ビザラン体験記カジノバスでタイからカンボジアへ

カジノバス ライフスタイル

タイへ旅行に行く人の大半はビザなしでの入国なはずです。日本人はビザがなくてもタイに入国でき30日間滞在できます。バックパッカーの若者の中には、行き当たりばったりでタイへ行き、居心地の良さについつい長逗留してしまう人も多いようです。

でも、30日以内にはタイから国外に出なければなりません。いったん外へ出ればまた入国できるので、タイに長く滞在する人の中には、ちょっとだけ国外に出てすぐまた戻ってくるということを繰り返している人もいます。

実は、かくいう私もそんな経験をもつ者の一人です。

タイからビザ取得のために近隣のカンボジア、ラオス、ミャンマーなどへ短期で出国することを「ビザラン」といいますが、行った先でビザを取得することなく、ビザなしでタイへ戻ることも広い意味で「ビザラン」に含まれます。

ビザなし再入国をするのなら、一番便利なのは陸路でカンボジアへ行くコースです。ここでは、私のカンボジアビザラン体験記をご紹介します。

目指すはアランヤプラテート

タイは東側でカンボジアに接します。タイ東北部(イサーン)を横断し、カンボジアへ入るポイントが国境を隔てて隣り合うタイ側のアランヤプラテート、カンボジア側のポイ・ペットです。

バンコクから車で4時間ほどで行けるため、タイからカンボジア旅行へ向かう多くの人が訪れます。そしてここは、ビザランのメッカともいうべき場所。30日間の滞在期限間近の人が出国スタンプを求めてやって来ます。

便利なのは「カジノバス」

カジノバス

アランヤプラテートへ行く方法には、路線バス、国鉄がありますが、おすすめは「カジノバス」です。

路線バスや国鉄が着くアランヤプラテートの街は国境まで数キロ離れており、一度乗り換えなければなりません。その点、カジノバスは国境ゲートまで行ってくれるので便利です。

カジノバスとは、国境地帯にあるカジノへの送迎用バスのことです。タイの出入国ゲートとカンボジアの出入国ゲートの間にある幅数百メートルの国境地帯には大きなカジノが何件かあります。タイの富裕層や外国人旅行者がここで遊ぶためにやってきます。

また、タイ側にはクロン・クルア市場という大きな市場があり、商売をしているタイ人が仕入れに訪れます。カジノバスは、カジノを利用する人以外も乗ることができるので、タイ人・外国人の別なく人気です。

片道200バーツ(約600円)、往復なら300バーツ(約900円)で、路線バスより若干安い料金です

バンコク市内では、ルンピニ公園のバス停付近から出ています。普通の路線バスとは違って派手な塗装をした2階建てのバスなのですぐ分かります。行先が不安なら、「アランヤプラテート?」とか「ポイ・ペット?」と質問してください。

満員になったら乗せてもらえないので、希望の出発時間には余裕をもって行った方が安心です。私はいつも日帰りだったので、朝早く家を出て6時か7時頃に出るバスに乗っていました。

出発時刻は決まっているのでしょうが、バス停に掲示などはありません。また、複数の会社が運航していて、ひとつのバスに、「次の便は何時?」と聞いてもわからないと言われてしまいます。

そのため、私の作戦は「早めに行って来たバスに乗る」しかありませんでした。行先を確かめて2階へ上り、適当な座席に掛けていると、たいてい車掌みたいなおばさんに「あんたはそっちに座れ!」と動かされます。どういう理由なのかはいまだに不明です。

カジノバスはどれもエアコンつきのきれいなバスです。座席はリクライニングでき、おおよそ快適です。ペットボトルの水が配られます。走り出してしばらくすると、料金が徴収されます。往復を希望する人には帰りのチケットが渡されます。

バンナーのセントラル前で停車しますが、ルンピニ公園で満席になっていることが多く、バンナーで乗車できるチャンスはわずかです。遠いですが、ルンピニまで行くのが確実です

バスはイサーンの農村地帯を突っ切って国境へ向かいます。タイ人のおばちゃんたちはほぼ例外なくこれでもかといわんばかりの大声で会話するので、車中での安眠はしばしば中断されます。

アランヤプラテートからタイを出国

アランヤプラテート

バスはクロン・クルア市場の真ん中に着きます。大きな市場では衣料品を中心に、鞄や靴、玩具、日常雑貨などが売られています。タイ料理の飲食店もたくさんあります。

ここに着くといつも、先に食事をしようか、出国しようかと迷います。たいていは、まず用事を済ませることが先決と、出国ゲートへ急ぎます。

バスを降りて出国ゲートへ向かうと、ビザ申請の代行をするというタイ人の男が何人も声をかけてきます。それらは無視して出国ゲートへ急ぎます。出国ゲートは、たいていそれほど混んでいません。

タイの出国ゲートからカンボジアの入国ゲートまでは一直線の道路です。タイの出国ゲートは道の左側にありますが、カンボジアのビザ発給所、入国ゲートは道の反対側にあるので途中で道を横断します

ビザ申請では、賄賂の要求を断固拒否!

カンボジアビザ

道端には小さな店や露店が点在します。これらは免税店で、煙草やアルコールが免税価格で売られています。アンコールワットを模ったゲートをくぐってすぐのところにビザ発給所があります。

カンボジア入国にはビザが必要です。申請すればすぐに発給してもらえます。発給所に入ると窓口があり、その前に2~3人の役人が立っています。彼らから申請用紙をもらい、記入してパスポートを添えて提出します。

立っている役人に渡すと、発給手数料を要求されるので支払います。

ここが注意ポイントです。ここでたいていトラブルが発生するのです。申請料は米ドルで20ドルまたは800バーツなのですが、役人は1,200バーツ要求してきます。旅行者から不当に賄賂を取って小銭を稼いでいるのです。

噂は聞いていたので、「ああ、これか」と思い、「申請料は800バーツだと聞いてますが、値上がりしたんですか?」とわざと大きな声で言いながら、窓口に確認しに行こうとしました。

すると役人は、「OK、OK」と、私が手にしていた1,000バーツ札を受け取ります。プイと向こうを向いてしまったので、「お釣り!」というと、しぶしぶとポケットからタイバーツを取り出し、わたしに100バーツを渡します。

わたしはさらに「200バーツ!」。彼はさらに、本当にしぶしぶと、もう100バーツを差し出しました。周りには何人かの欧米人バックパッカーがいましたが、みんな申請書のペンを止め、こっちを注目です。

彼は何人分かの賄賂を取り損ねてしまったことになります。国の玄関ともいうべきビザ発給所でこんな不正が白昼堂々と、しかも連日行われているというのは、全く情けないことです。国に対してのイメージを貶める行為です。

申請者はみんな不当な要求に屈せず、正規料金のみを払ってほしいものです。さて、申請が済むと、ほんの数分で名前が呼ばれ、ビザを受け取れます。

入国ゲートへ向かう道の両側には、ホテルのような大きな建物が並んでいます。これがポイ・ペットのカジノです。入るとフリードリンクを1杯もらえます。中にはレストランもあり、リッチな食事を楽しむことができます。

カンボジア入国 タイとは違った風景の街へ

国境

両側のカジノを見ながら、さらに先にある入国ゲートへ向かいます。入国ゲートは小さな建物です。出入国カードをもらって記入しますが、記入台が少ししかなく、申請者が多いと自分の鞄を台にして書かなければなりません。

申請書には、ホテル名の記入欄があります。日帰りの場合でも、何か書かなければなりません。宿泊の予定がない場合、「Poi Pet」と書いておけばOKです。カウンターでは指紋登録・認証があります。これでカンボジア入国です。

タイの出国ゲートからほんの数百メートル離れただけですが、カンボジアの風景はタイとは全く違うものです。大きな大八車で荷物を引く人が目を引きます。車もほとんどが「オンボロ」という言葉がふさわしい旧型です。

これが国境ゲートの街?と思うほどの田舎町で古びた建物が並んでいます。入国ゲートの目の前にはロータリーがあり、ホテルが数軒あります。また、タクシーやバイクタクシーが客待ちをしています。

ここからアンコール・ワットまでタクシーで行く人も多いようです。飲食店もありますが、私はなんとなく町の雰囲気が肌になじまず、いつもタイ側で食べるようにしています。

もしかしたらビザ発給所の役人のせいで、ポイ・ペットに対する印象を悪くしてしまっているのでしょうか。

即刻タイへ再入国

そんなわけで、私はポイ・ペットには用がないので、大抵すぐにタイへ引き返します。道を挟んで入国ゲートの向かい側に出国ゲートがあります。入国ゲートから出国ゲートへ直行です。

出国カードとパスポートをカウンターに提出し、また指紋認証を行います。さっき入国したばかりですから、窓口の担当官いわく、「Very quickly!」。

タイの入国ゲートはさっき通った出国ゲートとは反対、道の左側です。ここでは列待ちが長くなることがあります。

また、入国審査で入国を認められないというトラブルもしばしば目にします。それぞれのケースがどんな事情なのかまでは分かりませんが、長時間窓口でやり取りをしたのち、別室へ連れて行かれる外国人を何度も目撃しています。

私自身も、アランヤプラテートへのビザラン6回目で、次回は入国を認めないという赤いスタンプを出国カードに押されました。

この時は、「なぜこんなに何回もここで出国しているのか?」など、いろいろと質問され、どうも入国できなさそうな雰囲気でした。そこで担当官に、妻(タイ人)と電話で話してくれるようお願いし、電話で事情説明をしてもらいました。

このあと、「今回は入国させるけど、次回はダメ。」ということにしてもらえたというわけです。きりっとした容貌の、若い女性担当官だったことを覚えています。

タイ出国から再入国まで、スムーズにいけば約1時間ですが、多少待たされる時間があるので、大抵は1時間半前後です。タイ側へ戻ると、食堂で少し遅めの昼食をとります。お気に入りは「カオ・ナー・ペット(アヒルのせご飯)」です。

帰りのカジノバスは、市場の奥にある駐車場から出ます。往復チケットを買った場合は、帰りの時間を確認しておくことが必要です。

私のようにすぐ再入国してくると、帰りのバスの時間まで3~4時間待たなければならなくなってしまいます。普通はカジノ客だったり、市場での仕入れだったりするのでここで過ごす時間が考慮されているのです。

でも、私はここでそんなに長い時間を過ごす必要がありません。そのため、往復券を買わず、帰りは違うバスに乗ります。

駐車場でバスが来るのを待ち、来たバスに乗ります。料金は100バーツ(約300円)余計にかかりますが、好きな時間に帰れるので気が楽です。

帰りは夕方から夜にかけてになるため、決まって渋滞に巻き込まれます。2時ごろにアランヤプラテートを出ると、ルンピニ公園に着くのは7時から8時です。

ビザランが厳しくなったという情報

わたしは現在「Oビザ」を取得しているので、ビザランには行っていません。このところ、アランヤプラテートでのビザランが厳しくなったらしいという情報があるので、ビザランに行こうと思っている人は注意が必要です。

ビザなしでは30日間が滞在の上限で、一瞬だけ出国して再度入国するのは認められないという見解のようです。わたしのケースでは6回までビザランが可能でしたが、最近はそれ以下でも入国を認めてもらえない恐れがあります。

その際にはカンボジア側で1泊から数泊しなければならないので、宿泊費・生活費を持って行った方が安心です。

まとめ

アランヤプラテートのビザランに必要になった費用は、私の場合、

  • カジノバスの200バーツ×往復分=400バーツ
  • カンボジアビザ申請料=800バーツ

の計1,200バーツ(約3,600円)でした。

これで更に30日間のタイ滞在ができるわけです。

観光ビザは1回60日滞在可能で、さらに30日延長できます。取得に1,000バーツ、延長に1,900バーツ、合計2,900バーツかかります。これを30日に換算すると1,000バーツを切りますが、交通費を考えるとビザランとほぼ同額程度です。

観光ビザには「マルチプル」というものが導入されています。6か月の有効期間の間に、60日間滞在でき、さらに30日延長が可能というものです。これは基本的に日本のタイ大使館でしか取得できず、申請料5,000バーツ、延長1,900バーツと費用も高くつきます。

いずれにしても、ビザラン、観光ビザは回数を重ねることができなくなっているので、長期滞在には向きません。

数か月以上の長期滞在を希望する人には、就労ビザ、就労者家族ビザ、婚姻ビザ、リタイアメントビザなど、長期滞在者向けビザの取得をおすすめします

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