大イベント!スペインの重要な宗教行事セマナサンタ(聖週間)

プロセシオンに参加する人々 スペイン生活・移住

「セマナサンタ(聖週間)」はスペインの重要な宗教行事です。

セマナサンタは、亡くなってから3日後に復活したと言われるキリストの復活を祝うお祭りで、キリスト教で最も重要な行事の一つです。

特にセビリアのセマナサンタは有名で、春祭りと並ぶ大きなイベントとなっています。この記事ではセビリアのセマナサンタについて、ご紹介します。

セビリアのセマナサンタは有名

セビリアのセマナサンタ

セビリアのセマナサンタはスペイン全土で見ても規模が大きく、大変有名です。セビリアのセマナサンタを見るために、スペインはもとより他国からも人が訪れるほどです。

セビリアの人でセビリアのセマナサンタが好きな人も多く、「美しい芸術とキリストやマリアの行進、それに伴う感情が見られる」として誇りに思っています。もちろんセビリアの人でもセマナサンタが好きではない人もいます。

好きでない理由はキリスト教の考え方が好きでない、セマナサンタという行事自体が好きでないなど様々です。

セマナサンタの時期

セビリアのセマナサンタ

セマナサンタは毎年日付が変わります。土曜日に始まり、9日後の日曜日に復活祭をもって終わります。春分の日の後の最初の満月の次の日曜日が復活祭の日となります。

セマナサンタの各日にはDomingo de Ramos(ドミンゴ・デ・ラモス)、Lunes Santo(ルーネス・サント)、Madrugada(マドゥルガ)、などの名前が付いています。

キリストが亡くなる木曜日の夜中(金曜に日付が変わった夜中)のMadrugadaが一番重要と言われています。Madrugadaはキリストのお葬式にあたるので、敬虔なクリスチャンの中にはお葬式用の服を着て参加している人もいます。

セマナサンタで「プロセシオン(行進)」を見る

セビリアのセマナサンタ

セマナサンタでは各教会が所有する台にキリストとマリアの像を乗せ、豪華に飾り付けて、それを教会からセビリア大聖堂まで運びながら行進します。この行進を「プロセシオン」と呼びます。

キリストとマリアにそれぞれのプロセシオンがあり、キリストの台をクルス(Cruz)、マリアの台をパリオ(Palio)と言います。

プロセシオンは音楽に合わせて歩く場合もありますし、音楽なしの場合もあり、教会によりプロセシオンの内容は大きく異なります。教会ごとにプロセシオンが出発する時間は異なります。

例えばLa Esperanza de Triana(ラ・エスペランサ・デ・ラ・トリアナ)のJesus(キリスト)は木曜日のMadrugadaの2:00、La Virgen(マリア)はMadrugadaの3:30、というような形です。

セビリアには50近くのプロセシオンがあります。どの教会のプロセシオンがいつ出発するのか、何時頃にどこの通りを通過する予定なのか等の情報は、インターネットやセマナサンタの冊子に掲載されますので、セマナサンタを見に来る場合はそれらで確認するようにしましょう。

各教会のプロセシオンはセビリア大聖堂に着いたら中に入り、ペニテンシア(penitencia)と呼ばれる懺悔の参詣を行います。

キリストのプロセシオンはキリストのあらゆる場面を表しています。有名なのは「Tres Caidas(トレス・カイーダス)」と呼ばれるキリストが十字架から倒れる場面を示したものです。

マリアのプロセシオンはマリアが祈るように立っている場面が多いですが、福音書の著者の一人であるサン・フアン(San Juan)に勇気付けられている場面もあります。

プロセシオンに参加する人々

プロセシオンに参加する人々

プロセシオンに参加する人々はキリストやマリアの台を担いでいる「コスタレーロ(costarero)」、長い三角の頭巾のようなものをかぶった「ナサレノ/ナサレナ(nazareno/nazarena)」、「エルマノ/エルマナ(hermano/hermana)」と呼ばれる信者たちと音楽を奏でるバンド(banda)で構成されています。

プロセシオンは各教会を出発してから街を周りながらセビリア大聖堂へ向かい、今度はセビリア大聖堂からまた街を周って教会に戻ってくるまで、プロセシオンによっては12時間行進を続けます。

キリストやマリアの台を担いでいるコスタレーロは途中で交代しています。担ぎ終わった彼らの肩は真っ赤で、大変な仕事なのだということが見てわかります。

セマナサンタのプログラムに記載されている各教会を出発する時間はナサレノ達が出発する時間で、キリストやマリアはナサレノ達の列の後で登場します。多い教会だと2,000〜3,000のナサレノ達がいます。

セマナサンタのプログラムには各通りに到着する時間が記載されていますが、それは最初のナサレノ達が到着する時間の目安なので、実際にキリストやマリアが到着するのは記載時間よりも遅い時間となります。

プロセシオンの特徴

プロセシオン

各プロセシオンはそれぞれ異なる特徴を持っています。音楽に合わせて行進するプロセシオンもあれば、音楽なしで行進するプロセシオンもあります。

ナサレノ達がかぶっている三角の頭巾の色はプロセシオン(教会)ごとに異なります。

音楽に合わせて行進するプロセシオンはバンドが奏でる音楽に合わせて右に行ったり、左に行ったり、大きく前進したり、と各プロセシオンの個性を見せます。

特にキリストのプロセシオンは芸術的とも言える行進を見せてくれるので、見ている人たちも思わず「オレー」と発して拍手するほどです。

セビリアのLa Esperanza de Triana(ラ・エスペランサ・デ・トリアナ)やSan Gonzalo(サン・ゴンサロ)のキリストのプロセシオンは音楽に合わせたダイナミックな行進が有名です。

また、Los Gitanos(ロス・ヒターノス)のプロセシオンはフラメンコのブレリアの3拍子のようなリズムに合わせて行進するので、大変印象的です。

マリアのプロセシオンはキリストのプロセシオンに比べるとダイナミックな動きは少なく、穏やかな印象のものが多いです。

キリストやマリアを担いでいるコスタレーロは台が布で覆われているので、前が見えていません。コスタレーロに指示を出す人が先頭にいて、通りを歩く時は「右、左」などの指示を出しています。

このプロセシオンのためにコスタレーロやバンドのメンバーたちは、セマナサンタが始まる数ヶ月前から練習しています。教会によっては一年中練習しているのではないか、と思うほど熱心に取り組んでいます。

そのため、雨が降ってプロセシオンが中止になるとプロセシオンのメンバーの中には、人目もはばからず号泣する人も大勢います。

スペインの別の地域では台が布で覆われていなかったり、プロセシオンの途中で劇のようなものを挟んだりすることもあるそうです。

セマナサンタの歌「サエタ」

セマナサンタ

「サエタ(saeta)」はバルコニーなどからプロセシオンに向けて歌われるセマナサンタ特有の歌で、フラメンコの一種です。サエタを歌う人たちのことを「サエテーロ/サエテーラ(saetero/saetera)」と呼びます。

セビリアではかつて、有名なフラメンコのカンタオール/カンタオーラ(歌い手)がサエテーロ/サエテーラとして活躍していたこともあるそうで、現在においてもフラメンコのカンタオール/カンタオーラがサエタを歌うこともあります。

サエタはスペイン語で「矢」を意味するので、バルコニーからプロセシオンに放つ「矢」という意味を持っているのかもしれません。このサエタが歌われる瞬間はバンドの演奏も止まり、あたりはシーンと静まり返ります。

伴奏なしで静寂の中歌われるサエタは神聖なセマナサンタを表すシンボルの一つとも言えるでしょう。

セマナサンタの時期のお菓子「トリハス」

トリハス

セマナサンタの時期に食べられるお菓子は「トリハス(torrijas)」と言います。

トリハスはフレンチトーストのようなもので、牛乳にワインやシナモンが入ったものに食パンを浸し、卵をつけてオリーブオイルで食パンを揚げて、最後に砂糖やハチミツをかけます。

セマナサンタの時期は、このトリハス用の食パンがスーパーマーケットで売られています。セビリアのバルではトリハスを提供しているところもありますが、どちらかというと家庭で作られるおやつのようなイメージです。

セマナサンタを見る際の注意点

セマナサンタ

セマナサンタは大変多くの人が一同に集まる宗教行事です。プロセシオンが見られる通りはとても混雑しているので、貴重品には十分気を配りましょう。また、一緒に行く人とはぐれてしまわないように注意してください。

セマナサンタでの服装

プロセシオンを見に行く際に、セビリアの人はきちんとした格好で来る人も多いです。男性ならシャツにジャケット、女性はワンピースなど。

そこまでかしこまった正装で行く必要はないかと思いますが、観光客丸出しの格好で行くと浮いてしまうかもしれないので、落ち着いた服装で出かけた方が無難です。

ホテルが値上がりする

セマナサンタの時期はセビリアに大勢の人が集まるので、ホテルの宿泊料金が値上がりします。通常時の1.5〜2倍の値段、場合によってはそれ以上の値段に設定されていることもあります。

利便性の高いホテルの部屋は埋まりやすいので、宿泊施設は早めに予約することをおすすめします。

ホテルの宿泊料金と同様、中心地にあるバルはセマナサンタ価格になっているところも多いです。

例えば普段はビールが1杯1.2ユーロで飲めるところが1杯2ユーロになっていたり、タパスが頼めず全て大皿料理しか頼めないなど、通常と異なる営業をしているバルがあります。

セビリアはバルの食事料金が安いですが、セマナサンタの時期はそうとは限らないので頭に入れておく必要があります。

よく勉強してセマナサンタを見よう

セマナサンタ

主にセビリアのセマナサンタについてご紹介しましたが、セマナサンタはスペイン全土で開催される大変重要な宗教行事です。

スペイン人の中にはセマナサンタが好きではない人もいますが、セマナサンタのことを知らない人はいません。スペインで生活して行く上で、セマナサンタについてはある程度知識を持っておいた方が良いと思います。

旅行でセマナサンタの時期にスペインに訪れる場合は、セマナサンタの予備知識を持った上で行動すると、より深くセマナサンタを理解できると思います。

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