私がタイに来て驚いたのは、タイ人は本当に子どもが大好きだということです。ほとんどのタイ人が子供を見るやいなや満面の笑顔で話しかけますし、電車でもまず席を譲るべきは子供と妊婦というのが常識となっています。
なぜタイではこんなに子どもが愛されているのか?逆に日本人はどうして子供や子供連れに寛容になれないのか?そう疑問に思ったので、いろいろと調べて考察してみました。
日本の社会も子育ての環境について、タイに学ぶべきところがあるのではないでしょうか。
タイの社会はこんなにも妊婦と子供に優しい
タイで出産するとまるで天国のようだと、在タイ日本人女性の間では言われています。親族のサポートも受けられない異国の地で出産・子育てをするなんて大変そうですが、タイにはそのための設備と環境が整っているのです。
まず上に書いたように、タイ人たちはとにかく子供に優しいです。
子供の声や騒音で苦情が来るなんてことはまずありえませんし、電車では妊婦や子供連れは席を譲ってもらえますし、何よりたくさんの人に声を掛けられ、愛されて育つことができます。そんな環境だと、母親もストレスなく子供を育てられますよね。
加えて日本人向けのサービスがある病院は、設備も日本より整っているのではないかと思えるほどに豪華。ホテルのような部屋で過ごし、最先端の医療サービスを受けることができます。しかも出産費用も安いというのだから驚きです。
これだけの理由があれば、駐在員妻たちがあえて日本に帰らずにタイでの出産を選ぶのも納得でしょう。タイは本当に、妊婦と子供と子供連れに優しい国なのです。
子供を甘やかしているのでは?躾は?
「子供にやさしい国」と聞くと、日本人はつい「甘やかしてるんじゃないのか?」と疑ってしまいますよね。実際、全く甘やかしがないとは言えません。確かに躾が行き届いていない子供もいます。
しかし全体的に見ると、ある程度の年頃になれば相応の躾をされて、自分たちの環境に見合った行儀を身につけている子供がほとんどです。
タイは厳然たる階層社会です。それぞれの階層に合った生活習慣・マナーというものがあり、多くの子供たちが成長するうちに自然とそれを身につけるようにできています。
これはタイの社会が子供に優しいだけでなく、年長者に敬意を払うことも大事にされているからかもしれませんね。子供たちは、自分を育ててくれた親や周りの人たちの言うことを聞いて、育っていくのでしょう。
その証拠にタイでは、10歳になるかならないかの頃から当然のように家業を手伝う子供たちの姿があちこちで見られます。これも立派な教育ですよね。
タイの社会では、日本人のように誰もが同じマナーを求められるわけではありません。それぞれのコミュニティに応じた振る舞いができれば、それで充分なのです。
なぜタイ人は子供に優しいのか?
ではなぜタイ人たちは子供に優しいのでしょうか。私が見たところ、それには2つの理由があるように感じました。
単純に子どもが大好き
タイ人たちの子供に向ける笑顔を見るに、心の底から子供が好きだというのは間違いないでしょう。好きなものに対し、優しくなれるのは当然のことですよね。しかも相手は自分よりずっと弱い子供なのですから。
しかしこれは考えてみれば、昔は多くの日本人も持っていた感覚ではないでしょうか。新しい命の誕生と成長を喜び、弱いものは社会で守る。とてもまっとうで健康的な価値観です。タイにはまだそれが息づいているのです。
タイ人は“好きなもの”しか気にしない!
おそらく日本人は子供を見るとき、「いい子なんだけど親に問題が…」とか、「子供が泣くのは仕方ないけど親は大人しくさせろ」とか、親のことまで気になってしまいますよね。
しかしタイ人は、子供がかわいければ親のことなんて気になりません。
さらに言うと、タイ人が視界に入れるのは“かわいい子供”“好きになれる子供”だけであって、うるさい子供や躾のできていないよその子供のことなんて、よっぽどのことがない限り気にも留めないのです。
タイ人は、良くも悪くも自分中心。それが他人への寛容さとなったり利己主義となったりしますが、少なくとも子育て環境にはプラスに作用しているのではないでしょうか。
日本が子供に寛容になれない理由を考察
さて、ここまでタイの子供や子供連れを取り巻く環境について調べ、考察してきて、日本の問題点も見えてきたのではないでしょうか。つまりはタイの長所の裏返しですよね。
- 出産の環境が万全ではない
- 環境や個性に合わせたマナーと躾を認められない
- 子供を素直にかわいいと思えない人が増えた
- 他人の事・子供の親のことを気にしすぎ
タイと比べることで、これらの問題点が浮かび上がりました。いかがでしょう。心当たりはありませんか?
日本がタイに学ぶべきところ
とはいっても、日本には日本の国の成り立ちと歴史があり、突然よその国を真似して上手くいくとは限りません。
特に産院の環境なんて、突然整えられるわけではありませんよね。それにタイ人だってみんながみんな、恵まれた条件で出産をしているわけではありませんし。
では上に挙げた中ですぐに改善できるものはというと、やはり「他人を気にしすぎる」という点ではないでしょうか。
毎日忙しくて、寛容になれないのもわかります。電車などの移動時間に眠りたい人も大勢いるでしょう。
しかしそこによその知らない赤ちゃんが乗り合わせて、泣いてしまうのも仕方がないのではないでしょうか。公共の場なのですから、いろんな人がいるのは当然のことです。
イラッとしたなら愚痴は家族や友達にでも聞いてもらって、外では「他人だから仕方ない」と納得する。そんな他人や嫌いなものへの無関心を、まずはタイ人から学べればいいのではないかと、個人的には思います。
まとめ
Twitterでは毎日のように子育てに関する呟きがバズって、異常なほどに激しい論争が繰り広げられる日本は、充分病んでいると思います。そこからタイと日本の子育てを取り巻く環境の違いが気になり、この記事をまとめました。
「他人だから仕方ない」なんて精神論で終わってしまいましたが、個人レベルからでも改善できるのは結局そこになのではないでしょうか。少しでも誰かのヒントになれたなら幸いです。
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