日本には「納税の義務」というものがあり、国の維持と発展のために税金を納めることが国民の義務であることは皆さんご存知ですよね。
私が住むオーストリアにももちろん日本と同様、税金は存在します。
ここでは、オーストリアの2つの税金、旅行者にも在住者にも関係のある消費税と、働くなら知っておかなければならない所得税についてお話ししたいと思います。
※1ユーロ=約132円
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オーストリアの消費税は何パーセント?
住んでいる人にも、観光で訪れている人にもかかってくる税金といえば消費税です。
オーストリアの消費税はMehrwertsteuer(メアベアトシュトイアー)といい、日本語では「付加価値税」と呼ばれます。
ものによって異なる税率
オーストリアの付加価値税は基本的には20パーセントです。8パーセントの日本よりはずいぶんと高い割合の印象を受けますね。
ただし、食品や公共交通機関、医療品など生活する上で特に必要になるものは10パーセントに設定されており、収入が少ない人にも負担のかからない仕組みになっています。
また、美術品、劇場や美術館、映画館などの入場券など、芸術に関するものなども13パーセントと低めに設定されています。さすが芸術活動が盛んなオーストリアですね。
表示金額は税込み
お店の値段表示は税込みの金額なので、買い物をする際に税金分を計算する必要はありません。
そのため、普通に生活している分には実際に付加価値税をどれくらい支払っているかを気にすることは少ないでしょう。
※オーストリアのレシート。「MWST.」とあるのが消費税。
オーストリアでタックスフリーで買い物するには?
楽しい海外旅行では、ついついお財布のひもが緩みがち。たくさん買い物をしてしまった場合、免税の手続きをすることを忘れないようにしましょう。
免税が適用される条件
- 18歳以上
- EU加盟国内に住所がない
上記に当てはまる人はオーストリアでの買い物が免税となります。ただし、免税手続きできるのは一つのお店で75ユーロ(約9900円)以上の買い物をしたときのみです。
町中のたいていのお土産屋さんや大きなショッピングセンターでは免税の用紙をもらうことができるので、75ユーロ以上の買い物をしたときは「タックス・フリー・ビッテ」といって免税用紙を作成してもらいましょう。
EUを出る最終地点の税関でこの用紙にスタンプを押してもらいます。
スタンプをもらうために必要なもの
免税用紙に加えて、下記が必要になります。
- パスポート
- 航空券
- 未使用の購入品
- 購入品のレシート
免税を受ける商品は未使用でなくてはなりません。免税を申請するまで封は破らないよう気を付けましょう。
スタンプを押してもらったあとは、払い戻しカウンターで約13パーセントの現金を受け取ることができます。13パーセントは結構大きいので、是非利用したいですね。
オーストリアの所得税って誰がどのくらい払うの?
日本と同様、オーストリアにも所得税が存在します。オーストリアでは所得税のことをEinkommensteuer(アインコメンシュトイヤー)といいます。
低収入なら免除も
所得税は、オーストリアで生活しお金を稼いでいる人ならば誰もが支払わなければならないものです。
ただし、低収入の人はこの限りではありません。所得税を払わなくてもよい収入の上限額も定められています。
この上限額は、会社などに勤めている人は年間12,000ユーロ(約158万4000円)、自営業の人は11,000ユーロ(約145万2000円)とされています。
収入が多いほど税率は高くなる
所得税率には7つの段階があり、収入が多いほど高くなります。
この税率は2016年から新しくなりました。以前より、収入が少ない人に優しい税率となっています。
年収:税率
- 11,000ユーロ(約145万2000円)以下:0パーセント
- 11,000~18,000ユーロ(約145万2000~237万6000円):25パーセント
- 18,000~31,000ユーロ(約237万6000~409万2000円):35パーセント
- 31,000~60,000ユーロ(約409万2000~792万円):42パーセント
- 60,000~90,000ユーロ(約792万~1188万円):48パーセント
- 90,000~1,000,000ユーロ(約1188万~1億3200万円):50パーセント
- 1,000,000ユーロ(1億3200万円)以上:55パーセント
かなり細かく税率の段階が分けられているのが見て取れると思います。
一生懸命働いて収入が増えると税率も上がります。そのため、せっかく忙しく働いたのにもかかわらず、手元に残るお金は働かなかったときとほとんど変わらない、ということも起こり得るのが現実です。
オーストリアにも確定申告はあるの?
ドイツ語で確定申告のことをSteuererklärung(シュトイヤーエアクレールング)といいます。
確定申告が必要なケース
オーストリアでは、以下のような条件に当てはまれば確定申告をする必要があります。
- 自営業で働いていて、年間の収入が11,000ユーロ(約145万2000円)以上ある場合
- 自営業の収入が730ユーロ以上あり、自営業以外の収入と合わせたときに年間12,000ユーロ(約158万4000円)を超える場合
- 一つの企業から得る収入が年間11,000ユーロ(約145万2000円)以上である場合
- 税務署=Finanzamt(フィナンツアムト)から確定申告をするよう要求された場合
確定申告ってどうやったらいいの?
FinanzOnlineという税務署のインターネットサイトで自分で確定申告を行うことが可能です。インターネットでしたくない人などはもちろん、紙に書いて税務署に提出する方法でも大丈夫です。
ただし、日本語でもややこしい確定申告、ドイツ語で自力で行うのはなかなか難しいですよね。
どうやって確定申告をしてよいかわからない場合は、税理士「Steuerberater(シュトイヤーベラーター)」に依頼するとよいでしょう。お金はかかりますが、確実な上に時間を節約することができます。
忘れずに毎年申告を
確定申告は面倒な作業ですが、忘れずにきちんと行うよう心がけましょう。
できれば1年ごとに行うのがベストですが、忘れてしまったり時間がなかったりした場合には5年間遡って申告することも可能です。
後から申告する場合に困らないよう、買い物のレシートや報酬の明細書などは捨てずに必ず取っておきましょう。
まとめ~義務を果たして暮らしを楽しもう
世界中どこに住もうが税金からは逃れられません。オーストリアの税金は決して安くはありませんが、その税金で世界に誇れるほどの住みやすい国づくりが行われています。
果たすべき義務はきちんと果たし、その分、行政サービスをきっちり受けて、オーストリア生活を存分に楽しみましょう。
ただ、自分がどれくらいの税金を払っているのかは把握しておきたいところですね。
※この記事の内容は2017年7月現在のものです。
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