日本人同士であれ、夫婦2人で新しい生活を始めるのに簡単なことは1つもないですが、やはりお互いの国が違えば、さらにやるべきことは増えます。結婚をするにも、永住権を申請するのにも、膨大な書類と労力が必要です。
私たち夫婦は、私が日本、彼がカナダの遠距離恋愛中に結婚することを決意しました。結婚にあたっては、離れていたのでお互いのやり取りが大変だったのと、必要書類や手続きが思ったより複雑で、とても苦労したことを思い出します。
これから国際結婚を考えている方に、この記事が少しでもお役に立てれば幸いです。
日本でするか、カナダでするか
結婚することが決まったら、まずどちらの国で結婚するのか決めなければなりません。日本とカナダでは手続きが全く違うので、自分たちに合った方で行ってください。
私たちは夫が長い休みを取れたため、日本で結婚の手続きを行うことにしました。日本で結婚が認められれば、カナダで届けなどは必要ありません。
カナダで結婚する場合の手続き
日本ではなく、カナダで結婚する場合の手続きは次の通りになります。
必要書類は下記の4つです。
- パスポート
- 婚姻届
- Marriage license(結婚許可証)
- Marriage Certificate(結婚証明書)
まずは市役所で結婚許可証を申請し、結婚式を挙げます(日本とは違い、挙式は必須です)。その後、結婚証明書を申請し、婚姻届を日本の大使館・領事館へ提出します。
休みが取れない人は日本での手続きが便利
私たちがカナダでの手続きにしなかったもう1つの理由は、結婚許可証を受け取るのに2週間ほどかかり、私がその間カナダに滞在していなければならなかったからです。
日本で仕事をしている方にとっては、相手に都合を合わせてもらい、日本で手続きをした方がいいでしょう。
ここからは、私たちが行った、日本での手続きを主に説明していきたいと思います。
日本で結婚する場合の必要書類は?
役所によって違いがあるので、まずは婚姻届けを提出する予定の役所に確認を取ることをおすすめします。
私は、ネットでの色んな情報に惑わされ間違えるのが怖かったので、何度も役所に電話をして確認し、婚姻届や必要書類の事前チェック(提出前に、コピー一式を提出し確認してもらうこと)をしてもらいました。
事前チェックは郵便でのやり取りも可能なので、一度役所に問い合わせてみてください。
自分が用意するもの
婚姻届
これは日本人と結婚するときと同じ、役所でもらえる一般的な婚姻届です。必要な情報を書けばいいだけだ、と最初は軽く考えていましたが、細かく見ると疑問や間違いがたくさん出てきたので、何度も書き直しました。
夫の署名欄以外、すべて日本語で私が書きました。印鑑の箇所は、サインで大丈夫です。
英語の名前もカタカナで書く必要があるので、小さい文字には注意が必要です。例えば、相手の名前がランディ・トレンブレイ(仮名)だとしたとき、ランディの小さい「ィ」とトレンブレイの「イ」の違いが分かるようにはっきり書きます。
新しく発行される戸籍にもカタカナで表示されるので注意して記入しましょう。
本人確認書類
私は念のためパスポートを持っていきましたが、運転免許証などでも可能です。
戸籍謄本(本籍地以外で婚姻届けを提出する場合のみ)
私の場合、本籍地が当時住んでいたところと遠かったため、家族に戸籍謄本を取ってもらい別の役所で手続きをしました。結婚を機に本籍地を変更したかったのも理由の1つです。
相手が用意するもの
婚姻要件具備証明書とその日本語訳
婚姻要件具備証明書とは、簡単に言えばカナダでの独身証明のことで、東京のカナダ大使館・領事館で申請が可能です。予約をする必要があります。
取得に必要なものは、Marriage Affidavitという申請書(宣誓書のようなものです)、パスポート、申請料(50ドル)の3つです。
私は仕事をしていたので、彼が1人で大使館へ出向きました。申請も受領も必ず本人が行く必要があります。
日本語訳は、大使館で日本語用の用紙をもらえたのでそこに私が手書きで記入しました。
パスポートとその日本語訳
翻訳は、パスポートのコピーに自分で訳を書き足すだけで大丈夫です。
出生証明書(必要ない場合もあり)
提出する役所によって違いがありますが、私たちの場合は必要ありませんでした。代わりに、申述書に夫の両親の名前を書いて提出するよう指示を受けました。
ここで記載しているのは私たちの場合に必要だったものです。実際に何が必要かは必ずご自身でご確認ください。
役所で書類提出、婚姻完了!
相手が日本に来て、必要書類がすべて揃えば、役所に提出しに行きます。私たちの手続きを担当してくれた方は国際結婚の手続きに慣れており、分かりやすく親切に教えてくれました。
先に述べたように事前チェックも完了していたので、当日は時間もかからずスムーズに手続きが完了し、婚姻受理証明書ももらいました。
地方や田舎の役所などでは国際結婚に慣れていないところもあり、時間がかかることもあるそうです。
無事に提出が完了し、1週間後に新しい戸籍謄本ができたという連絡をいただき、取りに行きました(郵便で受け取ることも可能です)。
婚姻が完了したことが分かり、一気に肩の力が抜けてとても嬉しかったのを覚えています。
結婚式は挙げる?挙げるならどこで?
上で述べたように、結婚式はカナダで手続きを行う場合は必須ですが、日本では役所で手続きが完了しさえすれば、晴れて夫婦となります。しかし、私たちは日本で式を挙げることにしました。
日本人同士での場合でも、結婚式はたくさんお金や労力を使います。国際結婚の場合はさらに、お互いの国を行き来する必要があり、ゲストを気軽に呼ぶこともできずとても大変です。
でも一生に一度の大切な式なので、私たちはできるだけのことはやろうと2人で決め、今となっては結婚式を挙げて本当に良かったと思っています。
通訳を手配し神前式
私たちは、日本式に神社で結婚式を挙げました。
カナダのゲストには日本に来てもらう必要があり、参加できるのは両親のみとなってしまうのではと覚悟していましたが、そこはさすがカナダ。夫の友人も、長期のバケーションを取って日本へ来てくれました。
式当日は通訳を手配し、カナダからのゲストをまとめてもらいました。神社での式は移動も多く、儀式も複雑なため、通訳の方にはとても助けられました。
結婚式は相手の親戚と顔見知りになれるチャンス
このように私たちは日本で式を挙げましたが、日本で婚姻届けを出しカナダで挙式することも1つの選択肢です。
私たちは結婚後、カナダで暮らしていますが、同じように結婚してカナダで生活をされる方は特に、相手方の家族、親戚、友人に顔を知ってもらういい機会でもあります。
私たちの場合は夫の親戚がとても多く、まだ結婚の挨拶をできていない人がたくさんいるのが現状です。カナダでの生活が落ち着いてきたら、こちらでもお披露目会のようなものを開こうと考えています。
姓の変更~メリット・デメリット~
国際結婚の場合の大きな決断と言えば、名字の変更です。日本人同士の結婚ではどちらかが相手の姓に変更しますが、国際結婚の場合、夫婦別姓が認められており、変更するかしないか選ぶことができます。
私はメリット・デメリットを調べ上げ 、ぎりぎりまで悩みました。夫は私に選択を任せてくれたので、自分で決めることができました。
夫の姓に変更する場合のメリット・デメリット
メリット
- 婚姻届提出後6か月以内なら、簡単に変更が可能
- 夫婦同姓になり、結婚したという実感が湧く
- 相手側の国での生活において便利(手続き等で夫婦だということがすぐにわかるため)
デメリット
- 日本国内での名義変更をしなければならない(銀行口座やパスポートなど)
- 戸籍にはアルファベットでしか表記されない
- 日本で仕事をする場合、外国姓だと不利になる場合がある
姓を変更しない場合(夫婦別姓)のメリット・デメリット
メリット
- 何も手続きをする必要がないため楽
- 自分の旧姓を残すことができる
- 日本国内での名義変更をしなくても良い(銀行口座やパスポートなど)
- 日本や相手国での仕事のキャリアに支障が出にくい
デメリット
- 婚姻届提出後6か月を過ぎてから変更したくなった場合、家庭裁判所へ申し立てする必要がある
- 相手側の国での生活で不便(名前だけだと夫婦だと分からないため)
- 子供ができた場合、自分のみ旧姓を名乗ることになる
比較して選んだのは夫婦別姓
これらを考慮して、私は変更しない方を選択しました。名字を変更すること自体はとても簡単です。しかし、日本やカナダでさまざまな変更手続きをしなければなりません。
正直なところ、結婚の手続き、結婚式の準備、カナダへの引っ越し等で精神的にいっぱいいっぱいだったことが変更しなかった大きな理由です。
夫婦で相談し、将来子供ができたときにまた改めて考えようと思っています(子供ができた場合、日本では私の旧姓、カナダでは相手側の姓になるため)。
パスポート表記
名字は変更しないことに決めた私ですが、夫の姓を全く名乗りたくないという訳ではありませんでした。何か、結婚したという証明になるものがないか調べていたら、パスポートに括弧書きで夫の姓を入れることができると知りました。
姓を変更していなくても、パスポートに別名併記として自分の名前の後ろに()で別名を入れることができます。
私は結婚を機に本籍地を変えたため、パスポートを変更する必要があり、それと同時に括弧書きで夫の姓を入れてもらうことにしました。
通常の変更手続きに必要なもの(戸籍謄本、写真など)と、夫のパスポートのコピーで変更することができました。
航空券予約の際などには注意
注意したいのは、この括弧内の名前はICチップには情報として入っていないということです。そのため、航空券の予約などにおいては括弧内の名前は必要ありません。
私は不安だったので、1番よく利用するAirCanadaに直接問い合わせました。
担当者の方によれば、パスポートの顔写真のページの下部(<<<<<<<がたくさんある箇所)の名前を正式な名前と見なすので、その名前と予約時の名前が合っていれば大丈夫とのことでした。
確かに、その箇所には括弧書きの名前が表記されていません。
それ以外に困ったことはないので、夫婦別姓を選択された方には括弧書きの記入はおすすめできます。日本では旧姓、相手国では相手の姓を名乗る、という方も多いためとても便利だと思いました。
メリットとデメリットをよく考えて決断を
姓の変更は、大きな決断です。私の夫のようにどちらでもいいという人もいますが、やはり2人の生活に影響がある重要なことですし、将来子供ができたときなどのために、どちらがいいのかしっかり見極める必要があります。
メリット・デメリットをしっかり考慮し、ベストな方を夫婦で選ぶことをおすすめしたいです。
まとめ
国際結婚は、状況によって何がベストであるのかは人それぞれ違います。選択しなければならないことも、やらなければならないこともたくさんあり、面倒になって投げ出したくなるかもしれません。
私たちの場合は、苦労も多く喧嘩も絶えませんでしたが、たくさん話し合い、決断し、2人の結束を深めるとてもいい経験だったと思っています。
これから国際結婚を考えている方も、お互いを尊重しながら自分たちに合ったベストな方法で2人の未来を切り開いてください。
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