私が就職のため、ドイツの西端にあるラインラント・プファルツ州の古都トリーアに移り住んで、早4年が経とうとしています。
ドイツでは、期間限定の雇用契約でも諸条件をクリアすれば無期限の就労ビザをゲットすることが可能です。私ももうすぐ無期限ビザをもらえることになっています。
それぞれの状況によってルールは異なりますが、私がドイツの就労ビザを取得するまでの経緯と、更新した際の手続きについて詳しくお伝えします。
※この記事は筆者の体験に基づいています。
※1ユーロ=約131円
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ドイツで就職が決まるまでの経緯
私はスイスで修士課程を修了してからドイツに渡りました。ドイツには就職活動が目的で移り住んだのですが、ひとまず語学学校への入学手続きを済ませ、学生ビザを申請するつもりで外国人局に足を運びました。
外国人局でドイツに来たいきさつを説明したところ、就職活動のためにドイツに来る外国人のためのビザというものがあることを教えられます。
メリットとデメリットの間で迷う
この就活用のビザを申請すれば、国の支援が受けられてドイツ語習得にかかる語学学校の費用が大幅に免除されるといううれしい特権に、強く心を惹かれました。
でも、就活用のビザは6カ月分の滞在しか認められないことを知って迷います。6カ月以内に職を見つけることができなかった場合は日本帰国を余儀なくされるという説明を受け、やはり語学学校に入学して学生ビザでドイツに滞在することに。
半年以上も語学学校に通って就活を続ける余裕は、正直なところ金銭的にも精神的にもありませんでしたが、「6カ月限定」とタイムリミットを設けられることに恐れをなしたからです。
6カ月目に就職先決定
結果、ドイツに移り住んでからちょうど6カ月目に就職が決まり、就労ビザに切り替えることになりました。
就活用のビザでもギリギリ間に合った計算にはなります。でも、ビザのタイムリミットが迫って来るのに仕事が決まらない期間の精神状態を考えると、とても耐えられなかったであろうことは容易に想像がつきます。学生ビザにしておいて本当によかったと思います。
ドイツで学生ビザから就労ビザへ切り替え、転居も伴う場合
※パレス・ガーデン
就活時代はカールスルーエという町に住んでいたのですが、就職先はトリーアというラインラント・プファルツ州の町だったので、引っ越しをすることになりました。
州が変わるということは外国人局の管轄も当然変わります。その際の手続きについて、順を追って解説します。
1. 現住所管轄の外国人局へ転出届
まずはカールスルーエの外国人局に転出届を提出し、証明を出してもらいました。この時点で私の学生ビザはまだ発行されておらず、受け取りを待っている状態だったのですが、就職が決まったので就労ビザに切り替える旨を伝えました。
2. 転居先の市庁舎で住民登録
カールスルーエの外国人局に発行してもらった転出証明、新しい住居の賃貸契約書、パスポートを持ってトリーアの市庁舎へ行き、住民登録を行って証明を出してもらいました。
3. 転居先住所管轄の外国人局にビザ申請のアポ
トリーアの外国人局に電話し、ビザ申請のための手続きのアポを取りました。
実は、これから働く職場が外国人局と同じ市の機関なので、つながりがあります。職場の事務の方が外国人局の担当者を紹介してくれて、総合窓口ではなく直接、担当者の内線番号に電話することができ、翌日にアポが取れました。
4. 転居先住所管轄の外国人局でビザ申請
就労ビザ申請に必要だった書類は以下の通りです。
- トリーアでの住民登録証明
- 雇い主から発行された雇用契約書
- パスポート
- 証明写真2枚
- 手数料の80ユーロ(約1万円)
学生ビザが発行済みだった場合は、そのビザも必要書類の一つとなっていました。
なお、手数料の80ユーロは現金でしか受け付けてもらえないので注意が必要です。レジなどがあるわけではないので、おつりなども出ないようにきっちりそろえて行った方が無難です。
申請用紙をその場で記入し、指紋を採られ、手続き終了です。
5. 転居先で就労ビザ取得
申請の手続きをした際に「ビザが発行されたら連絡するから」と言われました。でも、1カ月ほどしても音沙汰がなかったので、自分から外国人局の担当者に電話しました。すると「もうとっくにできているよ」という返事が……。
受け取りはアポなしでいつでもいいということ。翌日、その担当者が窓口対応している時間を狙って受け取りに行きました。
「もう出ているとは知らなかった」と伝えると「誰かがあなたに連絡しなくちゃいけないわよねぇ!」と、まるで他人事。私はこの人からの連絡を待っていたのですが……。
初回ビザには条件あり
田舎町での申請であり、職種が一応公務員で外国人局とのパイプがあるため、通常より簡単だったのかもしれません。
無事に就労ビザ取得となりましたが、初回のビザは条件付きでした。「雇用契約書に名前が載っている雇用主のもと以外での就労は認められない」というもので、その旨がしっかりとビザにも印刷されています。
それでも、外部で短期間の仕事の予定もいくつか入っていたのでどうしたらよいか尋ねたところ、あっさり「長期契約ではないなら問題ない」と言われました。
ドイツの就労ビザ更新1回目
※ポルタ・ニグラ
私の雇用契約は当初1年半の期限付きだったのですが、運よく継続して契約することができました。
そこで、初回のビザ期限の4カ月ほど前に、職場の事務に契約更新の証明発行を依頼しました。悲しいかな私の職場はとにかく事務関係がうまく機能しておらず、各種書類の発行までにものすごく長い時間がかかります。
夏休みにドイツ国外への旅行を計画していたので、ビザがないと空港で大変なことになります。何カ月も楽しみにしていた旅行なのに、空港で足止めされたらたまりません。どうしても夏休み前にすべて片付けておく必要がありました。
証明書をもらいようやく更新申請
何度も事務をせっついて夏休み直前になんとか証明書を出してもらい、外国人局の担当者に電話でアポを取りました。
必要なものは、
- 新しい雇用契約書
- 古い(現在の)ビザ
- パスポート
- 証明写真
- 手数料の80ユーロ(約1万円)
です。
夏休みの旅行までにビザが下りなかった場合に備えて、ビザの更新手続き中であることを証明する書類を出してもらい、一安心しました。ですがこの書類、ドイツ語のみの表記だったので、これが国外で通用したのかどうかは甚だ疑問です。
新しいビザには雇用主限定の注意書きなし
この更新手続きの際に、ネット上でビザの発行状態を確認できることを教えてもらったので、申請から10日過ぎたあたりからチェックするようにしました。2週間ほどでビザ発行完了のサインが出たので、受け取りのため外国人局へ。
この先1年分のビザが下り、無事、バカンスに旅立つことができました。初回のビザに記載されていた雇用主を限定する注意書きはこの回から消え、私はドイツ国内で好きな仕事をできる権利を手に入れたのです。
ドイツの就労ビザ更新2回目
※バジリカ
それから1年経ち、雇用契約は2回目も問題なく更新してもらえることになりました。それに伴い1回目の時と同様に、外国人局にビザ更新の手続きに出かけました。この時点で私はドイツ国内で2年半就労していたことになります。
ドイツ国内で修学した外国人は、勤続2年で無期限のビザに切り替わるそうです。しかし、私は別の国で修学し、ドイツには働くために移り住んだので、この権利はまだ与えられません。
それでも2年分の就労ビザが下りました。雇用主との契約は相変わらず1年間の期間限定だったので、ビザの有効期限と雇用契約の期間に1年もの差が出るのは不思議に感じられました。
何にせよ、毎年夏休み前にビザの更新で気を揉んでいたので、その心配が1回分なくなるというのはうれしいものでした。
ドイツの就労ビザ更新、次回3回目でついに無期限ビザへ!
※マークト広場
ドイツでは、外国人がドイツ国内で5年間途切れることなく就労すれば無期限ビザが下ります。いわゆる「永住権」です。
ヨーロッパの中でも経済状況の安定しているドイツで無期限の就労ビザを手にするのは、やはり貴重なことなのでしょう。私の知人はこのビザが発給された後にフィンランドで新たな職に就きましたが、ドイツでの永住権を確保しておくために、ドイツ国内に住所を残したままフィンランドで生活しています。
外国人局の担当者が言うには、私は次のビザ更新で無期限ビザに切り替わるそうです。次の更新の時点でまだ勤続4年半なのですが、そのあたりのルールは割とゆるいようです。
「無期限」はあくまでパスポート前提
ただ、無期限とは言っても、ビザの有効期限の欄にはパスポートの有効期限と同じ日付が記載してあるそうです。国籍が外国人である以上、やはりパスポートありきのビザなのですね。
ドイツ国内で長年にわたって就労を重ね、国籍をドイツに切り替える外国人も多くいます。もちろんメリットがあるからなのでしょうが、私は日本国籍は一生手放したくないなと思っています。
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まとめ〜就労ビザを取る上で一番大事なのは雇用契約書
ドイツのビザ申請は、比較的スムーズに進む方だと思います。
それでも、主要都市となると移民の数も多いため、外国人局はいつでも長蛇の列でビザ発行に数カ月かかるというケースも多いようです。私がカールスルーエで学生ビザを取ろうとした時がそうでした。
いずれにせよ、就労ビザの取得や更新の際に一番大切なのは雇用契約書です。ビザが必要な外国人にとって雇用契約書がどれほど大事なものなのか分かっていない人も多いので、場合によっては積極的に職場の担当者に催促するようにしましょう。
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