海外で生活する目的で多いのが語学などを学ぶ「留学」ですよね。国際化が進む中、単身の若い人だけでなく、親子留学やシニア世代の方も、海外に出て語学を学ぶとともに、新しい経験をしてみたいという方が増えてきました。
しかし、ただむやみやたらに海外に出て留学しても全ていい方向に進むとは限りません。成功する留学とは、そして、その秘訣とは??
今回は長年留学エージェントとして活躍され、近年ではご自分の会社を立ち上げて、たくさんの留学生のサポートをしていらっしゃる、「Bright Futures Support Ltd.」の社長、飯尾訓子さんに、ニュージーランドの学校についてや、留学を成功させる秘訣などのお話を伺うことができました。
これからニュージーランドへ留学をしようと考えている方、お子さんを海外へ留学させたい、もしくはこれから子供を連れて移住を考えている方には特に興味深い内容かと思います。
海外留学に最適な時期とは?
海外留学するなら早いうちがいい??
ーまず、小さい子供を持つ親としても、「親子留学」というのが個人的にとても気になるのですが、やはり「鉄は熱いうちに打て」と言うように年齢が若いうちに留学をさせた方がいいと思いますか?
何を目的としているかにもよりますが、やはり若いうちに留学される方が、脳も柔軟で吸収も早く、英語力も身につくと思いがちですが、実はあまり早すぎても意味がないように感じることがあります。
長期でのご留学であれば、もちろん環境や英語にもなれ英語面はある程度すれば伸びるかもしれません。
しかし、留学後に全く英語に触れないのであれば、早いうちに留学しても中学生、高校生になる頃や、社会人になる頃にはほとんど忘れてしまっているように思えます。
また、母国語がしっかりできていない状況ですと、自分の気持ち等何か表現したいときにもどのように表現したらいいのか混乱するのではないかと思います。
留学後の生活をどうされるのかにもよりますが、日本で生活をされるのであれば、母国語である日本語がある程度習得できている年齢(中高生以上)でも十分遅くないと思います。
特に、数週間と短期のご留学の場合、普段と異なった経験はできるかもしれませんが、小学生くらいになると、自分と異なる言語を話している環境、またそれが理解できていない自分に気づき、過去に涙をこらえて通っている子を見たことがあります。
せめて2、3ヶ月以上であれば、それを乗り越え、お友達を作り英語も少しずつ覚えていける時間もあるかもしれませんが、数週間とかなり短い期間の場合は、やっとその環境に慣れた頃に帰国されるので、お子様一人一人異なるとは思いますが、中にはただ辛い日々を送られ、英語も身に付かずに帰っている子も少なくないのではないかと思います。
当社でも親子留学のプログラムをご紹介はしておりますが、親御様の気持ちを優先するのではなく、お子様のことを中心に考えてご検討いただきたいと感じております。
ーなんと。そうなんですね。ガツンときました。「普通の海外旅行とちょっと違った滞在の仕方〜」とよく紹介されていたりするので、おしゃれだなあって思っていました。
親が良かれと思っても、当の本人にとってはそうではないということもあるんですね。本人の要望を確認することはとても大事ですよね。
※写真提供: Bright Futures Support Ltd. 様
自立が求められる海外留学
また、日本が小学校から英語教育を導入したことも影響してか、年々、留学開始のご年齢が低年齢化していきているように感じています。
ニュージーランドでも各学校によって異なりますが、法律では、10歳以上からの単身留学ができるようになりました。
しかし、留学では自立していることが非常に重要です。お金や物の管理、朝は自分で起床できること、学校の準備が自分でできること、時間厳守ができること、自分の気持ちが言えること等、基本的なことですが、留学を成功させるにはとても大切です。
ーやっぱり、一通り自分のことができて、ちゃんと自分の意思で留学したいということ、言葉や風習が違うところで親からも離れるということが、どういうことかわかっている年齢であることが大事なんですね。
そうですね。日本では常にお世話をされていた状況で、留学先でいきなり自分で全て行うことはなかなか難しいかと思います。
例えば、日本でお金の管理を自分でさせてもらっていないお子様が、海外の未だ言葉のわからない場所で、急に自分のお小遣いを自分で管理できるかといったら厳しいかと思います。
ホストファミリーが代わりにやってくれると思われがちですが、実際はそうとは限りません。
万が一の時はもちろんホストファミリーが手を差し伸べてくれるかと思いますが、基本的には自分で行うことが求められます。特にお金は自分で管理が基本です。
ニュージーランド人と日本人の同年齢のお子様を比較すると、朝の起床や学校の準備の面、お金の管理等、ニュージーランドの子供達の方が少し早くから自立しているように思います。
留学を意識しはじめたときから、親御様が手を差し伸べるのではなく、自分で自分のことができるように準備(練習) されることをお勧めしたいと思います。
ー確かに。ニュージーランドでは法律上でも14歳になると1人で家にいられるようになるし、自分より年下の子の世話も任されたりするのもあって、ある意味大人扱いにもなりますしね。
その頃までには自分で色々とできるようになっていることが求められるんでしょうね。
自分のことが自分自身でできるようになることにより、学校や日常生活でも積極的に行動ができるようになるかと思います。それにより、行動範囲も広がり、ご友人もでき、充実した留学生活が送られるのではないかと思います。
ただ、中学生、高校生くらいから留学するにはいいのでは、と言いましたが、もちろん、小学生の年齢の子でも単身で留学して成功した子もいらっしゃいます。
英語も全くできない状態でお越しになりましたが、とても前向きな姿勢と愛らしさで、ホストファミリーからも可愛がられていたこともあり、ホームシックにも一度もかかりませんでした。
英語がわからなくてもお友達もたくさん作っていました。朝は起きられないことはあったようですが、でもできる限り自分で起きようと心がけていたり、自分でできることは自分で頑張ろうという姿勢がよく見られました。
ーへー!それはとてもしっかりしている子ですね。そういう子がいるのを考えると、年齢は目安であって、その子の性格や自立度具合にもよるんでしょうね。逆に、20歳過ぎてもなんだか自立してない大人もいますしね。
海外へ行ったら自立できるかも、というよりは、母国での生活の基礎が大事なんでしょうね。
そうですね。あと、高校生くらいの年齢からの方が留学するには良いと感じる点は、他国からの生徒も含めて、高校生の年齢よりも下の学年は、留学生の数が限られています。
他国も私たちと同じように、単身で留学されるのが15歳以上の子が多いからです。
現地の友人をつくる良いチャンスにはなるかと思いますが、先にお話した小学生のように、よほど強い意思や、積極性のある子でないと、最初からニュージーランド人の友人を作るにはかなり厳しいので、中々気の許せる友人ができず、ホームシックにかかる可能性がかなりかなり高いかと思います。
ーなるほど、同じ年代の子で日本語がわかる子がいるのといないのとでは、全然ちがいますよね。そういった点でも、高校生くらいからが留学するにはぴったりな年齢なんですね。
ニュージーランドへの留学のすすめ
早くから個性を大事にする教育
ーでは、ニュージーランドの学校の特徴を教えてください。また、日本の学校と比べてみて、良いところと悪いところがあったら教えてください。
ニュージーランドの教育は、個性や個々の興味のあることを伸ばしていける環境だと思います。
日本の中学生の年齢(現地だと10年生)までは、必須科目も多く、選択科目も半年毎で変わるなど、低学年のうちに色々な教科に触れ、将来的に自分が何をしたいのか、何に興味があるのかを知ることができます。
その上、学年が上がるごとに必須科目が減っていき、高校の最後2年間はほとんどが選択科目になり、自分が興味のあるものをより深く勉強していくことができるところは、とても良いと思います。
得意でない科目があって自信が持てなかった生徒さんも、自分の好きな科目に集中することで、自信が持てるようになれると思います。
ーなるほど、高校の最後の2年間という「ちょっと若すぎるかな?」とも思う時期で、もう自分のやりたいことを集中して勉強できるんですね。1番多感なこの時期、個性を大事にしてくれる教育って大事ですよね。
しかし、その一方、苦手な教科などを回避できてしまうのは、本当に良いのだろうかと日本の教育を受けてきた私個人的には感じてしまうことがあります。
でも、将来、勉強したくなった時、必要に感じた時に、それらに取り組み勉強すればいいと思うので、私は、ニュージーランドの教育システムは良いと思っています。
ー確かに、仰る通りちょっと不安な点もありますが、早いうちから自分の将来を考える機会を与えてくれるいい環境であると言えますね。
のんびりしてるように見えますが、若い子達が将来について割としっかりした考えを持っていると感じるのはこういった教育システムのおかげかもしれませんね。
※写真提供: Bright Futures Support Ltd. 様
国際色豊かなニュージーランド
ー留学期間はどの程度が多いですか?
2、3年が多いです。
ー結構長期が多いんですね。日本から来る留学生の数は増えていますか?減っていますか?
増えていると思います。
ーその理由はなんだと思いますか?
日本も英語やグローバルな人材を求める時代になってきているからかと思います。
日本の学校や地域で留学プログラムを導入しているところも増えてきているようで、これまで、日本の高校に在籍中に留学する場合は休学しなくてはいけなかったようですが、学校や地域によっては、留学中の単位をそのまま日本の学校に振り替えしてくれるところも出てきたこともあり、1年留学の生徒さんも増えてきているように思います。
ーニュージーランドは移民が多いので、いろんな国からの留学生や現地在住の人に会えるという利点もありますよね。ここにいるだけで本当にグローバルが味わえます。
そうですね。また、日本の決められた型があるような教育環境に合わないと感じるお子様も増えているのかもしれません。セカンドチャンスを求めて来る子もいらっしゃいます。
ーなるほど。ニュージーランドののびのびとした環境や、個々の特性を重んじてくれる教育システムは、日本の環境が合わないと感じている子たちにはとても魅力的ですよね。
あと、ニュージーランドは世界的に見ても比較的安全であることも特徴だと思います。
ーそれはかなり重要ポイントです。最近、物騒な話が世界では当たり前のように流れていますが、ニュージーランドではあまり聞かないですよね。遠く離れている親御さんや、お友達にとっても、安心していられると思いますね。
ー日本から来た学生さんは卒業時(留学終了時)にはどんな変化が見られますか?
ご家族や友人とも離れ単身で来て、様々な困難を乗り越えていますので、皆、自信を得て帰っていると思います。
また、ご家族やご友人の大切さ、日本を離れたからこそわかる日本の良さを認識されるようですので、皆に優しくなって帰国されているのではないでしょうか。
口数が少なかった生徒さんも、よく話すようになっていたり、到着時よりも、表情が明るく柔らかくなっているように感じています。
ーそれは自分自身にとっても、帰国したときに迎える人達にとっても、とても嬉しいことですね。
海外留学成功の秘訣とは?
素直に感謝すること
ーたくさんの時間もお金も使って海外留学をする場合、やっぱり期間が終わった後に悔いのないように、留学してよかったなという結果を得たいと思うんですが、飯尾社長が思う、留学成功の秘訣ってなんだと思いますか?
先程も出ましたが、年齢に関係なく「ある程度自立していること」、「母国語の基本ができている事」の他、「感謝の気持ちが持てること」かな、と思います。
留学は本当にご家族やご友人の他、学校の先生方、現地のホストファミリー、いろいろな方に支えられてこそです。感謝の気持ちを持ち、相手を尊重することは本当に大切です。
ー「感謝の気持ち」ですね。今まで当たり前に思っていたことが、海外では当たり前ではなくなるし、そこに感謝の気持ちを持って接することは、周りにとっても、自分自身の成長にとっても大事なことなんでしょうね。
ありがとうの一言で、世界が変わることもありますよね。
全ての一期一会を大切に
それと、「出会いを大切にすること」ですね。それが、たとえ日本人同士であったとしても。
せっかく海外に来てるのに、日本人ばかりと過ごしているのもよくないのですが、やはり家族や慣れ親しんだお友達と離れて来ているので、心の拠り所というか、気を抜ける、母国語で話せる友人や、同じ境遇の他国の留学生の存在は、留学を成功させる一つとしても大切だと思います。
もちろん、私たちエージェントも彼らの心の拠り所の一つになりたいと思っていますが、同じ世代のご友人とはまた違う存在かと思います。
ーあ、すごくわかります!私もこちらに来た当初は、現地の同年代と会う機会もあまりなかったのもあったんですが、日本人のお友達とよく過ごしていました。
しかし、それは決して甘えではなく、その当時には必要不可欠な時間で、今でも大切な思い出となっています。
せっかく、海外にいるのに日本人と過ごしては時間がもったいない…と思う方もいらっしゃるかと思いますが、同じ国出身でも、留学しなければ知り合えなかった者同士ですし、彼らを通し、海外にいながら今まで行った事のない都市やその土地の風習や文化を知る機会にもなるので、悪いことばかりではないと私は思っています。
私もこちらに来た当時、語学学校に行っていた頃、本当にそう思いました。日本にいたら知り合うことのなかった他県の友人や、年齢の異なる友人から、学んだこともたくさんありました。
ーそうですよね。私も語学学校や、こちらで出会った日本人のお友達は「同士」な感じもして、地元のお友達とはまた違ういい関係を築けました。
同じ境遇だと、仲間意識が強くなるのもあるし、一緒にいる時間も長いので、深い話ができたりするんですよね。
もちろん、せっかくニュージーランドに来ているのですから、現地の友人も作れるようにみんなには頑張ってほしい気持ちもありますけどね。
ーそうですね。留学すると、色々なイベントにも参加する機会もありますし、そういったところでも「出会い」を大事にしていけるといいですよね。
はい!本当、人生は一期一会が大切なんだと思います。 ホストファミリー、学校の先生、日本人の友人、外国人の友人、みんな大切な方たちですね。
私の高校の担任の先生が、ホームルームの時間にさら〜っと一期一会の話をしていたのが、今になって身に沁みています。本当に、一期一会が大切なんだと思います。
※写真提供: Bright Futures Support Ltd. 様
成長を見守る海外留学エージェント
ーインタビューの最後になりますが、このお仕事のやりがいを教えてください。
留学修了時に「ありがとうございました」と、留学生の皆さんに言ってもらえることです。この一言のためだけに、やっていると言っても過言ではないと思います。
皆さんそれぞれ違いますが、全員が成長して帰国されています。皆さんの成長を間近で見させていただけるのがやりがいです。
人生80年としたら本当に一時かもしれませんが、その大切な一時に少しでも携わらせていただけることを、光栄に思っています。
ーきっと母国を離れて、不安や初めて向き合う困難があったけど、それをうまく乗り越えられるように、ほど良いサポートがあったからこそ出てくる自然な「ありがとうございました」なんでしょうね。
これからも、素晴らしいお仕事、頑張ってくださいね!お忙しいところ、色々なお話をしていただいてありがとうございました。
※写真提供: Bright Futures Support Ltd. 様
インタビューを終えて
とても朗らかで、優しいお人柄が雰囲気からも滲み出ている、飯尾社長。
でも時には少し厳しく、正直に鋭い指摘もしてくれる、まさに留学生にとってはいざという時でも頼れるような姉御的な存在だからこそ、海外が初めてという方や、留学するお子さんのいる親御さんも安心して任せられるのだろうなあと、思いました。
日本でもグローバル化が進み、英語を使う機会や他国からの人と触れ合う機会が増えていることもあり、そういった場でも物怖じしないようになるには、海外留学するという選択肢は非常に効果的なものだろうと思います。
そこで経験すること、出会った人たち、時にはホームシックにかかったとしても、それは改めて自分自身や自分の母国を知るいい機会であると、飯尾社長とお話して感じました。
ニュージーランドへの留学などのサポートについて、もっと詳しいお話を聞きたい方は、飯尾社長にお気軽にご連絡してみてくださいね!
Bright Futures Support Ltd.
- Tel/Fax:+64-3-374-9499
- E−mail:info@nzryugakuclub.com
- Webサイト:https://nzryugakuclub.com
- Unit14, 456 Colombo Street, Sydenham,Christchurch, New Zealand
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