主人の仕事の関係でミャンマーに転勤が決まった時、真っ先に心配だったのは「ミャンマーの医療」についてでした。
最初にインターネットで何気なく調べたときには、「ミャンマーの医療は日本に比べて20~30年遅れている、助かる命も助からないこともある」という一文を見て、正直途方にくれました。
しかし、ミャンマーに引っ越してきてから早速体調不良になり、何度か病院へ行くという経験もしたことで、ミャンマーで病気になったときの対処法や病院情報など様々な情報を得ることができました。
今回はミャンマーで暮らしていくうえで不可欠な、ミャンマーの病院事情をリポートします。
ミャンマーの医療事情とは
ミャンマーに暮らす多くの日本人会が入会する、「ヤンゴン日本人会」発行の2016年版「ヤンゴン生活手帳」によると、ミャンマーの医療事情について、次のような記述があります。
ミャンマーの病院の設備や、医療は先進国と比べて20年~30年ほど遅れている印象があります。医師の多くは熱心に医学知識を学んでいますが、外国人の多くは、重大な疾患の際には国外の医療施設を受診することも多く、ミャンマーでの診療の経験が限定されることや、設備、衛生、特に看護職などの人的な面でまだまだ非常に貧弱な医療事情と言わざるを得ません。by ヤンゴン生活手帳
このような厳しい記述がみられるように、やはりミャンマーでの医療は、難易度の高いものは治療があまり望めないのが実情のようです。
実際、日本では「救急車」を呼べば、数分でかけつけてくれ、病院に搬送してくれるシステムが整っていますが、ミャンマーでは、なんと救急車を呼ぼうとしてもつながらないことが多いといいます。
また、救急車が確実に早く来るとは限らないため、他に移動手段があれば、直接医療機関に向かった方が早いことが多いとされています。
このような点からも、医療サービスが整っておらず、医療の遅れが確実にあることがはっきりしています。
尚、ミャンマーでもし大きな手術をすることになったら、ミャンマーでは受けず、隣国タイで手術を受ける日本人がほとんどだという事が、病院関係者などの話からわかりました。
緊急時にやむを得ない場合を除いて、ミャンマーで高度な医療を受けることは控えたほうが懸命なようです。
実際のミャンマーの病院の実情
実際、私も、ミャンマーの病院にかかったことがありますが、日本人が公立病院を受診する機会は緊急事態に限られ、通常は私立病院を受診することが一般的です。
私立病院の中には、日本人医師がいる病院や、タイやインドネシアの富裕層向け病院のミャンマー版病院もあり、医療事情は遅れているとはいえ、近年の充実度はめざましいものがあります。
ミャンマーの病院では外国人は特別料金
ほとんどの病院で外国人に対する特別料金が設定されていて、米ドルで支払います。
専門医の診察料は医師により料金が異なりますが、だいたい30~50米ドル前後。外国人向け施設では70~100米ドル程度必要です。
参考までに、私が外国人向け病院で胃腸炎の診断を受け、薬を5日分もらったときには100ドルほどかかり、脱水と診断されたときは、ポカリのような経口補水液が5日分だされて90ドルほど、食中毒の時には3日分の薬と診断で105ドルでした。
続いて、言語についてですが、外国人向けの病院であれば、英語でのやりとりが可能です。さすがに病院の医師ともなれば、英語も聞き取りやすくわかりやすかったです。
ミャンマーにある外国人向けの病院
レオメディケア
外国人向けの私立病院が充実してくるなど、ミャンマーの医療への期待度が上がる中、日本人にとってより心強いのが、日本人医師の診察を受けられる病院「レオメディケア」の存在です。
日本で90年以上の歴史を持つという大雄会病院の日本人医師が診察を行い、加えて日本人看護師が常駐しているのも安心で、具合が悪い時に電子辞書の英和辞典を開いて症状を説明することもなく、日本語で症状を伝えられます。
24時間受診可能で、入院となれば、レオメディケアが入っている「ビクトリア病院」内で入院可能というところも魅力です。
私も、この病院には何度かお世話になっていますが、ベテランの日本人医師に日本語で診察してもらえるのは具合が悪い時には何より助かります。
日本人医師が対応できないときにはミャンマー人医師が対応してくれますが、きめ細かい診察で、親切でもあり、好感がもてました。
パンライン
ダウンタウンからは離れた位置にあるものの、緑も多く、リゾート地のような場所にあり、環境がいいのが魅力のパンライン。
インドネシアのシロアムホスピタルと提携するなど、富裕層向け病院として知られています。こちらも24時間診察可能で、診療科目は全科と幅広く、CT,MRIもある病院です。
私はこちらで、胸部のレントゲンを撮りましたが、病院内はとても清潔でスタッフの方も親切。さらに、レントゲンの機器などは日本からのものが多いと聞きました。
機器も様々なものがあるのだとは思いますが、ミャンマーの病院の中で病院としての水準の高さがうかがえます。医師も、外国人慣れしていて、英語の発音がとてもきれい。
説明も丁寧で、信頼が持てました。
ミャンマーでの病気になる前に!医療サポートサービス「ウェルビー」
上記であげた病院のように、医療の遅れているミャンマーといえど、水準の高い施設や優秀な医師がいる病院は、ミャンマーにも存在しています。
そして、それら的確な病院へと導いてくれるサービスが、医療サポートの「ウェルビー」という会員になることで受けられます。
具合が悪くなったら専用電話番号へ連絡し、担当スタッフが病院を予約してくれ、病院につきそってくれます。
医師とのやりとりも、通訳してくれ、薬の飲み方も袋に日本語で記載。具合が悪い時にこのようなきめこまかいサポートは非常にありがたく、心強いです。
ミャンマー人スタッフの日本語能力も高く、ケアということに対して教育されていることが分かります。もし可能ならこのような医療サポートサービスの会員になることをおすすめします。
ウェルビー:http://wellbemedic.com/
まとめ
いかがでしたか?
ミャンマーの医療は確かに日本に比べれば遅れてはいますが、私立病院の多様化、日本人医師常駐の病院があること、富裕層向け病院の設備の充実度などは、実際にこちらに来てみなければわからないことでした。
病院でも診察を受けてみてはじめてその病院の信頼度や水準もわかります。
全体的には医療に関してまだまだの印象は否めませんが、それでも、このような病院できめ細かい診察が受けられるのはかなり安心できるものでした。
政権もかわり、外国との接点も増えるミャンマーで、これからは医療の方もますます進歩していくことでしょう。隣国タイまで飛行機で飛ばなくても、大きな病気も国内で手術できる日が待ち望まれます。
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