韓国と日本では、お墓参りの方法が少し違います。もちろん地域や家風、宗教によっても少しずつ違いますが、必ず覚えておきたいのは、日本でいう土下座のような큰절(クンヂョル)という敬拝です。韓国と日本の一番の違いはこの敬拝で、ここさえ押さえておけば問題なし!
今日は韓国人と結婚して韓国に暮らす方には必見の、お墓参りの方法を紹介します。
韓国の埋葬文化
韓国は儒教思想が根強く残っており、先祖を敬い大切にする文化を持つ国です。そのためお墓の場所をよく選び、よく管理する風習があります。
儒教に根差した思想と風水の影響で、「気」のよい地に墓をたて、よく管理し大切にすると子孫が繁栄すると信じられているためです。
昔は土葬が主で、墓の場所にこだわりマメに管理もしていましたが、国土が狭くお墓のために広い土地を確保するのが難しいため、火葬というスタイルも近年急速に広まっています。
火葬をした後で墓地に埋葬する場合もありますが、骨壺に収めて納骨堂に入れたり、海や川にまいたり、木にまいたりと、様々な形の埋葬があります。
韓国の墓地
ここは私の姑の眠る、カピョン郡にある共同墓地です。韓国の墓地は色とりどりの造花が華やかで、また盛り土が大きく、反対に墓石が小さいためか、なんだかとても開けた雰囲気です。
墓地というと陰気で怖いところですが、韓国の墓地はそんなイメージとはかけ離れています。
外国人だからこその感覚?
この感覚は韓国の墓地そのものから受けるものなのか、それとも私が外国人だからそう感じるのか確かめたくて、日本が好きで何度も日本に遊びに行っている韓国人の友人、スヨンさんに聞いてみました。
私:「韓国の墓地はなんだか明るくて、少しも怖い感じがしませんが、スヨンさんも同じように感じますか?日本の墓地を見て、怖いと思いますか?」
スヨンさん:「えー!韓国の墓地、怖くないの?私は怖いですよ。日本の墓地こそとてもかわいらしくて、全然怖いイメージは受けませんでしたよ」
私が韓国の墓地で受けた印象は、やはり外国人だからこそのものだったようですが、それでも写真をご覧になるとわかるように、韓国の墓地はやっぱり独特の凛とした雰囲気があります。日本の墓地がかわいらしいというのには笑えました。
山の斜面に作られた墓地は上がっていくのが一苦労ですが、空が近く静かで、行くたびに心が落ち着きます。
お供えの花
お墓に行く前にまず、共同墓地の入り口にある管理事務所でお供えの花を買います。生花はしおれてしまうので、韓国では造花をお供えに使用します。色とりどりの花に目移りしてしまい、どれを選んだらいいかわからないほどです。
写真の一番右の列が最も安く、500円ほどでした。隣の列は600円、その隣の列は700円で、高価なほど見栄えもよいものが売られていました。
普段は事務所内で花を販売していますが、お参りに行った日は旧盆前の週末でたくさんの人がお墓参りに訪れる時期だったので、このように外で販売していました。
お墓参りの手順
ここからは具体的にお墓参りの手順についてレポートします。
墓石を洗う
故人の名前などが刻まれた墓石に水をかけて、汚れを落とします。普段から管理会社の人が定期的にお掃除をしてくれているので、墓石に苔が生えたり、雑草がぼうぼうに生えたりということはありません。
興味深いのは、墓石に故人の信じていた宗教のマークがしるされていることです。仏教なら「まんじ」、キリスト教なら「十字架」が刻まれています。韓国には仏教、キリスト教、天主教など様々な信仰があります。宗教を持たない人の墓石には何も書かれていませんでした。
墓石に水をかけ、拭いてあげたら、隣の台のようなところにも水をかけてお掃除します。
お花を取り換える
造花でも長い間風雨にさらされていると色あせて汚くなります。お墓参りのたびに新しい花を買って、古く色あせてしまった花と取り換えます。抜き取った古い花はところどころに設置されているごみ箱に捨てます。
レジャーシートを敷く
お墓の前に、持ってきたレジャーシートを敷きます。立ったまま手を合わせてお参りする日本人には、お墓の前にレジャーシートなんて不思議な感じがしますが、このシートは韓国のお墓参りには欠かせない準備物の一つです。
お供え物を並べる
お墓の前にある台に、持ってきたお供え物を並べます。お供えは故人の好きなものを中心に、リンゴやナシ、スケトウダラの干物やするめなど様々です。お酒も欠かせません。
今回我が家が持参したものはマッコリ、リンゴ、ポテトです。
ポテトは亡くなったお義母さんの大好物だったそうで、いつもお墓に向かう国道沿いのサービスエリアで買っていきます。値段は300円ほどです。バターの香ばしい香りと砂糖と塩の調和が絶妙で、とってもおいしいです。
お供え物の果物は持ってきた果物ナイフで切って、亡くなった方が食べやすいようにお皿に並べます。
敬拝を捧げる
お供え物を全て捧げたら、靴を脱いでレジャーシートの上に上がり、家族一列に並びます。そしてみんなで合わせて故人に敬拝を捧げます。
日本の土下座に似ていますが、これを큰절(クンヂョル)といいます。立った状態で両手を額の前で水平に合わせ、そのまま腰を曲げて地面に跪き、手と額を地につけるという礼です。これを連続して2回繰り返します。
祖父母、義父母宅などに久しぶりに訪問する際にもこのような큰절(クンヂョル)を捧げることがありますが、その場合は1回です。生きている人には1回、亡くなった人には2回です。
お酒をかける
敬拝を2度捧げた後、しばらくしたら先ほど台の上にお供え物としてついでおいたお酒を墓土の部分にまきます。
水打ちするときのように、墓土の裾の部分に勢いよくじゃっとまきます。お墓で眠る故人にお酒を飲んでいただくという意味があるようです。
そしてまた紙コップにお酒をなみなみついで、談笑しながら過ごします。お参りに訪れた家族同士でも話をしますが、心の中で故人に話しかけたりしながらゆったりとした時間が流れます。
しばらくしたら立ち上がって、さっきとはまた別の部分にお酒をかけてあげます。これを3回ぐらい繰り返します。回数は特に決まっていないようです。
しまいに
しばらくお墓の前に座り家族で語らい、故人に思いを馳せながら和やかなときを過ごしたら立ち上がって、お供え物やレジャーシートを片付けて、お墓参りはおしまいです。
まとめ
敬拝を終えたあと、レジャーシートに座ってご先祖様がお供え物を召し上がるのを待っている間、お供え物を少しつまむこともあります。
また、お弁当をもってきてご先祖様と一緒にお昼ご飯を食べる家庭もあります。先祖とともに楽しい時間を持とうとする韓国文化が、私の目には新鮮で美しく映りました。先祖を敬い親を敬う、韓国のよい文化を受け継いでいきたいものです。
なお、実際に韓国でお墓参りをされる場合は、そのご家庭のやり方に従ってください。
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