引っ越しは、費用と労力がかかる大仕事です。ましてや、日本から海外への引っ越し、海外から別の国への引っ越しとなれば、不安や心配事も倍増……。家探しも面倒な感じがしますよね。
ここでは、海外での引っ越しを何度も経験している海外暮らしの長い筆者が、住まい探しを始めるときに注意しなければならないことを詳しく紹介します。
大きく分けて、情報収集・下見・賃貸契約・入居の際にそれぞれポイントがあるので、ぜひ参考にしてみてください。
海外での家探し:情報収集の際の注意点
ネット・業者・フリーペーパー…あらゆる手段を使う
少しでもよい物件に出会うためには、リサーチに手を抜いてはいけません。まずは、インターネットを利用して情報収集を始めるのが手軽な方法です。
不動産業者は日系の業者と現地の業者があります。どちらか一方ではなく、両方とも確認するのがよいと思います。なお、日系の不動産業者は日本人駐在員の利用が多いため、どうしても比較的家賃の高い物件が中心になります。
筆者は、日系スーパーや飲食店などの店舗に備え付けのフリーペーパーに掲載されている情報、友人や知人からの口コミも参考にしました。
とにかく、あらゆる手をつかって情報を集めるようにしましょう。
不動産業者を利用する場合のポイント
上で述べたように、不動産業者は1社だけでなく数社を利用し、希望の条件を提示してみることがおすすめです。
家賃の希望額を伝える際はアバウトにせず、金額を明示しなければいけません。通常、こちらが提示する金額とほぼ同額か、少し超えるぐらいの高めの物件を紹介されることが多いからです。そういった傾向も把握し、交渉を有利に運んでください。
また、契約にともなう手数料やデポジット(敷金)も必ずチェックしましょう。契約に至らずとも、下見に同行してもらうだけで手数料が発生する場合もあります。事前の要確認ポイントです。
海外での家探し:下見の際の注意点
女性ひとりでは行かない
物件探しが進む中で下見に行く必要が出てきますが、女性の場合は万が一危険な目に遭わないために、ひとりで出向くことはできるだけ避け、友人や知人に同行してもらう方がよいと思います。
何も起こらないうちから不動産業者を疑ってかかることは、確かにあまり気持ちのよいものではありません。ですが、下見を口実に見知らぬ場所に連れて行かれ、いたずらをされたなどという事件も耳にします。注意するに越したことはありません。
あらかじめ場所を聞き、現地で待ち合わせをするなどの方法もあります。
水道・電気・ガス、セキュリティなど念入りにチェック
下見の際は、生活に欠かせない水道・電気・給湯などの状態をしっかりと確かめることが必要です。
海外ではメーターが室内に設置されていることもあるので、その場所のチェックもしておきましょう。契約や支払い方法も国や地域によってさまざまです。契約内容もあわせて念入りに確認しておいてください。
また、安全・安心な暮らしのための治安や対策などは最重要項目です。セキュリティが万全かどうかも下見の際にしっかりと確認しておくことです。
希望設備を追加できるかどうかも要確認
物件に基本的な家具やキッチン家電などが備え付けられていることも多いですが、自分が求めるものが足りない場合もあります。
しかし、そのような場合でも、物件のオーナーに交渉することで快く追加してくれることがあります。
もちろん、ダメな場合もあり、OKであっても追加に必要な費用の一部負担を月々の家賃で求められる場合なども考えられます。まずは交渉してみましょう。
海外での家探し:賃貸契約の際の注意点
海外ではオーナーとの直接契約が一般的
日本で賃貸契約をする場合、オーナーとの直接契約よりも仲介業者が介在するのが一般的ですが、海外ではオーナーとの直接的な交渉が必要になることがほとんどです。
借りたい物件を見つけたら、オーナーの住所・氏名・連絡先などを必ず確認しておかなければなりません。
何かあったときは、すべてオーナーとの連絡になります。国籍や言語などもしっかり把握しておき、コミュニケーションに困らないようにしておくことが重要です。
契約書には細かい部分まで目を通す
日本語でも難しい内容かもしれませんが、契約書のチェックは手を抜いてはいけません。英語など外国語の契約書なので、なおさらのことしっかりと内容を理解することが大切です。
ささいなことでも、疑問点は解決しましょう。認識の違いを放っておくと、あとで大きなトラブルの元になる場合もあります。
契約内容は完全に納得できるまで細かくチェックし、必要であればオーナーに確認しましょう。
金銭授受は領収書や控えを忘れず、しっかり保管
契約がうまく進んだ後は、必要な支払いをすることになります。
直接、現金の授受をする場合は領収書を必ず受け取り保管しましょう。銀行口座への振り込みの場合も、入金の控えをしっかり保管し紛失しないようにしなければなりません。
入金の控えのコピーや写真をオーナー宛にメール添付するなど、オーナーとの円滑なコミュニケーションを心がけることも大切です。
海外での家探し:入居の際の注意点
下見のとき以上に念入りな確認を
契約が無事完了すれば入居の段階となりますが、まだまだ安心してはいけません。この段階で再度念入りな確認をすることが大切です。
契約どおりではない状況に気づいたら、その場ですぐにオーナーに見てもらいましょう。
入居した後では、壊れているものの修理などの費用を負担しなければならなくなる場合があります。なるべくこの段階でのチェックで発見したいものです。
入居時のチェックポイント一覧
具体的なチェック箇所は以下のような部分です。ひとつでも気になる点があれば、即オーナーに伝えましょう。
- 照明が正常に作動するか(ON/OFF)
- コンセントの有無と、それぞれを正常に使用できるか
- 備え付けの家電が正常に作動するか(ON/OFF)
- 同時使用が想定される家電を同時に作動させたときにブレーカーが落ちたりしないか
- 水道の蛇口は正常か、お湯は出るか、温度調整は正常か
- ドアや窓の開閉に問題はないか
- ドアや窓のカギの有無、施錠・解錠に問題はないか
- 備え付けの家具に問題はないか、外観(汚れ、きずなど)や収納家具の開閉はスムーズかなど
- 入居後、部屋に関する問題発生時の緊急連絡先の再確認
これらのチェック項目は、新築か中古かに関係なくすべての賃貸物件に対して共通することです。海外では日本と違って、新築物件イコール高いクオリティ、とはならないからです。よく、海外のオリンピック選手村宿舎の不具合などがニュースになっているとおりです。
逆に、中古物件でもリノベーションなどを施されて遜色ない場合も多くあります。
まとめ~チェックポイントと現地での常識を押さえておこう
筆者はアメリカで築40年以上の家に住んだ経験もあります。設備面では問題は感じられなかったのですが、それでも日本の建築物が世界最高水準だということを思い知らされました。
海外では、アリやその他昆虫、亜熱帯や熱帯地域ではヤモリなども室内に自由に出入りできるすき間があり、それがある意味普通です。「すき間やむなし」の境地でした。
それはさておき、ここで紹介したチェックポイントと現地での常識も十分に理解しておけば、何か問題が発生しても上手に乗り越えていけるものです。オーナーとの関係も良好に保てる希望物件に出会えますように。
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