国により多少の違いはあるものの、海外のどこであっても看護師の仕事の基本に大きな差はありません。
ポジションにもよりますが、医師の補助や治療、患者へ出す薬のチェック、ほかのスタッフへの指導や管理、院内規則や看護マニュアルの作成、医療研究など、業務内容は多岐にわたります。
また、発展途上国での医療援助や災害地域などでの医療活動に従事する道もあるでしょう。
ここでは、看護師として海外で働くために役立つ留意点、その方法などをご紹介します。
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海外で需要が多い地域・企業
オーストラリア
オーストラリアは、日本人が海外で看護師として働きやすい国のひとつです。これは、オーストラリアは看護師が十分に足りていないという現状があり、ほかの国々に比べると外国人看護師が受け入れられやすい状況になっています。
アメリカやイギリス、ニュージーランドなど英語圏
また、アメリカやイギリス、ニュージーランドもあげられますが、看護師の不足が解消されつつあることや移民政策の変更などにより、外国人が看護師として働くために必要なビザを取得することが難しくなりつつあります。
海外で看護師の仕事をするメリット・デメリット
メリット
日本以外の国で看護師として医療活動に就くことによって、海外の先進的な看護技術を実際に体感することができる、異なる文化や宗教に応じた看護の仕方を学ぶことができるといったメリットがあります。
今後は国内でも他国からの患者はさらに増加すると考えられるため、語学力が高く、海外で経験を積んだ看護師は日本国内でも重宝される可能性があります。
また、勤務先によっては日本で同じ仕事をするよりも年収が高い、待遇や職場環境が良いなど社会的地位が高い場所もあり、日本よりも働きやすいという考えもあります。
デメリット
日本以外の国で看護師に必要な資格を取得するまでには、英語の勉強や試験などの努力が必要です。国によっては物価が高く、看護師資格を得るまでの期間の滞在費用などを十分に準備しておかなくてはなりません。
また、海外の看護師は仕事が細分化されていることが多く、ポジションによっては医師に近い立場のものもあります。その分給与が高いのですが、それに見合う責任を求められます。
海外で看護師の仕事をするために必要なスキル
資格
海外で看護師として働くためには、国に応じた基準を満たす必要があります。
例えばオーストラリアの場合、必要な学位を日本で取得済みの経験者であれば、英語試験だけで基準はクリアです。学位なしなら、オーストラリアの大学で学位を取得しなければなりません。
アメリカでは看護師認定条件は州により異なりますが、いずれにしてもアメリカの国家試験に合格しなければなりません。イギリスでは専門の協会が設定した基準を満たす必要があります。
経験
オーストラリアでは国が定めた勤務経験期間と学位を持っていると、英語の試験だけで看護師資格が認定されます。勤務経験があると短期間で資格が取得できるわけです。
カナダは州によって看護師資格取得基準が違うのですが、勤務経験が審査項目に入っている場合もあります。
国により異なりますが、勤務経験は有利に働くことは間違いないでしょう。発展途上国などに医療援助として行く場合は、応募資格に勤務経験が含まれていることが多いです。
語学力
それぞれの国で基準は異なりますが高い英語力が必要になります。オーストラリア、ニュージーランド、イギリス、アメリカなどでは現地で認可を受けるために英語の試験に合格する必要があります。カナダは州によって英語かフランス語の試験になります。
例えばオーストラリアの場合、OETという英語の試験で医療に特化した試験を受けなくてはなりません。また、イギリスの場合は現地の大学卒業者を除いて、OETかIELTSの試験を受ける必要があります。IELTSの場合は4技能すべてにおいて7以上が必要です。
英語圏以外の国では現地の語学力が必要です。
海外で看護師として働く方法
現地採用として働く
日本人向けに出されている看護師の海外勤務の求人というのは非常にまれです。現地の看護師資格を保有している人でないと勤務することができないからです。日本看護師協会によると、アメリカやイギリスでは就労ビザの取得が簡単ではなくなってきています。
(日本看護師協会:https://www.nurse.or.jp/)
また、ごくわずかですが、アジアなどにある日系の病院が現地で働く日本人看護師を募集している場合があります。例えば、主に日本人を対象にした東南アジアの求人を掲載するアブローダーズキャリアというサイトでは、新規に開業する日系病院で勤務する看護師を募集しています。
こうした求人では特に現地の看護師資格は問われていませんが、応募する際は必要資格などを確認することが必要です。
海外での看護師の給与相場
北米年収状況など
アメリカの場合、正看護師の平均年収は830万円くらいになります。年収は少ない場合で550万円くらい、多い場合は1100万円くらいになります。
平均年収は州によっても違いがあります。1番平均年収が高い州はカリフォルニア州で、平均年収が1000万円を超えます。2番目はハワイ州、3番目がコロンビア特別区、4番目がマサチューセッツ州と続き、5番目に高いオレゴン州の平均年収が990万円くらいです。
西海岸の州は平均年収が高い傾向にあります。
詳しく知りたい方は「アメリカの医療分野(理学療法士、医者、看護師、研究者)の年収とは?アメリカ勤務者が解説」の記事にて解説しています。
(参考:https://www.bls.gov/)
ヨーロッパ年収状況など
イギリスの場合、看護師は段階が分かれていてBand1からBand9まであります。そのレベルの中に看護助手、勤務経験の浅い看護師、看護主任などがいます。2017年から2018年のデータによるとBand1の一番低い年収が200万円くらいでBand9の一番高い年収が1300万円になります。
ナースコンサルタントという職に従事している人の年収が一般的な看護師よりも高くなります。
これはイングランドのデータですが、スコットランドの方が全体的に金額が高い傾向にあり、ウェールズと北アイルランドはイングランドよりも年収が低い傾向にあります。
オセアニアの年収状況など
シンガポールでは看護師の収入について政府が指標を出しています。看護師の給与は正看護師か准看護師かによって変わるだけでなく、経験にも左右されます。
正看護師の場合、経験の長い看護師であれば年収が350万円くらいから440万円くらいです。学位を取得している看護師の場合、年収が280万円くらいから350万円くらいになります。経験の長い准看護師の場合は年収が180万円くらいから230万円くらいです。
こうした給与は勤めている医療機関の給与体系によって変化します。
東アジア年収状況など
オーストラリアの場合、看護師の給与は勤務する医療機関、また給与基準が州によって異なります。
クイーンズランド州の場合、正看護師の給与基準はいくつかの段階に分かれており、1番低い段階の年収が500万円ほどで、1番高い段階になると年収が650万円くらいになります。看護師長のようなポジションなどはこれとは別の給与基準があります。
准看護師の場合もいくつか段階があり、1番低い段階の年収が430万円ほどで、1番高い段階の年収が460万円くらいになります。
海外での看護師の仕事を探す方法
JICA・国境なき医師団の看護師募集へ応募
先進国の病院などで働くのではなく、発展途上国などで看護師ボランティアとして活動したい場合は、JICAや国境なき医師団などが看護師の募集を行っています。ボランティアですが現地で生活するのに困らないくらいの賃金がでるものもあります。
- JICA:https://www.jica.go.jp
- 国境なき医師団:https://www.msf.or.jp/
それぞれのホームページから募集しているかどうかを確かめることができます。
日本以外で看護師として就職する場合には、まずその国で勤務に必要な看護師資格を取得してから現地の求人を探すことになりますが、例えばオーストラリアではNursing Jobsという看護師の求人に特化したサイトなどがあります。
海外での看護師経験者の声
オーストラリアで働いている看護師の方は今でも英語に苦労することがあるし、文化の違いに戸惑うこともあると語っています。分からないことがあるときはすぐに聞くようにしているそうです。
また現地の看護師は医師の補助という役割だけではなく、より自立したポジションだと感じていると言います。
また別の国で働いている人も、日本よりも看護師としての仕事の幅が広く、医師に対して意見を言うこともあり責任が大きいと感じているそうです。
カンボジアで病院の立ち上げに関わった日本人看護師のリアルな体験談は「カンボジアで看護師として赴任し現地の病院立ち上げにかかわった貴重な経験」にて紹介しています。
海外で働く看護師の一日のスケジュール
例えばオーストラリアで看護師として働いている人の場合、勤務は3交代制で日勤は朝7時に始まります。夜勤の看護師から申し送りを受け、薬の配膳、シャワーの補助、検温などを行います。
午前中に交代で15分くらいの休憩をとります。看護師長と患者の状況を共有し、12時半頃から交代で昼休憩を取り、午後になると純夜勤の看護師が来るので申し送りをします。勤務終了は3時45分です。
ミャンマーで看護ボランティアをしている看護師のスケジュールは手術の有無によって変わってきます。手術がある日は7時から勤務を開始し、患者の処置を行い、途中で休憩を取りながら勤務終了が夜10時頃になることもあります。
海外で看護師として就職を狙うには
日本以外の国で看護師として勤務するためにはその国の認可が必要になるため、しっかりとした準備が必要になります。場合によっては留学を検討する必要もあるかもしれません。
そのような準備にかける時間やお金、看護してとしてどのような環境でどのようなキャリアを築きたいのかなど、事前にきちんと計画を立てることが重要です。
資格取得や現地で勤務先を探すのに時間がかかる可能性があるため、粘り強く、あきらめない性格が必要です。
看護のボランティアとして国外へ派遣される場合は派遣団体によって期間や派遣先、条件などが異なるため、どのような業務をしたいのかをきちんと決めて情報収集しましょう。
まとめ〜残業は能力の低さを表す?働き方の違いにも理解を
希望する国で看護師をめざすために留学を検討する場合、学費の他に渡航代金や生活費などの費用の準備も必要です。
また、求められる英語力を身につけるため語学留学を考える方もいますが、留学中に必要な英語力が備わる保証はないので、英語はある程度日本で勉強しておくことをお勧めします。
そして日本で当たり前のような残業ですが、欧米諸国では残業は能力の低さであると見られます。働き方の違いも理解することが大切です。
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