(ビューイング)、つまり下見の予約をします。

もし、まだ居住者がいる場合はすぐに中を見せてくれません。これは、不動産屋が24時間前までに居住者に家の中に入ることを告げなければならないから。

そのため、下見の予約をしてから実際に見られるまでに少し時間がかかることを想定しておいてください。

3. 不動産屋へ書類請求する

下見ができて、賃貸の申し込みをしたいと思ったら、すぐに不動産屋に書類を請求してください。書類には推薦人などを書き入れる必要があるので、一度持ち帰って後日提出に行くことになります。

また、居住者がいる場合はもちろんその人が出るまでは入居できず、空き物件であっても提出した書類の審査に1週間から1ヶ月かかる場合もあるので、十分余裕をもっておきましょう。

現在日本に住んでいてこれから引っ越す場合は、一度イギリスに来て手続きをするか(実際に面会しなければいけないので、ネットなどでは申し込みができません)、まずホテルやB&Bに滞在しながら探すことになるでしょう。

長期滞在ホテルの利用も選択肢

なお、サービスアパートメントという種類の賃貸物件もあります。

ホテルとフラットの中間の長期滞在ホテルのようなもので、インターネットで入居日、退去日を決めて申し込むことができます。家具なども付いているので便利です。

滞在期間によってはこれを選んでもいいかもしれません。

イギリスで家を購入する際のポイント

イギリスの家

家を買いたいとお考えですか。イギリスの不動産購入手続きはとても時間とお金がかかります。このプロセスを楽しむ人はまずいないでしょう。

少し古い情報ですが、フリーペーパー英国ニュースダイジェストに「イギリス不動産のおはなし」という記事があります。よくまとまっていて分かりやすいので、私たちも家を買うときは参考にしました。

では、この記事も踏まえながら、イギリスでの家購入のポイントをご紹介します。

長期戦の覚悟が必要

まず、購入するまでにとにかく時間がかかります。

気に入った物件が見つかってから実際に自分のものになるまでに3ヶ月から4ヶ月、と記事にはありますが、私たちの場合は半年近くかかりました

買う側は今住んでいる家を売りたい、売る側も次に住む家を探さなければならない、といういわゆるチェーンという状態になると、全ての条件がそろわなければいけないので時間がかかるのです。

それを覚悟の上で、気に入った家が見つかれば、不動産屋に購入の意思を伝えます。そのときに難しいのが希望購入価格の提示です。

希望価格は低めに提示する

たいていは、希望価格より少し値引いた額を提示します。売り手が提示額を受け入れてくれるまで交渉が続きます。

私たちは一度提示した価格から少しだけ上乗せした額を提示され、それで了承しました。あのとき断って自分たちの希望価格にこだわっていたらどうなっていたのかなぁ、とよく思います。

プロに手続きや調査を依頼

価格の折り合いがついたら、手続き開始です。売買の手続きは不動産屋ではなく、ソリシターと呼ばれる弁護士を雇って手続きを代行してもらいます。

また、サーベイヤーという調査士または鑑定士に不動産の価格が妥当かどうかの調査をしてもらいます。このサーベイヤーは、お金を貸してくれる銀行が手配するものと、自分で手配するものがあります。

これらの人の手配が付くと、あとはじっと待つのみ

見えないところでいろいろな調査や書類作成、法的手続きが行われているので、それが全て終わるまで待たなければいけません。

いよいよ契約・入居

全てが終わるとExchange(エクスチェンジ)といって、契約書を交わします。これでようやく手続き終了。鍵が手渡されます。

実際にかかる費用や細かい手続きについてはThe Money Advice Serviceに細かく出ているので参考にしてください。

まとめ~面倒でもこれがここでのやり方

これを書きながら、自分が夫と今の家を買うまでの長い道のりを思い出しました。

冒頭でも述べたように、イギリスの住宅はレンガ造りで一見、趣がありますが、借りるにしても買うにしてもやっかいな問題が多く、頭を悩ませます。

「郷に入っては郷に従え」と割り切るしかないなあと、イギリス在住10年の私は思うのでありました。

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この記事を書いた人

在英10年。一児の母一夫の妻。日本語教師暦17年。今まで旅した国は11カ国、22都市を訪れました。
私の経験したことが、これからイギリスや海外へいらっしゃる方のお役に立ったらうれしいです。

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