お店の数も品物の種類も日本とは比べ物にならないほど少ないニュージーランド。代わりに、大きな公園などで週末に行われるマーケットは盛んで、普段は店舗を持たない業者や個人も気軽に出店できます。
クリスマス時期限定のクラフトマーケットも年々増え、ショッピングモールでは絶対に手に入らないような素敵な手作り作品が並びます。
その中でも一際目を引く「ジャポニズム作品」を販売する新進気鋭のクラフトアーティストがNadeshiko NZのRumikoさん。ニュージーランドに家族と在住する私がお話を伺ってきました。
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ユニークな作品はあれもこれも全部手づくり!
※折り紙イヤリング(マーケットにて)
趣味から生まれた質の高いアイテム
━Rumikoさんのお店ではマーケットで見るたびに違うものが売られていますが、全部Rumikoさんが作ったものですか?
そうです。
最初はニット作品を作って売っていたけど、アクセサリー作りも好きでやっているの。元々子供の頃から手芸や工作は好きだったの。芸術的というには程遠いものだったけど、コチャコチャと手を動かすのは好きで。
2人目の子供が生まれたのを機に仕事を辞めたので、それから編み物をしたり、ビーズでアクセサリーを作ったりと色々してます。
ーじゃあきっかけは、趣味が高じて……という感じでしょうか?それにしてもクオリティが高いですね。趣味の域は軽く超えてます。
そう?まだまだだですよー。
気に入ったものを取り入れるのがオシャレ
ー作りや素材がしっかりしているだけじゃなく、デザインもユニークですよね。以前、マーケットでお会いした時にうちの娘が気に入っちゃったピンクの耳付きの帽子、どこにいっても可愛いって羨ましがられます。羊の帽子とか、ハンバーガーの帽子なんかも可愛いし、見たら思わず笑顔になっちゃうような。
あれをかぶってシリアスな会話はできないね(笑)。
※Fun hats!(キッズ用)
ー私の友人(女)も、どうしても羊の帽子がほしいと言うので注文させていただきました。
ああ、あれは似合ってたよね〜。
ーはい、あの方、日本でちゃんとした会社にお勤めの、いい大人なんですけどね……。
関係ない、関係ない!自分が気に入ったものを身につけるのがオシャレなのよ。
地震で壊れた家の木材を再利用
ーそういえば、素材のビーズも手作りされてますよね?
そうそう。6年前(2011年)のクライストチャーチの地震で壊れた家からのリサイクルウッドを利用して、機械で丸くしてビーズにしてるの。主にアクセサリーや、その留め具にしたりしています。
この木はRimu(リミュー)といってニュージーランドでは頑丈さで有名な木で、昔は家の柱とかに使われて重宝されてたのよ。今じゃRimuなんて高くて柱になんかできないけど、地震の後に壊された家からいっぱい出てきたの。
ーえー!あのビーズはリサイクルのRimuの木でできてたんですね。ある意味ニュージーランド的アンティークですし、クライストチャーチの家からというバックグラウンドにも、なんだか歴史を感じますね。
ニュージーランドで活動するには「日本女子」を売りに
※折り紙イヤリング・アルパカ
可憐さと芯の強さの両立を目指して
ーNadeshiko NZ という名前、素敵だなあと思ったんですが、何か由来はありますか?
由来ってほどのものじゃないけど、ナデシコって日本女子を表す象徴みたいなものでしょう。そして、「可憐だけど芯が強い」っていう意味が込められてていいなあって思ったんだ。
そんな日本女子がニュージーランドで活動してるから、Nadeshiko NZってつけたの。可憐なんて程遠いけどね(笑)。
ーRumikoさんの作品は可憐ですよ。作りも本当にしっかりしていて本格的なので、芯の強さというのもわかる気がします。
そう?ありがとう。
日本人であることを生かす
ーニュージーランドで作品を作って売るにあたり、特に意識していることはありますか?
そうだなぁ、やっぱり自分が日本人であるという特徴を生かした作品を作ることかな。使う材料を日本から特別取り寄せたり、日本でもちょっと珍しい素材のものに挑戦したりとか。
この新作の折り紙アクセサリーには、京都オパールという日本でも一社しか作っていない人工オパールのフレークを取り入れてピアスにしてみました。
※折り紙アクセサリー ・鶴(京都オパール入り)
あと、技術的にも、折り紙をモチーフにしたアクセサリーなんかは特に、「こんなに小さいの、いったいどうやって作ったの?」ってこっちの人に純粋に驚かれるから面白かったりして。そういうの、嬉しいよね。
ー日本女子代表、 Nadeshikoの名がぴったりじゃないですか。
あはは、よかった〜。自分が日本人であることを有利に働かせようとは心がけているかな。それと同時に、ニュージーランドの特徴的なものも取り入れていこうと思ってます。
ーなるほど。先にお話に出たRimuの木のビーズ作りも、ニュージーランドらしさを出しつつ、日本人であるRumikoさんならではの作業の細かさと繊細さが生かされているわけですね。
珍しいNZ素材の新作
そうそう、あと最近、ニュージーランド産アルパカ100パーセントの毛糸でニット製品も作ってます。
※NZ産アルパカ毛100%のマフラー(母の日のプレゼント用に)
ーへー!アルパカの毛って肌触りもよくて保温性もあるからいいんですよね。あまり普通のお店で見かけないですが、どこでアルパカの毛糸を手に入れたんですか?
実はこの前、マーケットでニュージーランド産のアルパカの毛糸を卸してる人が、私のアルパカモチーフの折り紙アクセサリーを気に入ってくれたの。それがきっかけで知り合いになって、特別に少し安く買わせていただいてます。
ーなんと素敵な出会い!そういう出会いがあるマーケットってやっぱりいいですね。しかも、ニュージーランド産のアルパカの毛糸って本当に柔らかいんですよね。あったかくて、羊の毛よりも細いから触り心地がよくて、今注目の素材だと思います。
ニュージーランドでのマーケット販売の難しさと魅力
※水晶型レジンネックレス(NZグリーンストーン金箔入り、ステアリングシルバーチェーン)
やっぱり語学力が大事
ーマーケットでお客さんに直接作品を売るにあたって、難しいなと思ったところは?
それは何と言っても語学力ですね〜。ちょっと見てくれている人が買ってくれるまでって、作品のプレゼンが大事だと思う。作品にストーリーをつけたり、バックグラウンドを話したりして付加価値をつける。
ちょっと目についただけのものを「ほしい!」って思ってもらうまでに、やっぱり話さないといけないでしょ?その時、自分の語学力のなさが災いして、ちゃんと上手く説明できなくて悔しいなあって思ったこともあります。
普通の日常会話が問題なくても、やっぱり伝えたいことを短時間に説明するっていう語学力が大事だね。
ーなるほど。確かに可愛いと思っても、実は大量生産されている輸入品と、隣の優しいおばあちゃんが一生懸命作ってくれたものだったら、おばあちゃんの手作りの方が意味が深くてありがたいといったように。それを短時間で説明できないといけないですもんね。
そうなのよ。そこがこれからの私の課題だね。
目の前で買ってもらえる喜び
でもやっぱりマーケットだと、目の前で私が作った作品を可愛いと言って買っていってもらえるのが嬉しいね。
ーどんなお客さんが買っていってくれますか?
私は自分がいいと思うものを作って売ってるので、その私と同じ感覚でものを見る人が気に入ってくれてるんだろうと思うよ。国籍も年齢層も様々ですね。
ーRumikoさんの作品がきっかけでRumikoさん流のジャポニズムがもっと広まると面白いですね。
ニュージーランドで作品を販売する経費と方法
※折り紙アクセサリー ・バラ(京都オパール入り)
決して安くない出店料
ーちなみにマーケットへの出店料はどのくらいですか?
マーケットにもよりますね。例えば、エンクラフトメントマーケットという結構大きなマーケットが6月にもあるんだけど、その出店料は120ドル(日本円で約9,200円)。
それでも出店者が多くて競争率が高いから、応募しても外されてしまうこともあるんだよ。最近開催されたものは私が日本に帰国したりしていたので、準備不足で出店できなかったんだけど。
ーなるほど。クラフト業界、なかなか厳しいですね。
みんな暇なんじゃないかな(笑)。
ー「器用で時間に余裕がある人が多い」と言ってください(笑)。きっと、買いに来る人もそれだけたくさんいるということですね。
ネットや常設ショップでの販売も
ー作品を販売するのはマーケットだけですか?
いいえ、ネットでも販売しています。Facebookのページでニット製品は「R’s Fun Hats」、アクセサリーなどは「Nadeshiko NZ」の名前で、それからショッピングサイトのEtsyでも「Nadeshiko NZ」 として売っています(いずれもアドレスは後に記載)。
あと、クライストチャーチにあるPay It Forward Design Store(49 Nancy Ave, Mairehau, Christchurch)というお店に、常設で委託販売してもらってるの。
ここにはいろんな人が手作り作品を置いてもらっていて、売れたら売上の一部を場所代として払うシステムになってるんです。店番すると売上の18パーセントで、しないと40パーセントを払うのね。だからたまに、私もそこで店番してるんです。
ーへ〜。お手伝いすると経費削減できるシステムっていいですね!店番すると、買いに来てくれた人にも会えるし、楽しそうですね。
※左上:Galaxy in the cat ネックレス 右上と下段:折り紙アクセサリー・バラ
ニュージーランドで手づくり作品を売るには?
ー最後に、手作りが好きでニュージーランドのマーケットなどで出店してみようかなぁと思っている方に何か一言お願いします。
自分のバックグラウンドを有利に使うことを大事に。日本人ならではの細かい作業が出来る器用さなどは、ここでは重宝されます。
あと、好きなことをしていれば、それを好きだと言ってくれるお客さんがどこかにいるはず。どの辺にその人たちがいるかを見極めるのは結構難しいんだけどね。
ー日本人であることを外国で思い切り前に出せるのはいいですね。そして、それを評価してくれる現地の人がいるというのは、私まで嬉しいです。自分の「好き」を曲げないように、納得と満足のいく作品作りとそれができる環境が大事なんですね。
そうだね。あと、売れなくても人生終わりってわけじゃないし、上手くいかなくても大丈夫……と、自分に言い聞かせつつ、でも、レイジー(怠け者) にならないでいつも何か試してみる。と、これは私が思っていることでもあります。
ーなるほど。ニュージーランド流、Lay Back(背もたれに寄りかかるようにリラックス)スタイルな心持ちで、でも日本人の勤勉さは忘れずに、ということですね。これからも素敵な作品を作り続けてくださいね。応援しています。ありがとうございました!
ニュージーランドではRumikoさんへの注目度が上昇中
※猫用の帽子(面白いので結構売れるそうです)
とっても気さくで、お話していても楽しいRumikoさん。ニュージーランド歴が長く、ニュージーランドコミュニティにも溶け込んでいるような方ですが、日本人の心を忘れず素敵な作品作りをしているクラフトアーティストです。
作品を販売し始めたのは割と最近だそうですが、マーケットやお店などに積極的に売り出していて、ユニークな日本人クラフトアーティストとして今、ニュージーランドでとっても注目を集めています。
そんなRumikoさんの作品は、日本など遠方からでも以下のサイトで閲覧、購入することができます。
- Facebook(ニット作品):R’s Fun Hats
- Facebook(アクセサリーなど):Nadeshiko NZ
- Etsy:Nadeshiko NZ
そして、クライストチャーチを中心としたニュ―ジーランド南島内で開催されるクラフトマーケットにも出店されています。見かけたら是非お声をかけてみてくださいね!
まとめ~日本人アーティストにやさしい環境
手作りのものが愛されるニュージーランドは、作品作りも販売もしやすい環境と言えるでしょう。
特に、和柄の雑貨やアートは海外でもとても人気で、ニュージーランドでも高級な雑貨店やギフトショップなどで見かけたりします。日本特有のデザインや素材を扱った小物は、これからもますます人気が高まっていくと思います。
お気に入りを見つけるもよし、自分で作って販売してみるのもよし。今後もニュージーランドの日本人アーティストから目が離せません。
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