1997年にイギリスから中国に返還された香港は、2017年で返還から20年を迎えます。2047年までの50年間は中国の特別行政区として、自治体制を維持するという過渡期のなか、香港の治安はどうなっているのでしょう?
東京から飛行機で4時間の香港は、旅行や仕事で訪れる人が多い場所です。香港エクスプレスやバニラエア等のLCC(格安航空会社)も就航し、気軽に行けるスポットとしてますます人気となるでしょう。
今回は、実際に筆者が香港に住んだ感想を踏まえて、香港の治安をご紹介します。
統計で見る犯罪件数
香港警察が発表している統計によると、人口10万人あたりの犯罪件数は香港が1014件(2013年)、東京が1222件(2013年)と東京よりも低くなっています。
同様の統計で殺人事件の件数は、香港が0.9件(2013年)、東京が0.7件(2013年)。ニューヨークやパリだと4件~7件(2013年)もあるため、香港は欧米と比べると日本同様に殺人事件件数は少ないと言えます。
多い犯罪の種類
犯罪件数が他国と比較して少ない香港の中でも、多く起こっている犯罪はどのようなものでしょう?
繁華街や人混みが多い故か、スリや置き引きなどが多発しています。またタクシーでも、誘拐などは少ないですが、料金を多く取られるなどの被害があります。以下がそれぞれの注意点です。
スリ
混み合う地下鉄の中や、女人街(ノイヤンガイ)、尖沙咀(チムサーチョイ)、銅鑼灣(コーズウェイベイ)等の繁華街で多発しています。
バッグはチャックが付いているものを使う、人にぶつかられたときにはすぐに所持品を確認する、両替後は狙われやすいのでバッグをしっかりと持つ等、注意しましょう。
ぼったくりタクシー
タクシーで誘拐されたり、強盗に合うといった話はあまり聞きませんが、エアポートエクスプレスの九龍駅までお願いしたのに空港まで連れていかれたり、相場より多く料金を請求されたりという被害が多くあります。
ホテルのスタッフにあらかじめ料金の相場を聞いておいたり、運転手におかしい対応をされたらタクシーのナンバーを控えておきましょう。
デモ行進によるトラブル
香港では、7月の返還記念日や選挙のタイミングで、行政制度の改正や中国の圧力に対する反対を求める市民によるデモがたびたび行われています。
だいたいが反対を唱えながら行進をするだけの平和なものですが、時々、警察による鎮圧が行われるような激しいものもあります。
2014年に起こった「雨傘革命」では、繁華街の商業エリアを占拠したデモ隊に対して、警察は催涙スプレーを使って鎮圧をする事態となりました。
トラブルを避けるために、デモ行進が行われている場合はその付近には近づかない方がよいでしょう。
危険な場所
比較的安全な香港の中でも、危険とされる場所がいくつかあります。ほとんどがスリや詐欺などの軽犯罪です。
重慶大厦(チョンキンマンション)
重慶大厦は、尖沙咀の彌敦道(ネイザンロード)沿いにある、安宿がたくさん入っているバックパッカーに人気の集合ビルです。レートの良い両替店や安いSim店、インド料理屋なども入っており、インド系の人たちが多くいます。
ここでは、執拗な客引きやぼったくりの被害が出ています。入口に近づくとすぐに多数のインド人が声をかけてきて商品や宿を売り込まれますが、「No Thank you」と伝え、後は無視をしていれば居なくなります。
筆者も両替やインド料理を食べによく行きますが、日中であればそれほど危険を感じることはありませんでした。
女人街(ノイヤンガイ)
女人街は旺角(モンコック)にある、ナイトマーケットです。南北に続く通りの両側にたくさんの露店が出ていて、チープなアクセサリーや偽物バッグ、靴にスマホケース、雑貨等々がカオス状態で売られています。
観光客や地元の買い物客でいつもごった返していて、常に人との距離が近いため、スリに遭いやすい状況です。チャックのついたバッグをきちんと抱えるなどスキを見せないことが重要です。
実際に香港に住んだ感想
香港に来る前は海外に住むということで、治安面はかなり警戒していましたが、実際に住んでみると日本と同じくらい安全に感じました。筆者が住んでいた紅磡は東京に住んでいたときよりも安全に感じたくらいです。
夜の9時~10時くらいまで、地下鉄やバスを利用して一人で不安なく尖沙咀や佐敦まで食事や買い物に出かけられますし、紅磡の明るい通りであれば、夜の12時くらいまで女性一人でも出歩けます。
それというのも、香港は本当に人が多くて、常に人通りがあり、危険を感じないためだと思います。ただ、明るい大通りから一本裏に入ったり、横道に入ったりすると急に人通りがなくなり怖いと感じることもあります。
そのため常に人通りの多い場所を歩くということは心がけていました。
その他、気をつけたこと
治安のことではないのですが、筆者が香港に住んでいたときに気をつけていたことをご紹介します。
歩きタバコの人が多い
香港はレストランやショッピングモールなどの室内はすべて禁煙ですが、町中で歩きタバコをしている人が結構います。
しかも、香港はどこも人が多くて人との距離が近いため、手に持っているタバコが当たるのではないかとヒヤヒヤすることがありました。また、歩きタバコの人の後ろを歩くと灰が舞ってきて目に入ったことがあります。
以来、歩きタバコの人がいると極力近づかず、決して後ろにはつかないようにしていました。
ノーリードの犬に注意
香港に住んで驚いたことは、ノーリードで犬を散歩している人がいることです。小型犬ならまだしも、シェパードくらい大きい犬がノーリードでマンション前の階段に居たことがあり、その時は少し怖かったです。
飼い主も近くにいましたし、躾もされているのでしょうが、急に見かけるとびっくりします。
まとめ
香港は、日本と同じようにとても治安の良い都市だと思います。筆者も住んでいるときはのびのびと過ごせました。とはいえ、やはり日本ではない国です。日本の常識や、日本での経験では計り知れないこともたくさんあります。
治安や現地の人の考え方など、日本とは違う部分が少なからずあるからです。
ガチガチに警戒する必要はないと思いますが、事前に情報収集をして理解を深めておくと、あまり戸惑わずに楽しく過ごせるでしょう。
海外求人
あなたの挑戦を待っている!あこがれの海外企業へ就職しよう(海外求人)
香港で働くには?香港で就職・転職したい日本人向けの仕事と求人の探し方
あわせて読みたい