※バンコク北バスターミナル(モーチット・マイ)の乗車エリアからラオスへの移動が始まります。
ラオスに移住して10年目に突入した2018年、3年振りにタイ・バンコクまで足を延ばしました。
タイのバンコクからラオスのビエンチャンを結ぶこのルートは、東南アジアをラウンドする旅行者が、必ず1度は通過すると言っても過言ではない「黄金ルート」の1つとして親しまれ、利用した経験がある方も少なくないと思います。
かつて私はバックパッカーとして何度もこのルートを行ったり来たりしたものの、ラオスに移住した現在では、すっかりバスに乗る機会を失っていました。今回久しぶりに全行程をバスで移動した体験を中心にレポートします。
ラオス・ビエンチャンからタイ・バンコクへの交通手段は?
※現在のラオ・エアは、ジェット化され安全かつ快適なフライトを楽しむことができますのでご安心を!
ラオス・ビエンチャンとタイ・バンコク間は、かつて私が旅行者であったころから多くの旅行者が行き来する「黄金ルート」と呼ばれていました。
当時からこの都市間を結ぶ飛行機の直行便はありましが、以前のラオス航空では古い中国製の機材を使用されていました。
日本国外務省の発表する「海外危険情報」は、旅行者にとって非常に気になるものです。
かつてラオ・エアラインは「ラオス航空利用の際はY型機の搭乗は止め、ATR-72型機に搭乗するように」と名指しで注意喚起されるほど安全性が疑問視されていました。
実際に搭乗経験がある旅行者に「駐機中暑かった機内が離陸と共に涼しくなり、雲に突入したら機内が真っ白になった!」と聞かされました。「入り口がちゃんと閉まってないじゃん!」と大笑いしたのですが、本人は相当怖かったようです。
航空券も高価で約1時間半のフライトで200ドル(約21,600円:2000年1ドルは約108円)近くものコストが必要でした。
多くの旅行者が交通手段として高くて安全性に疑問がある空路よりも、「長距離バス」や「タイ国鉄・東北線」を選ぶのは当然の流れです。リーズナブルに、かつ比較的安全に移動できる「陸路移動」が当時の主流でした。
現在は空の便ではLCCが就航し、陸路でもタイ・カオサンロード発でラオス・ビエンチャン着のツーリストバスも運行されるようになり、以前と比べると遥かに便利になりました。
このような背景から、かつて多くの旅行者が利用し賑わっていた、バンコク北バスターミナル発のローカル長距離バスやバンコク中央駅発のタイ国鉄の東北線は、徐々に外国人旅行者の利用が減少傾向にあるようです。
現在これらの交通機関を積極的に利用しているのはタイ人の学生グループやタイ人ビジネスマンなどです。
時代の流れを感じながらも、今でもこのルートを陸路で移動することが多い私は「根っからのバックパッカー」なのかも知れません。
バス網が発達したタイの長距離バスを利用する場合
※ビエンチャン中央バスターミナルとウドンタニのバスターミナルを結ぶ国際バスです。
※んっ!日の丸が見えると思い寄ってみると京都からの支援で送られたバスでした。ありがとうございます。
※給油中のローカル長距離バス、2階建てでピカピカですね。
※ウドンタニからの長距離バスの車内はエアコンが利きすぎているのが難ですが、防寒対策をしておけば快適です。
ビエンチャンとバンコク間のバス移動には次に挙げる3つのローカルバス・ルートが選べます。
- ビエンチャン~バンコク
- ビエンチャン~ノーンカイ~バンコク
- ビエンチャン~ウドンタニ~バンコク
今回は3番のウドンタニ経由のルートでバンコクに向かい、2番のノーンカイ経由のルートでビエンチャンに戻りました。
いざ!タイ・バンコクへ!(往路)
私はビエンチャンから約170キロ離れた町に住んでいるので、まずはビエンチャンを目指します。
- 09:30(ツーリストバスでビエンチャンに向け出発)
- 13:30(ビエンチャン着、ビエンチャン中央バスターミナル・タラートサオへ徒歩移動)
- 14:00(ウドンタニ行国際バス出発)
- 16:00(ウドンタニバスターミナル着)
バンコク行のチケットを購入、荷物をバス会社のオフィスに預け、町を散策し食事を済ませます。
- 21:30(ウドンタニバスターミナル発)
- 05:30(バンコク・北バスターミナル・モーチット・マイ着)
- 06:30(北バスターミナル発市内バス出発)
- 08:30(カオサンロード着)
出発からバンコク・カオサンロードまで約24時間のバス移動でした。ウドンタニからはVIPバスを運航する「Sombat Tour」を利用し、料金は454バーツ(約1,600円)と激安です。
3列シートでフルリクライニング付きの比較的新しい車体で、ブランケットや首枕の準備もあり快適に移動することができました。シートにはマッサージ機能が付いているので、乗車中はブルブルと振動させながら横になっていました。
深夜02:00頃に途中の町で食事休憩があり、チケットに付いている食事券で簡単な食事が無料で食べられます。それ以外にも飲み水(珍しく冷えてました)と軽食代わりのお菓子が配られました。
さぁ!ラオス・ビエンチャンへ帰ろう!(復路)
バンコク発は当日の夕方まで予定が決まらず、バタバタしながらの出発となりました。
- 19:00(カオサンから市内バス乗車)
- 20:30(バンコク・北バスターミナル・モーチット・マイ着)
- 21:45(北バスターミナル発)
- 07:30(ノーンカイ国境前で下車)
- 08:30(タイ出国、ラオス入国)
- 09:30(市内バスラオス国境発)
- 10:10(タラートサオ・ビエンチャン中央バスターミナル着、徒歩移動)
- 13:30(ツーリストバスでビエンチャン発)
- 17:30(住んでいる町に到着)
帰りは往路よりは少し速かったですが、やはり24時間近い移動でした。時間ギリギリで駆け込んだためにバス会社を選ぶことができず、バンコク北バスターミナルからは「CHAN TOUR」を利用しました。
残念ながら車体が古かったのですが、ノーンカイバスターミナルではなくタイとラオスの国境前で降りることができたのはラッキーでした。
CHAN TOURのオフィスがタイ・ラオス国境の「友好橋」前のセブンイレブンの隣にあるので、オフィス前で乗車、下車ができるそうです。
バンコクからビエンチャンに向かう旅行者にとってCHAN TOURは利用価値が高いバス会社ですね。
料金は494バーツ(約1,730円)と往路より若干高いのは、ウドンタニではなくノンカイまでの利用だからです。
ビエンチャン~バンコクの直行バスとは?
今回利用することはなかった1番のビエンチャン~バンコクの直行バスの存在が気になる方もいるでしょうから、少しふれておきます。
ビエンチャンの中央バスターミナル(タラート・サオ)からバンコク北バスターミナル(モーチット・マイ)を結ぶ国際バスが運航しています。
- 出発時刻:18:00
- 料金:248,000キップ(約3,200円)
- チケット販売場所:ビエンチャン中央バスターミナルチケットブース
バス移動でかかったコストは?
※左が往路のSombat Tour、右が復路のCHAN TOURの乗車券です。
今回のバス移動で掛かったコストの明細を紹介します。
往路のトータルコスト:約2,563円
- ツーリストバス:50,000キップ(約650円)
- 国際バス(ビエンチャン~ウドンタニ):22,000キップ(約290円)
- 長距離バス(ウドンタニ~バンコク):454バーツ(約1,600円)
- バンコク市内バス(北バスターミナル~カオサン):6.5バーツ(約23円)
復路のトータルコスト:約2,551円
- バンコク市内バス(北バスターミナル~カオサン):6.5バーツ(約23円)
- 長距離バス(バンコク~ノーンカイ):494バーツ(約1,730円)
- タイラオス友好橋連絡バス(国境越え):20バーツ(約70円)
- 市内バス(ラオス国境~ビエンチャン市内):6,000キップ(約78円)
- ツーリストバス:50,000キップ(約650円)
空路と比べると時間はかかるものの、コスト的にはリーズナブルに収まります。強烈に安い「LCCのプロモーション価格」には敵わないかも知れません。
しかし、陸路移動には「時間の制約を受けていないことを実感できる開放感」や「日本では経験できない陸路国境の利用」、「車窓を流れる現地人の生活を垣間見る」など、旅情やロマンがあるのが魅力です。
このルートが多くのバックパッカーから黄金ルートと呼ばれる意味を理解して頂けますね。
バス移動を快適にするポイント
今回は往復とも長距離バスは「VIPバス」を利用しました。
タイの長距離バスには民間が運航するVIPバス以外にも、国営の「99(ガウガウ・2等)」、「999(ガウガウガウ・1等)バンコク~ノーンカイ658バーツ」が運航しています。
380~658バーツ(約1,330~2,300)とVIPバスに比べると料金をセーブできるものもあります。
しかし、リクライニングがほとんどできないことや、シートや足元が狭いことからあまりおすすめはできません。
国営バス、民間のVIPバス共に全席指定席となっています。チケット購入時にチケットオフィスのモニターを見せてくれますので、たとえ言葉ができなくても良い席を確保することができます。
足元の広い2階席の最前列、後ろを気にせずにシートを思い切り倒せる2階席の階段の前、揺れが少ない1階席がおすすめです。
車内は信じられないほど冷房が効いているので、長ズボン着用と上着の持ち込みは必須です。
「世界の車窓から」を彷彿とさせる列車を利用する場合
※ドーム型の建築が美しいバンコク中央駅(ファランポーン駅)の入り口です。
※天井の高い駅内部はヒンヤリ涼しくて気持ちが良いですよ。
ビエンチャンとバンコク間を列車を利用して移動する場合、ラオス国内の「タナレーン駅」を利用することもできます。しかしビエンチャン市内からのアクセスの悪さと便数の少なさからおすすめできません。
タイの「ノーンカイ駅」発が一般的ですので、こちらを紹介します。タイ国鉄東北線のノーンカイ・バンコク間は次の上下6便で結ばれています。
上り:ノーンカイ発・バンコク着
- 列車番号76、07:00発~17:10着・急行(所要10時間10分)
- 列車番号78、18:15発~04:35着・急行(所要10時間20分)
- 列車番号26、19:10発~06:00着・特急(所要11時間00分)
下り:バンコク発・ノーンカイ着
- 列車番号75、08:20発~17:45着・急行(所要09時間25分)
- 列車番号77、18:35発~04:16着・急行(所要11時間19分)
- 列車番号25、20:00発~06:45着・特急(所要10時間45分)
日中の移動の場合、タイの東北部(イサーン地方)の景色を眺めながら進むことができるので旅情を感じられます。
しかし、07:00ノーンカイ発の上りを利用の場合、ノーンカイで前泊の必要があります。 08:20バンコク発の下りを利用の場合も到着後、ノーンカイで1泊の必要があるのが残念です。
時刻表どおりだと急行が最も速く、特急が一番遅いことになるのが謎ですが、これが「アメージングタイランド」だと納得するしかありません。おそらくスピードではなく車両のグレードで分けているからでしょう。
また、エアコンのない3等車以外の列車内は驚くほどエアコンがよく効いているので上着があると便利です。
2018年3月上旬の時点でのタイ国鉄東北線のノーンカイ・バンコク間の運賃は次のとおりです。
- 急行3等扇風機座席:253バーツ(約856円)
- 急行2等エアコン座席:498バーツ(約1,750円)
- 特急2等エアコン寝台:上段898バーツ(約3,150円)、下段998バーツ(約3,500円)
- 特急1等エアコン寝台:上段1,357バーツ(約4,750円)、下段1,557バーツ(約5,450円)
LCCの就航は旅行者の流れを変えた?(バンコク〜ビエンチャン)
※LCCの登場は海外旅行のスタイルを一変させました。
驚くほど安価に飛行機を利用できることで人気のLCCですが、2016年7月から遂にタイ・エアアジアがバンコク・ドンムアン空港~ビエンチャン・ワッタイ空港間に就航しました。
既述した昔のラオ・エアラインよりも遥かに安全でリーズナブルに空路が利用できる時代になったことに驚きを隠せません。以前この線はラオ・セントラル・エアラインというラオスのLCCが飛んでいたのですが、現在は運休しています。
バンコク・ビエンチャン間就航LCC
- タイエアアジア
- タイスマイルエア
料金は45ドルから90ドル(約5,000円から10,000円)程度です。
またタイ国内線でもバンコク~ウドンタニ間が1日約20便ほど就航しているので、この間を空路で移動しビエンチャンとウドンタニは陸路移動する旅行者も増えています。
バンコク・ウドンタニ間就航LCC
- タイライオンエア
- ノックエア
- タイエアアジア
- タイスマイルエア
料金は1,000~1,600バーツ(約3,500~5,600円)程度が目安ですが、プロモーションを利用すればさらに格安で利用できます。
気軽に飛行機を利用することができる時代ですから、益々移動に空路を利用するスタイルが増えていくのではないでしょうか。
温故知新、自分の旅は自分で組み立てよう!
インターネットが普及していなかった頃にも、非常に多くの旅行者が旅をしていました。現在と比べると圧倒的に情報量が少なかった当時の旅行は、無駄やつまらない苦労が多かったのは間違いありません。
心配性な旅行者はカオサンから北バスターミナルやバンコク中央駅までわざわざ足を運び、バスの時刻表を書き写し、列車の時刻表を手に入れていたものでした。
このような計画的に旅程を進める「真面目?」な旅行者がいる一方で、私が属していた種類の「ダメな旅行者」も存在しました。
バスや列車に乗り遅れたからもう1泊、寝坊でチェックアウトできなかったからもう1泊、洗濯物が乾かないからもう1日という、無計画で移動が苦手な旅行者です。
共通していたのは「自分の旅は自分のために自分で組み立てる」という意識と、「他人が使わないルートや移動手段を探し出す」という好奇心でした。
やるべき事は特別難しいことではありません。バスターミナルや駅に直接出かけて目的地方面のチケットを購入するだけで、必要なのは多くの好奇心と、踏み出すために必要なほんの少しの勇気だけです。
今の時代はスマートフォンなどのデバイスがインターネットにさえ繋がっていれば、どこからでも飛行機や列車、バスのチケットの空席照会や購入が可能です。
せっかくの旅行中、モバイルに触れる時間を減らしてちょっとした「無駄」や「苦労」をしてみませんか?
中長期で時間の制約から解放された旅行者にとって、外国人旅行者や現地人のスタッフや乗客などとの出会いのチャンスが多く、さらにコストをセーブできる陸路移動はおすすめです。
自由へのキップを手に日本を離れたのですから、できるだけ面白い経験をしたほうが得ですよね。
まとめ
以前より交通手段の選択肢が増えたラオス・ビエンチャンとタイ・バンコク間の移動は、相変わらず旅行者に人気のルートです。
しかしスマホから得る移動情報が画一化されているためか、一味違った旅行スタイルや他人と違うルート取りが行いづらくなっているようにも感じます。
せっかく自由旅行で東南アジアを訪れるのであれば、一昔前に主流だった移動手段を選んでみるのも面白いのではないでしょうか。移動中の現地人との触合いは良い思い出として残りますよ!
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