芸術の秋です。ソウルは勿論の事、地方都市でも秋のイベントが目白押しです。今回は、芸術の秋にちなみ、日本に馴染み深い韓国人アーティストお二人についてご紹介します。
- 崔民建(チェミンゴン)さん:彼の作品の特徴は、何よりもその愛らしい犬の姿です。
- 閔丙俊(ミンビョンジュン)さん:プラモデルという日本文化から影響を受け作品を作っています。
今回はそのお2人にスポットを当てていきたいと思います。
韓国人アーティスト・崔民建(チェミンゴン)さんとは?
崔民建(チェミンゴン)さんの人となり
彼は現在、清州に拠点を置く40代の美術作家です。
清州大学校で講師として働きながら、個展やグループ展など精力的に作家活動を行っています。韓国のみならず、日本や中国とアジアを中心とした海外の展覧会にも積極的に参加しています。
思い起こしてみれば、私が彼と知り合ったのは日本・長崎ででした。当時、彼は長崎で開催された現代美術展に、韓国清州から若手招待作家として招かれ参加したうちの1人でした。
その他、私が聞いただけでも東京・京都・福岡と多くの日本でのグループ展に参加されています。日本に非常に関心がある方です。彼の家族は日本語を話せる方が多く、彼自身も日本語を多少話せます。
崔民建(チェミンゴン)さんの経歴や発表歴
略歴
- 2002年 清州大学校芸術学部美術学科卒業
- 2004年 同大学院修了
発表歴
【個展】
- 2017年 a borderline between (リデア ギャラリー, ソウル)
- 2016年 a borderline between (現代百貨店 충清州ギャラリー, 清州)
- 2013年 a borderline between 2013創作支援展 (ロッテギャラリー, 大田)
他12回(ソウル/大田/ 清州)
【グループ展】
- 2017年 ART・NO・WALL (コンケン大学, コンケン/タイ)
- 第1回海南国際ビエンナーレ (文化観光産業発展有限公司, 海南/中国)
- 8+9(長崎ブリックホール, 長崎/日本)
- 韓日芸術通信 (森ギャラリー,清州)
- 2016年 泉コレクション(清州市立美術館オチャンギャラリー, 清州)
- 韓日芸術通信 (アートスペース嵯峨, 京都/日本)
- 新しい航海 (サマーギャラリー, 世宗)
- 曖昧な境界 (シェマ美術館, 清州)
- チョプルンチョウォンの為に (韓国健康管理協会 忠北世宗支部 Mギャラリー, 清州 )
- Look at Me (ギャラリーエダソソ, 青島/中国)
- 清州教育大学校美術館開館招待記念展 ( 清州教育大学校美術館 , 清州)
- 2015年 スプリング 2015展 (国立清州博物館, 清州)
- 忠北文化財団虹の橋事業・他人の人生に会う- 過去現在未来伝統を歩いていく人々の姿 (忠北文化館森の中ギャラリー, 清州 )
- 三人展 (サクラギャラリー, 東京/日本)
他90余回
崔民建(チェミンゴン)作品の見どころ
作品の魅力は、何といっても犬の愛らしさ
崔民建(チェミンゴン)さんの作品の中には、以前からずっと一貫して犬が登場します。
どこか親しみが持て、人懐こい表情をしているのが印象的です。その一番の特徴は、犬の愛らしさかもしれません。作中には実に色々な種類の犬が登場します。
そういえば以前、日本にいらしていた時も、 彼はしょっちゅう道を通っていく犬を観察しては「ドッグ イズ マイフレンド」と言っていました。
視覚的な構成と犬の存在感
以前は全体的にもっとラフな線で描かれていましたが、最近の作品の傾向としては、幾何学的に表現された視覚的効果のある背景が描かれています。
だまし絵やトリックアートなどにもよく使われる描き方ですね。その上に緻密に描かれた犬を配置する事で、更に犬が印象的に見えるようになっています。
背景の視覚的効果とコラージュの使い方によって、スッキリとかつ奥行きのある画面が生まれ、その上で犬が前面に出てくるように印象的に描かれています。
崔民建(チェミンゴン)さんのテーマ「 borderline(境界)」
彼がずっと作品のタイトルにしているのは「borderline(境界)」。下記は、以前、 3月に開催されたソウルでの個展の「作家ノート」より抜粋したものです。
私の視線が届かない所は私にとって無数の想像力を刺激する。 廊下の曲がり角の向こう、灯が消えた窓(ウィンドウ)、疑問の中あるいは外側の世の中、このような状況はそこまで統制することが出来ない状態で波のように押し寄せる。
私の作業はこのような想像の中の状況を一つ一つの層が重なって出来る、普段は馴染みのある物の見慣れない空間を演出する事だ。 その上に、私の代弁者である犬の姿をコピーして貼りつけた形で表現してみた。
もしかしたら私はこのような想像の中で、レイヤーの間の作業の中に表現された、コピーして貼りつけた犬の姿のように境界であちこちのぞき込みさまよいながら遊戯しているのかも知れない。
韓国人アーティスト・閔丙俊(ミンビョンジュン)さんとは?
続いてご紹介するのは、閔丙俊(ミンビョンジュン)さん。韓国人男性らしく熱く情熱的、かつユニークな方です。
彼は今、韓国教員大学校・美術教育科で조교(助教・チョギョ)(※)として働く、一児のアッパ(パパ)です。彼は見ての通りプラモデルのパーツを使って制作しています。日本バンダイのプラモデルに昔から惹かれていたと言います。
閔(ミン)さんの場合は、日本へ頻繁に行っているという訳ではなくまた日本へ留学したという訳でもありません。しかし、間接的にでも日本文化から影響を受け、それが作品制作へつながっています。
これは、ある意味で、日韓のつながりを象徴しているような気もします。
※조교(助教、チョギョ)とは「助手」の事を言います。大学における助教は、教授及び助教授の職務を助ける職務となります。
閔丙俊(ミンビョンジュン)さんの作品について
バンダイ プラモデルにいつから関心があったのか
閔丙俊(ミンビョンジュン)さんにうかがってみました。
‐バンダイのプラモデルには、いつから関心があったのでしょうか?
幼少の頃から韓国産プラモデルがとても好きでした。その中には、日本バンダイの製品をコピーした製品が幾つもありました。
ロボットや飛行機など決まった形態の何かが特に好きだったというよりは、むしろ、部品を組み立てて作るという行為自体が好きでした。
大人になってからバンダイの製品と主に接するようになり、その会社の優れた技術力を知りました。また、部品を引き離して作った後に残る、捨てられたパーツにも関心を持つようになりました。
バンダイのプラモデルが閔丙俊(ミンビョンジュン)さんの作品に及ぼした影響とは
-バンダイのプラモデルが作品に及ぼした影響について教えて下さい。
私は、多くの男性たちと同様に、ロボットが好きです。 中にはロボットの収集が好きだという人々も多くいますが、私はロボットを作る作業自体を楽しむ方です。
だがそのような趣味に対し、まだまだ、韓国の周りの目は厳しいです。「成人の趣味」と考えるよりは「良い年をした大人が、子供たちが作るロボットで遊んでいる」という偏見を持つ人が多いのが現状です。
その周りの視線に接して、余計に意地が出てきたのかもしれません。
「捨てられていく残りのパーツで、同じようにガンダムを作って見せた場合、『これも所詮おもちゃだ』と彼らは話すことができるだろうか?」 という考えが、作品を始めるきっかけになりました。
-プラモデルなどのおもちゃへの文化に対する韓国社会の現状やそれらへの批判も含め、作品作りにつながったのですね。
閔丙俊(ミンビョンジュン)さんの作品制作
-作品は、どのようにして作っているのですか?
初めての作品作りの時には、特に何も考えず作り始めてしまったので、仕上げはなかなかうまくいきませんでした。
しかし、その後は、実際のプラモデルのガンダムと同じ色・同じ割合で作るようにしてみました。更にプラモデルと同じサイズは避け、プラモデルにはない大きいサイズの作品を作るようにしました。
材料の特性上、小さければ小さいほど表現するのが難しいので、実際のプラモデルよりは大きいサイズで作るようにしています。現在は全身でなく、部分特に頭上中心の作品作りを進めています。
まとめ
日本と馴染み深い韓国人アーティストたち、しかし対照的な作品のお二人のご紹介でした。
崔民建(チェミンゴン)さんは今後も精力的に制作されていくご様子、また愛らしい犬たちが登場するのが楽しみです。
閔丙俊(ミンビョンジュン)さんは幼い息子さんを育てるさなか、より遊び心を持ちながら、ユニークな作品を作ってくれる事でしょう。
今後のお二人の更なるご活躍を期待してやみません。
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