清州市立美術館にて現在開催中「부드러운권력/SoftPower」展

林銀洙(LimEunSoo/イム・ウンスー) 韓国生活・移住

日韓いずれも、新緑の季節。街で行われている様々な催し物に出かけたくなりますね。今回は、韓国の地方都市・忠清北道清州市で開催中「부드러운권력/SoftPower」展についてのご紹介です。

(タイトルの読み方をはじめ展覧会については、この後の「清州市立美術館(チョンジュシリプミスルカン)で開催中の『부드러운권력/SoftPower』展」にて詳しくご紹介します)

フェミニズムをテーマとした企画展で、7人の女性作家たちが参加しています。3月22日のオープニングでは、開幕イベントとして、参加作家である林銀洙(LimEunSoo/イム・ウンスー)さんのパフォーマンスが行われました。

清州市立美術館で開催中の「부드러운권력/SoftPower」展

「부드러운권력/SoftPower」展

  • (タイトル)「부드러운권력(プドゥロウングォンリョク)SoftPower」展
  • (会期)3月15日~5月6日
  • (オープニング)3月22日(木)16時
  • (アーティスト・トーク)4月20日(金)14時
  • (会場)清州市立美術館(チョンジュシリプミスルカン)

フェミニズムをテーマにした企画展

「부드러운권력/SoftPower」展

「부드러운권력SoftPower」展と記載しても、後ろに英語表記もあるものの、ハングルだけ見るとまるで記号みたいで何の事か分からないですね。

「부드러운권력SoftPower」とは、直訳すると「やわらかい権力」という意味(この表記の韓国語と英語はどちらも同じ意味)です。フェミニズム(女性性)をテーマとした、清州市立美術館による企画展です。

一瞬「あれ?」と思わせる、文字を反転させたデザインもなかなか面白い味を出しています。

展覧会の作品のご紹介1

この「부드러운권력SoftPower」展は、7人の女性作家たちによるグループ展です。展示風景を少しずつご紹介していきましょう。

林銀洙(LimEunSoo/イム・ウンスー)さんの展示

林銀洙(LimEunSoo/イム・ウンスー)さんの展示

林銀洙(LimEunSoo/イム・ウンスー)さんの展示

林銀洙(LimEunSoo/イム・ウンスー)さんの展示

※写真撮影;林長活氏

まずは、冒頭にパフォーマンスを行った作家としてご紹介した林銀洙(LimEunSoo/イム・ウンスー)さんの展示風景からご紹介します。

今回は、「種まき」シリーズの作品だそうです。何だか、長いスカートがたなびいているようにも見えますね。深いブルーは冷静な印象を受けがちですが、しかしその中に深い悲しみを秘めているようにも思えます。

見方によっては、男性中心の世界に対する、静かな批判あるいは抗議であるようにも受け取れます。

オープニングの開幕イベントで行われたパフォーマンス

林銀洙(LimEunSoo/イム・ウンスー)さんの展示

林銀洙(LimEunSoo/イム・ウンスー)さんの展示

オープニングの開幕イベントでパフォーマンスを披露された本展の参加作家の1人・林銀洙(LimEunSoo/イム・ウンスー)さん。開幕イベントでのパフィーマンスについて伺ってみました。

パフォーマンスには、林銀洙(LimEunSoo/イム・ウンスー)さんのお母様も参加されたそうです。

空間の中で生命の粒子を呼び込み、傷を受けた人や地域をつなぎ力を与え直して治癒させます。

私の身体と意識は生命を呼び込んでつなぐ通路であり、中継局です。私が呼んだ生命の粒子たちをより広い空間に広げ、その役割を作りたいと願いました。

今回のパフィーマンスは、私に、実際に命を与えてくれた母親と共に行いました。自身の体を介して次の世代に命をつなぎ育ててくれた女性の包容力と愛の意味を、私の美術作業のテーマ『種まき』と組み合わせて表現してみました

韓国内外で活躍中/林銀洙(LimEunSoo/イム・ウンスー)さん

韓国内外で活躍中/林銀洙(LimEunSoo/イム・ウンスー)

彼女は、韓国だけでなく、外国の展覧会にも積極的に参加する、現在活躍中の女性美術作家です。

<個展>

  • 1993年から2016年にかけて17回(ソウル・大田・清州・サラエボ)

<グループ展>

  • 2017年イスタンブールビエンナーレ特別展Taste of tea展(イスタンブール):「Dream for movement-seeding」をテーマにインスタレーションとパフォーマンス作品で参加
  • 2017年33-Internacionalni Festival SARAJEVO SARAJEVSKA ZIMA2017(サラエボ):「移動のための夢」
  • 2016年「創作者」(サラエボ)
  • 2016年パフォーマンス「解放をあげる」(韓国/江原道)
  • 2016年実験芸術計画展「魂を呼ぶメロディー」インスタレーションとパフォーマンス作品で参加(韓国/清州市立美術館オチャン館)
  • 2016年パフォーマンス「種まき」(セルビア)

展覧会の作品のご紹介2

ここからは、今回の展覧会の中の様々な美術的表現についての解説と、他の作家たちの展示をご紹介していきます。

  • インパクトが強い展示
  • 映像や写真を使ったもの
  • イラストによる表現
  • インスタレーション(設置)の展示
  • メッセージ性が強いもの

など。1つ1つご紹介してまいりましょう。

インパクトが強い展示

インパクトが強い展示

インパクトが強い展示

インパクトが強い展示

なかなか、この方の展示空間にはドキッとさせられるものがあります。1人1人別の方の肖像なのでしょうか、それとも「女性」を一括りとした肖像なのでしょうか。

映像や写真を使ったもの

映像や写真を使ったもの

映像や写真を使ったもの

前者の作品は、着ている服の印象・カラフルさなどのせいか、どこかしらユーモアも感じます。「女性」のイメージを大きく前面に出しているのでしょうか。

それをアジュンマ(おばさん)達が着ているところが、アジュンマが強い国・韓国を彷彿とさせるものがあります。

後者は写真による表現。女性たちのそれぞれの瞬間を切り取った1枚1枚です。

イラストによる表現

イラストによる表現

イラストによる表現

シンプルでスッキリとした、洗練された印象のイラストですね。後者の絵は、配色や描き方など、どことなく女性的なものを感じさせられます(勿論、男性美術作家にもそういう方はいますが)。

インスタレーション(設置)の展示

インスタレーション(設置)の展示

インスタレーション(設置)の展示

前者は糸と布を多用、後者は服を使用したインスタレーション(設置)です。ファッションもまた女性にとって大きなテーマですね。

メッセージ性が強いもの

メッセージ性が強いもの

メッセージ性が強いもの

先程、インスタレーションのご紹介で最初に上げた写真(糸と布)の展示の一部分です。引き裂かれた男性物の服や運動器具、1つ1つの作品を個別に見ても、非常にメッセージ性が高いと感じさせる作品ですね。

※写真撮影;林長活氏

清州市立美術館のご紹介

さて、これまでご紹介してきた「부드러운권력SoftPower」展ですが、清州市立美術館で4月26日現在開催中です。最後に、清州市立美術館をご紹介します。

清州市立美術館

清州市立美術館

清州市立美術館(チョンジュシリプミスルカン)とは?

2016年7月に開館された、比較的新しい美術館です。社稷洞(サジクドン)のKBS放送局を改装し、美術館として生まれ変わりました。

基本情報

  • 名称:清州市立美術館
  • 住所:〒28654 清州市西原区社稷洞604-26(28654 50, 18beongil,Chungyeol-ro,Seowon-gu,Cheongju,Korea)
  • 営業時間:(3~10月)10:00~19:00,(11~2月)10:00~18:00
  • 休館日:毎週月曜日,1月1日,旧正月,旧盆(月曜日が公休日の場合はその翌日休館)
  • 電話番号:+82-43-201-2652~5
  • 公式サイト:http://cmoa.cheongju.go.kr

清州市立美術館の学芸員(趙彗玲さん)に、美術館についてお聞きしました

清州市立美術館の学芸員(趙彗玲さん

清州市立美術館の学芸員;趙彗玲(ChoHyeRyeong/チョヘリョン)さん

  • (学歴)梨花女子大陶芸科卒業・梨花女子大大学院陶芸科修了
  • (経歴)安養視聴学芸研究士、イウンノ美術館学芸長、公州大学・江南大学講師など

清州市立美術館について更に詳しく、清州市立美術館学芸員の趙彗玲(ChoHyeRyeong/チョヘリョン)さんから直接お話を伺いました。以下、彼女から送ってもらった清州市立美術館についての説明です。

清州市立美術館は、清州市サジクドン(社稷洞)の旧KBS放送局の建物を改装し、2016年7月1日開館しました。

清州市立美術館は、忠北地域を代表する美術空間です。清州市民の皆様に多様な美術文化サービスを提供しています。

本美術館は、サジクドン(社稷洞)本館と、ムニ文化財地の大清湖美術館またヨンアムドンの清州美術創作スタジオ、そして梧倉湖公園内に位置するオチャン(梧倉)展示館の3つの分館で運営されています。

それぞれの規模や地域の特性に合わせ、特性のある展示・作品収集・教育・作家支援・地域美術の研究などを通じ、将来の美術館の価値を創り出そうとしております。

今後、清州美術の流れをリードし、地域美術史を確立できるような展示を企画していく予定です。

清州の象徴的な空間となるよう、様々な美術文化プログラムを開発・運営しながら、地域住民にとって身近な美術館になるようと学芸員一同、努力してまいります。

関連記事「韓国清州市が運営するアート・イン・レジデンシィ『清州美術創作スタジオ』

まとめ

清州市立美術館

清州市立美術館及び現在開催中の展覧会のご紹介でした。

ソウルにある美術館は有名な所が多いですが、地方都市の美術館はまだなかなか知られていません。しかし、中には特色のある企画も多く行われています

展覧会については、会期は5月6日まで。4月20日には、作家本人が作品を語るアーティストトークが行われたそうです。

「フェミニズム」についてのそれぞれの作家の考え方・感じ方について、じっくりと耳を傾ける時間となったのではないかと思います。

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