海外で駐在員として働いていて驚いた事の1つに「接待の多さ」があります。通常、日本で接待と言えば、お客様との信頼関係を築いたり、円滑なプロジェクトの進行を目的として行われるものを想像します。
しかしフィリピンではそれだけではありません。毎週、いいえ極端な時には毎日、自社の誰かしらが出張に来るのです。彼らを接待することも海外駐在員のとても重要な任務です。
4年間のフィリピン駐在で300回以上の接待を行なった私が、ここに行っておけば間違いない!というマニラ近郊の美味しいレストランをご紹介します。
マニラでの接待における店選びの実情
フィリピン料理は避ける
折角のフィリピン出張。やはりフィリピンでしか食べられないローカル料理店へ、とまずは考えます。しかし私の経験上、フィリピン料理のウケがあまりよろしくありません。
基本、フィリピン料理は日本人の口には合うと思うのですが、中には豚の血で煮込んだり、バロットと言われる孵化直前の雛の姿を生々しく感じ取れるものだったり、少し癖の強いものもあり敬遠される傾向にあります。
スペイン料理
そこでお薦めしたいのがスペイン料理です。かつてスペインの統治下に置かれていたフィリピンでは、激ウマかつ日本に比べればはるかにリーズナブルなお値段でスペイン料理を楽しむことができます。
棒を投げればスペイン料理屋に当たる。そのくらい店舗も多いので「突然の接待」にも非常に便利に使えます。
イタリア料理
次にお薦めしたいのがイタリアン。日本ではサイゼリアくらいしか行かない私ですが、フィリピンではそれと同じような感覚で高級イタリア料理店で舌鼓を打つ事ができます。
アメリカン料理
なぜだかフィリピンへ出張に来てアメリカンを期待する人もいます。アメリカンの代表格と言えば、ステーキです。大型チェーン店から小規模なローカル店まで、肉好きなフィリピン人の胃袋を鷲掴みにして離さない名店が揃っています。
接待するにあたっては基本「どんなものが食べたいのか?」を事前に聞くようにしています。しかし、回答は「おまかせ」が圧倒的に多かったです。海外駐在員の腕の見せ所です。
日本料理
たまにどうしても日本食がいい!という、何をしにフィリピンまで来たのだろう?という人もいますが、そんな時でも全く困らないフィリピン。日本料理もハイレベルなお店が多いのですが、それはまた別の機会にご紹介させていただきます。
スペイン料理のお店「Alba Restaurante Espano」
フィリピンでスペイン料理と言えば「アルバ」。そのくらい有名な店がここです。正式名称は「Alba Restaurante Espano」。メトロマニラ近郊に数店舗を構え、連日様々な人種の客で賑わっています。
今回ご紹介するのはマカティ市はブルゴス(夜の繁華街)にほど近い本店です。
アプローチするためのストリート(ポラリス通り)は非常に裏ぶれており、フィリピンに初めて来た人であれば犯罪地区を連想してしまいがちですが、人通りは多いので比較的安全な場所です。
童話の中から飛び出て来たようなメルヘンな外観、ドアを開けると大きな冷蔵ショーケースがドーン!
中には今からシェフによって絶品料理へと昇華されるのを待つ食材が所狭しと並べられています。ちなみにこの食材、我々も購入して持って帰る事ができます。
2階建てのこじんまりした店内。可愛らしい木のテーブルが整然と配置されています。喫煙者がいる場合は2階がそのスペースなのですが、注文を取る人間が常駐していないので1階のお席をおすすめします。
着席するとすかさず数種類の焼きたてパンがサーブされます。嬉しい事に無料です。まずこれが信じられないほど美味しい。パンだけのために行ってもいいくらいです。
アルバは何度行っても、何を食べても「美味い!」と唸らされるのですが、1つだけおすすめを挙げよと言われれば、食い気味にお答えしたいものがあります。
それが「イカスミのパエリア」。後にも先にもこれほどのパエリアに出会ったことはありません。調理に時間がかかりますので、最初にオーダーする事をお忘れなく。
またフィリピン(というか諸外国)で「パエリア」と言っても通じないのでお気をつけください。「パエッラ」、これがちゃんとした発音になります。
このアルバ、開店直後であればまだ良いのですが、人数が多いようだと予約した方が無難です。
またマカティ市の中心部から2、3kmの距離なのですが、渋滞が激しいフィリピン。アフターファイブすぐだと車で1時間掛かってしまう事は日常茶飯事なので、それだけはご留意ください。
- 名称:Alba Restaurante Espano
- ジャンル:スペイン料理
- 住所:38 Polaris St., Bel-Air, Makati
- 営業時間:11時~23時
- 電話番号:02-896-6950 to 51/02-890- 4372
- 参考サイト:http://primer.ph/
イタリア料理のお店「Caruso」
高級イタリア料理と言えば、日本では変にかしこまってしまいそうですが、ここフィリピンでは比較的カジュアルに利用する事ができます。
このCarusoもそう。場所は先述のアルバから1kmほどのところに位置しています。若干緊張してしまいそうな荘厳な外観と正面ドアなのですが、一歩店内へと足を踏み入れると、陽気なフィリピン人スタッフが笑顔でお出迎えしてくれます。
しかし、店内はレンガが積み上げられた壁や高級そうなテーブル調度品で、他店とは明らかに差別化がなされています。
Carusoではまず、ワインを嗜みましょう。味の好みを伝えると百戦錬磨のフィリピン人ソムリエが美味しく、でも値段の張らない厳選ワインにてもてなしてくれます。
シェフは本場イタリア人、不味い訳がありません。そんなお店でおこがましくも私がおすすめするならパスタです。何のひねりもありませんが、許してください。
どのパスタを食べても、本当に美味しいのです。中でも「トリュフのパスタ」これは忘れられません。それまでトリュフなんて口にした事のなかった私ですが、これは人々が美味い美味い言うのも無理はない、そう思いました。
更にびっくりするのがお値段です。2016年当時のお話しなのですが、パスタ一皿が日本円で1,500円程度。5、6人でシェアできるくらいの量での価格なので尚更お得感バリバリなのでした。
Carusoの良い所をもう一点。それは日本人との遭遇率。フィリピン4年間で数10回は利用したと思いますが、日本人と遭遇したことはありませんでした。
折角外国にいるのですから、日本語が全く聞こえない環境を楽しみたいとは思いませんか?と、言いつつも、我々がバリバリの日本語で会話をしているのですが…
- 名称:Caruso
- ジャンル:イタリア料理
- 住所:LRI Bldg., 210 Nicanor Garcia St., Poblacion
- 営業時間:11時30分~14時30分、18時~23時
- 電話番号:02-895-8790/02-896-2451
- 参考サイト:http://primer.ph/
イタリア料理のお店「Carpaccio」
何度行っても正確な場所を全く把握できなかったのがこの「Carpaccio」です。日本語で書くと「カルパッチョ」です。
もちろん毎回車で連れて行ってもらえるので、覚える必要はありません。しかしフィリピンに4年も住んでみて、メトロマニラのほとんどの地理が頭に入ったと思っていたのですが、ここだけはダメでした。地図上で探しても、ここ!と指差す事はできません。
そんなCarpaccioですが、Carusoを高級とすれば、こちらはカジュアルなイタリア料理店です。客層も若い人が多く、ローカルのカップルや学生なんかに大変人気のレストランです。
暗めの照明が多いイタリア料理店の中、非常に明るい照明、蛍光灯色というのも特徴の1つです。
ピッツァを皮切りに、何を食べても美味しいのはもちろんなのですが、私が世界一ではないかと思ったものがあります。それが「魚のグリル」。
魚と言っても種類があるだろう?と怒られそうですが、その日シェフが厳選した一番の魚をグリルしてくれ、それがいつ何を食べてもたまらない香ばしさなのです。白ワインが進みまくります。
また、スタッフのほとんどが若く綺麗な女性なのも選出理由の1つ。ワインがなくなるとすかさず継ぎ足し、料理は都度取り分けてくれます。出張者の中には「フィリピンのイメージが変わった」そんな事を言う人もいました。
前記の通り、正確な場所はわからないのですが、こちらもマカティ市にあります。やはり中心部からは若干時間のかかる場所なのですが、私個人がイチオシしたい店、それがこのCarpaccioです。
- 名称:Carpaccio
- ジャンル:イタリア料理
- 住所:7431 Yakal St., San Antonio Vill., Makati
- 営業時間:11時~15時、18時~22時
- 電話番号:02-553-9636/02-867-3164
- 参考サイト:http://primer.ph/
ステーキのお店「Wooden Horse Steak House」
ここまで3店、メトロマニラはマカティ市の接待に使えるお店をご紹介してきました。
出張者がメトロマニラで仕事をしている場合は立地に問題はありません。しかし、そんな人たちばかりではありません。製造系のお客様やそんなお客様との仕事をメインにしている人達はメトロマニラから60kmも南へと下った工場で終業を迎えます。
さあ、これから会食、そう思っても一体何時にマカティ市内へ戻る事ができるのでしょうか。そんな時に便利なのがメトロマニラの一番南に位置しているムンティンルパ市のアラバンです。
工場からの帰路途中。マカティ市までは、まだ20kmほどを残したところにある、外国人居住者の多い地域です。地獄の渋滞はこのアラバンから先で始まる事が多く、大抵ここまでは2、30分で到着できるのです。
そんなアラバンの、これまでとは毛並みの違うお店を1つご紹介しましょう。
「Wooden Horse Steak House」。その名の通り、ステーキをメインにしています。アラバンのMolito Commerce Complexという複合商業施設の中にあり、西部劇に出てきそうな、それは雰囲気の良いお店です。
オーナーシェフは日本人の田部井さんというお方。サイパンでお店を経営されていたそうですが、フィリピン人の奥様の故郷に移住し、今もなお厨房で腕をふるっておられます。
日本人の好みに合うお味なのは間違いのないところなのですが、嬉しいのがテーブルに着いたのが日本人とわかると、田部井さんご本人がご挨拶をしにテーブルにいらっしゃること。
北野大(ビートたけしのお兄さん)そっくりのご本人は、毎回満面の笑みと共に「日本人へのサービスです」と大量のトルティーヤ・チップスを差し出してくれます。なぜトルティーヤなのか、そんな事を気にしてはいけません。
田部井さんにきちんと教育されたスタッフは皆、カウポーイの衣装を身にまとい、日本語をも駆使し我々を楽しませてくれます。
さらに常連になると特典が付きます。それは、お酒、特にワインの持ち込みを許可してもらえるところ。
もちろんお店にもワインリストがあるのですが、もっとリーズナブルに、とのお考えなのか、自宅からでもよし、店からほど近いワイン店から購入するもよし、となっています。
でもいきなり持ち込むのは失礼ですから、お伺いを立ててみてくださいね。
フィリピンでステーキと言ったら、ここ。トイレへと立つと壁には有名人らと田部井さん、ツーショットの写真が数多く飾られています。その中にパッキャオを発見。田部井さん、すごいです。
- 名称:Wooden Horse Steak House
- ジャンル:ステーキ
- 住所:Molito Commercial Complex,G/F Unit 2&3,Madrigal Ave.corner Alabang Zapote Rd.Muntinlupa
- 営業時間:月〜木曜 11時〜14時/18時〜22時 金〜日曜 11時〜14時/17時〜22時
- 電話番号:02-659-7522
- 参考サイト:http://primer.ph/
スペイン料理のお店「The Black Pig」
アラバンで接待に使えるお店をもう一軒。穴場中の穴場をご紹介します。
The Black Pig。Alabang Commercenterという商業複合体施設の2階に、どちらかというとひっそりとあります。
極限まで光量を落とした照明はお店の壁(曇りガラス)と相まって、外廊下(正確には建物の中)からは営業中なのかわからないくらい暗いです。
ここは最初プライベートで且つ飛び込みで入りました。前提知識のなかったこの”黒豚”ですが、出てくるもの出てくるもの美味しい。それはそうです、聞いてみるとスペイン人の有名シェフが満を持して開店したとの事。
初めての出会いからほどなくして日本から出張に来た「役員」を連れて行ってみました。
私の赴任前から何度もフィリピンを訪れているという役員で、海外事業の筆頭責任者で英語もペラペラ。きっと私ごときが案内する店は既に知っていると自負してるんだろう?との邪推から転じた秘策です。
案の定、このThe Black Pigは初めてとの事。料理をサーブするのに時間がかかるから、と、併設されたバルコニーで立食形式でクラフトビールとおつまみを提供していただきました。
ご機嫌になった役員から、決して普段聞けないような、会社の裏事情までお話ししてもらいました。
それからというもの、幾度かここを接待で利用しましたが、皆一様に味、雰囲気とも絶賛。
Wooden Horse Steak Houseとは違って、屋根のある施設なので雨でも心配ありません。エスカレーターで1階へ下がるとそこにはラーメン屋(2016年オープン)が。
スペイン料理をあんなに食べたのに…お酒を飲んだ後にラーメン屋を見ると、入らずにはいられない日本人がいかに多いかを思い知らされました。
- 名称:The Black Pig
- ジャンル:スペイン料理
- 住所:2/F The Commercenter Alabang, Commerce Ave, Filinvest City, Muntinlupa
- 営業時間:月曜 17時~24時/火~日曜 ブランチ8時~16時/ディナー16時~24時
- 電話番号:02-808-1406/0917-845-0744
- 参考サイト:http://primer.ph/
まとめ
接待というのは何かと面倒なものです。しかし嬉しい側面もあって、それは「接待する側」も接待費を使って公然と身銭を切らずに飲食ができる事です。
私の会社では”役職”に応じた接待費が決められていました。課長職の私は毎月上限2万フィリピンペソ。決してズルはできません。レシートと同行者を会社に調べられます。何気に毎月満額申請していたなあ…ふと計算してびっくり。
2(万PHP) x 12(ヶ月) x 4(年)= 88万PHP。なんと(1円=2.7PHP)で237万円超えになりました。
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