海外で働く=英語など外国語ができないといけない、豊富な経験がないといけない、と思い込んでいる人が多いです。しかし、最近はそうではありません。
私が人材会社にいたときも、未経験で海外、しかも日本語でできるコールセンターの仕事の求人があり、人気を集めていました。そして、未経験で応募した方が実際に内定に結び付いた実績があります。
海外で働きたい人にとって比較的応募しやすいコールセンターの仕事についてお伝えします。
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海外のコールセンターの仕事の内容・特徴
どんな仕事?
コールセンターの仕事は、インバウンドとアウトバウンドに分かれます。
インバウンドはお客様からかかってくる電話に対応する業務で、携帯電話などのお問い合わせセンターを想像するとわかりやすいです。一方、アウトバウンドはお客様に対して電話発信を行う業務で、いわゆる既存顧客に対するテレアポ(電話営業)などが挙げられます。
海外であっても、日本人が対象のコールセンターなら電話も日本語です。また、こうした仕事はマニュアルが整っていることが多く、未経験からでも始めやすいです。
海外で需要が多い国や地域は?
電話を多数受ける・かけるという業務の性質上、人件費が安いアジア圏、具体的には台湾やマレーシア、香港、フィリピン、タイなどが求人の多い場所です。
日本企業だと日本国内で求人を行う場合もありますが、さらなるコストカットを狙う企業は事務所を海外に置き、現地在住の日本人をターゲットに募集を行っています。
日本企業に限らず、外資系企業もこのようなコストカット対策をとる傾向が強く、必要な言語が話せる人材がいる国に拠点を移しています。
コールセンターの求人が増える時期
他の求人と同様、日系企業であれば3月から4月など年度替わり時期に求人も求職者も増えます。この時期、企業側は異動や体制変更を、また求職者も転職を考える傾向にあり、企業側と転職者の動きがマッチすることが背景にあります。
他にも、日系・外資系問わず各四半期の終わりごろには欠員補充など小規模な人員補充が行われる可能性があります。
海外のコールセンターで働くには就労ビザの取得が必要なので、その手続きに時間がかかります。そのため、一般的な採用活動よりも余裕を持って行われることが通例です。
海外のコールセンターで仕事をするメリット・デメリット
メリット
日系企業では、基本的には日本へ電話することが多いです。そのため、外国語のスキルがさほどなくとも海外で働くことが可能なのがメリットです。
例えば、海外で働くことに憧れを持っている方や、好きな場所で働きたいという思いのある方は、特別なスキルを必要とせずに働くことができます。さらに、海外に住むことによって、少しずつではありますが現地の言葉も身に付きます。
海外で働きたいと漠然と思っている方にはぴったりの仕事と言えるでしょう。
デメリット
海外のコールセンターは、アジア圏など賃金が日本水準より低いことが一般的です。日本よりも低い水準の給与になることは覚悟しておくべきでしょう。
日本に帰りたいと思っても、ほとんど貯金ができていないため帰れない、という事態も想定されます。
現地で暮らす分には問題ない給与水準でも、長期的に考えると「その国でしか働けない」となってしまうため、将来設計は慎重に行う必要があります。長期で働くならその国に骨をうずめる覚悟をしておくべきでしょう。
海外のコールセンターで仕事をするために必要なもの
日本語力
外国語が必要ないとはいえ、日本語で流ちょうな会話ができないとコールセンターの仕事は行えません。
当然のことではありますが、日本人を対象にしたコールセンターでは日本語がネイティブレベルであることが求められます。
状況に合った言い回しができるか
単にネイティブであればいいというわけではなく、日本語での会話であれば、敬語を適切に使用したお客様の気分を害さない言葉遣いが必要です。
外国語を使うコールセンターの場合は、その言語でのネイティブ同様の会話力が条件となるでしょう。その言語ならではの言い回しを身に付ける必要があります。
相手の言いたいことが聞き取れるか
場合によっては、電話の相手が怒りに任せてまくしたててくることもあり得ます。相手の要望を適切に聞き取るヒアリングの能力もネイティブレベルで求められます。
短時間で問題解決できるか
また、自分だけで対応できないときに適切に上司に伝えられるかも重要です。状況を的確に判断する能力とともに、短い時間で説明し、対応の指示を仰ぐといったスキルが問われます。
そのため、必要なときに相談できる語学力も求められるでしょう。
資格
特別な資格は必要ありません。日本語での応対の場合、基本的なやりとりを日本語でできれば問題はないでしょう。
また、基本的には内容をパソコンに打ち込みながらの通話が求められるため、MOS(マイクロソフト・オフィス・スペシャリスト)の資格を持っていると重宝されることがあります。
特に資格がなくても、タッチタイピングができないと仕事が回らない可能性もあるため、こうしたパソコン周りのスキルは面接時に聞かれます。どのようにアピールするか考えておくとよいでしょう。
経験
特別な経験も必要ありません。同業でなくとも電話対応の経験があればコールセンターの業務にすぐになじむことができるでしょう。
コールセンター勤務経験者であれば将来のキャリアパスが考慮される可能性があります。
必須の2点:適切な言葉遣いとPCへの素早い打ち込み
コールセンターでの業務(日本人向け)は、ネイティブレベルの日本語力とタッチタイピングスキルがあれば問題なく遂行が可能です。
業務の大半は電話応対のため、適切な言葉遣いで会話ができ、その内容をできるだけ早くパソコンに打ち込むことが求められます。少なくともこの2点を備えていれば、資格やこれまでの経験は特に問われないでしょう。
逆に、日本語を母語としない人には難しいかもしれません。
海外のコールセンターでの雇用形態
現地採用社員として働く
日本企業が海外に日本人を対象としたコールセンター専用の会社を設立していることがあります。そこでは、日本人を相手に電話します。
こういった企業は、現地だけでなく日本でも求人広告を出している場合があるため、各種転職サイトなどをチェックしておくとよいでしょう。
就労ビザの関係で入社までの期間は長くなりますが、基本的には日本と同様の流れで求職活動ができます。
駐在員として働く
日本のコールセンターに就職し、その後、海外駐在員として働く方法です。
日本でトレーニングを受けてから海外に行くので、仕事のやり方を知った上での赴任となり、現地でも余裕を持って仕事ができます。
こちらの求人も日本の転職サイトなどで定期的に募集が行われています。海外駐在を目指すなら求人をよくチェックしておき、面接などで海外勤務の希望を伝えておくとよいでしょう。
海外のコールセンターの給与相場
東南アジア
マレーシアやフィリピン、バンコクなど比較的どの国でも求人が存在します。いずれの場合でも、給与相場は月15万~17万円程度(年収で200万円程度)となります。
人件費の安さから、日本だけでなく諸外国も東南アジアにコールセンターを設立しています。外資系企業では英語でのコミュニケーションが求められますが、給与は日本語のみの求人と変わりないため注意が必要です。
ただし、現地で暮らす分には問題ない程度の給与水準となっています。
東アジア
一部中国本土での求人も見られるものの、台湾や香港での募集が多く存在します。
月収ベースでは、台湾では40,000~70,000台湾ドル(約14万4000~25万2000円)、香港では8,000~12,000香港ドル(約11万~16万6000円)です。年収では120万~200万円程度となります。
暮らすのに不自由はしませんが、貯金は難しいでしょう。
なお、東アジア圏内の求人では日本語以外に中国語を使えると即戦力になります。他の言語を話せれば年収レベルも向上するでしょう。
※1台湾ドル=約3.6円、1香港ドル=約13.8円(2021年7月現在)
北米
北米圏では日本人滞在者が多いこともあり、コールセンターだけでなく旅行業など、在留日本人向けのさまざまな業種の求人が存在します。正社員だけでなく時給制のパートタイマーとしての募集もあり、給与幅はさまざまです。
時給15米ドル程度(約1,600円)の求人から、月給30,000米ドル(約32万円、年収約400万円)の求人まであります。
給与は働き方によっても変わるため、求人内容を確認し、自分がどのように働くかも含めて検討しましょう。
※1米ドル=約107円(2021年7月現在)
ヨーロッパ
旅行業やメーカーなどにコールセンターの需要があります。ただし、日本語と英語をネイティブレベルで要求されるのが特徴です。
東南アジアなどのコールセンターと違い要求される語学レベルが高く通貨の水準も高いため、年収は250万~300万円程度となっています。
しかし、人件費の高さからヨーロッパ地域での求人はほとんど見られません。日ごろから求人サイトなどを利用してこまめにチェックしておきましょう。
海外のコールセンターの仕事を探す方法
転職エージェントを利用する
海外でコールセンターの仕事に就きたいのであれば、転職エージェントを利用しましょう。
海外の求人情報はネット上にオープンにされていないものも存在します。転職エージェントのメリットは、そうしたオープンにされていない求人も含めて紹介してくれること、さらに企業側とのやりとりも代行してくれることです。
まずは以下のエージェントを利用してみましょう。サービスは無料で受けられます。
リクルートエージェント
実績が豊富なことで有名なエージェント。求人数も他社と比較して圧倒的に多く、海外求人だけでも常時数百件ほど存在するため、海外で働きたいのであれば必須で登録すべきです。
公開されている求人に加え、非公開の求人も多く存在しているため、気に入った求人がない場合は相談してみましょう。
年齢30代ぐらいのある程度実績がある層を得意とするエージェントなので、海外でコールセンターのスタッフとしてキャリアアップしたいなら利用をおすすめします。
LHH転職エージェント
スイスを拠点とし、世界60カ国規模で事業を展開しているアデコが運営するエージェントです。ほかのエージェントと違い欧米系などの外資系の求人に強いのが特徴です。
各職種に特化したコンサルタントを行うため、「海外でのコールセンターの仕事」という希望が決まっているならLHH転職エージェントに登録するのがよいでしょう。
20~30代のポテンシャル層に強く、語学力が低くても転職の相談ができます。また、人材を求める企業側と仕事を探す転職希望者側のどちらにも同じ担当者が対応するので、社風とのマッチングも可能。
特に外資系の会社を希望する場合は登録して損のないエージェントです。
JAC Recruitment(ジェイ エイ シー リクルートメント)
高年収のハイクラス求人を得意とするエージェントです。海外での求人も比較的多く、キャリアアップしたい方におすすめです。
特徴として、キャリアアドバイザーが両面型で、転職希望者の相談を受けると同時に人材を探している法人向けの窓口も兼務しています。そのため、圧倒的に企業への推薦力があり、少しスキルが足りなくてもエージェントからの推薦で採用になることも可能です。
キャリアに自信があり、その上で語学力などを磨いてグローバル人材になりたいと考えている方に向いているエージェントです。
doda(デューダ)
主に若年層向けとして広く支持されているエージェントです。国内向けと海外向けでセクションが分かれているため、海外で働きたいという志向が強い方はその旨を先に伝えておくと、適切なサポートが得られます。
キャリアアドバイザーの丁寧なサポートが強みであり、転職希望者の現・前職での仕事ぶりから得意なことを見つけ出し、適した求人を提案してくれます。キャリアにあまり自信がない方はdodaを利用するとよいでしょう。
マイナビエージェント
第二新卒向けや中小企業の求人が多いことが特徴。さらに、提携するエージェントが持つ求人も掲載しているため、海外案件の数は少ないものの、思わぬタイミングで初心者向けの求人が出てくることもあります。
海外志向をしっかり伝えた上で、絶対にコールセンターで働きたい旨を伝えれば、エージェントも希望に合う案件を探してきてくれるでしょう。
経歴に自信のない方は、他のエージェントとあわせて登録しておくとよいです。
自力で探す
転職エージェントを使わずに自力で探す方法もあります。
例えば、ビジネス向けのSNSであるLinkedinでは海外の求人に直接触れられるため、場合によっては英文でのやりとりが必要となりますが、そうした手間が苦でない方にはおすすめです。
また、基本的ではあるものの転職サイトの求人を自分で見て探すというのも一つの手です。世界各地のエリアごとの求人、また日本の転職サイトでも応募要件がそこまで高くない求人が載っていることがあります。
海外のコールセンターで働きたいなら自力で探す手間も惜しまないようにしましょう。
海外のコールセンターで働く一日のスケジュール
多くの会社がシフト制を取っており、8時間勤務となります。
始業後はお客様の電話を取っていくことがメインです。電話を取り、その内容をパソコンに残していく、といった作業を繰り返します。
ほとんどの場合、始業から4時間勤務したら休憩を1時間取り、休憩後も電話対応を続けます。シフト制のため、残業などはほとんどなく勤務を終えることができます。
一日中電話の前にいることが基本ですが、場合によりチャットでの対応を行ったり、品質向上のための研修が行われたりすることもあります。
まとめ~求人内容をしっかり読み込もう
海外就職初心者でも挑戦しやすいコールセンターですが、かかってくる電話は必ずしも穏やかなものだけではありません。クレームなど相手が話を聞かないケースもあり得ます。
そのため、「誰を対象にした電話か」をきちんと把握しておいた方がよいでしょう。万が一知らずに就職し、ずっとクレーム処理となってしまった場合は心が折れてしまう可能性もあります。
海外で短期退職となってしまうことを避けるため、求人を読み込み、不明点は必ず解消しておきましょう。
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