美しい大地に美味しい食事、壮大な歴史に華やかなスポーツシーン。日本人のみならず多くの外国人を魅了するスペインに住むというのは、非常に夢のある響きですよね。
実際に住むとなれば、まずやらなければならないのが部屋探し。スペインではどうやって探せばいいのでしょうか。
実は、スペインでは今、外国人にとって住居が見つけやすい状況です。その辺りの事情も含め、現地在住の私から部屋探しのノウハウをご紹介します。
※1ユーロ=約115円
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スペインの家賃はどのくらい?
大都市圏でも価格は下落傾向
2008年から続く経済危機の影響で、近年スペインの住宅価格は以前の30%以上、時に半額以下にも下落しています。
賃貸住宅の市場ではそこまで大幅な変化は見られませんが、やはり下落しているのは確かで、マドリードやバルセロナといった世界的大都市圏であっても小さなアパートであれば月300ユーロ(約34,500円)ほどから見つけることができます。
もし月1,000ユーロ(115,000円)以上出せる余裕があるのなら、郊外でなら一軒家、大都市の中心部でも広いフラット(アパート)を借りられます。地方都市ならさらに広大な物件が見つかるでしょう。
日本の大都市である東京や大阪の住宅事情と比較すると、同予算ではるかに恵まれた物件に住めるはずです。
条件次第でさらに安く
例えば、マドリードの都心にあるアパートを検索してみたところ、1ベッドルーム(ベッドはダブル)で広さは50平方メートル、リビング、キッチン、バスルーム付きという部屋が月650ユーロ(約74,750円)でした。
バルセロナなら同等程度、それ以外の都市では大幅に値下がりすると考えられます。
また、家具や生活用品が備え付けられているか否かでも家賃は変わってきます。食器から寝具まで必要なものはすべて揃った部屋が一般的ですが、それらを自分で用意できるのなら備え付けなしの部屋を見つけた方が安い家賃で住むことができます。
家賃以外の住居費は?
電気・ガス・水道・インターネットといった料金の支払いは契約によって異なります。家賃に含まれることもあれば個別支払の場合もあるので確認が必要です。
仮にベッドルームが2部屋あるアパートとした場合、こうした住宅関連費用の平均額は合計で月50~150ユーロ(5,750~17,250円)ほどになるでしょう。
これに加えて、1年ごともしくは月ごとに共用部分やゴミの回収などにかかる費用が徴収されます。日本でいうところの管理費にあたります。
スペインの部屋の間取りは?
主に以下のようなものがあります。
- ワンルームタイプ:部屋1つ+浴室、キッチン
- 1ベッドルームタイプ:寝室1つ+リビング、浴室、キッチン
- 2ベッドルームタイプ:メインの寝室+来客用の寝室+リビング、浴室、キッチン
このほか、オフィスルームやテラスが付く部屋も一般的です。部屋数が増えるほど家賃も上がっていきます。
単身者や学生の場合はフラットシェアやホームステイのようなスタイルも選べます。
スペインでの部屋の探し方
主な2つの方法
日本と同様に、スペインでの賃貸住宅探しのもっとも一般的な方法は
- 不動産屋に直接出向く
- インターネットサイトを見る
の2つです。また、近年は減ってきていますが新聞広告に掲載されている場合もあります。
いずれにしても、基本的には第三者である不動産業者が間に入って契約を結ぶことが多いです。特に外国人の立場からすると、その方がトラブルも少なく済むのでおすすめです。
不動産屋に依頼した場合、日本と同様に礼金を支払う慣習がスペインにもあります。一般的に250ユーロ(約28,750円)から家賃1か月分が相場です。
スペインの部屋探しに使えるサイト
部屋探しに役立つサイトをいくつか紹介します。どの広告にも1か月の家賃と部屋の広さが平方メートルで記載されています。
- idealista.com
- Servihabitat
- comprarcasa
- tucasa.com(スペイン語のみ)
- venta de pisos(スペイン語のみ)
スペインには多くの外国人、特にイギリスとドイツから移住や長期旅行、老後の生活などを目的とする人たちがやって来ます。
そのため、サイトには英語やドイツ語で書かれた住宅情報も多く見受けられますが、それらは資金に余裕のあるそういった外国人をターゲットにしたオファーであることが多く、賃料が高めに設定されている可能性が高いので注意してください。
安い物件を見つけたければ、できるだけスペイン語のみで記載された広告をチェックする方が効率的だと思います。
短期滞在時は空きが見つかりにくい
スペインは世界中で保養地としても人気があり、長期休暇を過ごすために世界中から旅行者が集まるので、短期滞在用にも幅広い住居の選択肢が用意されています。
とはいえ、マドリード、バルセロナ、セビージャといった人気のエリアは年中人が集まるためなかなか空きが見つかりにくい上、夏休みやクリスマスといった繁忙期には地方都市であっても満員御礼が続く可能性があります。
渡航の予定が固まったらできるだけ早いうちから物件探しを始めることが、よい部屋を見つけるコツだと言えます。
スペインの部屋を内覧する
これはどの国でも言えることですが、広告を鵜呑みにするのではなく、必ず実物を自分の目で確かめてから契約するようにしてください。
掲載されている情報がすべて正しいとは限りません。写真も美しく見えるよう加工されているかもしれません。
立地や部屋の設備もチェック
実際に見に行けば、広告からではわからない周辺情報も同時に確認することができます。部屋は満足いくものであっても、外の騒音が激しいとか、近隣に買い物できる場所が一軒もないなんてこともあるかもしれません。
もし内覧時に現在の住人がまだいるなら、どれが備え付けのもので、どれがそうでないのかを確認する必要もあります。うっかりしていると、家具付きの部屋に入居するつもりでいて当日、ベッドすらない空っぽの部屋で呆然とする羽目に合うかもしれませんよ。
スペインで部屋を借りる契約をする
気に入った部屋が見つかれば、いよいよ契約です。
賃貸契約に必要なもの
不動産業者を通す場合には、一般的に下記の書類と家賃1~2か月分の敷金が必要となります。
- 収入証明(家賃の支払い能力があるかの確認)
- 納税番号(スペインで働いている場合)
- パスポート
- 身元保証
また、大家が銀行保証を求めてくることもあります。家賃の支払いが滞ったり、借り主が家賃の支払いを拒んだりした場合、銀行に直接差し押さえの請求ができるようにするためです。
契約は書面で交わそう
スペインでは、書面以外に口頭での賃貸契約も認められています。しかし、当たり前ですが口頭での契約はできる限り避けましょう。
スペイン語が流暢でないならなおさらです。しっかりと内容を確認した上で、全て書面に残す方が賢明です。
スペインでの借り主の権利を確認しよう
スペインでは借り主の権利は強く保護されています。基本的な考え方は日本と同じです。
何かあればためらわずに対応を
外国人はその国のルールや慣習に詳しくないからと無理難題を押し付ける大家は世界中で見受けられますが、決して鵜吞みにはしないでください。
不信に思ったら必ず第三者に確認し、適切な対応を取ることが肝要です。
例えば、基本的に大家は借り主を部屋から追い出すことはできません(家賃を長期滞納した場合などは除く)。また、大家が賃借人の許可なく勝手に部屋に入ることもできません。
さらに、大家が家賃の前払いを求めることは違法とされています。通常、家賃の支払い日は毎月1日です。
大家が破産しても居住権はある
近年の経済危機の影響で、大家が破産して借り主が住むアパートや家が銀行に差し押さえを受けてしまうこともあります。この場合でも、部屋に住み続ける権利は保障されます。
新しい大家が来て出て行くよう言われる可能性もありますが、決して承諾する必要はありません。提示されるであろう補償金の額に納得すれば出て行くことを考えるのもよし、そうでなければ残ればいいのです。
スペインで部屋を退去する場合は
30日前までに申し出る
退去したい場合は、少なくとも引っ越し日の30日前までに大家にその旨を知らせる必要があります。
一般的に、一度契約を結ぶと、満期の前に退去する場合でもその契約の末日まで支払いを継続しなくてはなりませんが、会社命令による異動など個人ではどうしようもない事情が発生した際には契約を破棄できるような条項を賃貸契約に盛り込むのが主流となっています。
退去時まできれいに保つ
入居者は室内の環境を退去時まで常識の範囲内で保持する必要があります。そのため、入居時に室内の状態を撮影したり、家具備品の目録を作成しておくことが重要です。
加えて、退去する2~4週間ほど前に一度、大家に室内の状態を確認してもらうといいでしょう。
これをしておけば、忙しい引っ越し準備の最中に思わぬ難癖をつけられて、挙句に敷金がほとんど返ってこないなどというトラブルを避けやすくなります。確認してもらい問題なければ、退去して鍵を返す時に敷金を返してもらえるはずです。
スペインに長期で住むなら物件購入がおすすめ
もしもスペインでの長期滞在あるいは永住を考えているとしたら、最初は賃貸物件に住むにしてもいずれは持ち家を手に入れることをおすすめします。
スペイン人で部屋を借りている人は17%程度しかいません。そのため、市場規模は賃貸よりも販売の方が充実しています。先にも述べたように住宅の価格は下落し続けており、お手ごろな物件が増えているのが実状です。
物件の購入にあたり、外国人であることによる制約はスペインにはないことも後押しになります。
スペインという国を知り、住みたい地域が決まるまでは賃貸、それ以降は購入という形がベストな方法だと言えるでしょう。
まとめ~安く住める今がチャンス!
スペインでは石造りが一般的で地震もないことから数十年、数百年を経た歴史ある建物が現役で当たり前のように使用されています。日本ではお目にかかれない趣のあるおしゃれな西洋建築の住宅も多くあります。
今はそんな住居にお安く住めるチャンス。学生として、旅行者として、はたまた移住者として、いずれの場合でも日本よりかなり恵まれた住宅環境を享受できるはずです。
留学や長期休暇などを考えている方には絶好の機会ですよ!
※この記事の内容は2016年11月現在のものです。
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