スペインと日本の間でワーキングホリデー協定への署名が行われたと、2017年4月に外務省より発表されました。そして2017年7月1日、スペインのワーキングホリデー・ビザの申請受付がスタートしました。
私自身は学生ビザでスペインに渡り、現在セビリアに住んでいますが、スペインのワーキングホリデー・ビザを取得するための条件や申請方法について、またスペインでの仕事はあるのかどうかをご紹介します。
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ワーキングホリデー制度とは
ワーキングホリデーは、休暇を目的として協定国に滞在し、滞在中は旅費や生活費を補うために働くことができる制度で、多くの国で1〜2年の滞在が許可されています。仕事以外にも、旅行をしたり、語学学校に通ったりすることが可能です。
ワーキングホリデーの目的は、生活様式などを理解することにより日本と相手国との相互理解を深めること。日本のワーキングホリデー制度は1980年にオーストラリアとの間で始まり、スペインは18カ国目に当たります。
ワーキングホリデー・ビザの発給は国によって違いがありますが、主な条件は
- ビザ申請時の年齢が18〜30歳
- 扶養者は同伴しない
- 健康である
- 滞在初期と旅費などの十分な資金がある
- 以前にその国のワーキングホリデー・ビザを取得したことがない
などとなっています。
スペインのワーキングホリデー・ビザの取得条件
スペインのワーキングホリデー・ビザの発給対象は年間500人、ただし2017年は250人となっています。
では、そのビザを申請するための条件はどのようなものなのか、具体的に見ていきましょう。
まずは、特に気になる年齢や費用などの基本的な項目を挙げてみます。
- 日本国籍を保有し、日本在住であること(申請時点で3ヶ月以上日本に居住していることが必要)
- ワーキングホリデー・ビザ申請時の年齢が18歳以上30歳以下であること
- 有効なパスポートを所持していること
- スペインへの十分な旅費(飛行機代)があること
- スペインでの初めの3ヶ月の滞在費をまかなえる資金があること(具体的には月532.51ユーロ〈約69,200円〉×3ヶ月=1597.53ユーロ〈約207,700円〉に相当する額)
年齢については申請時のものなので、理論的には現在30歳の人でも31歳になる前に申請すれば間に合います。
また、日本・スペイン間の往復交通費の目安は600〜1,000ユーロ(約78,000〜130,000円)です。ただし、生活費は地域によって差が出ます。詳しくは本項目の最後にある記事を参考にしてください。
条件の確認を続けましょう。
- 犯罪歴がないこと
- 扶養者を同伴しないこと
- 以前にスペインでワーキングホリデーを利用したことがないこと
犯罪歴については、無犯罪証明書の提出は必要なく、ビザ申請の際に提出する宣誓書(後述)での申告でOKです。
この他、けがや病気の際の治療費などをカバーする海外旅行保険への加入が推奨されています。
最後に、期間について見ておきましょう。
- 滞在期間は最長1年間
- 滞在終了時には速やかにスペインを出国すること
- 滞在中に滞在資格の変更(他のビザへ切り替える)などはしないこと
詳しくは在日スペイン大使館のホームページで確認してください。
スペインのワーキングホリデー・ビザ申請に必要な書類
時間のかかりそうなものから順にご紹介します。書類によっては発行から◯日以内という条件があるのでご注意ください。
経済能力の証明
金融機関または郵便局が発行した口座の残高証明書、あるいは本人名義の通帳のどちらかを提出します。
上記のように、最低でも1597.53ユーロ(約207,700円)の滞在費を証明しなければなりません。また、航空券が往路のみの場合は復路の航空券代を追加する必要があります。
残高証明書
自分が口座を持っている銀行支店の窓口で発行してもらえます。
和文で提出可能ですが、押印された証明書が必要です。また、発行から1ヶ月以内のものが有効です。
銀行通帳のコピー
本人名義の通帳の表紙と、申請時点までの数ヶ月間の出入金のコピーを提出します。
健康診断書
スペイン大使館の診断書雛形に沿って医師に記入と捺印をしてもらい、さらに病院の押印が必要です。発行日から1ヶ月以内のものが有効です。
雛形はスペイン大使館のホームページから入手できます。以下のページから「ワーキングホリデービザ」をクリックしてください。
大使館からの指定病院は特にないので、事前に病院へ健康診断書を見せて対応してもらえるかどうか確認しましょう。
学生ビザ取得時の私の例となりますが、特別な検査はなかったので、診断書の作成はその日のうちにしてもらえるのではないかと思います。
航空券
日付が選べるオープンチケットでの往復便、または往路のみの航空便を予約します。
上述の通り、往路のみの場合、経済能力証明に復路の航空券代を含まなければなりません。
住民票
発行から90日以内のもの。先に条件の項目で述べた通り、申請時点で3ヶ月以上日本に居住していることが必要です。
査証(ビザ)申請書
上記スペイン大使館のホームページからダウンロード可能。名前や生年月日、入国予定日などを英語かスペイン語で記入します。
大使館のページには書き方見本がないので、必要な場合は大使館領事部に連絡して見本を送ってもらえるか聞いてみましょう。
写真(4.5×3.5cm)1枚
カラー写真で背景が白と指定があります。査証申請書の右上に貼り付けて提出します。
旅行日程表
現地での仕事、勉強、旅行などの計画を日付とともに英語かスペイン語で記入します。用紙は大使館ホームページからダウンロードしましょう。
NIE(外国人登録番号)申請書
学生ビザの場合はスペインに到着してから行うNIEの申請ですが、ワーキングホリデー・ビザではNIEの申請も同時に行うことが必要です。別途NIE申請費がかかり、ビザ申請時に一緒に支払います。
こちらも上記スペイン大使館のホームページからダウンロードできます。
ワーホリビザ申請に伴う宣誓書
スペインのワーキングホリデー制度の条件について同意していること、また追加で書類の提出などを求められる場合はそれらを提出することに同意する旨を示す宣誓書にサインして提出します。
スペイン大使館のホームページから入手しましょう。
パスポートとコピー1部
スペインへの入国予定日から1年以上有効のパスポートを準備します。コピーは写真と個人データが記載されているページが必要です。
なお、パスポートはビザ発給までの間、大使館に預けます。
返信用定型封筒
住所、郵便番号、宛名を記入し、切手を貼った封筒を用意します。私が取った学生ビザのケースでは、申請書類はきちんと準備したにもかかわらず、意外とこの切手の貼付を忘れてしまうケースが多いようです。
近くのコンビニでも買えるので最悪忘れても問題ありませんが、事前にチェックするようにしてください。
この封筒に「ビザの交付手続きが終わりました」という通知が入って返信されますが、切手がないと届きません。
その他
海外旅行保険
上述の宣誓書には、保険に加入しなければ治療などに関する費用が全て自己負担になることを確認する記載があります。
海外旅行保険は任意加入ですが、滞在中に何があるか分かりません。万が一のことを考え、費用がかかっても保険は加入していくことをおすすめします。
宿泊証明書
学生ビザの申請では必須の宿泊証明書。ワーキングホリデー・ビザでは義務付けられてはいませんが、補足資料として提出可能です。
また、無事にビザを取得しスペインへ渡ったら、入国後1ヶ月以内に最寄りの警察署(外国人事務所)への住民届(EMPADRONAMIENTO)の提出が必要です。
※2020年11月現在、ビザ申請には上記に加えてスペイン警察への提出書類が必要です。スペイン大使館のホームページからダウンロードできます。
スペインのワーキングホリデー・ビザの申請方法と発給期間
ビザ申請は、東京にあるスペイン大使館領事部に直接赴いて行う必要があります。郵送やインターネットでの申請はできません。
ワーキングホリデー・ビザの発給にかかる期間は約8週間です。入国希望日から逆算して約8〜10週間前に申請するとよいでしょう。入国希望日の90日以上前の申請は早すぎるとして受け付けてもらえないので、ご注意ください。
スペインで日本人ができる仕事はあるの?
さて、気になるのは、せっかくワーホリビザを手に入れたとしても、仕事がないと言われているスペインで日本人が働けるのかというところですね。
スペインは、若者の失業率が50%を超えるとも言われている就職難の国です。地域差はありますが、実際、働きたくても仕事の見つからない若いスペイン人が大勢います。
そんなスペインなので、スペイン語力もあまりない日本人ができる割の良い仕事は少ないということは想像できると思います。
日本のような好条件の仕事にはめぐり合えない可能性があるので、そのあたりは事前に承知しておいた方がいいでしょう。
仕事があっても時給は安い
私は南のアンダルシア地方のセビリア在住ですが、セビリアでは日本人ができる仕事を見つけるのは大変難しいと言えます。
日本食レストランは数えるほどしかなく、日本人以外が働いていて問題なく回っているので、日本人が必ずしも必要とされているわけではありません。
また、セビリアの友人(スペイン人)に聞いたところ、バルで働いた場合の時給は3〜5ユーロ(約390円〜650円)程度と言っていました。
この給与水準だと、日々の生活費を稼ぐので精一杯なので、お金を貯めるということは難しそうです。
大都市なら可能性はあるかも
しかし、マドリッドやバルセロナなどの観光客が大勢集まる大都市では、観光や日本食レストラン関連など日本人ができそうな仕事があると言われています。
こういった都市は生活費が高いですが、その分、給与水準も高く設定されています。
まとめ~1年間限定の特別な体験を
2017年7月に始まったばかりのスペインのワーキングホリデー。この制度を利用して、スペインの生活を体験しながら働いてみませんか。
言語も文化も異なる環境での暮らしや仕事を経験する中で、特別な思い出ができること間違いなしです。
なお、スペインはマドリッドやバルセロナなどの都会は英語が通じますが、その他の地域では英語がほとんど通じません。大変な反面、スペイン語にどっぷり浸かった生活ができますよ!
※この記事の内容は2017年7月現在のものです。最新情報はご自身でご確認ください。
駐日スペイン大使館「ビザ」
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