マレーシアで具合が悪くなったらどうする?そんな時は漢方医へ

漢方のお店 東南アジア

マレーシアを旅行中や、住んでいるときに、突然具合が悪くなる場合もありますよね。慣れない食事や気候で病気になってしまう人もいます。そんな時どうしますか。もちろん第一は病院で治療を受ける事です。

しかし、実は他にも方法があるんです。それは漢方医にお世話になることです。漢方医とは誰?どんなことをしてくれるの?そもそも大丈夫なの?そんな不安を解消すべく、今回は庶民の味方、マレーシアの漢方医についてみてみましょう。

マレーシアの医療事情

マレーシアに住んでいると、あちこちに病院がある事に気が付きます。こちらでは、病院の事を「クリニック」と呼んでいます。

クリニックは比較的小さなものが多く、ほとんどが個人経営です。内科、皮膚科、眼科、歯科等、それぞれの専門別のクリニックに分かれています。

それとは別に「ホスピタル」と呼ばれているものもあります。これはとにかく大きい、いわゆる総合病院の事です。

ちょっとした風邪や目の痛み、関節痛などはクリニックに行きますが、入院や手術が必要なほど大きな病気や事故の場合は、迷わずホスピタルを選びます。

ホスピタルにも2種類あり、政府が運営している”government hospital” (通称:GHと呼ばれています)と、私立病院”private hospital”(通称:PH)に分かれています。

漢方医とは?

しかし、実はもう一つ選択肢があるんです。それが漢方医です。これは”Chinese doctor”とか ”Chinese medicine”と呼ばれています。読んで字のごとく、中国から伝わってきた医学や薬の事です。

漢方医の資格は、中国や台湾、あるいはシンガポールで取得するそうです。免許や大学の卒業証書が店に飾ってあることが多いです。こちらでは漢方医はすごく尊敬されています

以前、友人の漢方医と一緒に歩いていると、通りすがりの人がこちらに気が付きました。彼は「おー、ドクター!」と言いながら一目散にこちらに来て、漢方医である友人の手をとり、いつもありがとうと言って去っていきました。

多くの人から大切にされている様子がよく伝わってきました。

どこにあるの?

中華系が多く住んでいる町や通りには必ずこの漢方医の店があります。店の多くは大通りや人通りの多い所にあり、非常に入りやすくなっています。

クリニックやホスピタルは、いつもドアが閉まっていて、中に入りにくい感じがします。しかし、漢方医の店は、そもそも道路と店の境に扉がないので、誰でも気兼ねすることなく入れます。

(厳密に言うと境に扉はあるのですが、アコーディオン式の扉のため、開店時にすべて折りたたまれて端っこに追いやられています。ですので店が開いているときは誰でも出入りが自由です。)

いつでもウェルカムの雰囲気が漂っています。それでは実際に入ってみましょう。

店の中を見てみよう

漢方

店に入ってみると、薬がたくさん売っています。どんな薬が売っているのでしょうか。私達に馴染のある物も見かけます。アンメルツヨコヨコや正露丸です。アンメルツヨコヨコはこちらではヨコヨコで通じます。

他にも瓶の中にはなにやら分からないものも入っています。野球のボールくらいの大きさの丸い乾燥果物や、高麗人参みたいなものまで様々です。心なしか乾燥させた植物関係が多い気がします。

さらには、日本でもおなじみのタイガーバームも置いてあります。なんか親近感がわきますね。

漢方医の実際の仕事ぶり1

漢方

私が店にいる間にもお客さんがひっきりなしに来店します。そのうちの一人は具合がかなり悪そうです。そして、今の自分の症状を漢方医に説明しています。

それを熱心に聞いたあとで、その漢方医はその患者の脈を測りだしました。それからアッカンベーをさせて舌の状態を確認して、患者のこめかみを押したりしています。

患者に、痛いかどうか、どんな感じで痛いかを確認しています。それから病名を告げました。

それだけではなく、その人にふさわしい薬を準備し、飲み方の説明までしています。患者は安心した顔で、言われた言葉に聞き入っています。そして無事に帰って行きました。

どこか足取りも軽くなっているように感じたのは、私の気のせいでしょうか。とにかく見ていて非常に興味深いものでした。

漢方医の実際の仕事ぶり2

漢方

患者を診るだけが、漢方医の仕事ではありません。別のお客さんは、何やらA4くらいの大きさのわら半紙を持って来店しました。そこには中国語で何やら漢字がびっしり書いていました。

私には何が書いてあるのか、さっぱり理解できません。しかし、漢方医はその紙をみながら、何やら作業を始めました。

店の壁にはたくさんの引き出しがあります。パッと見ただけでも100くらいはあります。その引き出しをランダムにあけて、中から何やら色んな物を取り出してきます。取り出したものをカウンターに置いて行きます。

乾燥させた木の根っこ、きんぴらごぼうのようなもの、乾燥キンカンみたいに見えるもの等。正直言って何なのかさっぱりわかりません。わら半紙に書いてあるものを、全部カウンターの上に並べ終えたようです。

今度はそのうちの一部をすり鉢に入れて、ゴリゴリとすりつぶしています。一部は個体で一部は粉にするのでしょうか?もう未知の世界です。

作業が終わると、それを透明のビニール袋に入れてから、お客さんに渡していました。お客さんも納得したようで、笑顔で帰っていきました。

これでわかりました。薬を作っていたんです。漢方医は医者としての仕事だけではなく、薬剤師の仕事も兼ねているのです。これはとても効率的だと思います。

他には何があるの?

漢方

薬剤師としての仕事が終わったあと、少しお客さんが落ち着きました。もう少し店内を歩いてみるとさらに面白い発見があります。店内には食料品も置いてあります。缶詰、乾燥海苔、ピーナッツなどです。生鮮食料品はありません。

やはりメインは患者を見たり、薬を処方したりする事なので、その辺は調節しているのかなと思います。

さらに店内を見渡すと、お酒が豊富に置いてあります。ビール、ウイスキー、養命酒などです。漢方医の友人曰く、お酒の売れ行きもかなり良いそうです。

日本で病院にかかった場合、そこの病院でお酒を売っていたら、不謹慎だと文句を言う人がいるかもしれませんね。でもなんか面白い組み合わせでほっこりします。

喫茶コーナー

やかん

なにやら店先に人が集まっています。何をしているのかと思い行ってみました。すると、お客さんが別の店員さんに何やら話しかけています。

それが終わると、店員さんは縦横それぞれ20cmくらいの小さなビニール袋を取り出し、その中に何やら茶色の液体を注いでいます。注ぎ終わるとストローを1本差して、袋の口をビニール紐で縛ってから、お客さんに渡しました。

お客さんはお金を払い、その液体の入ったビニール袋を持って去っていきました。そう、ここは喫茶コーナーなのです。

と、いっても椅子やテーブルはありません。その場で立ち飲みするか、持ち帰るかの喫茶コーナーなんです。試しに私も飲んでみることにします。2種類あり、片方が苦い、もう一方が甘い味です。

少し悩んでから苦い方を選びました。味は、「まずい。激烈に苦くてまずい」。病院でもらう粉薬を、5袋くらい水に溶かして飲んだような味です。美味さのかけらも感じられません。

ところが、これが飛ぶように売れています。わからない。まったく理解できません。ちなみにこのお茶は「凉茶」(リャンチャー)というそうです。苦

い方が、「苦凉茶」(クーリャンチャー)で、甘い方が「甜凉茶」(ティエンリャンチャー)という名前です。1杯1.7リンギット(約40円)です。

暑いマレーシアでは気づかないうちに体に熱を持ってしまう事があります。それが熱中症の原因になります。涼茶はそんな熱くなった体の熱を下げる効果があるそうです。

病気の時以外でも訪れる価値あり

そろそろ帰る時間になりました。今日は本当に勉強になりました。日本で病院というと、どこか怖くて、できれば行きたくない所です。でもマレーシアの漢方医はどこかエンターテイメントの溢れる場所でした。

もしマレーシアで漢方医の店をみつけたのならば、是非とも入ってみて下さい。どこも具合が悪くなくても、なにか面白い物を発見できます。

仮に何もなければ、是非店先で凉茶を飲んでみて下さい。その場合は、まずは苦いほうをお勧めします。どんな病気も逃げ出していくであろう不味いお茶を飲んでみて下さい。その後に飲む甘い凉茶の美味さが心と体に染みわたりますよ。

まとめ

「具合が悪い時はまず漢方医のところに行け」。これは私達が現地の友人から教わった言葉です。最初は不思議に思いましたが、時が経つうちにこの言葉は真実であることが分かりました。

今では、体の調子が悪くなると、すぐ近所の漢方医のところに行っています。クリニックやホスピタルではなく、地元に密着していて、とても入りやすい漢方医。行くとなぜか必ず凉茶を勧められます。

皆さんも機会があれば、是非お近くの漢方医を訪ねてみて下さい。きっと素敵な時間が過ごせますよ。漢方医を一言で表すならば、病院と薬局、さらにはドラッグストアに喫茶店が一緒になったような夢のある店舗なのです。

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