海外生活を始めると、ホームステイにシェアハウス、住み込みベビーシッター(オーペア)や不動産屋を通した賃貸など、住み方にいろいろな選択肢が出てきます。
今回は、私の実体験もふまえ、オーストラリア独特の賃貸状況と、私がなぜ「オーストラリアで賃貸物件に住みたくないか」をご紹介します。
海外での「住み方」の選択肢
海外生活を始めるにあたって、どこに住むかはとても大事な問題です。
私が初めてオーストラリアに来たときは、日本の留学センターを通して紹介してもらった「ホームステイ」からスタートしました。
「ホストファミリーとの交流を通して、英語力を上達させたいから」という理由よりも、エージェントを通して紹介してもらったところなので、安心だったからです。
2か月ほどホームステイでお世話になり、その後はシェアハウス、そしてバイトを始めてお小遣いを稼ぐようになってからは、不動産屋を通した賃貸物件で一人暮らしを始めました。
オーストラリアにやって来る留学生やワーキングホリデーの方などは、大抵ホームステイ、または大学寮からスタートし、オーストラリアの生活に少し慣れてから、シェアハウスやオーペア、または一人暮らしとステップアップしていくようです。
来豪してしばらくはバッグパッカーが利用するゲストハウスに滞在し、その間にシェアハウスを探す若者もいるようです。
住人にやさしくない賃貸事情
オーストラリアでの生活が長くなると、不動産屋を通して賃貸物件に住む人が多くなると思うのですが、この「賃貸」がオーストラリアではかなり厄介なのです。
半年ごとの「Inspection」
オーストラリアでは、賃貸契約を結ぶ際、ひとまず6か月間契約を結ぶことが好まれています。理由は、「テナントが家を壊したり、又貸しのような違反行為をする人物ではないことを確認するため」。
ですので、6か月ごとに「Inspection(点検)」といって、テナントが家を破壊するような行為をせず、または又貸しなどもすることなく住んでいるか、不動産屋が点検に来るんです。
なので、不動産屋や家主によっては、「もっときれいに住んでください」といちいち文句をつける場合もあります。
また、トイレが詰まったり、キッチンが壊れたり、何か修理を要する場合も、必ず不動産屋を通さないと手を付けられません。
すぐ修理に来てくれる場合もありますが、家主が「修理の必要なし」と見なす場合は、修理にも来てくれません。その場合は、我慢する、もしくは自費で何とかするしかありません。
突然やってくる「退去命令」
日本で賃貸契約で住んでいる場合、「お宅のアパートの老朽化が激しく危険なので、取り壊すことになりました」という特別な理由や、テナントの問題行為がない限り、強制的に退去させられることはないのではないかと思います。
また、オーナーチェンジの場合でも、「引っ越してください」と言われることは、あまりないのではないでしょうか。
一方オーストラリアの場合、賃貸物件に住んでいる限り、いつ「家主がお宅の物件を売りに出しますので、退去してください」と言われるかわからないのです。例えばオーナーチェンジの場合でも、引っ越さなければいけません。
賃貸契約終了数か月前に、「賃貸契約延期は出来ません。退去願います。」という手紙が突然やってきます。
そして、引っ越す前から、不動産屋が「売却物件の見学会」を開くと、毎週土曜日は見ず知らずの人たちが「この物件を買おうかな」と見学にやってくるのです。
家主の都合で引っ越さないといけないのに、引っ越し費用や、新しく借りる物件の頭金などは、すべてこちらが負担しなければなりません。
不動産屋と家主にしてみたら、賃貸契約違反をしているわけではないので、これもただのビジネス。テナント側からすると、なんとも不条理で、利己的な賃貸システムなのです。
とにかく高くつく家の購入
「じゃあ、家を買えばいいんじゃないか」と思われるかもしれませんが、最近「世界一物価の高い国のひとつ」として位置づけられたオーストラリア、郊外の小さな一軒家でも5000万円以上するぐらい、物価が高いのです。
通勤・通学に便利な場所に一軒家を買おうと思ったら、少なくとも8000万円はするので、なかなか手が出ないのが現状なのです。
わたしのオーストラリア人の知り合いに、十年近く住んでいたアパートを「売却するので退去願います」と言われ、泣き崩れた、という人がいます。それを機会に、別のアパートを買ったものの、ローン返済で大変なのだそうです。
わたしはオーストラリアに来て十数年になりますが、この「退去命令」を三回も経験しています。わたしの知り合いの日本人数名も、少なくとも一回は経験しています。みんな声をそろえて、「オーストラリアの賃貸は、ありえない!」と言っています。
なるべく引っ越さずに済む方法
それでは、強制退去を避けるためには、どうすればいいのでしょうか。
なるべく賃貸物件から引っ越さずに済むコツをまとめると、以下のようになります。
長期賃貸契約を結ぶ
「数年はここから引っ越したくない!」と強く希望する場合は、賃貸契約を結ぶ際に、2年から3年の長期賃貸契約を結ぶことをおすすめします。その契約が切れるときに「退去命令」が出るかもしれませんが、少なくとも数年は引っ越す心配をしなくてすみます。
家主と直接賃貸契約を結ぶ
不動産屋を通すと、どんなタイプの家主かわからないので、家主と直接賃貸契約を結ぶと、融通が利いて非常に便利です。備品の修理も、家主に直接言うとすぐに対応してくれる場合が多いようです。
独身の方なら、シェアハウス感覚で「家主と一緒に住む」という方法もおすすめです。「家・アパートを買ったものの、ローン返済が大変なので、一部屋留学生に貸している」という話はよくあります。
まとめ
今回は、非常に面倒なオーストラリアの賃貸事情をご紹介しました。引っ越しは、面倒でお金もかかる作業です。なるべく無駄な引っ越しをせずに済むよう、素敵な長期賃貸物件が見つかるといいですね。
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