イギリス英語は、日本人の耳に馴染んでいるアメリカ英語とはかなり異なります。発音や一部の単語もそうなのですが、よく使う文法や言い回しも違ったりします。
ここでは、イギリスに住んでいると気づく、イギリス英語独特の表現などを紹介していきます。
記事の目次
Are you alright?とよく心配される
イギリス英語について全く知識を持たずに現地の人と触れ合うような状況になると、なんだかイギリス人は常に「Are you alright?」と人のことを心配しているように見えるかもしれません。
イギリス英語に慣れている人にとっては当たり前の光景ですが、アメリカ英語では、この表現は具合が悪そうな人や元気がない人に「大丈夫?」と訊くようなときに使われていますよね。
イギリスでは元気?という意味で使う
実はこの表現、イギリスでは「How are you?」と同じような感じで使われています。つまり、誰かに会ったときに「Hi, are you alright?」と言うのです。これを短くして「You alright?」と言っている人の方が多いかもしれません。
これに対する答えは「Yes, you?」などの短いもので大丈夫です。日本語だと「元気?」「元気だよ、そっちは?」みたいなノリですね。
ちなみに、人に会ったときの挨拶として「Hi, you alright?」がセットになっているので、すれ違いざまに言われると、答える間も無く相手が去っていくこともあります。
答えられなかった!と申し訳なく思う必要はなく、あなたもHiやHelloが言えたのであれば問題ありません。相手も本当にあなたの調子を訊きたいわけではなく、挨拶フレーズとして言っているのです。
これはイギリス英語・アメリカ英語に共通する部分なのですが、Are you alright?やHow are you?と訊かれたからといって、真面目に今の状況を答える必要はありません。
イギリスでもHow are you?と訊かれることもありますが、I’m good, you?などといった、短い返答で大丈夫です。
これからそれなりに長い会話をするつもりでなければ、元気じゃなくても「元気」と答えておきましょう。
I’ve gotなど現在完了形がよく使われる
現在完了形とは、I have + 過去分詞で表すもので、過去から現在に渡って継続して起こっているような事柄を表すような文法です。
というと、日本語の文法にはない表現なので理解しづらいですが、違いがわからなくても学校で習っているので、この文法に聞き覚えのある方は多いですよね。イギリス英語では、この現在完了形を結構好んで使います。
特に、I have a pen.というような所有を表す言い回しだと、I’ve got a pen.と言います。もちろん、I have a pen.でも通じますし、そう言う人もいますが、圧倒的にI’ve gotの方がよく使われます。
疑問文でも、例えば「iPhone持ってる?」と訊きたいときには、Have you got an iPhone?というように、訊きます。
アメリカ英語と違って現在完了形を多用する代表格がこの「持っている」という言い回しなのですが、会話を聞いていると、アメリカ人よりはイギリス人の方が現在完了形を使っています。
なんだかやたらSorryと謝られる
外国人はやたらめったらSorryと謝らないというイメージをお持ちの人もいるのではないでしょうか。ところが、イギリスではこのSorryはかなり耳にします。
例えば、相手の言ったことが聞き取れなくてPardon?と言いたいときにも、Sorry?の方がよく使われます。
人が邪魔で道を通れないとき、アメリカ英語ならExcuse meですが、イギリスだとSorryも多用されます。
実はイギリス人と日本人には似たところがあります。日本人もあらゆる場面で「すみません」と言いますよね。特に謝まっているわけではなく、「ちょっと失礼します」のようなニュアンスです。
ただし、日本では何かをしてもらって「ありがとう」をいうべき場面でも、「すみません」や「ごめんなさい」を使うこともありますが、そういう場合はイギリスではThank you.を使います。
あっちこっちでCheers!と乾杯している?
Cheers!は乾杯をするときに使う英語ですよね。ところが、イギリスではこれを「ありがとう」の意味で使います。
ややカジュアルな表現ではありますが、知らない人に使っても失礼ということはなく、お店で商品を受け取ったとき、ドアを開けてもらったとき、落としたものを拾ってもらったときなど、軽く「ありがとう」と言いたいときにはいつでも使えます。
カジュアルなんじゃないかと心配かもしれませんが、外国人が使っても大丈夫な表現です。
ただ、かなりかしこまった場面や、明らかに目上の人に対しては使わない方がいいでしょう。判断できない場合はThank youを使っておけば無難です。
Ta!(タッ、タァ)も「ありがとう」
Cheersと同様に、イギリス英語の特徴的な「ありがとう」の言い方に「Ta!」というものがあります。
これは、知らなければ「ありがとう」と言われているなんて思わないかもしれません。一音ですし、かなり短いです。
Cheersと違うのは、これはネイティヴ以外はあまり口にしない表現だというところでしょうか。少なくとも、英語にあまり慣れていないときは使わない方がいいでしょう。
失礼になるというわけではないのですが、なんとなく変な感じがします。日本語で表すなら、まだまだ日本語がそんなにうまくない外国人が、頑張って関西弁を使っているような感じです。悪いというわけではないですが、なんとなく違和感がありますよね。
こういった言い回しがあるという知識にとどめておいて、自分では使わないのが無難でしょう。
Cuppa欲しい?
これを初めて聞いたとき、cuppaがカッパに聞こえて、英語でカッパはcuppaと言うの?カッパ欲しいってどういうこと?と一瞬混乱したものです。この言葉を使ったのは当時のホストマザー。「Would you like a cuppa?」と訊かれたのでした。
混乱しながらホストマザーを見ると、その手にはティーポット。Cuppaとはcup of teaの略だったんですね。
イギリス人が紅茶を愛しているのは本当で、それは文化の一つとして根付いています。そのために、cup of teaという言葉の略まであるのでしょう。
Would you like a cuppa?という言い方は若干丁寧ですが、そのほかにはFancy a cuppa?という言い方で、お茶でもどう?と訊きます。このFancyについては、次の項目で説明しましょう。
Fancyが好みを表すような表現で使われている
ここまで紹介してきたイギリス英語表現に並んで、これまた非常にイギリスっぽいのが「Fancy」です。これは、〇〇したい、〇〇欲しいのような意味で使われています。
例えば、友達とレストランに行ってメニューを見ているときに「何食べたい?」のような感じで「What would you fancy?」や「What do you fancy?」と訊きます。
遊ぶ約束をしたときなんかにも、「何したい?」の意味で「What do you fancy doing?」と訊いたりもします。
またそれ以外にも、「彼のことが好きなの」の意味で、「I fancy him.」と言ったりします。
それとは別に、「Fancy dress」という言い方がイギリスにはありますが、これはコスプレのことです。オシャレな格好という意味ではないので、間違えないようにしましょう!
Indeedとよく納得している
アメリカ英語では、そもそもIndeedという言葉があまり使われていません。通じるには通じますが、「イギリスっぽいね」と言われてしまいます。
Indeedには「確かに」というような意味があるのですが、イギリスではいろいろな場面で強調をする言葉として使われています。
例えば、「本当にどうもありがとうございます」のように感謝をしっかりと表したいときには「Thank you very much indeed!」という風に言います。
そのほかにも、誰かが言った言葉に同意を示すとき、「その通り!」と言いたいときに「Indeed!」と言います。
普通の会話文でも「It’s very hot today, indeed.」のように使えたりもします。
本当にそんなことしたの?と訊きたいときに「Did you really?」と言うことがありますが、これも「Did you indeed?」と言ったりもします。ただし、この場合にindeedを使うとちょっと皮肉っぽく取られることもあるので注意しましょう。
Innit?がすべての付加疑問文で使われる
付加疑問文とは、「You like English, don’t you?」「It’s cold today, isn’t it?」のdon’t youやisn’t itにあたる部分のことです。
そもそもイギリス人はこの付加疑問文を多用します。日本語だと「〇〇だね」という程度の文章でも付加疑問文をつけます。
そして、付加疑問文にはスラングもあって、それが「Innit?」です。これは、「isn’t it?」が省略されたものなのですが、isn’itではない他の付加疑問文でも使われます。「She’s pretty, innit?」のような感じですね。
これはスラングなので、相当現地生活が長くない限りおすすめしません。使うとしても、親しい友達相手だけにしておきましょう。
言い回しが丁寧すぎる
イギリス英語の特徴というよりも、イギリス人の話し方の特徴かもしれませんが、丁寧な言い方を好む傾向にあります。特に、誰かに何かを頼むときはやたらといろいろな言葉がくっついています。
これにはバリエーションがたくさんあるので、これ!という1つの表現を例としてあげるのは難しいのですが、例えば「窓を開けてもらってもいいですか?」は「Could you kindly open the window, please?」なんて言います。
kindlyと一緒にpleaseまで言ってしまうあたりイギリスっぽいのですが、これはやりすぎると慇懃無礼になったり皮肉になったりもします。
私がイギリスの語学学校に通っていたとき、リスニング教材でこの表現が出て、先生が「これは本当にイギリスっぽい表現だ!」とkindlyを強調しながらこの表現例を口にしていました。
そのほかにも「Would you mind borrowing your pen, please?」なんて言い方もあります。「ペンを貸していただけますか?」ですね。
Could you〜?だとか、Would you〜?というと、丁寧に何かをお願いする言い回しなのですが、イギリスでは友達に対しても割と使う表現です。
何かをお願いする言い方には色々な表現がありますが、イギリスに行くなら、Could you please〜?という一番オーソドックスな言い方はマスターしておきましょう。
イギリスでは、Open the window, please?と、Pleaseをつけただけでは丁寧になりません。まだまだ英語が苦手だという人も、Could you please〜?だけは練習しておくと安心です。外国人慣れしていて気にしない人もいますが、多くのイギリス人は直接的な表現をされると、不快に思ったり失礼だと思ったりします。
そして、何かをしてもらったら、お礼の言葉も必須です。
イギリスは基本的に礼儀を重んじる国で、それが英語表現にも表れています。その点は日本と似ているので、日本人にとっては馴染みやすい英語なのではないでしょうか。
その分、スラングの使いどころを間違えると怖いので、スラングを使いたければごくごく親しい人の間のみにしておきましょう。
このほかにも、イギリスに住んでいると、日本で馴染みのあるアメリカ英語とは全く違う言い回しが聞こえてくるでしょう。慣れるまでは使いこなすのは難しいかもしれませんが、基本的にはアメリカ英語もイギリスで通じるので心配いりません。
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