ドイツの冬は寒いことに加え、暗いことでも有名です。
夏の間は日照時間が長く、夜の9時でもまだ夕方くらいの明るさですが、冬の一番暗い時期は、朝は8時にようやく日が昇り、夕方4時にはもう日没というサイクルになります。
日の当たる時間が短い分、もちろん気温も上がりません。例年1月、2月はマイナス気温が続きます。そんな暗くて寒くて長い冬を、ドイツ人はどのように乗り切っているのかまとめてみました。
ドイツってどれぐらい寒いの?
ドイツの寒さは日本の北海道くらい?と耳にしたこともありますが、実際のところ緯度だけを見ると、ドイツの方が北海道よりずっと北に位置しています。北海道の北の先端が、ヨーロッパで言うとイタリアのミラノあたりです。
ドイツはイタリアと国境を接して北側にあるので、日本で言うとオホーツク海の真ん中あたりということになります。
ドイツ国内は南に行くほど寒くなる
実際の気温は緯度だけでは判断できず、近海の海流や季節風などにも左右されるので一概には言えませんが、ドイツは日本と比べるとかなり北にある国なんです。
ドイツ国内では、南に行くほど寒くなります。ドイツの南部にはアルプス山脈が横たわっており、よく雪が降るのが一因となっています。毎年1月や2月にはマイナス気温になるドイツでは、寒さ対策は必須なのです。
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防寒対策のいろいろ
寒さをどのように防ぐかは、北国では重要な課題です。ここでは建物の中、服装、飲食物、その他というカテゴリーでその対策方法を見ていきたいと思います。
建物の中での防寒対策
ドイツでは冬の間、建物の中の暖房は常につけっぱなしになっています。だいたいの住居では地下室にボイラー室があってお湯を沸かし、そのお湯が各階、各部屋の暖房装置に回るようになっています。
ドイツの建築物は歴史のあるものが多く、100年以上経っているものも少なくありません。石やレンガで作られた厚い壁は、一度冷えると再度暖めなおすのに膨大なエネルギーを必要とします。
暖炉をつけて防寒対策
そのため暖房をつけっぱなしにしておいた方がエネルギーは少なくて済むのです。部屋の中はだいたい20度前後に設定されていることが多く、窓やドアの隙間も密閉されているので、室内は意外にも暖かいのです。
中には25度くらいに設定して、部屋の中では半袖、なんていう人もいます。つけっぱなしなんて環境に悪そう……と思ってしまいますが、実はこれも建物にとって必要なことなんです。
暖房を十分につけずに寒い状態が続くと、カビが大発生するからです。また湿気が室内にこもってしまうと壁紙がはがれてきたりもするので、家を良い状態で保つためにも暖房は切ってはいけないのです。
なので、寒さで大変な思いをするのは、実は外出中だけ。家の中はけっこう快適です。
服装による防寒対策
外出するときは、マイナス5度や8度、たまにマイナス15度といった中に出て行くので、十分な対策が必要です。まずアウターはダウンなど暖かいもの、マフラーと帽子と手袋は必須です。
その他、耳当てや冬用のしっかりしたブーツもあるといいと思います。靴は、地面からの冷気が直接伝わってくるので、起毛素材の中敷などあるとなおいいでしょう。現地で調達可能です。
ただし、建物の中は上述のように暖かいので、コートの下に着るものは後から調節ができるようにしておく必要があります。あったか下着を下に着込むと、調節できないのでご注意を。
寒い冬に必須のアイテム
Nakota(ナコタ)イヤーマフ
冷たい風から暖かく耳を守るナコタのイヤーマフ。寒い冬を越えるには必須アイテムです。
飲食物で寒さしのぎ
日本の室内と比べると随分暖かいドイツの室内ですが、やはり季節柄、体が冷え気味になることもあります。
特にドイツでは、日本のように入浴時に湯船にお湯をはって浸かるという習慣があまりないため、ドイツ流に生活していると、日本人としては体を温める機会がありません。
そういう時は、食べ物、飲み物で体を温める効果のあるものを摂るのがおすすめです。例えば、朝起きたら白湯かハーブティーを飲むのは、誰でも気軽にできることの一つです。ドイツではいろんな種類のハーブティーがあり、用途もさまざま。
風邪をひいたとき用、のどが痛いとき用、おなかの調子が悪いとき用、妊娠している人用など、まるで薬のようです。
その中でも寒さに効くのは、やはりしょうが入りのお茶です。しょうがとレモンをブレンドしたものや、しょうがとオレンジをブレンドしたものは、香りも爽やかで飲みやすく、おすすめです。
鍋料理で温まる
Eintopf(アイントプフ)という鍋料理も温まります。一つの鍋という意味なのですが、その名の通り、鍋一つで作れる簡単料理です。
もともと農民の料理だったそうですが、豆類、にんじん、キャベツ、ジャガイモなどの野菜を小さく切って、コンソメで煮込む具沢山スープです。
そこにソーセージやハム、玉ねぎ、長ネギなどを加えると、さらに食べ応えのある料理になります。通常、アイントプフは、パンと一緒に食べます。ドイツでは一度に沢山作っておき、2、3日かけて食べるそうです。
体調が悪くて自分で作れないというときでも、缶詰で沢山の種類のアイントプフが販売されているので、温めるだけでOK。手軽で美味しい冬のおすすめ料理です。
その他の防寒対策
外出時、あまりにも冷たい空気や風にあたると、小さな子どもなどは肌が乾燥して荒れてしまいます。その対策のため、蜜蝋を配合した外出時専用のクリームが販売されています。
小さい子どもがいるご家庭では、頬などに塗って顔の肌を保護してあげるといいと思います。
室内では、例えば寝室のベッドシーツやベッドカバーを冬用のものでそろえたり、室内履きをもこもこの暖かいものにしたり、湯たんぽを使ったりして対策するそうです。
ドイツ人でも、家の中は靴を脱いで室内履きを履いている人が多く、冬になると暖かそうな室内履きが販売されています。
逆に夏には、クーラーのないドイツの家々では気温を下げる術がなく、窓を開けるぐらいしか対策できません。そこで、パジャマやタオルなどを冷蔵庫で冷やしておくそうです。
寒くて暗いドイツの冬の楽しみ方
ドイツ人は太陽が大好きです。
夏の間は、思いきり日光浴を楽しんだり、レストランのテラスで食事を楽しんでいるドイツ人が、一番鬱になりやすいのは11月だと言われています。暗くて長い冬が、ドイツ人を太陽好きにしているのかもしれませんね。
ドイツ人は有給を使い暖かい国へ避難
そんなドイツ人の冬の強い味方は、実は有給休暇。じめじめと暗いドイツを抜け出して、南の明るく温暖な国へ逃げ出すのです。
特に人気があるのはスペインやイタリアです。同じヨーロッパの国なので、劇的に変わるわけではないのですが、やはりドイツに比べると街のあちこちで目に映る色彩が豊かで明るいのです。
その他、もっと遠くの暖かい国に行く人ももちろんいます。ドイツの多くの企業では有給の取得率も高く、管理職は社員に有給を消化させることを義務付けられています。
年間20日〜40日の有給休暇
勤務先や職種によって違いますが、一般に年間20日から40日の有給が与えられ、職場内で事前に相談、申し込みの上、各自休暇を取ってリフレッシュすることができます。
また、いわゆる学校の休暇期間もドイツでは州ごとにずらして設定されているので、ラッシュが起こらないようになっています。休暇を楽しむのは当然の権利!このあたりは日本とは大きな差を感じます。
12月のクリスマス
そして12月になれば、いよいよ待ちに待ったクリスマスです。12月は、クリスマスマーケットに大みそかの花火大会と、楽しいことが目白押しです。
街もイルミネーションに彩られてキラキラと美しく、長い夜も気になりません。クリスマスマーケットの屋台であつあつのワイン、グリューヴァインを飲んだり、焼きたてのソーセージを食べたりして、クリスマス前の陽気な雰囲気を楽しみます。
1月、2月の夜は劇場に通う
そして1月、2月の長い夜を楽しむ方法の一つとして、クラシックコンサートやオペラの観劇など、劇場に通うというのが挙げられます。
寒い冬はネガティブな印象が強いですが、自分と向き合う時間が増えたり、観劇や映画鑑賞、読書、創作活動などに費やす時間が増えるとも言えます。
コンサートやオペラなどは日常的にたくさん開催されており、席を選ばなければリーズナブルなチケットも手に入るのでおすすめです。
冬時間にご注意(夏時間から冬時間への切り替え)
冬のドイツで気をつけておきたいポイントの一つに、夏時間と冬時間の切り替えがあります。ドイツを始めヨーロッパでは、通常10月最後の日曜日の午前3時に夏時間から冬時間へ切り替わります。
1時間、時間を戻すことになるので、朝8時に起きたつもりが、時計を1時間戻し忘れると世間はまだ7時ということになります!出勤時間、待ち合わせをしている人、飛行機や電車の予約をしている人は要注意です。
この冬時間が夏時間に切り替わるのは、3月最後の日曜日の午前2時です。この時に1時間、時間を進めます。サマータイム時の日本との時差は7時間、ウィンタータイムでは8時間となります。
まとめ
ドイツの冬は、特に寒いときにはマイナス20度、時にはマイナス30度にもなります。そういう時は、なるべく建物の中にいるのが良策と言えるでしょう。
日照時間も短く、気分も沈みがちになるのですが、思い切って旅に出たり、クリスマスなどのイベントを目いっぱい楽しんだり、これを機会に創作活動や芸術鑑賞に没頭したりして楽しむ工夫をすると、長くて暗い冬の期間も有意義に過ごせるのではないでしょうか。
また、こういった期間があるからこそ、春の訪れを心から待ちわび、そして到来した暖かい季節を一層楽しむことができるのだと思います。春、初夏、夏をより楽しむための準備だと思うと、また冬の感じ方も変わり、寒さも乗り切れるのではないでしょうか。
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