中国国内を低価格で旅行するにはどうしたらよいでしょうか?単なる観光客になるのではなく、中国の普通の人の生活を味わうような旅をしてみたいでしょうか?それなら列車の寝台車両に乗ってみるのは、1つの方法かもしれません。
日本では寝台列車が少なくなったので、寝台列車自体に乗ったことが無い人も多いことでしょう。今回は、中国で列車の寝台車両を利用する上で、知っておくと役立つポイントをご紹介します。
寝台が一般的な中国の列車
中国では寝台専用の列車があるというよりは、多くの列車の中に寝台車両が付いています。それというのも、中国の列車は始発から終点までの距離が長い場合が多く、中には運行時間が2日を超えるものもあるからです。
長時間の移動に利用する人も多く、それなら寝台のほうが楽ということになるわけです。6~7時間以上かかる距離だったら、夜出発し寝たら目的地に着くような時間の列車を選ぶと便利でしょう。
日本で言えば夜行バスを利用する感覚に近いかもしれません。でも狭いとは言え、しっかり横になれるので中国の寝台の方が体は楽だと思います。
寝台の種類
寝台「卧铺(ウオプー)」には、A寝台「软卧(ルアンウオ)」とB寝台「硬卧(インウオ)」があります。
A寝台「软卧(ルアンウオ)」
「软卧」は2段ベッドです。2段ベッドが向かい合う形で4人1つの小部屋のような状態になっており、小部屋それぞれにドアがあります。
ある程度のプライベートがあるとも言えますが、知らない人と小部屋が一緒になることに、私は非常に抵抗があります。家族や友達同士4人でちょうど1部屋分となればいいとは思うのですが、なかなかそうもいきません。
B寝台「硬卧(インウオ)」
「硬卧」は3段ベッドです。3段ベッドが向かい合う形で6人1つの空間になっていますが、ドアはなく、通路を通る人からも見える状態です。一つひとつのベッドにカーテンがあるわけでもありません。
プライバシーが無さ過ぎると感じるかもしれませんが、寝る時間になると消灯されるので暗くてあまり見えず、思ったよりは気にならないものです。安全性に関しても、あまりにオープンで色んな人の目があるので、逆にそれほど問題ないようです。
料金例
一例として北京から西安までは、「软卧」が400元前後、「硬卧」が250元前後です。
寝台のベッドについて
A寝台「软卧(ルアンウオ)」
「软卧」の2段ベッドは、上段「上铺(シャンプー)」・下段「下铺(シャープー)」とも、座っても頭が付かないくらいの高さがあります。ベッドの幅も「硬卧」よりはやや広くなっています。
B寝台「硬卧(インウオ)」
「硬卧」の上段「上铺」・中段「中铺(チョンプー)」・下段「下铺」は、値段に少し差があり、上から順に安いです。
値段の差は3~4%ほどずつあり、例えば上段200元・中段207元・下段214元といった具合です。上の写真は「硬卧」ですが、通路との間に少し目隠しがあるタイプのもののため、上段部分は隠れて見えません。
上段ベッド
上段は天井に結構近く、座ることはできず窮屈ですが、人目は気にならないでしょう。夏は空調の風が直接身体に当たり、きつく感じる人もいます。高所が苦手な人は、特に降りる時に怖い感じがするでしょう。
中段ベッド
中段は何とか座ることができる程度の高さがあります。好みにもよりますが、比較的居心地がいいと思います。
下段ベッド
下段は起きている時間は座席のように座ることができて便利ですが、中段や上段の人も座ることがあります。通路にも椅子はあるのですが、足りなくなることがあるからです。
寝る時も、通り過ぎる人の目が気になったり、何か盗まれたりしないかやや心配になります。
街の切符売り場では、切符を買う時にどの段がいいか希望を言えます。ネットで買う場合は、機械的に決められてしまいます。2人分を買うと、普通は上段と下段になるようです。
寝台列車ならではの決まりごと
普通に列車の座席に座る場合と違うのが、「换票(ファンピャオ)」があることです。列車に乗って間もなく駅員が来て、乗客の持っている切符とベッド番号の書かれたカードを交換します。
朝、降りる30分前くらいに駅員が起こしに来てくれます。まだ眠たい場合もありますが、もらっていたカードを急いで取り出して渡すと、引き換えに切符を返してくれます。
はじめは、一体何でわざわざこんなことを?と思ってしまいました。おそらく、乗客本人が確実に自分のベッドを使っていることを確認するためと、起こすために到着駅を見るためだと思われます。
実際に乗ってみて困ったこと
私はB寝台「硬卧」に何度も乗っているのですが、いつも少し困ることがあるのでご紹介します。まずは、着ていく服です。
着替えができない
寝るときのためにはリラックスできる服を着たいのですが、ベッドにカーテンも無い上トイレもきれいではないため、着替えはできません。一方、列車に乗る前や後はある程度まともな服装をしたいので、兼ね合いが難しいです。
中国の寒めの地域では冬の期間、ズボンの下にレギンスのような防寒下着を着ている場合が多いのですが、寝る前にズボンを脱いでそのレギンスだけになっている人も結構います。日本人の目にはちょっと恥ずかしい感じがして、真似しにくいです。
洗面設備が不十分
次は、化粧やコンタクトレンズです。列車内にある洗面所は水しか出ないので、夜遅い場合はほぼ化粧無しでメガネをかけて乗車していますが、少し悩むところです。帽子をかぶったりマスクをつけたりしてすっぴんを隠すものの、何だか落ち着きません。
もちろん化粧やコンタクトをしてはいけないというわけではありません。シート式の化粧落としは中国では少ないようですが、そういうものがあると便利でしょう。コンタクトレンズはワンデータイプにする方が無難でしょう。
騒音問題
最後に騒音です。ひどいイビキをかく人、人の迷惑を考えずに夜中に普通の大きさの声で話をしたりする人が近くにいると、なかなか眠れず大変です。こればかりは選びようがないので、どうしようもありません。
食事やその他の飲食
中国の列車には熱湯が出てくる蛇口があるので、そこからお湯をもらってカップラーメンを作るのが定番です。
食べ物は各自持ち込み
弁当やその他の食べ物も売りに来ますし、食堂車が付いている場合もありますが、ほとんどの人は自分で食べるものを持ち込みます。ちなみに食堂車の食事はかなり割高のようです。
列車ではシャワーも浴びることができないので、カップラーメンのように汁のあるものを食べると体が温まって落ち着きます。その他、パンや缶入りのお粥を食べる人もいます。ナッツやスナックなど食べ物を大量に準備して乗りこむ人も少なくありません。
飲み物も準備しておく
ペットボトルの水を準備するのがおすすめです。熱湯は出ますが、水道水を沸かしたものなのでおいしくなく、飲み水としてペットボトルは持っておいた方が安心です。
水道水も沸かせば、普通はお腹を壊すことはないので、過度に心配する必要は無いでしょう。温かい飲み物が飲みたい場合は、茶葉やインスタントコーヒーの粉を持って行き、味をごまかすのがおすすめです。
長旅になる場合は、みかんなどの食べやすい果物もあるといいと思います。
まとめ
プライバシーがあまりにも無くて、ちょっと驚いたかもしれません。私も初めて友達数人と一緒に乗った時は、戸惑うことが多かったです。それでも意外と何とかなるから不思議です。
最初の頃はなかなか寝られなかったのが、今ではそれなりに寝られるようになりました。列車での長い時間を共にするので友達と一緒に盛り上がったり、たまたま乗り合わせた人とおしゃべりを楽しんだり、日本ではあまりできない経験もできました。
機会があったら中国寝台列車の旅も楽しんでくださいね。
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