アメリカのビザの仕組みは、世界でもトップの部類に入るほど複雑だと言われています。世界でも学生ビザを取得する為の面接が用意されているのは、アメリカくらいです。
こういった理由から、留学エージェントへ学校選びからビザの代行申請までをお願いする方が多くいらっしゃいますが、実は学校選びもビザ申請も自分でできるんです!
ここでは自分でできる、アメリカ学生ビザの申請手順を詳しくご説明します。
アメリカでの学校選び
どの地域に行くか
アメリカといっても、州や都市で雰囲気がガラっと変わります。過ごしやすい天候、治安の良さ、公共交通機関の充実度など、留学する上で自分に合う地域を探しましょう。
ニューヨーク、ボストンなどの東海岸、サンフランシスコ、ロサンゼルスといった西海岸は内陸部に比べ留学生が多く、語学学校も沢山あるのでおすすめです。
何を学びたいか
次に重要な学校選びですが、留学して何を学びたいかという目的と、留学する期間や予算などに合わせて学校を決めましょう。
色々な学校のホームページを見比べるのはもちろん、留学経験者の方が語学学校を日本語で比較しているウェブサイトなどもあるので、参考にしましょう。
また学校によってはブログやSNSを開設し、どんなイベントがあるか、授業の雰囲気、先生紹介などの情報を載せている所もあるので、ホームページでは見られない学校の内面を覗くことができます。
中には日本人スタッフが常駐している学校もあるので、日本語でウェブサイトやブログを開設していることもあります。
語学学校を選ぶ時の注意
表向きは語学学校として運営し、実際は滞在する為のビザを売っている学校が摘発されているので、学校選びには注意が必要です。
学費が他の学校に比べてかなり安い、ホームページに授業風景などの写真が全くない場合などは怪しいです。
もちろんちゃんと運営している学校がほとんどですが、見極めが難しい時にはホームページにACCET認定校(米国教育省に記載されている米国で認められている学校)と記載されている学校を選ぶのがいいでしょう。
また授業内容がホームページだけではよく分からない、教科書代がどれくらいかかるかなどの具体的に聞きたいことがある時は、連絡を取り質問してみましょう。わかりやすい英語で答えてくれる所が多いです。
短期留学を検討されている方への注意
90日未満の滞在で週18時間未満の短期留学を検討されている方は、学生ビザではなく、ESTAのみの申請で構いません。ESTAとはビザなしで入国する為の渡航システムで、オンラインで申請できます。
入学願書に伴う書類提出
行きたい学校が決まったら学校側と連絡を取り、入学希望であることを伝えましょう。以下に、入学願書の他に提出する書類をご説明します。
パスポートのコピー、もしくはスキャンしたもの
帰国予定日の6ヶ月以上先まで有効なパスポートが必要です。パスポートを持っていない方はまずパスポートの申請から始めましょう。
入学願書(Application form)
出願方法は主に3種類あります。
- 学校側から送られてきた入学願書に記入後、返送する(メールでやり取りできる場合も有り)
- ホームページから願書をダウンロードして記入、郵送またはメール添付で送る
- 学校のホームページ上にある願書フォーマットに入力する(オンライン出願)
などが一般的です。郵送でやり取りする際は、ミスがあると訂正した願書を再度郵送することになり時間がかかってしまいます。願書は記入ミスのないよう確認し、わからない部分は必ず学校側に聞きましょう。
通常入学願書は1、2週間で受理されますが、提出後連絡がない場合は学校側に問い合わせてみましょう。
入学金支払い(Application fee)
オンライン出願をする場合、入力の一番最後にクレジットカードで入学金を支払う場合が多いです。また学校の口座へ海外送金を指定されることもあり、その際は学校側から請求書が届きます。
他には銀行小切手、トラベラーズチェックを入学願書に同封して支払う方法などもあります。海外送金や小切手は手数料がかかるので、選べる場合はクレジットカード払いを選択するのがおすすめです。
残高証明書×2通
どの学校でも必ず必要になるのが残高証明書です。学生ビザではアルバイトはできないので、留学費用が十分にあるということを証明します。
アメリカの学校に提出するので、必ず英文、ドル立てで発行してください。銀行や郵便局で英語のテンプレートが用意されているので、自身での翻訳は不要です。
万が一日本語、日本円で作成すると再発行を要求されるので注意して下さい。
また必ずしも留学する本人名義の口座でなくても構いません。親名義の口座でも大丈夫ですが、その際戸籍謄本の発行とその翻訳が必要になるので、自分名義の口座に一度お金を移してから、作成する方が書類が少なくて済みます。
必要金額は学校によって異なりますが、学費や生活費を考慮した額で、ドルで指定されます。為替レートが大幅に変わる時期には注意が必要です。
そして金額は少なすぎても多すぎてもいけないので、指定額からその2倍くらいの範囲内で証明を作成しましょう。
極端に金額が多すぎると、どういった経緯でお金を用意したかを探られます。例えば不正に得たお金ではないか、もしくは学生ビザで渡航した後に、現地でビジネスを開始するのではないかと疑われてしまいます。
この残高証明書はビザの申請時にも必要なので、願書用に1通、ビザ用に1通で合わせて2通作成しておくといいでしょう。
滞在施設の申し込み
必ずしも入学願書と同時に申し込みが必要ではありませんが、願書と一緒に滞在施設はどうするかを聞かれる場合が多いです。
大学のほとんどがキャンパスそばに位置する学生寮を完備していて、語学学校では提携している寮の紹介や、ホームステイを斡旋している場合が多く見られます。その他シェアハウスや、アパートを借りることもできます。
英語力証明
短大、大学、専門学校などに入学する場合のほとんどは、TOEICやTOEFLなどで学校で定められた点数以上を獲得しなければなりません。獲得点数の記載されたスコアレポートを提出しましょう。
語学学校の場合は基本的に必要ありませんが、ビジネス英語など英語力の証明が必要なコースもあります。
ビザ取得までの期間を考慮し、遅くても入学する3ヶ月以上前には提出しましょう。また学校によって必要書類が異なるので、上記以外の書類が必要な場合もあります。
必要な書類準備(前編)
入学手続きが受理されたら、1〜2週間ほどで入学許可証が届きます。それまでの期間に準備できる書類を前編として説明していきます。
過去10年間に発行されたパスポート
願書提出前に用意した現在有効なパスポートの他に、過去10年間に発行されたパスポートがあれば期限が切れていても必要です。
また過去にアメリカのビザを取得したことがある場合は、10年以上前でもそのビザが貼ってあるパスポートが必要です。
あくまで有効期限内のパスポートが重要なので、いずれも紛失してしまった場合は、なくても大丈夫です。過去にビザを取得しているかどうかは、大使館側で指紋を採取し把握しているはずなので、紛失届などの書類は不要です。
証明写真
サイズは5cm×5cm、頭から顎先までは25mmから35mm以内、6ヶ月以内に撮影されたカラー写真で、背景は白と細かく決まっています。
白い背景で撮影しても、照明の具合でグレーっぽく見えてしまうと、再提出となる場合があるので、仕上がりを確認した上で印刷しましょう。メガネは外した状態で撮影して下さい。
証明写真機で撮ることも可能ですが、最近ではビザ写真の規格を熟知した写真店も多いです。
また印刷した証明写真1枚の他に、デジタルファイルも必要となるので、多少費用がかさんでも写真店で撮影し、印刷したものとデータをもらうのが確実です。
残高証明書×1通
入学手続きの際に準備したものです。
必要な書類準備(後編)
入学許可証であるI-20(アイトゥエンティ)と呼ばれる書類が届いたら、書類準備後編に入ります。I-20は学校側の直筆サインが入っているので、必ず郵送で送られてきます。
右上の赤枠がSEIVIS IDというNから始まる番号で、下記の書類作成時に必要です。また受け取り後、下の方に自分の名前、サイン、日付を書き入れて下さい。
DS-160確認ページ
(必要なもの:I-20、パスポート、証明写真のデジタルファイル)
DS-160はオンラインで作成するビザの申請書を指します。作成が完了すると、Confirmationという上記画像のようなバーコードが付いた確認ページが出てくるので、このページが書類として必要になります。
まずアカウントを作るため個人情報の入力からスタートし、全て入力し終えるまでに1時間半ほどかかりますが、途中で中断し保存することができます。
再開する際には、アカウントにあたる申請ID番号というもAAから始まる番号が必要になるので、必ず控えましょう。
また全文英語ですが、日本語訳が付いてますし、大使館ホームページでDS-160作成手順の動画もあるので、心配いりません。
SEVIS費用の支払い済証明書
(必要なもの:I-20、クレジットカード)
SEVIS(セーヴィス)費用とはアメリカ移民局へ支払う費用で、不法入国者を防ぐ為にできた、留学生入国データベースに使用されます。
こちらもオンラインで手続きしますが、英文のみで日本語訳は付いていません。しかし個人情報と支払い情報の入力だけなので、5分程で終了します。
支払い方法はクレジットカードのみの取り扱いとなっていて、面接3日前までに支払いが必要です。
またここではSEVIS IDというものが必要になりますが、、I-20に記載されているNから始まる番号を指しています。
支払いが完了したら、支払い済証明書を印刷します。金額は現在200ドルで、日本円で22,600円です。申請時によって金額が変わることがあるので、支払い前に必ず確認して下さい。
1ドル=約113円
面接予約
(必要なもの:パスポート、I-20、DS-160確認ページ、クレジットカード)
DS-160確認ページが出来上がったら、いよいよ面接予約ができます。
アカウント作成、ビザ申請料金の支払い
予約する為には、DS-160やSEVISの入力とは別に、米国大使館のホームページ上でアカウントを作成する必要があります。アカウント作成後、ビザ申請料金を支払います。
ややこしいのですが、このビザ申請費用はSEVIS費用とは異なり、ビザ申請料金はアメリカ大使館に支払うものです。
金額は現在160ドルなのですが、ここでは大使館ホームページに記載されている領事部で決められた為替レートで計算され、支払い時の実際のレートとは異なるので注意が必要です。
またビザ申請料金(http://www.ustraveldocs.com/)も予告なく変わる場合があるので、注意して下さい。
1ドル=115円で、現在のビザ申請費用は18,400円です。
支払い方法はpay-easy対応のATM、インターネットバンキング、クレジットカードのいずれかとなります。ここでもクレジットカードでの支払いが一番早く完結し、手数料がかからないのでおすすめです。
インターネットバンキング、クレジットカードで支払うと、12桁の受付番号を含んだ支払い完了ページが表示されます。
この受付番号がわからなくなると、面接の予約ができません。また支払い後であっても、番号がわからない場合は重複して料金を払うことになるので、必ず番号を控えるか、このページを印刷しておきましょう。
ATMで支払う場合は、利用明細書を必ず印刷し、保管して下さい。
面接予約
その後再度ログインし直し、面接予約をします。学生ビザの面接は東京にあるアメリカ大使館の他に、大阪、那覇、福岡、札幌それぞれにある領事館での面接も可能です。
自分の希望する日時と場所を選択できますが、東京、大阪では平日毎日面接を行っているのに比べ、那覇は月8回程度、福岡や札幌は月2回程度と限られた日数しか行なわれていません。
また面接後ビザ発給の為、パスポートは大使館側で預かられます。手元に戻ってくるまでに、1週間〜10日ほどかかるので、渡米予定日に間に合うよう、余裕を持って予約しましょう。
面接予約が完了すると、下記の確認書ができるので印刷しましょう。
面接
面接と聞くと正装して行くイメージがありますが、普段着で構いません。面接自体は個室ではなく、銀行のようなガラス越しの窓口で立ったまま行われます。
また予約時間は面接開始時間ではなく、大使館、領事館に到着する時間のことを指します。予約時間から15分前頃に到着するよう向かって下さい。
面接自体は5分程度で終わりますが、入館からセキュリティチェック、受付、指紋採取、面接までの待ち時間を含めると1〜2時間かかります。那覇、福岡、札幌で受ける方は、もっと短い時間で済む場合が多いです。
入館後、携帯電話は預けなければいけないので、待ち時間用に本を持って行くのがおすすめです。
持ち物
用意した書類を下記の順番でクリアファイルに収めます。
- 顔写真のページを開いた状態のパスポート
- DS-160確認ページ(顔写真のページのみ)
- 証明写真を逆さ向きにしてファイル左上にテープで留める(画像赤枠)
- I-20、SEVIS費用支払い済み証明書、残高証明書(この順番は問いません)
- ファイルの裏面からバーコートを読み取れるよう、面接予約確認書を表裏にする
書類に不足や不備があると、面接が受けられない場合がありますので、事前に確認しましょう。
福岡、札幌で面接を受ける方への注意
上記2箇所で面接を受ける場合、面接時に書類を持参するのではなく、郵送が必要です。
大使館から宛先が印刷されたレターパックが送られてくるので、上記書類を同封し、封筒裏に面接日時を記入しましょう。
ただしパスポートはコピーしたものを代用して、面接の1週間前までに届くよう投函して下さい。当日の持ち物はパスポートのみで大丈夫です。
投函する場合も書類が不足していると面接が受けられないことがあるので、投函前に必ず確認しましょう。この他持ち込み可能なのは、携帯電話1台、傘、25cm×25cm以内のバッグとなっています。
入館前に手荷物検査があり、持ち込みできない荷物を所持している場合、最寄り駅のコインロッカーに預けるかその場で捨てるよう促されるので、必要最低限の荷物にするか、事前にコインロッカーに預けるなどしてから向かいましょう。
館内は米国とみなされる為、手荷物検査後、セキュリティゲートをくぐり、携帯電話を預けます。
その後入館し、受付を済ませ、指紋採取まではそこまでの待ち時間はかかりません。特に大使館は沢山の人が訪れるので、東京で受ける方はここから待ち時間が長くなります。
ビザ面接
内容は領事(面接官)によって異なりますが、英語で面接可能かを最初に聞かれます。
もし英語で面接が始まって、内容がわからない場合は、ゆっくり話してもらうよう頼んだり、通訳が必要である旨を必ず伝えて下さい。わからないまま面接を進めるのは危険です。
次に名前、アメリカのどこに留学するのか、期間、なぜ留学したいのかなどを聞かれます。
ここで重要視されるのは留学した後のことで、領事は入国した後不法に居座らないかを見ています。留学した後、日本に帰ってきて何をしたいかを明確に伝えて下さい。
ビザが承認されるかは面接終了時、その場で領事が答えます。承認されるとパスポート以外の書類は返却されます。ビザ付きのパスポートは、面接後1週間から10日ほどで自宅に郵送で届きます。
面接が終われば、早速渡米準備にかかりましょう!ここまでのプロセスは長く複雑に思えますが、この申請手順自体も経験になりますし、終わると達成感を味わえます。
もちろんスムーズに留学の道を歩むために、エージェントにお願いするのも一つの方法ですが、代行申請するよりも沢山の情報を得られる上、自信にもなります。是非自分の手で学生ビザ申請をして、留学を成功させましょう!
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