カナダは移民に対して寛容なことで有名なお国柄で、世界各国から多くの人々が移住してきます。
そのため、それぞれの国の習慣や宗教の違いを受け入れながら共に社会を築いていく文化がカナダには根付いています。
こういった多様性を受け入れる土壌があるのは、日本人が移住することを考えた時に魅力を感じられる大きなポイントですよね。では、具体的にカナダに移住するために必要な情報や移住のメリット・デメリットを見ていきましょう。
※1カナダドル=77.32円
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カナダが移住先に選ばれる理由
都会なのにアクティビティが楽しめる
カナダの魅力は、自然が豊かで都会的な要素も兼ね備えているところです。
四季があり、長期滞在でも日本人にはなじみやすいですよ。日が長く、湿度も低い夏には多くの観光客でにぎわい、ハイキングやキャンプ、マリンスポーツなど大自然の中で満喫できます。
世界で第2位の国土面積を誇るカナダは、西側と東側で気候が異なり、特に冬の厳しさは大きく違います。
西のバンクーバーは降雪は少なく、氷点下になる日もほとんどありません。
東のトロントやモントリオールなどは雪の日が多く、ー30℃まで冷え込みます。雪質が良く、ダウンタウンからもアクセスしやすいので、気軽にスキーやスノーボードなどウィンタースポーツを楽しむことができます。
多国籍料理と日本食事情
カナダは移民国家なので、多国籍料理を楽しめます。日本でなかなか味わえない世界中の料理にチャレンジし、新しい発見ができるのもカナダならでは。
ヘルシーなことで知られる日本食は健康志向の高いカナディアンから人気があります。そのため、日本食レストランや日本の食品を扱うスーパーが数多くあります。
日本食が身近にあることは、移住を考える上で大きいと思います。カナダは外食費が高く、食費を抑えようとジャンクフードのピザやハンバーガーなど、脂っこい料理になりがちです。
日本食を自炊することで食費を抑えながら、バランスのよい食事を工夫する人も多いですね。
永住権への道が開いている
カナダは移民に対して寛容な国として有名です。永住権を視野に入れたビザの種類もさまざま。
専門スキルを活かした仕事に就く、結婚、年齢、目的に合わせてなど、選択肢の多さも移民国家カナダならではだと思います。
代表的なものが就労ビザ、Co-opプログラム、学生ビザを利用した方法です。これらのビザを利用して仕事や勉強などをしながら、PR申請(永住権申請)に必要なポイントを獲得していきます。
その他には、カナディアンやすでに永住権を持っている人との結婚または事実婚といった方法もあります。
カナダ移住のデメリット
日本との距離
カナダ移住の最大のデメリットは、日本にいる家族や友達に会いにくくなるということです。
特に自分の両親が高齢ともなると、万が一を考えないわけにはいかないですよね。オンラインツールを使えば、画面ごしでのコミュニケーションはできます。
が、いざというときにカナダからすぐに駆け付けるのは、費用面、移動時間を考えると現実的には厳しいといえます。
一時帰国はできますが、そうそう頻繁に帰れる距離でないことも覚悟しておくべきです。
医療制度の違い
カナダの医療制度は税収で支えられ、患者負担が基本的にはゼロ(歯科診療や処方薬剤などは全額自己負担)です。
ただ、医療機関へのアクセスの悪さと待ち時間の長さは、国内でも問題になっています。
カナダはファミリードクター制度といって、各家庭にかかりつけ医が決まっており、眼科や産婦人科など専門科の受診にはファミリードクターの紹介が必要です。
症状から受診先を判断し、原因特定に時間がかかるという日本のようなことは起こりにくいのですが、その予約が最短で数週間後、通常は数カ月、急を要さない場合には1年後ということもあります。
*カナダ医療制度に関する情報:日本外務省HP
消費税とチップ
カナダで暮らしていく中でデメリットに感じてしまうのが、税金の高さとチップ制度。
消費税は州ごとに異なり、バンクーバーのあるブリティッシュコロンビア(BC)州では12%で、値上がりしたと騒がれている日本の10%よりも高いです。
また、外食は10~15%のチップを支払わなくてはいけません。食事代金+消費税12%+チップ10%と、かなりかかります。
自炊を心掛けたり、安売り情報を仕入れて賢い買い物をするなどうまくやりくりすれば節約もできます。しかし必要経費が日本より高くなりやすいところは避けられません。
教育・治安など生活環境
生活費、物価
生活費の大部分を占めるのはやはり食費です。日本と比較すると物価は高いように感じます。
パンや豚肉、リンゴなど一部の食品に関しては安いものもありますが、販売している小売店ごとで価格設定が異なるため、どこが安いかよく見比べる必要があります。
セール情報を配信してくれるメールマガジンや、ポイントをためられるアプリなどを活用するといった生活の知恵も生きてきます。
特に日本よりも高く感じる商品は、トイレットペーパーやキッチンペーパー、生理用ナプキンなどの紙製品で、こういった商品は安い時にまとめ買いをして節約するのがコツです。
住環境
独身一人暮らしの場合、ほとんどの人がシェアハウスを選択します。
特に家賃相場の高いトロントやバンクーバーでは、マンションやアパートメントで一人暮らしをしようとすると、安くても月額1,000カナダドル(約77,300円)かかります。
これがダウンタウンや人気のロケーションになるとさらに高くなるので、部屋をシェアして少しでも家賃を抑えようとする人がほとんどです。
物件によっては、マンション内にジムやプールなどアクティビティー施設が併設されています。住人であれば誰でも使えるので、わざわざお金を払わなくてもジムに通いができますね。
治安
カナダは世界的に見ても治安が良いことで定評があります。2019年「世界住みたい街ランキング」ではトロント、バンクーバー、カルガリーの3都市がランクイン。
雑誌「エコノミスト」の調査部門エコノミスト・インテリジェンス・ユニットによる集計です。ただし、安全と言われるカナダでも犯罪が頻繁に起きる危険な地域もあります。
外務省などの情報をチェックする習慣を持ってください。特に街中では多くのホームレスを見かけますし、大麻が合法なのであやしげな雰囲気で歩いている人も少なくありません。
教育環境
カナダの教育制度は国ではなく州ごとの管轄のため、細かな制度やシステムは州ごとに異なります。
基本的には幼稚園(5歳)またはグレード1(6歳)からグレード12(17歳)が義務教育期間で、公立学校であれば無料です。
さまざまな事情で学校に通うことができない子どもたちに、家庭で義務教育を行うことも認められているのでオンラインでのサービスも行われています。
カリキュラムにはプログラミングや、グレードが上がると地域ボランティアなど、時代に合わせたものや人間性を養うものまで多様に学べるよう工夫されています。
カナダに移住するプロセス・多彩なビザ
移住ビザを取得する
カナダは世界中から多くの移民を受け入れており、移住に至るにはさまざまなプログラムがあります。
- Federal Skilled Worker Program(技能移民)
- Federal Skilled Trades Program(技能トレード移民)
- Canadian Experience Class(カナダ経験クラス)
- Provincial Nominee Program(州推薦プログラム)
- Caregiver Program(子どもや老人、要介護者のケアをする職業向けのプログラム)
- Self-employed Program(アーティスト・アスリートなどの職業向け)
- Family Sponsorship(ファミリークラス)
上記の方法はよく知られていますが、それ以外にもさまざまなものがあります。カナダ移民局の公式ホームページで確認しましょう。
**IRCC(カナダ移民局)
長期留学生として移住
カナダの大学やカレッジなどに通い、ビジネスやマネジメントなど専門性の高い知識を学びながら移住に進むことも可能です。
また、カナダで働く際に役立つスキルを持っている人は、就職先が見つけやすくなります。さらに、永住権申請のスコアを計算する際に、カナダの大学やカレッジの卒業資格は有利に働きます。
また、Co-opプログラムのように、知識得るだけでなく、それを生かして働く機会を得られるのもカナダで長期的に暮らす魅力でしょう。
現地人と結婚して移住
カナダ人と結婚し移住するには、ファミリークラスに申請する必要があります。
その対象はカナダ国籍保有者や永住権保有者と結婚したり、12カ月以上同居している夫婦同然の間柄(コモンロー)の人です。
つまり、すでに永住権や国籍を持つ人がスポンサーとなり、ファミリークラスの申請をすることで移民を目指すというやり方です。必ずしも結婚しなくてはならないのではありません。
カナダでは一般的な事実婚(コモンロー)のスタイルも結婚と同等のものとして扱われます。結婚よりハードルの低いコモンローを選ぶカップルも最近では増えています。
カナダ移住に必要な英語力
移住を目指すにあたり、やはり英語力は必要不可欠な条件です。IRCC(カナダ移民局)が英語力を判断する基準としてCanadian Language Benchmark(CLB)というものを設定しています。
カナダで生活、仕事をしていくにあたって困らない英語力を持っているかどうかをこのスコアで判断します。このスコアを知るためにはIELTSかCELPIPを受験する必要があり、その結果をCLBのスコアに当てはめ、英語力を総合的に判断します。
カナダ移住の初期費用
移住には航空券、住居、通信、予防接種、医療保険、生活費、引っ越し費用、交通費など、最もかかる費用は弁護士、移民コンサル費でしょう。
確実な申請のため弁護士などへの依頼費用
ビザやプログラムのタイプによって異なりますが、永住権の申請費自体は1,000カナダドル(約77,000円)前後です。
しかし、自力申請の場合、日々変わる移民に関する法律や規定を理解し、ミスなく対応しなければなりません。
そのためかなりの知識と労力が必要となり、万が一手続きにミスがあった場合、移民申請そのものが白紙になるリスクも伴います。
確実な申請のため、多くの人が弁護士や移民コンサルに約2,000~5,000カナダドル(約155,000~約387,000円)という安くはない手数料を払って依頼しているのが現状です。
**カナダ政府(永住権申請費)
カナダ移住後の就職難易度
無事にカナダに移住した後の生活についてです。
すでに企業から就労ビザを取得している、スポンサーなど後ろ盾がある場合は特別に就職に困ることはないでしょう。
その後、転職をしたい、キャリアアップしたいなど長期的な視点で日本人の就職を考えると、簡単ではないといえます。
現地のカナダ人でも雇用が安定しないことは大きな問題となっています。多民族国家で移民への理解があるとはいえど、しっかりとしたビジョン、評価に値するスキルがないと厳しいのが現実です。
カナダ移住で住みやすい都市
オタワ
移住おすすめランキングで常に上位にランクインしているのが、オンタリオ州のオタワです。
オタワはカナダの首都であり雇用機会も多いため治安も良く、職が安定しています。住宅価格もトロントやバンクーバーほど高くないので、さまざまな国から多くの移民がオタワで家を持つためにやってきます。
そのため、オタワにはイングリッシュスピーカーだけではなく、フランス語、中国語など多様な言語を話す人が暮らしているので、互いを理解し合おうとする意識があります。
近くには大都市のトロントやモントリオールなどがあり、地理的なメリットも持ち合わせています。
バーリントン
次におすすめの都市がオンタリオ州にあるバーリントンです。
ここはトロントとナイアガラの中間に位置する都市で、自然が多く環境も治安も良いエリアです。
トロントやハミルトンなど都市への移動もしやすいので、ベッドタウンとして移民からの人気が高いことで知られています。
失業率も低く、移民人口が多いことも日本人が住みやすさを感じるポイントです。また、子育てのしやすさにおいて評価が高く、家族での移住を考える人にとって魅力のある都市であるといえます。
ウォータールー
次のおすすめもオンタリオ州にある都市、ウォータールーです。ここには日系企業が多く進出しているため、日本人家族が移住するケースが多くあります。
そして親日家が多く、日本のアニメカルチャーが人気で街角の本屋に日本のマンガが並んでいたり、多くの日本食レストランがあることも日本を身近に感じられるポイントです。
また、ここにはウォータールー大学というカナダで最大規模の理工系学部を持つ教育機関があります。時代の流れに応じた数学やITの技術を学べる環境があるのも魅力です。
レジャイナ
サスカチュワン州のレジャイナという都市も人気があります。
ここは州都ですが静かなリラックスできる街で、「New Comer Welcome Centre」(新移住者サポートセンター)があります。
「世界中から人々を受け入れます」と、都市を挙げて大々的に移民や新しい居住者を歓迎する政策を打ち出しているのです。これは移住する人にとっては魅力的です。電車がないので車を持つことがすすめられています。
カナダ移住前にすべき手続き
カナダ移住前にまずやっておかなくてはならないのが日本での手続きです。
役所に海外転出届を転出することから始まります。国民年金は資格喪失届を出して支払わないようにするのか、渡航後も支払い続けて老後の日本での生活を考えるのか、など長期的に考えましょう。
それによって手続きが変わります。そして渡航するためにパスポートの期限を確認し、航空券を手配します。
また、永住権申請をするために必要な戸籍謄本や、場合によっては英文の大学卒業証明書などを用意します。渡航する前にきちんと確認しておきましょう。
カナダ移住で注意すべきこと
注意1
移住にはメリットだけではなくデメリットがあることをしっかりと理解することです。
移住するとなるとやはり気持ちは舞い上がりますし、誰もができることではないのでいろいろな理想や夢を描きがちです。
実際は暮らしていく場所が日本からカナダに変わるというだけで、あなたのすべてが劇的に好転するわけではありません。
下手な理想を持っていると、その理想が現実とのギャップの中であなたを苦しめることになります。しっかりと地に足をつけて、客観的に考えた上で移住の決意を固めるべきだと思います。
注意2
食事が合わない、文化のギャップがあるといった日本との違いがあります。
加えて英語やフランス語といった第二言語を学びながら生活していく中で、思わずにはいられない悩みもあります。
「自分はネーティブ・スピーカーになれない」というジレンマが付きまとうことです。なぜならあなたは日本人であり、永住権や市民権を取得したとしてもその事実は変わらないからです。
なので気持ちにゆとりを持ち、違いやできないことを受け止められるようにすることが大切です。
注意3
どこで暮らしていくにしても他人とのつながりは必要不可欠です。
日本の家族、カナダでできるであろう友達など、人とのつながりを忘れてはいけないと思います。
海外での生活は結婚していたりパートナーがいれば別ですが、孤独を感じやすいです。特にカナダ東部は冬が長く厳しいことで知られており、うつ病になる人も少なくないといいます。
精神的なつながりを持つためにも、日本でもカナダ国内にも気の置ける友達をつくるようにしましょう。
まとめ〜つながりを大切にすることは自分を大切にすること
日本から遠く離れたカナダに移住しゼロから生活を築くのは、新たな挑戦で楽しみであると同時に多くの不安も抱えます。
そして、そういった不安を理解し、共感してくれる人が日本にいる時に比べると少ないことも精神的につらい部分です。
私がカナダに移住することを考え、動き始めた時に何より助けられたのが、現地で暮らす日本人の友達の励ましや体験談でした。今回ご紹介した内容が少しでもカナダに移住することを考える方の役に立てれば幸いです。
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