ドイツ・ベルリンのファッションスタジオで働く私の一日のスケジュール

フォックスファーと毛皮用カッターナイフを使っての製作 ドイツで働く

※フォックスファーと毛皮用カッターナイフを使っての製作

世界的に見ても、失業率が低く経済成長も力強いドイツ。企業の平均年間有給日数は30日、消化率はほぼ100%と言われています。ライフ・ワーク・バランスのまさにお手本となるような彼らの「働き方」のポイントは、どうやらONとOFFの明確さにあるようです。

私は、ベルリンにスタジオを持ち20年以上活躍を続けるファッションレーベルで、フリーランスとしてコレクション発表の一定時期に働いています。ここでは、スタジオでのとある一日のスケジュールをご紹介します。

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ベルリンのファッションスタジオ働く午前

AM8:00 起床、出勤

キッチン

余裕のある出勤風景

ドイツ人の朝は早いです。まだ真っ暗なうちからごそごそと動き出す人も少なくありません。しかし、みんな電車内では居眠りもせず、平気な顔で会社に向かっています。

ベルリンは交通機関が発達しているので、通勤にはメトロやトラム、バスを利用します。また市内はフラットな地形のため、自転車通勤も多く見られます。歩道にはちゃんと自転車専用レーンがあり、うっかり歩いていると後ろからドイツ語で威勢よく怒鳴られることも。

私も夏場はよく自転車を使いますが、冬は途方もなく寒いのでついつい電車を利用しがちに。それでも、電車代は東京に比べたらはるかに安いです。

出退勤時間帯のメトロは5分間隔で頻繁に来るので、ギリギリに駆け込むこともなくみんな穏やかに次の電車を待ちます。ホームにはコーヒーやパンを売るベーカリーショップがよくあり、利用することもあります。

仕事前にコーヒーと太極拳

家を出てから30分ほどでスタジオに到着。初めに着いた人がエスプレッソマシーンのスイッチをON!これは絶対に忘れてはいけません。スタッフみんなコーヒーが大好きです。朝の一杯を淹れてから、めいめい仕事に取りかかります。

また、冷蔵庫の中身をチェックして、ミルクやバターを買いに行くこともあります。

たまにデザイナーの掛け声のもと、仕事前に有志で集まり、スタジオの外の庭で太極拳をします。ゆっくり1時間ほどかけて、朝の芝生の上で深呼吸しながら身体を動かすのはとても気持ちがいいです。

AM9:00 仕事スタート

デザインの仕事

※Tシャツデザインのシミュレーション中

平日9時から18時まで、基本的にはスタジオ内で作業をします。

次のコレクションに向けてのサンプル縫製やそのほかのプロダクトの制作、世界各地のショップへの商品の発送、生産管理のマネージャーのアシスタント業務をしています(「私は」縫製や発送、生産管理などの作業を数人でカバーし合いながら、実際のところ全部やっています)。

少人数のチームなので、ひとりひとりの仕事量が多く、フレキシブルな対応が必要となります。

コレクションの発表が終わると、次は工場へ送るサンプル、生地や付属、発注書の準備に追われます。

デザイナーと確認しながらリストを作成しパターンチェックをするほか、インターン生にも手伝ってもらいながら毎回ドラマティックなアクシデントをなんとか切り抜け、納期に間に合うよう一致団結、全力で取り組みます。

ベルリンのファッションスタジオで働く午後

PM1:00 ランチタイム

ランチ

ランチはデザイナーやインターンも含めてみんなで当番制で作ります。週に1度やってくるこの当番は、“短時間で大量に”(突然の訪問も多く、時には10人分作ることも!)、そして“美味しいこと”が暗黙のルールです。

ベルリンへ来るまであまり張り切って料理をすることもなかった私は、インターン時代からこの日が少し憂鬱で、とにかく慣れるまでは大変でした。

特にベジタリアンやビーガンがいたり、さらに日本食を密かに期待されていたりするので、前もって動物性のものを使わないレシピをあれこれと考え、材料を調達して……。

世界各国の料理を囲んでコミュニケーション

それでも、世界各国から集まってくるインターンがせっせと作るそれぞれの郷土料理を食べながらみんなで大きなテーブルを囲んでコミュニケーションするのは、このスタジオならではの醍醐味の一つ。

ベルリンではほとんどの人が英語を話せるので、ここでも英語を共通言語として使います。

毎日、ドイツ、イタリア、カナダ、アメリカ、クロアチア、韓国といった国際色豊かな食卓。レシピを交換したり、インスピレーションをもらったりと楽しいひとときです。

作る時間も含めて楽しむ

スタジオの作業スペースの隣にあるキッチンにはハーブやスパイスなどの調味料も豊富で、オーブンもあります。前もって近所のスーパーへ買い出しに出掛け(中には前もって家でお鍋いっぱいに仕込んでくる子も)、みんな手際よくランチタイムまでに仕上げます。

その他、フリーランチが週に一日あり、その日は各々キッチンで簡単に作ったり、たまにはみんなでお気に入りのお店で外食したりもします。

そうして1時間たっぷりとランチタイムを取り、食後のコーヒーを淹れて午後の部に備えます。

PM4:00 ブレイク、追い込み

職場

※スタジオの近くにあるショップでスタッフや友人と集まってパーティーも

午後になると、デザイナーの家族や友人、仕事のパートナーなどの訪問が多くなります。その度にデザイナー自らコーヒーを淹れてもてなします(本当にコーヒーが大好き!)。

そして甘いものにも目が無いドイツ人。夕方になると、チョコレートなどのお菓子が登場します。ハンドメイドのクッキーやケーキが並ぶことも少なくありません。

コーヒーブレイクの後は、なるべく時間内に仕事を終わらせるべく、ひたすら黙々と励みます。残業はめったにしません。短時間で効率的な仕事を好むドイツ人気質がここにも発揮されています。

休むときは休み、仕事になれば淡々とこなすそのメリハリこそが、ドイツを世界でも“労働生産性”がもっとも高い国の一つにしているのでしょう。

ベルリンのファッションスタジオの終業後

PM6:00 仕事終了!帰宅

シルクスクリーンプリントの工場にて作業中

※シルクスクリーンプリントの工場にて作業中

仕事とプライベートのバランスを重視するため、時間になればさっさと帰宅します。個人のやるべき仕事を時間内に終わらせれば良いという考え方なので、基本的には付き合いで残業することはありません。

自分のパートが終わらず、マネージャーと2人きりで深夜まで作業した時も、他の人はいつも通り定時に帰宅していました。

日本の場合、なかなか断るのに勇気が要りそうな空気も一切はね退け、爽やかに帰っていきます。また、残業した分は他の日に早く帰っても構いません。

労働時間に対する厳しい規制

ここ最近、労働時間の柔軟化が進むドイツでは、労働者が会社で働くだけでなく家族と一緒に過ごす時間を持てるよう政府が法律によって労働時間を厳しく規制し、違反がないか監視しています。

ドイツ企業では平日1日当たり8時間とされ、10時間を超える労働は原則として禁止されています。残業させる場合は事業所委員会の同意を得る必要があり、経営者も企業イメージを守るため残業はほとんどさせません

仕事後の時間も有意義に

こんな具合なので、時間になればスタジオを出て、家路についたり、そのまま面白そうなイベントやライブへ出かけたりすることもあります。

冬は日照時間が短く午後4時にはもう真っ暗になってしまいますが、その分、夏はいつまでも明るいので、みんなウキウキと街中へ出ていきます。私も、公園や川沿いでビールを片手に友達と過ごしたり、ギャラリーのオープニングへ出かけたりと、仕事後の時間を有意義に楽しんでいます

ライブ

※仕事終わりに友人とライブをハシゴ!

PM7:00 夜ごはん&リラックスタイム

ドイツでは日本の居酒屋システムがほとんどなく、レストランとバーの区別がしっかりしています。

そのため、夜にクラブやイベントへ出かける時も、みんないったん家に帰り、ご飯を食べてから集合するのが基本です。居酒屋カルチャーが好きな私としては少し物足りない気もしますが、お財布には優しいですね!

ビールは水より安く、チーズやワインも種類が豊富です。ベルリンは移民が多いので世界各国の料理を提供するレストランがあり、比較的リーズナブルに楽しめます。

街中では若い子たちがビールとケバブ(ベルリンのファーストフードの代名詞!)を片手に、なんていうスタイルもよく目にします。

日本食を自炊

ドイツ人は、朝夕はあり合わせのもので食事を済ますというのも有名な話。食文化についてはかなり日本との違いがあるようです。

私は家で日本食を作る時には、市内にいくつかあるアジアンスーパーで材料を揃えます(納豆が日本の3倍くらいの値段だったりします……)。

基本的には自炊を心がけ、食事の後はゆっくり映画を見たり本を読んだりして過ごします。

AM0:00 就寝

お風呂については、シャワーが基本。

バスタブがある家はあまり多くないのですが、私の家にはあり、日本人としては特に冬場は浸かりたい!ということで、友人が家にお風呂を借りに来るなんてことも。寒さが厳しいドイツの冬を乗り越えるためにも、バスタブは必須です。

週末はついつい夜更かしをしてしまいますが、平日は十分な睡眠を確保したいので、なるべく12時までには就寝します。

まとめ~個人の生き方と国の経済を支える働き方

仕事一色ではなく、各自の優先順位に合わせて労働時間を選べるなど、労働者の権利を尊重する労働先進国としての姿勢はとても魅力的です。ドイツが世界でも有数の経済大国となったのも、こうした健全な生活リズムから生まれた結果なのでしょう。

日本での仕事経験を踏まえて考えると、ドイツの働き方には学ぶところが多く、自分のワークスタイルを考えるきっかけになりました。

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