ベルギーの医療事情とは?もし海外赴任先で救急病院に行くことになったら

ベルギーの病院 ベルギー生活・移住

昨年12月、クリスマス・年越しまであと数週間を残すのみ!という頃に2017年最後の盛大なミスをしてしまいました。日本でも行ったことがなかった救急病院ですが、なんとベルギーで人生初体験しました。

今回はベルギーの救急病院に行くはめになってしまった経緯から、病院での支払いや保険の適応についての詳細までまとめてみました。

なるべくならお世話にはなりたくない病院ですが、備えあれば憂いなしです。何かあった時の万が一の心構えとして、私の体験がみなさんのお役に立てばと思います。

ベルギーで怪我をした時の状況(救急車問題)

ベルギーのLeuven(ルーベン)は、冬場は気温0度以下の日もありますが、雪が降ることはほとんどありません。雪国出身の筆者からしてみれば物足りないくらいに思っていました。

しかし、油断大敵です。ヨーロッパに多く見られる大理石の床は濡れると非常に滑りやすいのです。

2017年も残すところあとわずか!となった12月、通っているヨーロッパレースの手芸学校の床で滑って転んで、鼻を強打してしまいました。その結果、鼻先がぱっくりと切れてしまい血が止まらなくなりました

日本人の友人の他に、学校の事務の方数名、日本語と英語ができるベルギー人の友人が駆けつけてきてくれました。

日本人やベルギー人の友人もいたためか、最初から事務のスタッフの方はあまり親身になってはくれず、遠巻きに見ておられ、少し悲しかったです。

ここで、怪我した本人もパニック状態の中、最初の選択の時がやってきました。「救急車を呼ぶか呼ばないか」です。日本と違って、ベルギーでは救急車を呼ぶのにお金がかかるため、よほどのことがない限りは呼ばないとのこと。

「数万円かかるから、どうしたいか。」と尋ねられました。すぐには結論が出せず、悩んでいたら友人が車を取ってきてくれて病院まで連れて行ってくれることになりました。その間にも、どこの病院がいいかベルギー人同士で話し合っていました。

以前見た交通事故の際にはすぐに救急車が来ていました。

(※普段、普通の病気や怪我ではすぐに救急病院には行きません。ベルギーではホームドクター、いわゆるかかりつけ医制度をとっており、ちょっとした怪我や病気などでは、まずこのホームドクターに診察してもらいます。

ホームドクターの範疇外となった場合に、大学病院などに紹介状を書いてもらうことが主流です。)

ここで、おさらいです。

濡れたヨーロッパの大理石の床は滑りやすい。来年の冬は凍った道路以上に気を付けたいです。ただ、これは私のような慣れていない人に限ったことではなく、ヨーロッパ人も冬場に足を滑らせて怪我をすることが多いそうです。

他にも、ベルギーでは自転車利用者が多く、自転車どうし、自転車と歩行者での交通事故も頻発しているそうです。気を付けたいですね。

ルーベンでのおすすめ緊急病院「ルーベン大学病院」

私が行くことになったのは“UZ Leuven”というルーベン大学の大学病院でした。ちなみこのルーベン大学(KU Leuven:ケーユー・ルーベン)、とは、1425年に設立されたベルギー最大の大学であり、ヨーロッパ最古の大学の1つで、欧州では有名です。

学生の総数は約70,000人にのぼり、フランダース地方では最も大きい教育機関です。16,297人の職員(内訳は大学職員8,107人、大学付属病院職員8,190人)を有しています。

一説には「ルーベンに行く」というのは「ベルギーで1番の大学へ行く」もしくは「ベルギーで1番の病院に行く」ことを意味するそうです。ちなみに、ベルギーでテロ事件があった時に、被害にあわれた方はこのルーベン大学病院に搬送されたそうです。

万が一のための情報共有として最後のまとめにルーベン大学病院の詳細を載せておきます。英語のホームページもありますので、オランダ語やフランス語が分からなくても安心です。

病院には約40の異なる専門の診療科があります。広い敷地ですが、緊急外来入口は地下駐車場すぐにあり、下調べせずに病院に行ってもすぐわかります。

スタッフは事務の方も含めて、明るくテキパキと温かい雰囲気の方が多く、安心できました。傷の経過を見ても、適切に処置してもらえたと感じています。

病院での処置

病院

薬

薬

駐車場と緊急外来の入り口がつながっており、迷うことなく緊急外来の入り口にたどり着けます。その入口付近にはすぐに受付があります。

血だらけの私を見て、受付前にある長椅子に座るように事務の方が英語で指示してくれました。他に緊急の患者はいなかったのか、すぐにストレッチャーを持ってきてくれて、寝かされました。

その後、同じ階にある外科外来の一室に連れていかれ、しばらく横になっていました。

学生かと見間違うくらい若手のお医者さんが来てくれて、またもや流暢な英語で対応してくれます。こんな時は、ルーベンではオランダ語が主要な公用語であるにも関わらず、ほとんどの方が気軽に英語で対応してくれる状況に感謝します。

おでこは打ったけれども、頭は打っていなさそうだと報告すると、その日は鼻を縫うだけになりました。ここでも選択が迫られました!「麻酔あり/なし」のどちらで縫うか、という問題です。

「2針縫うだけだから痛みはたいして差がないよ。」とのことでしたが、「自分では決められないからお医者さんが判断してくださいよ~。」という心境でした。

念のため口頭でアレルギーの有無と薬の服用について聞かれて、麻酔をしてから対応してもらいましたが。(どのような麻酔をしたのか分かるようにと、使った麻酔注射“Boostrix ”の空き箱もくれました。)

すぐに処置は終わり、鼻全体が隠れる貼るタイプのガーゼを貼ってくれました。今後は2、3日安静にして、このガーゼをはがさないように注意を受け、それ以降につける消毒液の名前(diaseptyl)を教えてもらいました。どこの薬局でも手に入るものらしいです。

薬局はオランダ語でAPTHEEKといいます。最初は口頭で教えてくれたのですが、オランダ語でも英語でも聞いたことがない製品名だったので、紙に書いてもらいました。

どうやら、日本のように処方箋であったり、替えのガーゼがその場でもらえるわけでは無さそうなので、同じような状況に陥った方は、ぜひ、メモを書いてもらうと後日困らずに済みそうです。

病院での必要書類や所要時間

病院にはパスポートを忘れずに持っていきましょう。また、IDカードなど身分を証明するものを持っている人は、それも忘れないでください。

付き添いがいれば、処置中にパスポートを提出したり、書類を渡されて、治療費等について説明されます。お1人の場合は、治療後に落ち着いたら説明があるでしょう。

私の場合は処置中に夫が勤務先から来てくれて、やり取りをしてくれました。ここでも全て英語でのやりとりだったそうです。

まずはパスポートを提出して、身元確認をされます。その後は治療費についてなのですが、後日、治療費の請求書を送るので、関係書類を受け取ったら指定銀行の口座に入金してほしいとのことでした。

そのために、夫の銀行のカードや夫のIDカードも確認されたそうです。(驚いたことに、この治療費請求の書類は約2ヶ月後に自宅に郵送されました。なんともおっとりとしたベルギーらしい話ですね。)

また、今回はルーベン市の芸術学校の中での事故だったためか、病院側から保険申請用の書類をくれました。学校が保険をかけてくれていると知らなかったので、全額自費での治療を覚悟しており、この申し出はかなりありがたかったです。

後日、大学病院のHPを確認したところ、外国人の保険については各自の保険を必ず確認してから病院に来ること、と記載されていました。

※ちなみ今回の治療の費用は約90ユーロでした。抜糸はどこかの個人病院でやってきてくださいとのことだったので、近所のクリニックにお願いしたところ20ユーロでした。

病院に持っていくもの・持ってきてもらったら便利なもの

【必需品】

  • 携帯(Wi-Fiが通じているので、家族や同僚に連絡も容易に取れます)
  • パスポート
  • IDカード
  • 銀行のカード(治療費の入金等をするための書類作成時に必要)
  • 住所がわかるもの(治療費の入金等をするための書類作成時に必要)

【あったらいいもの】

  • 保険に関する書類
  • 電子辞書
  • 羽織るもの(ショック状態で体が冷えてるかもしれません。また、そんなに病院は暖かくありませんでした。)

海外での保険について

保険の資料

保険については各自の加入されているものがあると思いますので、「いつか」「何か」がある前にシステムを確認しておくことをおすすめします。

また、ベルギーの保険は病院での治療費の他に、薬局で買ったガーゼなどの細々としたものも全て適応範囲のようです。ですので、薬局でのレシートも忘れずに保管して、保険会社に送りましょう。

私たちは“ethias”という保険会社に書類を提出しました。全てオランダ語表記のため、オランダ人の友人に手伝ってもらいました。

必要書類を保険会社に郵送にて提出すると、約1ヶ月後に治療にかかった費用が銀行口座に入金されていました。(保険会社から送られてきた書類に、銀行口座を書く欄がありました。)

まとめ

怪我や病気をすることなく滞在期間が終了する幸運な方や、私のように、到着後すぐにやらかしてしまう方もいると思います。

何があるかわからない海外生活!本記事を読んで、ご自身のお住まい周辺の頼りになりそうな病院や、加入している保険のシステムを確認してみてはいかがでしょうか。

ベルギーにお住まいの方にお伝えしたいのは、ルーベン大学病院の対応は、迅速で丁寧でしたよ。

ルーベン大学病院

  • 名称:UZ Leuven Gasthuisberg campus
  • 住所:Herestraat 49 3000 Leuven Belgium  ※有料の駐車場があります。
  • 営業時間:24時間
  • 電話番号:+32 16 33 22 11
  • 公式サイト:http://www.uzleuven.be/en

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