イギリスで仕事を始めて10年が過ぎました。こう言うとかっこいいですが、苦労の連続でした。特に、就職活動のときはわからないことだらけで恥のかきっぱなし。
この記事では、イギリスで就職したいというみなさんに向けて、私の体験をもとにイギリスでの就職活動をシミュレーションしてみようと思います。
なお、私の仕事は日本語教師なので、就職活動と採用方法について一般企業とは違うところもあると思います。以下の記事も参考にしてみてください。
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記事の目次
イギリス就職活動のプロセス1. 書類の準備
イギリスでの就職活動は、順調にいけば【書類の準備→応募→書類審査合格→採用試験と面接の準備→面接→通知】となります。
私は日本語教師なので、採用試験として模擬授業や実際の授業、またはプレゼンテーションをしたことがあります。採用試験が特にないこともありました。
求人を探すとき、前後してしなければならないのは書類の準備です。これがとても大変なんです!私も初めはわからないことだらけでした。
準備するべきCVとカバーレターとは?
まず、「CVとカバーレターを用意しなければならない」と知って、何のことかさっぱりわかりませんでした。
調べると、CVは履歴書のことで、フォーマットから自分で用意。また、カバーレターは添え状ではなくて、自分を売り込むための手紙。
これはとても困りました。そもそも、実際のCVもカバーレターも見たことがなく、英語にもまったく自信がありません。運よく、私には夫という強い味方がいて、良きアドバイザーになってくれました。
夫はイギリスでの就職活動を経験し、英語もほぼネイティブなので、書類の書き方から英語の添削までいろいろ助けてもらいました。夫の助けなしでは何もできなかったです。
経験者にアドバイスを求めるのがベター
書類の準備はひとりでがんばらずに、経験者に相談するのがいいですよ。英語は必ずネイティブの添削が必要です!
そして、作成には数日かかることを覚悟しておいてください。
イギリス就職活動のプロセス2. 応募
書類ができ、いい求人が見つかったら、次は応募です。
応募に際しては、採用側が用意した書類に記入することもときどきあり、これも時間がかかります。私が経験したものはすべてデジタル化されていたので、ひたすらパソコンで記入する作業でした。
そして、すべてが整ったら書類の提出。メールに添付して、または採用側が用意している応募サイトから提出します。
応募の前に、スペルが合っているか、応募に必要な書類はすべて整っているか、何度も何度も確認作業をしました。
イギリス就職活動のプロセス3. 書類審査合格
めでたく書類審査に合格すると、
“Thank you for your application for the post. I am pleased to inform you that you have been short-listed for interview.”
(この度はご応募いただきまして、ありがとうございました。書類選考後、面接へお越しいただきたくご連絡いたしました)
とお知らせが来ます。
これは飛び上がるほどうれしいもの。でも、次に襲ってくるのは緊張。採用試験の課題が出され、面接が待っているのですから。採用試験がある場合は、面接とあわせてほぼ一日かかります。
また、採用試験と面接準備のほかに忘れてはいけないのが、面接会場への行き方を調べることです。イギリスに来たばかりのころは地理も不確かで公共交通機関の使い方もよくわからず、念入りに経路と時間を調べておきました。
イギリス就職活動のプロセス4. 採用試験と面接
採用試験は緊張の連続
中学校の日本語教師に応募したときの体験です。田舎の学校だったため、山の中へバスでえっちらおっちら。
初めて行くところだったので、そのバスが本当に目的地に向かっているのか、ちゃんと目的地で降りられるのか心配しながら向かったのを覚えています。
試験会場の中学校は普通の登校日だったため、子供たちにまぎれて学校に入り、受付で手続きをして控え室へ通されました。書類審査に通った人は全部で4人。
私が経験した採用試験はどこもライバルたちと控え室を共にして、待っている間は和気あいあいとおしゃべりをしなければなりません。ここでも人柄が見られているからです。
慣れない環境に手こずる
採用試験開始。授業自体は経験があるので多少自信がありましたが、日本で日本語を教えていたために、英語で授業をした経験がありませんでした。つたない英語のため、子供たちの集中力を欠いてしまってボロボロ。
また、教室はデジタルボードがあったりパソコンで出席をつけたりするようなハイテクで、これにはびっくり。使い方がわからず、てこずってしまいました。今思い出しても恥ずかしいです。
他の採用試験ではプレゼンテーションをしましたが、観客が採用担当者のみの3人だけのところがあれば、10人ほど集まったところもあり、心臓がバクバクしました。
事前に台本を作りセリフを覚える
ちなみに、イギリスでプレゼンテーションをするときは、日本のように自分の言葉でしゃべってはいけません。あらかじめ綿密なスクリプトを作り、それを覚えて滑らかに語るようにしゃべるのです。
これについては詳しく後述します。
面接には至らなくてもお茶のサービスが
中学校で採用試験を受けたときは、午前中に採用試験である授業をして、それに合格した人が午後の面接に呼ばれるという流れでした。私は予想通り不合格で、午前で終わり。
でも、待ち時間などは飲み物を用意してくださったり、採用担当の先生や校長先生と雑談をしたりするといったリラックスした時間もありました。
他の就職試験でもこういうことがあって、「わざわざお越しいただいたお客様に感謝とおもてなしをする」というイギリス文化なのかなと思いました。
面接では自分からも質問を
この応募以外で今までに受けた面接は、面接官が2人か3人でした。厳しい質問はなく、人柄や経験について聞かれ、和やかな雰囲気でした。
イギリスの面接では自分からも質問するのがいいそうですよ。仕事の内容や会社について聞くことで、やる気の度合いが測られるそうです。
イギリス就職活動のプロセス5. 採用・不採用通知
私の経験では、書類審査が通らなかった場合は何も連絡がありませんでした。でも面接を受けた場合は、不採用ならメールで、採用なら電話で連絡がありました。
採用の場合は、電話連絡の後、正式な採用通知の手紙が届いたり、雇用に関する必要書類が送られてきたりします。私はこれに記入して返送するか、または挨拶を兼ねて直接持って行きました。
採用・不採用の連絡方法については、たいてい面接のときに説明されますが、説明がない場合は質問するのがいいでしょう。
合格しながら返事を保留する人も
あるとき、採用試験と面接を受けてから1週間たっても何も知らせが来ない、という経験をしたことがあります。長く待たされたあげく、不採用通知。がっかりでした。
ときどき、採用通知を受けながらも保留して、その間、現在の職場で給料や雇用条件の改善交渉をする人がいるそうです。「他で採用通知をもらったから、そっちに移るわよ。辞めちゃっていいの?」という具合に。
その交渉がうまくいけばその人は現職にとどまり採用を受諾しないので、第二候補者に採用通知がまわることになります。どうやら、このときはこのケースだったようです。
イギリスでの就活は英語と文化の違いが高い壁
私がこれまでに応募した求人は8つです。そのうち採用になったのは3つ。つまり、不採用になったものの方が多いです。
イギリスの就職活動では、書類や面接で使う英語が本当に難しいと感じます。
「日本語ならわかってもらえるのに」というもどかしい気持ちを何度したことか。英語をもっと勉強しなくちゃ、と毎回反省させられます。面接では滑らかに英語が出てこないし、わからない言葉もたくさんあるし。
ただ、英語の知識だけでなく、文化の違い、コミュニケーションスタイルの違いも知っておくべきだと反省します。日本のように控えめでは、大人しすぎてやる気がないと思われてしまいます。
言わなくちゃわかってもらえないのですが、慣れないうちはうまくできなくてとても疲れます。
イギリス就活で失敗しないためのアドバイス
私の反省を踏まえ、みなさんが失敗しないために、僭越ながらぜひ知っておいていただきたいことをいくつかご紹介します。
カバーレターで売り込む
提出書類の中に必ずカバーレターがあります。繰り返しになりますが、これは添え状のようなものではなく自己アピール書。
アピールなので、自己紹介でもなく、自分に何ができるのか、どれほどこの求人に興味があるのかを示すものです。これを書くためには、自分の経験と性格、能力をしっかり見つめ直すことが重要です。
日本の文化では自己アピールをすることがないので、初めはとても書きづらいものですが、しっかりここでアピールするのが書類審査通過のキーポイントになります。
以下も参考にどうぞ。
- MONSTER 「5 steps to writing a successful cover letter」
How to Write a Cover LetterNeed to know how to write a cover letter? Follow this easy-to-use guide to highlight your skills and value, plus a sampl...
質問がわからないときにはこう返す
もし、面接のときにわからない言葉が出てきたとしましょう。そんなときはどうしますか?「What does XXXX mean?」ではまるで子供のようです。
私の場合は、
- 「I am sorry but I don’t understand very well. Could you please repeat the question?」
(すみませんが、ご質問の意味がよくわからないのですが。もう一度繰り返していただけないでしょうか)
とか、
- 「What do you mean by that?」
(つまりどういうことでしょうか)
と言うようにしています。
ただ、トーンはやわらかく、質問に答えたいという積極的な姿勢は崩さないのがポイントです。
面接での質問を考えておく
先述しましたが、面接では質問するのがいいというアドバイスを聞いたことがあります。その求人に対する積極的な姿勢をアピールすることができます。
急に質問を考えることはできないので、書類選考に通ったら会社のことを調べて質問をいくつか用意しておくといいでしょう。
プレゼンの準備はしっかりと
もし、プレゼンテーションをすることになったら、よく準備をしてください。与えられた時間を越えないように、あらかじめ話す内容をスクリプトにしっかり用意します。そして、何度も読み返して覚えます。
当日はスクリプトを読んではいけませんが、ときどき目を落として確認するぐらいならOKです。話し方は滑らかに、そして堂々と。イギリス首相のスピーチのようなイメージかなと思います。
- Theresa May Prime Minister’s speech
Theresa May Prime Minister's speech: In fullTheresa May gives her first speech as Britain's Prime Minister.Subscribe for more from the ITV News team:
まとめ~何度も経験を重ねて次に生かす
イギリスで就職しようと思うと、言葉はもとより文化と習慣が大きく異なるので、たくさんの準備が必要になります。経験者を探してアドバイスをもらったり、書類作成を手伝ってもらったりするといいと思います。
それから、なんといっても経験すること。何度失敗してもそれが経験になって次に生かされるので、何も無駄になることはありません。あきらめずにがんばってください!
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